ヤバい剣しか投影できないオリ士郎君   作:ぬぶぬぶ

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淫夢語録 苦手な方は
注意です お気をつけて


最近、感想に返信できてませんがすべてきちんと見てます!
誤字報告もありがとうございます。

ちょっと展開が早いですがお許しください!

そして設定を勢いでごまかすスタイル

おかしなところを見つけたらすぐに修正します。


最初で最後の戦い

居間を出た俺とイリヤは揃って玄関へと歩く。

 

「ところでさっきはうっかりしてて聞き忘れたけど、どうしてあなたが並行世界で起きたことを知ってるのよ?」

 

玄関で靴を履いていると、背後から遠坂にそう質問された。

 

「うーん、それは秘密だ」

「は?」

 

背後からポキッと指を鳴らす音が聞こえた。彼女のこめかみに青筋が浮かんでいることがたやすく想像できる。

 

「無駄だぞ遠坂。僕がずっと前から情報の出どころを尋ねてるのに全然教えてくれないからな」

 

慎二がそう言って遠坂をなだめる。遠坂はため息をつく。

 

「まったく...イリヤスフィールさんも気にならないのこれ?」

「士郎が秘密にしてるなら、無理して聞きたくないかな」

 

困ったかのように隣のイリヤが苦笑する。

 

「そうだそうだ」

「アンタは黙ってなさい!」

 

俺がイリヤを援護すると、遠坂が怒りながら俺に指をさした。

俺は遠坂の鬼のような視線から逃げるため、みんなより先に外にでる。

 

 

 

「やっぱり夜になると寒いな」

 

ハァーっと息を口から出すと、白い吐息が空中に消えていく。

 

「うわっ!寒いわね」

 

外に出てきた遠坂が腕をさすりながら出てきた。慎二とイリヤも寒そうにしている。

 

よし早く土蔵にイクゾー

 

 

 

庭へと回り、土蔵の中に入る。

 

「どっちから召喚するんだ士郎?」

 

土蔵の床に書かれた召喚陣の前で慎二が尋ねる。

 

「そうだな...最初はイリヤがやってくれるか?」

「私?....うんわかった」

 

了承したイリヤは召喚の準備を始める。俺は原作のように、一番最後でいいだろう。

 

「イリヤは触媒がないからな、たぶんイリヤの性質に近い英霊が呼び出されるはずだ」

 

桜とライダーのように触媒無しではマスターの性質や縁で英霊は呼び出される。イリヤはどういう英霊が来るだろうか。可愛い英霊でも来るのかな?

 

準備が終わったのか、イリヤがこちらへと振り返る。

 

「それじゃあ始めるよ?」

「おっけ。遠坂と慎二は念のため離れておいてくれ。危険なサーヴァントが呼び出されるかもしれないからな」

 

アーチャーはたぶん霊体化して、イリヤの近くで見てくれているだろう。頼りになる護衛だな。

 

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公____」

 

イリヤが召喚を始める。彼女の周りには魔力の渦が流れ、それが召喚陣に吸収されていく。

イリヤは召喚の呪文を続ける。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

あれそういえばバーサーカー専用の呪文じゃなかったけど、こうなるとどうなるんだ?

 

召喚陣が強く光る。あまりのまぶしさに手で光を遮る。

 

「わっ!?」

「!?イリヤッ!!」

 

傍に立っていたイリヤの姿が召喚陣に吸い込まれるかのように遠ざかる。慌てて手を伸ばして掴もうとするも届かない。

 

光が強まる。視界全体が白く染まり、何も見えなくなる。

 

「これは...」

 

いつの間に霊体化を解いていたのか、アーチャーの驚く声が聞こえる。

 

 

そして急速に光が弱まる。召喚陣の中央には、何らかの民族衣装を着てぺたんと女の子座りをしているイリヤがいた。ん?これは...

 

「ファッ!?」

「...イリヤスフィールなのか?」

 

俺の混乱を無視して、隣にいるアーチャーが注意深く目の前にいるイリヤを観察する。イリヤは何かを考えているのか頭に手を当てている。

 

「...なるほど。そういうことね」

 

座っているイリヤは何やら呟くと、立ち上がる。

 

「ちょっと!何が起こったのよって、えぇっ!?イリヤスフィールが!」

「視界が真っ白になったと思ったらどうなっているんだこれ...」

 

後ろから遠坂と慎二が土蔵に顔だけを出して驚いている。

 

「大丈夫よ。私に召喚された女神たちが力を貸してくれるみたい」

「...召喚されたのは女神だと?聖杯戦争では神霊は召喚できないはずだが...そうか、疑似サーヴァントか」

 

「知っているのかアーチャー!」

 

イリヤの呟いた言葉にアーチャーがなるほどとうなずく。俺は知ってるけど一応尋ねておこう。

 

「なんだその口調は...まあいい。疑似サーヴァントとは人間を触媒にした強引な英霊召喚だ。普通では召喚できない神霊や英霊に至れなかった幻霊などを、触媒となった人間に憑依させ呼び出すことができる。通常なら呼び出した英霊のほうの人格が強く出るらしいが...特に変わりはないようだな」

「うん。女神たちはその力だけを貸してくれたみたい」

 

確かアイヌの女神シトナイ、フィンランドの女神ロウヒ、北欧神話のフレイヤが合わさったハイ・サーヴァントなんだっけ。fgoでもイリヤの性格が前面にでてたな。女神に人格奪われてなくてよかった...まぁ奪われてたら強制退去させてたけど。

 

「もう何が起きても驚かないわよ私..」

「異常事態が多くないかこの聖杯戦争」

 

イリヤの姿を見て、遠坂と慎二は心底疲れたような表情をしている。

 

イリヤはそんな二人を見てくすくす笑うと、両手で民族衣装のスカートの裾をつまみ持ち上げて、丁寧な一礼をする。

 

「真名はシトナイ。クラスはエクストラクラスのアルターエゴ。けど今まで通り名前を呼ぶときはイリヤでいいわ」

 

そう呟くとイリヤは俺に向けてにっこりと笑った。

ちょっとだけ見惚れた。この子は天使か?

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ次は士郎の番ね!」

 

イリヤの召喚に呆然としていると、イリヤは俺の腕に抱き着いてくる。イリヤが疑似サーヴァントとなった事実に困惑したものの、少し落ち着いてから召喚を始めることにした。

 

土蔵の中に俺だけが入る。先ほどイリヤが使った魔法陣をそのまま使うことにする。

 

右手を召喚陣に向ける。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。以下省略!来てくれ青セイバーァアアアッッッ!!」

「どんな呪文だよ」

 

慎二のツッコミが土蔵の外から聞こえる。

 

だが召喚は成功したようだ。魔力の渦が先ほどと同じように召喚陣に吸い込まれていく。

光ではなく、青い煙が土蔵に舞い始める。そして彼女が姿を現した。見知った顔立ちである。

 

 

 

 

 

「召喚に応じ参上した。貴様が私のマスターという奴か?」

 

だがその青セイバーはただ黒かった。

 

 

 

ごめんなさい、泣いてもいいですか?

 

 


 

 

 

 

場所は変わって衛宮邸の居間。そこでは先ほど召喚したセイバーが食事をとっていた。

 

「もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。なるほど話はわかった。」

 

至急遠坂にジャンクフードのハンバーガーを作ってもらい、セイバーアルトリアオルタに土下座して献上した。

そしてさっき居間で話したことをセイバーに伝える。

 

「もとよりこの身に聖杯に叶えさせる願望などない。汚染されているというのなら悉くを破壊しつくそう。それはそうと凛、追加のハンバーガーをもってこい」

「はっ、ありがたき幸せ!遠坂!追加のバーガー頼む」

「つ、疲れた。どれだけ食うのよこいつ」

「...手伝ったほうがよさそうだな」

 

台所では遠坂が息を切らして料理をしていた。それを見て、アーチャーが応援に向かう。

 

「これで一応は7騎揃ったのか?なんだか異常が多いけど」

 

慎二が台所の戦場を引き攣った顔で見てそう呟く。確かに。アサシンはキャスターが召喚しているはずなのでこれで7騎揃ったな。

 

「よしそれじゃあ作戦通り、明日はキャスターのところへ行くか」

 

そしてそれが終わればいよいよあの人との決戦だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は飛び、次の日の放課後。

既に夕日が地平線に沈み、夜の暗闇が町を覆う。

 

俺たちはキャスターがいる柳洞寺へと足を運んでいる。

 

「イリヤ本当に一緒に来るのか?戦闘するつもりはないけど、あっちが攻撃してきたら危険なんだぞ?」

「もう過保護なんだから士郎は。女神たちの力を借りてる今なら、そこらの英霊じゃあ私に太刀打ちできないわよ」

 

本当はイリヤを切嗣と一緒に留守番させたかったのだが、本人が行くといって聞かなかったのだ。

 

「まぁいいじゃないか士郎。こっちにはセイバー、アーチャー、ライダーがいるんだ。あっちもそう易々と攻撃はしてこないさ」

「慎二」

 

そう呟く慎二は俺が前に渡した剣を肩にかけている。

ライダーのマスターである桜は、戦いに向いていないため切嗣とお留守番している。その代わりとして慎二がきたのだ。

 

「着いたわね」

 

遠坂が目の前にある柳洞寺へと続く大階段を前にそう呟く。

 

「フム...」

 

アーチャーが階段とは違う場所から敷地内へと手を伸ばす。

するとバチッという音とともに、アーチャーの手は跳ね返された。

 

「やはり英霊が階段以外の場所から入ってこられないように結界が貼ってあるな」

「そのようですね」

 

その隣のライダーもそれを確認する。

 

「それじゃあ正面突破といくか」

 

そして俺たちは階段に足を踏み入れた。

 

 

 

周りを注意しながら長い階段を一歩ずつ上っていく。

 

階段の横には雑木林が広がり、そこから鳥の鳴き声が時々聞こえてくる。

 

ふと顔を上に上げると、満月が階段の続く直線上に奇麗に輝いている。そしてその大きな満月を背にして立っている男が階段の先にいた。

 

「これはこれは、ずいぶんと豪華な顔ぶれよな」

 

セイバーが俺の前に立ち、その剣を構える。

階段の先で待っていた男、アサシンは腰に備えた刀をチャリと鳴らす。

 

「なるほど。あのキャスターの女狐めが言っていたことは本当だったようだ。既にこちらの陣営は孤立していたか」

 

アサシンはそう言うと、階段の端に寄りその場で座る。セイバーはその様子を見て怪訝な顔を浮かべる。

 

「どういうつもりだアサシン」

「なに、どうせならこの身果てるまで其方らと果たし合うところだが、あの女狐めに通せと言われているのでな。行くがよい」

「キャスターが私たちを..?」

 

遠坂が疑問に思う。確かに俺たちを素通りさせるのは怪しいな。

 

「どっちにしろここで立ち止まっていても仕方がない。さっさと行こうぜ」

「うーん、まあその通りね」

 

慎二がそう告げると遠坂は同意する。

 

階段の端に座るアサシンのそばを通りぬける。彼は横を通る俺たちに気を向けずただ夜空を眺めている。

 

 

 

「ようこそ。私の工房へ」

 

階段を上りきり、門をくぐると、キャスターが俺たちを待ち構えていた。

 

「アサシンを戦わせることなく通すとは何を考えているキャスター」

 

アーチャーが腕をくみ、高圧的に尋ねる。

すると目の前のキャスターはハァとため息をつく。

 

「さすがの私の工房でも1対4では分が悪いわ。それにどうやら戦いに来た雰囲気じゃなさそうだし」

 

キャスターはこちらを一人ずつ確認する。話合いをする気があるなら話は早い。

 

「それなら単刀直入に言う、俺たちと同盟を結んでくれキャスター」

「あなたたちと同盟?どういうことかしら?」

 

俺はキャスターに事の顛末を簡単に聞かせる。

 

聖杯の汚染、裏に潜む首謀者の目的。そしてギルガメッシュのことをかいつまんで話した。

 

そして説明をし終わるとキャスターはなるほどねと頷いた。

 

「聖杯の泥。確かに私の魔術で分離くらいはできそうね」

「ほんとうか!」

「でもその話を私が受けるメリットはあるのかしら?私は別に聖杯を浄化せずとも願望をかなえるくらいなら使えるし、その言峰とかいう相手との戦いに混ざる意味がないわ」

「ヌッ!」

 

確かにキャスターの言ってることには一理あるように思う。彼女は聖杯の汚染など関係なしに願望を叶えることができる力がある。汚染した聖杯を守っている言峰とギルガメッシュという相手にわざわざ危険を冒してまで戦いを挑む必要はないのだ。

 

何か良いメリット...メリット...あっ、あれだ。

 

「えっと、同盟に参加したら簡単に受肉できて、愛している葛木先生と末永く一緒に暮らせますよ」

「!!?ゴホッ!ゴホッ! 馬鹿にしてるの貴方!?」

「えっ、結構真面目に考えたんですけど...」

 

俺がしぼりだしたメリットを口にすると、キャスターは驚きでむせた。

 

「と、とにかく!そんなバカげた話は聞いていられないわ!今日のところはさっさと帰って頂戴!」

「うわっ!押さないで押さないで!」

 

動揺しているキャスターは俺を門まで押し返す。

 

えっ!?マジで帰らされるのこれ!?せっかくここまで来たのに!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく何だったのよあの坊や...」

 

キャスターは柳洞寺に張っている結界の不備がないか確認している中、つい先ほど追い返したマスターとそのサーヴァントたちを思い返す。

 

「私が宗一郎様を思ってるということも知られているし...」

 

どこからバレたというのだろうか。今まで他人にそんな素振りを見せたつもりはなかったというのに。

 

「あぁ、勢い余って追い返してしまったわ」

 

本当は同盟を最初から受け入れるつもりだった。あの坊やの話を聞くかぎり、教会の神父と最古の王を倒さなければ、この世は地獄と化してしまう。宗一郎様といつまでも一緒にいたい自分にとっては死活問題なのだ。

 

同盟について渋ったのは、いくらかこちらに有利な約束を結ばせるため。相手が引き下がって、それが達成できたら喜んで協力したというのに。

 

それもこれもあの坊やが悪い。つい図星をつかれて恥ずかしくなって追い出してしまった。次どういう顔をして同盟を受け入れればいいのか。

 

そういえば、とキャスターはあの坊やのことを考え始める。

 

妙な少年だった。一見ただの男なのだが、その身には何か恐ろしいものが潜んでいる気がした。

ただの杞憂なのかはわからない。

 

「確か名前は衛宮士郎だったかしら」

 

その他のマスターも彼と同じような年齢だったから、彼らはもともと友人同士だったのだろうか。それを知るすべは今はない。

連絡手段でも用意しておけばよかったわね。

 

 

キャスターは彼らが次に来た時は同盟のお誘いをしっかりと受け入れることに決めた。

 

結界の見回りが終わり、思い人の宗一郎の元へと戻ろうとしたその時。

 

 

「あの雑種がどうかしたかキャスター?」

 

「ハッ!?」

 

蛇ににらまれた蛙の気分に一瞬落ちる。すぐさま声がした後ろを振り返る。

 

柳洞寺の入り口の門の屋根に誰かが立っている。その男は腕を組み、こちらをその赤い目で見降ろしている。

 

「ギ、ギルガメッシュ...」

 

誰なのかはすぐにわかった。これほどまでに存在感がある英霊は片手で数えるほどしかいないだろう。

 

屋根に立つ男、ギルガメッシュは無表情でキャスターを見ていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

何の成果も!!得られませんでしたァ!!

さすがに追い返されるとは思わなかった。いったい何が駄目だったんでしょうかねぇ~。

これにはいつも無表情のセイバーも苦笑い。

 

「絶対士郎のあれが原因だよな」

「そうね。あれがなきゃキャスターも受け入れてたわよ」

「はぁ...士郎ったらもう」

 

俺の後ろで歩く三人からの非難の視線が体を貫く。

 

「過ぎ去ってしまった過去のことより、重要なのはこれからの未来じゃないかい?」

「たわけ!」

「痛い!?」

 

必死の言い訳をするも、アーチャーに頭を叩かれる。きゃあ自分いじめ!

 

「しょうがない...次は俺のスライディング土下座で何とかして同盟加入の意思を勝ち取ろう」

「それはカッコつけて言うことなのでしょうか...?」

 

うるさいんじゃい!

 

 

 

失意のうちに、俺たちは衛宮邸への帰還を果たす。

明日、もう一度キャスターのいる柳洞寺に行くとしよう。

 

急がなければあの人が動いてしまう。

 

 

 

 

その後は衛宮邸の居間で会議を行っていた。それぞれの役割を再確認したり、言峰とギルガメッシュがどのような行動をとってくるかを考察するなどしていた。

会議が終わると俺は息抜きに庭にでる。

 

「おっ、雪だ」

 

空からふわふわと雪が舞い落ちてくる。2月に入ったけれど、季節はいまだに冬だ。雪も降るだろう。だがこの程度なら雪が積る心配はない。

 

「士郎、何しているの?」

「ん?あぁイリヤか」

 

背後を見ると、イリヤがシトナイの姿となって庭に出てきていた。

 

「寒くないかその恰好?」

「大丈夫。魔術で温めているから」

 

そう言って俺に抱き着くイリヤの体は確かに暖かい。

 

「士郎...本当に一人であの金ぴかと戦うの?」

「うん」

 

俺の胸に飛び込んできたイリヤは少し震えた声で俺に尋ねる。俺はすぐさま返事を返す。

俺の体にまわしているイリヤの腕の力が少し強まる。

 

「...もう、しょうがない弟なんだから。士郎!少しかがんで!」

「ん?こうか」

 

身をかがめ、イリヤの顔と自分の顔の高さを同じにする。すると

 

「ん」

「ファッ!?」

 

イリヤが頬にキスをしてきた。

 

「な、なにすんだイリヤ!」

「ふふふ、女神の祝福!」

 

そう呟いたイリヤの顔にはほんのり朱が注いでいる。俺も恥ずかしさで顔が真っ赤になっているだろう。

 

「信じてるよ士郎。無事に帰ってくるって」

「当たり前だろ?あの人をすぐに倒してイリヤと皆のところに駆けつけるよ」

 

そうイリヤに宣言する。白く冷たい雪が俺たちの周りを舞う。

 

 

 

息抜きもこれで十分かと思い、玄関に戻ろうとすると、

 

「ふむ...」

「どうしたんだ皆?」

 

玄関の前でアーチャーとセイバーとライダーがいた。

どうやら何かがあったらしい。

 

「士郎。サーヴァントがこちらに向かってきている。注意しておけ」

 

とセイバーが黒い鎧をまとい剣を構えていた。

 

「サーヴァント?一体だれが...」

 

俺も両手に電光丸を構える。そして門の目の前まで来ているというサーヴァントに注意する。

 

 

「クッ....よかったここで合ってたようね」

「キャスターと葛木先生!?」

 

キャスターが血まみれになりながら、ボロボロの葛木先生に肩を貸していた。安心したのかキャスターはその場で倒れる。俺は彼女が地面に倒れきる前になんとか二人の体を支える。

 

「ったく疲れたぜ」

 

その後ろからはランサーが息を切らして入ってきた。その胸には穴が開いており、穴を通じて向こうの景色が見えていた。

 

「ランサー!?一体どうしたんだ?」

 

ランサーは門に寄りかかり、その場に座り込む。

 

「なに、言峰の野郎に令呪を使われてな。くだらねぇ儀式を阻止しようとしてたのがバレたのか、槍でオレを貫かせやがった。だが心臓を穿たれたぐらいで俺は死なねぇ。あの金ぴかに殺されそうになっていたそこの二人を担いで逃げてきたのさ」

 

たくツイてないぜとランサーは呟いた。

 

それより先に回復させねば。

 

「____投影、開始(トレース オン)!。真名解放、シン・サイフォジオ!」

 

右手を前に出し、金色の魔王の友の剣を投影する。

 

空中に4本の剣と4つの翼が出現する。それらは中央にある球体を中心として回転を始める。

 

「おぉ、こりゃすごいな」

 

ランサーが自らの胸を見ると、体を貫通している穴がどんどんふさがっていく。

キャスターと葛木の怪我もみるみる回復していく。

 

彼らが完全に回復したのを見て少し安心するも、強烈な眩暈が襲う。やはり一度に数人を回復させるこの剣は負担が強い。

 

「小僧、そこで休んでいろ、あとは私たちがどうにかする」

「頼む」

 

俺は玄関に入り、そこに座って休む。

 

あとで何があったかキャスターから話を聞くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇に飲まれていた意識が覚醒する。

 

「...ここは?」

 

瞼を開けると知らない天井が目に映る。

 

「そうだ宗一郎さま!」

 

自らの身に何があったのかを思い出し、勢いよく飛びあがる。彼は無事なのか。

すると横に気配を感じたので顔を向けると、そこには彼女の思い人が静かに寝ていた。傷も見当たらない、彼らが治してくれたのだろうか。

 

「よかった....」

 

飛び上がらせた体を安心したのか再び布団に沈めるキャスター。

 

「起きたかキャスター」

「坊や」

 

襖が開けられ、廊下から衛宮士郎が入ってきた。

 

「話はランサーから聞いたよ。それで、同盟を結んでくれるか?」

「もちろん。その話受けいれるわ」

 

やられっぱなしじゃいられないもの。

 

 

 

 

居間にはアサシンを除く6人のサーヴァントがそろっている。

 

「キャスターを倒し、柳洞寺を占拠するということは、奴は既に大聖杯を起動できるのか」

 

アーチャーは難しい顔をしてそう呟く。それは生前の記憶から思い出したことである。彼の記憶では言峰とギルガメッシュは柳洞寺の周辺で聖杯の孔をあけていた。

 

「えぇ、おそらく向かうのは円蔵山の内部の龍洞、そこにある大聖杯ね。そして孔をあけ、この世界をこの世すべての悪の泥で満たすつもりだと思うわ」

 

キャスターは自らの考えを示す。

 

「そういえばアサシンはどうしたのですか?彼はいまだにあの山門に?」

「...彼は私たちを逃がすために最後まで戦ってくれたわ」

「そうですか...」

 

ライダーが口を閉じる。アサシンが既に消滅していることを理解したのだろう。

 

「それにしても、なんで聖杯がもう現れるのよ。まだ一騎しか落ちてないじゃない」

「おそらくギルガメッシュが何らかの手段を用いて中身を満たしたのだろう。あれの財は何でもできるからな」

 

遠坂の疑問にセイバーは腕を組み答える。

まあ確かにあの人なら何でもできそうだけど....

 

「これ.....もしかして今倒しに行かないと今夜中に泥があふれるんじゃないのか?」

「確かに、この状況を放っておくと不味いかもしれんな」

 

顔色の悪くなる慎二。アーチャーは顔を歪める。既に彼らは孔をあけているかもしれない。

 

「えっ、てことはもう決戦なの!?早くない!?」

「そうなるな」

 

居間に緊張が走る。聖杯戦争が始まって、俺たちにとって初めての戦いがラスボス戦だ。

 

「みんな覚悟はいいか?俺はできてる」

 

俺は皆に尋ねる。

 

「僕はできてるぜ」

「ふむ、召喚されて早々だが戦の支度は既にできている」

「私もいつでもいけます」

 

俺の言葉に慎二、セイバー、ライダーが順に答える。

 

「さっきの借りを言峰に返してやるぜ」

「えぇ...宗一郎様に手を出したこと後悔させてあげるわ」

 

ランサーとキャスターも戦意を滾らせている。アーチャーは無言で凛の言葉を待つ。

 

「あぁもう!しょうがない力を貸してアーチャー!」

「了解した凛」

 

そして俺はイリヤのほうへと顔を向ける。

するとイリヤもまたこちらへと向いていた。

 

「士郎。私も行くよ、女神たちが力を貸してくれたのはこのためだと思うもん」

 

イリヤは力強くこちらを見ている。その決意を止めることは俺にはできない。

 

 

皆の決意を確認した。

 

さて行くとしよう。決戦の場に。

 

 


 

 

 

 

 

 

先ほど通った道をまた歩いていく。

長く続く階段を上り、柳洞寺の門をくぐる。

寺にいる人の気配はない。既に先行していたアーチャーが、寺にいた一般人は謎の昏睡で全員救急車で運び出されたということを確認している。

 

そして俺は皆の前に出る。

 

「ここからは別行動だ。俺はギルガメッシュがいる所へ行くよ」

 

「どこにいるのかわかるのか?」

「あぁ」

 

俺は視線をギルガメッシュがいるであろう場所へと向ける。あの人はあそこにいるだろう。

 

「士郎!絶対勝てよ!」

「衛宮君、あなたが無事に勝つことを祈ってるわ」

 

慎二と遠坂が俺に激励の言葉をくれる。俺はそれにまかせろと返事をした。

 

「絶対に帰ってきてね士郎」

「大丈夫、すぐ戻ってくるから」

 

不安な顔を浮かべるイリヤの頭をやさしくなでる。彼女は待ってるからと呟いた。

 

「皆をまかせる」

 

俺はサーヴァントたちに頼む。彼らはただ頭を縦に振って頷いた。

 

それを確認して少し安心した俺は、彼らを置いて走る。最古の王のもとへと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは、柳洞寺から少し小高い場所にあった。

 

柳洞寺から古い階段を上ると、そこには開けた場所があり、そこから冬木の街並みを眺めることができる。

 

月の光が照らす中、その男は丸太でできた椅子に座っている。

 

その視線は先はさきほどから目の前の景色に固定されていた。

 

「やっぱりここにいたんすね王様」

 

「...雑種か」

 

階段を駆け上ってきた男、衛宮士郎は座っていたギルガメッシュに声をかける。

ギルガメッシュは少し士郎を横目で見た後、再びその視線を前に戻す。

 

隣にやってきた士郎が、ギルガメッシュのそばにもう一個あった丸太の椅子に座る。彼もまた無言で街並みを眺める。

 

「ウルクの景色には及ばぬが、ここから眺める冬木も良い」

「そうすか?それならこの場所を紹介した甲斐があるっす」

 

深夜も遅く、もうすぐ朝日が昇る時間帯。遠くに見える新都の建物の光が奇麗に輝いている。

 

「フム、どうやらあの剣をあらかじめ投影してこなかったようだな」

「そりゃそうですよ、だってしてきたら王様怒るじゃないですか」

「フハハハ、こういうときだけは空気が読めるではないか雑種!」

 

ギルガメッシュが立ち上がる。そして一瞬だけ彼の周りを魔力の渦が流れると、彼は瞬時に黄金の鎧を着た。彼はこちらへと振り向き、ニヤリと笑った。

 

「決戦の舞台は用意しておるのだろう?」

「そうっす。俺たちだと戦った余波で冬木が壊れちゃいますからね」

 

俺も椅子から立ち上がり、ギルガメッシュと向き合う。

 

そして右手を前にだし、それを唱える。

 

体は剣で出来ている

 

詠唱を始めるとともに士郎の体には魔術回路が浮かび上がり、周りには魔力の渦が彼を中心として回り始める。

 

血潮は鉄で心は硝子 幾たびの戦場を越えて不敗

 

ギルガメッシュはその詠唱を何もせずに眺めている。

 

たった一度の敗走もなく、たった一度の勝利もなし

 

士郎は無心で詠唱を続ける。

 

しかし、荒野の上にて決着はつけられる

 

彼が口に出すそれは、彼が原作の士郎と呼ぶ者の詠唱とは異なるものだった。

 

その世界は、無限の剣戟でできていた

 

 

 

そして二人はこの世界から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

何もない荒野。雲が覆う空。

 

そこで二人は向き合っている。

 

「これが貴様の固有結界か」

 

英雄王は辺りを見回す。

 

「この世界なら周囲の心配をする必要はない。ここはどちらかが倒れるまで壊れることはない」

 

士郎が英雄王に向けてその言葉を呟く。英雄王は視線を目の前の男に戻す。

 

「なるほど、まさに貴様が本気を出せる場所というわけだな」

 

そしてそれはギルガメッシュも気兼ねなく全力を出せるということ。

ギルガメッシュは腕を組む。その顔は今まで見たことがないような笑みを浮かべている。

 

「そして俺は今から()()()の投影を始める」

 

対する士郎は鋭い眼光で英雄王を見据える。

決着はあの剣が投影されるまでにつくのか、それとも投影されて終わるのか。

 

「全力で来い英雄王!」

 

「吠えるではないか!雑種!」

 

そして英雄王の頭上に1000を超えるゲートが開かれる。

 

10分。あの剣が投影されるまでの時間。

どのようにして決着がつくのか、それはまだ誰にもわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




武器紹介

<シン・サイフォジオ>(金色のガッシュ!!より)
サイフォジオの強化版でシンの術の一つ。自分以外の仲間を回復できる。
使い手はティオ





<無限の剣戟>

オリ士郎君が投影できるヤバい剣たちを、周りの被害を気にせず使うための結界。
その強度はすさまじく、オリ士郎君かその相手のどちらかが倒れるまで解除されない。
またこの結界内でしか使えない剣も存在する。




アンケートで誤字があります。
もしもオリ士郎君が汚染されたら(シリアス)です
これ修正できないんですかね...

聖杯戦争編が終わったら書こうと思ってる話の中で見たいのをお選びくださいお願いします。

  • 聖杯戦争編その後(ほのぼの)
  • もしも原作士郎がオリ士郎を召喚したら
  • もしオリ士郎君が汚染れたら(ドシリアス)
  • fgo編
  • 他のfate作品にオリ士郎君突入
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