Bチームの生き残り   作:いさな

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第3節 破壊の巨神

今俺がいるのはネロ達が避難している街からはかなり離れた場所にある『首都ローマ』

繁栄を極めた街の面影はなく、周囲は荒れ果て何も残っていない

 

「……それじゃあ、始めるか」

 

側に立つのはスルーズ、ロムルス、カリギュラの三騎のみ

カエサルは結局作戦開始まで戻っては来なかった

だが元々立てられていた作戦ではカエサルが前線に出ることはなかったから問題ないだろう

 

「――魔力、解放します」

 

スルーズが敵に存在を知らしめるために魔力を解き放つ

 

第一段階、開始だ

 

魔力に敏感に反応し、無数のアルテラがこちらに向かってくる反応を感じる

地表を埋め尽くさんばかりの反応

 

「目標発見、破壊します」

 

最初に出会った時とよりは確実に強くなっている

だが、まだ一体一体の力は弱い

囲まれていてもなんとかなるレベル、よし作戦通り

 

「まずは耐久」

 

いくらこの使い魔たちを蹴散らしても巨神本体を叩かないと意味がない

これは巨神を誘い出すための前準備

 

「ウォォオオォオオ!!!」

 

カリギュラが暴れまわる

トップクラスの狂化を持つバーサーカーだけあって消費魔力は多い

カルデアからのバックアップがなければ本来自分が扱える許容量ではない

必死に魔力の制御を行う

 

「ネロォォオオオオオ!」

 

ああ、そうだよな

許せないよな

愛しき妹の子が築き上げたローマが!

そして何よりも自分が愛したローマが!

 

奴らも同じ目に……

 

――目の前の全てを壊してやる

 

「ジュリオ!」

 

スルーズがこちらの肩を揺する

俺は今、なにを考えて……?

 

クソ、契約したサーヴァントと同じ夢を見るっていう現象は知ってたが

ここまで感情が流れ込んでくることもあるのか

 

制御しろ、飲み込まれるな

肝心なのはこの後だ

 

「――来た」

 

空から巨神が舞い降りる

第二段階、開始だ

 

「バーサーカー!」

 

「――我が心を喰らえ、月の光(フルクティクルス・ディアーナ)

 

カリギュラが宝具を発動させると同時に空に月が浮かび上がる

 

広範囲型の精神汚染攻撃だ

一部の使い魔たちが狂気へと包まれ敵味方関係なしに暴れ出す

 

これで使い魔の動きは封じた

後は――

 

「神の時代はことごとく終わるものである」

「かつては、我らローマがその一端を証明してみせた」

「人の時代、それこそ浪漫(ローマ)の時代である」

 

――神祖ロムルスが何とかする

 

「――すべては我が愛に通ずる(モレス・ネチェサーリエ)

 

城壁が地面より湧き上がり白き巨神を取り囲む

城壁の内部はまさに一つの異界(ローマ)と化した

 

『権能』を超える『大権能』

サーヴァントとして規格外の能力、当たり前だが魔力の消費は激しい

カルデアからの中継地点となっているだけでも体が悲鳴を上げる

 

だがこれで終わりではない

 

「集え! 我が子たちよ!」

「いまここに我らが浪漫(ローマ)を取り戻せ!」

 

ここからが本番だ

 

「――すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)

 

先ほどよりも激しい魔力の流れ

今にも崩れ落ちそうになるが必死にこらえる

 

足元の感覚がおぼつかない

まるで本当に地面がないかのような――

 

「ジュリオ!」

 

視界が闇に飲み込まれる

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

ジュリオが連れ去られた

何が起こったかは分からない

どこへ行ったかも分からない

 

でも、この反応は――

 

「ヒルド……」

 

私以外のワルキューレの一人

 

「お仕事お疲れ~」

「これで彼は最終試練、ここからは介入不要だってさ」

 

最終試練、つまりどっちにしろこれが終われば……

――彼は死ぬ

 

「そんな、早すぎる」

 

「ん~、でも『命令』だよ?」

 

その言葉に体が固まる

創造主である大神からの命令、逆らうことを想像するだけで体が動かなくなる

 

「私たちも戦いたくないしさ」

「ほら、この人数相手だし無理でしょ? だから大人しく、ね?」

 

新たにワルキューレが六人出てくる

これで私を囲んでいるのはワルキューレは合計七人

戦力的には勝てるわけがない

 

「……。」

 

でもそんなのは関係ない

彼を助けるために早くいかなければ

そんな考えとは別に体が全く動かない

 

『命令は絶対』

 

頭の中に声が響く

そうだ、創造主である大神の命令に逆らうようには作られていない

 

……でもいやだ、まだ早い

このままじゃ私の理想には――

 

『命令は絶対』

 

更に頭の中に声が響く

命令に疑問を持つようには設定されていない

私たちワルキューレはただ命令をこなすための存在

 

ならどうすればいいか

 

……ああ、そうか

どうしてこんな簡単なことに気付かなかったんだろう

 

――やめればいいんだ

 

自分に槍を突き刺す

 

「……どういうつもり?」

 

腹部を貫く鋭い痛み

自己を傷つけるという『命令違反』

 

――これで『自由』だ

 

「そこを、退きなさい」

 

「だ、だからもういいんだって」

「大神からの命令だよ?嘘じゃないって分かるでしょ?」

 

今は彼女たちに構ってる暇はない

 

「ジュリオ……」

 

彼は今きっと苦しんでいる

早く、早く、早く――

 

だって私しかいないんだから

 

「……お姉さまの二の舞にはさせない」

「少し無理矢理になっちゃうけど大人しくしててもらうよ」

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