Bチームの生き残り   作:いさな

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第6節 大聖杯

休憩が終わり奥へと進む

 

「あれが大聖杯、なんであんなものがこんなところにあるのよ……」

 

世界の外側から使い切れないだけの魔力を引き出すための装置

まだセイバーとキャスターの二騎が残っているため完全に起動している状態ではないが

その威圧感は凄まじい

 

「―――――。」

 

そんな大聖杯の前に漆黒の鎧を着たサーヴァントが佇んでいる

 

「あれがセイバーだ 気を付けろよ、魔力放出で―――」

 

こちらにキャスターが声をかけると同時にセイバーの宝具が解放される

膨大な魔力が光に変換され視界を塗りつぶす

クソ、問答無用かよ! ――まあそうだよな、マシュがいねえんだから会話にもならねえ

 

「令呪をもって命ずる、防いで ――ずらせ!」

 

念話で座標を指定しながら令呪を消費する

ただの魔力ブーストでしかないが、俺からではなくカルデアからの魔力だ

 

「よし来た、坊主と嬢ちゃんはちゃんと後ろにいろよ」

 

キャスターが空中に何かを刻む

現代のルーンのどれも該当しない途方もない神秘を感じる記号

 

直後凄まじい轟音と共に光は過ぎ去る

 

「チッ、面倒なことを…ッ!」

 

「お前喋れたのかよ!?」

 

キャスターが何やら言っているがとにかくこれで攻撃は洞窟を貫いて飛んで行った

問題はこれでアレが来るかどうか――――

 

「■■■■■ーーー!!」

 

「(あ、これは、まずい――)」

 

狙い通りの結果ではある

バーサーカーはただセイバーに向かって走ってきた

こちらなど眼中にもない、ただ襲ってきたセイバーを倒すためだけの行動

だがそれだけの余波で体が吹っ飛ぶ

 

「ガッ――――!」

 

――俺は今、生きてるか?

体の感覚がおかしい、熱い寒い熱い寒い…!

クソ、そうじゃねえ 手は動くか?動くな

よし問題ない、問題ねえんだ

せめて戦闘が終わるまでは意識を保ってねえと――

 

「ジュリオ!」

 

良かった、所長は巻き込まれてないか

――あ? 巻き込まれてようがどうだろうが関係ねえだろうが

それよりもまずはキャスターだ

 

「坊主! ――クソ、嬢ちゃんに任せるしかねえか」

 

キャスターもこちらに注意を向けてしまった

ああ、そうだあちらにも一画必要だったな

 

「令呪…、宝具の威力を、上げろ キャスター」

 

意識が保つかどうかもわかんねえ

作戦では予備用だったがもう今の内に最後の一画も使っとくか

 

「重ねて、命じる 聖杯を回収、しろ」

 

よし、これでいい

強制力がどこまであるかわからないが最低でも二画分の魔力ブーストにはなったはずだ

後は戦闘が終わるころにアインツベルン方面に仕掛けた使い魔を爆発させて

バーサーカーの強制送還までの時間稼ぎをするだけ……

 

「後は、任せたぞ、キャスター」

 

「おう、任せとけ ―――」

 

念話が途切れた まずいな、意識が怪しい

しょうがねえ、指示は全て終わったんだ 後は治癒に全部割り当てる

 

本来の計画なら戦闘が観測できる位置で視界共有しながら待機

隙を見つける手助けをするはずだったんだが、そう上手くはいかねえなあ……

クソ、もっとうまく出来たなんて考えるな

俺がやれることはやった、後は任せることしかできねえんだ

 

――所長、頼むぞ

 

「クッ、狂犬が 大人しく番犬として籠っておけばいいものを!」

 

「■■■■■ーーー!!」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

意識がぼんやりしている

ここは、どこだ? 俺は、何をしていたんだっけな

 

「助けてよ!ジュリオ!」

 

ああ、所長の声だ

助けを求めている、俺を呼んでいる

 

「――所長」

 

目はかすんで周りが良く見えねえし、体も思うように動かない

それでも、それでも必死に手を伸ばす

 

どこだ?どこにいるんだ?

 

「ジュリオ――――」

 

駄目だ、やめてくれ

やっぱり、俺じゃ無理なんだ 助けられない

 

誰か、助けてくれ――

 

 

――――――――

 

――――――

 

――――

 

 

意識が覚醒する

しばらく意識を失っていたようで目を覚ますと白い部屋にいた

 

ここは、カルデアの医務室か? クソ、どうなりやがった

痛む体を無理矢理起こして周囲に人がいないかを探す

いた、ドクターだ

 

「――ドクター、特異点は?」

 

「起きたんだね! よかった」

「あ、駄目だよ! 無理して起きようとしないでくれ、まだ安静にしていないといけない状況なんだ」

 

言われた通り大人しくベッドに体を預ける

 

「それで特異点だったね」

「そっちは無事、と言っていいかどうかわからないけど終わったよ」

「キャスターと所長がセイバーを倒して、特異点の原因となったであろう聖遺物・聖杯も回収済みだ」

 

そう言って聖杯を手渡してくる

ああ、良かった そうだ一応確認しとかねえと――

 

「所長は?」

 

「――うん、そうだね それも伝えておかないといけない」

「まずレフ・ライノールがカルデア内に爆弾を仕掛けた裏切り者だった」

「そして、特異点Fにも現れてそのレフによって所長は、殺された」

「一応、その時の記録は取っている ……気になるのであれば資料室に行くといい」

 

「――わかりました」

 

「それでもちろんレフは君も害そうとしたんだけど、キャスターとバーサーカーが時間を稼いでくれている間に緊急脱出が完了できたってわけだ」

「意識がない状態での緊急脱出は少し不安だったけどそうしなければいけない状況だったんだ、すまない」

「……それで、これは最初に聞くべきことだったんだけど 体は大丈夫かい?」

 

「たぶん、問題ありません」

 

「――そうか、それなら良かった」

「それじゃあしばらくは休んでいてくれ 今後についての相談は、その後にしよう」

 

そういうとドクターは医務室から出ていった

 

あらかた説明を聞いたが原作通りの流れだ

レフが出てきて所長は死んだし、聖杯は回収出来ている

 

そう、所長は死んだ

――何で、俺は泣いてんだよ 最初から死ぬことなんて分かってただろ

 

『■けた■った』

 

うるせえ、主人公ですら無理だったんだ

俺ごときに助けられるわけないだろ

 

『■けたかった』

 

うるせえ、最初にカルデアに来た時点で見捨てるってもう決めてただろうが

ただ少し行動を共にしたくらいで情を移すな

 

『助けたかった』

 

うるせえ! ――クソ、そうだよ!後悔してる!

所長を助けるタイミングは最初の爆発より前しかなかった

その前に行動を起こせば助けられたかもしれねえさ!

 

何で、何で来ねえんだよ――

 

「助けてくれよ、藤丸立夏(主人公)




原作と変わった場所は、所長がジュリオに『助けを求めた』
ただ、それだけ……
それだけの変化がどのような影響を及ぼすか、お楽しみに!

というわけで一区切りです
UA、お気に入り、感想、評価、全て本当に力になってます
この作品を読んでくださってありがとうございます
まだまだ続きますので引き続きお付き合いいただければ幸いです

この後はオルレアンまでの間の話を幕間として数話書いていきます
サーヴァント召喚まであと少し…!
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