Bチームの生き残り   作:いさな

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第4節 試練

暗闇に飲み込まれてからしばらく時間が立った

急に視界が切り変わる

 

「闘技場?」

 

目の前には武器が浮かんでいる

種類は剣、槍、弓、盾など多種多様

そしてそのどれもが神造兵装級の代物

 

「なんだよ、ここは」

 

「――武器を取れ」

 

頭の中にそう声が響く

 

武器を手に取る

 

「――勝ち取れ」

 

その言葉と同時に手に取らなかった武器は消える

そして目の前にワルキューレが一騎、出現する

 

「ワルキューレ、オルトリンデ」

 

自己紹介をしてくる

これと戦えっていうのか……?

 

「では、最終試練を始めます」

 

「ぁ?」

 

一瞬も油断はしていなかった

だがオルトリンデは視界から一瞬で消え

今、俺の胸には槍が突き刺さっている

 

「――ッ!」

 

痛い、痛い、イタイ、イタイ!

どういうことだ、何でワルキューレが襲ってくる

そんなことを考えながら意識は暗闇へと吸い込まれる

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

「――武器を取れ」

 

意識が覚醒する

 

「これは……」

 

『やり直し』

その言葉が頭をよぎる

またあれと戦わないといけないのか?

……無理だ、勝てるわけがない

 

いや、俺にはサーヴァントがいる

令呪は…… よし、あるな

 

「令呪を持って命ず、この場に現れろ ランサー!」

 

――駄目だ

サーヴァントに対してのパスがつながってないのか?

 

「クソ、どうすれば……」

 

「――勝ち取れ」

 

その言葉と同時にまた武器が消える

そして目の前にはワルキューレ

 

クソ、時間制限ありかよ……!

 

「少し、期待外れでした」

「まさか反応も出来ないとは」

 

「そうか、悪かったな こっちは魔術師なんだ」

 

話を繋げ、何かないか考え続けろ

 

「……試練のリタイアはいつでも募集しています」

 

「リタイアしたら無事に帰してくれるってことか?」

 

それならこのよく分からない試練とやらもさっさとやめて欲しいんだが

 

「いいえ、死んでもらいます」

 

極端すぎんだろ……

 

「……じゃあ、駄目だ リタイア出来ない」

 

「では、続行しましょう」

「お姉さまを誘惑した罪、償っていただきます」

 

お姉さま? スルーズのことか?

誘惑ってどういうこと――

 

「――ッ」

 

また、だ

心臓を貫く槍、激痛が走る

 

どうして俺がこんな目に……

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

あれから、何回死んだ?

もう数えるのが馬鹿らしいほどに繰り返すこの試練

 

「……何故諦めないのですか」

 

何故? そんなの決まってる

 

「もう、あと少しなんだ」

「もうあと一歩のところまで来てるんだ……」

 

『所長を生き返らせる』

その実現まであとほんの僅か

 

「――諦められない」

 

「……」

 

考えろ、普通に武器を手に取って戦ったって勝ち目はない

そしてサーヴァントをこの場所に呼び出すことも出来なかった

 

魔術も、駄目だった

そもそもが動きに対して反応出来ていない

詠唱してる間に貫かれて終了だ

 

じゃあ、どうすればいい

 

「貴方が私に勝つことは不可能です」

 

そんなのはもう分かってる

俺では勝てない、だから俺はまずスルーズを――

そうだ、何で俺はサーヴァントを呼び出せないかって考えた?

 

令呪がまだあったからだ

 

令呪はまだ三画残っている

これをただの膨大な魔力として使用すれば……

 

「では、始めます」

 

いつも通りの宣言

この後反応出来ないまま心臓をぶち抜かれて即死だ

 

だが、ここしかチャンスはない

 

毎回貫かれる場所は変わらない

来る場所さえ分かっていればほんの僅かだがずらせる

強化を全力で自分に使い右にステップする

 

「――ッ!」

 

槍で左肩を貫かれる

痛みで意識が飛びそうになるが

これで、即死じゃない

 

「無駄な足掻きを――」

 

令呪が刻まれている右手をオルトリンデに向ける

急いで槍を引き抜かれるがもう遅い

 

「――爆破(チェネレ)

 

令呪三画分の魔力が爆発となって解き放たれる

轟音と共に爆風で体が吹きとばされる

 

爆風で土煙が巻き起こり、周囲の視界が遮られる

 

「クソ、どうなった……!」

 

爆破の起点として使用した右腕はもう使えない

これで駄目なら――

 

「……あなたは、弱い」

 

土煙の中から声が聞こえる

 

――まだ、生きてる

 

「勇士として認めるには、脆弱すぎます」

 

次は、どうする

右腕はもう使い物にならない

それどころか痛みで体が動こうとしない

 

……クソ、諦めるな、次になればこの爆破も警戒される

そもそも次があるかどうかが分からねえ

少しはダメージを受けているはずだ、これ以上のチャンスはない

 

土煙が晴れてようやく相手の姿が見える

 

「――ですが、不思議な感覚です」

 

オルトリンデの体が半分消し飛んでいる

霊核も傷ついているはずだ、それなら――

 

「……認めましょう、合格です」

「おめでとうございます」

 

そう言い残すと同時にオルトリンデは消滅する

 

合格とか試験とか何が言いたいかは分からない

だが、勝った

生き残ったんだ

 

周囲が光に包まれる

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