ヤバい剣しか投影できないオリ士郎君   作:ぬぶぬぶ

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前回から一年もたったってマジなのですか?(震え声)

fgo編ずっと構想してたけど全然思いつかないので先にZero編やります。
お許しください!
あとZero編はニワカなので設定がおかしかったら教えていただけるとありがたいです。修正していきます。



fate/zero編
来る客星


薄暗い地下室。

その中央に二人の男が立っている。

一人は真っ白に変質した髪と生気のない顔をした今にも死にそうな男。

そしてその背後には邪悪な笑みを浮かべている老人がいる。

 

白髪の男がその細い腕を前にかかげる。すると目の前の魔法陣が光始める。

 

()に銀と鉄。 ()に石と契約の大公」

 

呪文をゆっくりと口にする彼は、一文を呟くごとに苦痛の表情を浮かべる。

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度」

 

彼の目からは薄い色の血が流れ出る。そして彼の顔の下を虫が勢いよくうごめく。

 

「___告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし」

 

魔法陣の光が増す。

術式に狂という要素を加えたそれは、本来ならばバーサーカーという狂気に飲まれた英霊が召喚されるはずであった。

 

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

そう、()()()()()()

 

 

 


 

 

(成功....したのか?)

 

光がやまぬ中、白髪の男、間桐雁夜は地面へと倒れこんだ。

雁夜は徐々に遠くなる意識を必死に抑え、魔法陣にたつ人物を見上げる。

 

(子供...?)

 

目の前にいたのは、とても英霊とは言えないであろう子供であった。

おそらく小学生くらいの身長の子供である。

 

(そんな...)

 

雁夜は召喚された英霊を見て、敗北を確信した。

それはそうだろう。雁夜が思う英霊といえば、戦闘に卓越した偉丈夫やカリスマあふれる王などである。

断じて目の前にいるような脆弱な子供ではない。

 

「ヒッ...」

 

絶望に身を包まれた雁夜の耳に、怯えた悲鳴が聞こえる。

雁夜ではない。

その声は雁夜の後ろから聞こえた。

雁夜は最後の力を振り絞って後ろを見た。そこには雁夜が心の底から憎む老人がいる。

しかし、怨敵のその顔は恐怖に包まれていた。持っていた杖を手放し、まるで蛇に睨まれたカエルのように尻もちをついている。

 

雁夜はそのことに疑問を抱くも、遠くなる意識に耐えられなくなり意識を手放す。

 

 

 

 

 

 

臓硯もまた自分が抱く恐怖に疑問を浮かべている。

それもそうであろう。雁夜が召喚した英霊はどう見てもただの子供。今までの聖杯戦争で数多の英霊を見てきた臓硯をして、神秘の欠片もない目の前の子供は虫一匹で容易く殺すことができるだろう。

 

 

だが

 

「____()()()()

 

容易く殺せる目の前の子供の冷めきった眼差しが、臓硯の死への恐怖を溢れ出させた。

 

 

「消え失せろ、虫」

 

 

 

その日、500年の妄執は燃え盛る炎とともに姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

温かい何かに体が包まれる。

それと同時に体を蝕む虫の唸り声が聞こえたような気がした。

 

体を襲っていた激痛が薄れて消えていく。

瞼を開く。どのくらい時間がたったのだろうか。太陽がすでに空高く昇っているのが、窓から見える。

 

「起きた?」

 

はっとして俺は声がしたほうへと顔を向ける。

そこには自分が呼び出した子供の英霊が椅子に座っていた。赤い髪に、小柄な体。どうみてもただの子供だ。その少年の右手にはラピスラズリだろうか、青い宝石が明るく輝いている。

 

「体は()で治したんだけど、異常はない?」

「なにっ」

 

改めて自分の体を見る。刻印蟲の影響で死に寸前であった自分の体は、今では健康的なそれへと戻っている。

 

「どうやって....いやそれよりも桜ちゃんは!?」

「桜ならもう大丈夫。あの虫のジジイもすでにこの世から消えてる」

「なんだって!?」

 

とてもじゃないが信じられなかった。目の前の少年があの臓硯を殺せるとは思わなかった。

しかし、現実に自分の体は治され、家を覆っていた虫の嫌な気配は一つもしなかった。

その事実に俺は困惑する。

 

「君はいったい...?」

 

思わず目の前の存在に疑問をながかける。それほどまでに、この少年の存在が謎に包まれていた。

 

「俺の名前は士郎。投影魔術しか使えないただの士郎だよ」

 

少年、士郎は笑みを浮かべてそう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光に包まれたと思ったら、いつの間にか第4次聖杯戦争に来ちゃったらしい。

というのも目の前には雁夜のおっさんと臓硯がいたことから、どうやら原作でいうバーサーカー枠として召喚されたらしい。

とりあえず臓硯とその周りにいた大量の蟲を投影した剣で燃やして、雁夜を治療した。

 

そのあとは臓硯がいなくなったことで暴走状態になっていた虫の駆除と桜の治療をした。

かつてのように絶望しきった目をしていた桜をベッドに寝かし、雁夜のもとへと移動する。

 

ベッドの上でとても青白い顔をして寝ている雁夜だったが、何回か頭痛を我慢しながら治療してあげると生気あふれる顔になってきた。

これでもう大丈夫だろう。

 

 

そのあと、起きた雁夜は寝ている桜のもとへと走り、無事に寝ている様子を見て涙を流していた。俺も涙がで、でますよ。

 

桜の無事と臓硯の死を確認した雁夜と俺は作戦会議を開く。

机を挟んで対面していると、開始早々雁夜は頭を深く下げた。

 

「ありがとう!君のおかげで桜ちゃんも無事救出できた」

「(救出するのは)当たり前だよなぁ」

 

「それでこれからのことなんだが...」と雁夜はつづけた。

 

「桜ちゃんを臓硯から助けるという俺の願いは叶った。あとは召喚された君の願いだけだ。召喚されたということは聖杯にかける望みがあるんだろ?」

「それは大丈夫。聖杯に願う願望なんてないよ」

「なんだって?それじゃあ君はなぜ召喚に応じたんだ?」

「応じたというか勝手に召喚されたと言うか」

 

縁側でまったりしてただけだし、一言も了承してないぞこっちは。

 

「ていうことは、ここで聖杯戦争から脱落するのもありじゃないか?わざわざ危険なことに首を突っ込む必要性はないことだし」

「うーん...」

 

俺自身聖杯に願うものなんてないし、ここで脱落する手も普通ならありなんだが、この聖杯戦争にはあの()()()()がいる。

 

「これは俺の考えだけど、今脱落するのは危ないと思う」

「それはなぜ?」

「今回アインツベルンのマスターとして参加しているだろう人がね...」

 

俺は雁夜にその人の危険性について詳しく説明した。おそらく用心深い今のあの人はサーヴァントを失ったマスターを躊躇せずに殺しに来るかもしれない。

それに現代兵器のプロであるあの人は、容易く今の俺を殺すことができるだろう。

 

そう、今の俺なぜか幼くなっている。

すわ黒の組織の仕業か?!と思ったけど、雁夜の少ない魔力量でも顕現し続けられるように未熟な幼少期の姿として召喚されたのだろうと俺は考察する。

 

これ無理だゾ。

 

おそらく投影しなければ今の俺は英霊一の低コストだろうけど、投影しようとすれば一瞬で雁夜は干からびるだろう。

つまりあの三つの剣のいずれかの投影なんてもってのほかである。

 

これ無理だゾ。

 

投影のできない俺なんて、うなぎが無いうな重と同じやないかい!

 

「てことで戦闘もできないし、ダメみたいですね....」

「ん?話聞く限り何回も投影してるらしいけど、あまり負荷はないぞ?」

「ん?」

 

そういえばそうだ。俺は召喚されてから5回は投影してる。

でも今のところ雁夜からは魔力欠乏の症状も見られない。これはどういうことだろうか。

 

「つまり吾輩、士郎君は何らかのスキルを得て進化したのかッッッ!」

「そんなポジティブに考えていいのかな...まぁ投影分の魔力を気にしなくてすむのはいいけど」

「試しに、とある剣投影してみてもいい?」

「いいぞ。たぶん大丈夫だr___」

「雁夜のおっさんーー!?!」

 

イビルメタルを投影しようとした瞬間、雁夜は鼻血を盛大に吹き出しぶっ倒れた。

 

 

気絶した雁夜を軽く治療したあと、作戦会議を続ける。

 

「どうやら俺の特にヤバい三つの剣の投影は無理そうですね...」

「そんなにその三つの剣が重要なのか?聞く限り他の剣でも十分に勝てそうだけど」

「普通なら十分だろうけど、今回はあの王様がいるだろうし」

 

そう暴虐の限りを尽くす、かの英雄王がいる。

前回の戦いでもそうであったが、あの三つの剣が投影できないと勝てるビジョンが浮かばない。

俺は雁夜にかの王様のヤバさを詳細に教える。

 

「そんな奴が呼ばれるのか.....それにしても召喚されたばっかりなのに、なんでそんな情報知ってるんだ?」

「まぁ俺のスキルってことにしといて」

「なんか怪しいな...でもその三つの剣、もしかしたら令呪を使えば投影できるんじゃないか?」

「!」

 

そうだ、令呪がある。令呪の莫大な魔力を使えば投影することが可能かもしれない。

てことは英雄王と戦うためには必要な令呪の数は。

 

「もし王様と戦うことになったら令呪が二つ必要になるかも」

「二つもいるのか?投影するだけなら一つで足りるんじゃ」

「あの王様と俺が戦ったら冬木が消し飛んじゃーうから、俺の固有結界使わなきゃ」

「えぇ...」

 

雁夜がドン引きする。

冬木に戦闘の余波を出さないためにも、令呪を使って俺の固有結界に引き込まないといけない。

もし冬木の近くで戦ってて、あの人が興に乗って乖離剣を取り出したら目も当てられない。

冬木が原初の地獄(文字通り)になるだろう。

 

 

「とりあえず目標はどうする?」

「うーん、できるだけ戦いを避けるべきかも。俺と雁夜のおっさんは最弱コンビだし」

「なるほど」

 

英雄王に限らず、今回の聖杯戦争は強者ばかりだ。征服王に、フィオナ騎士団、山の翁、そして我らが青セイバー。

 

「特に気を付けるべきなのはアサシンの山の翁っすかね。ほぼ一般人と変わらない耐久性の今の俺と雁夜のおっさんじゃ一瞬の不意で殺される」

「末恐ろしいな」

「ということで、これあげる」

 

俺は二つの剣を投影する。一つは我らが青狸の剣である。

雁夜は怪しげな表情を浮かべて二つの剣を受け取る。

 

「なんだこれ?」

「お守り。勝手に防御してくれるから、肌身離さず持っておいて」

「すごいな。ウワッ!?この剣頭の中に話しかけてきたぞ!」

「害意はないから安心して。そいつは俺に逆らうことはないから」

 

渡した剣はどちらも持つ者の体を操り守ってくれるもの。

電光丸ともうひとつのこの剣。もしかしたらとても強いのでは?今度俺も使ってみよう。

 

「その二つを持っておけば、アサシン程度なら生き残ることはできると思う。けど他のクラスとの直接戦闘は絶対禁止」

「すさまじいな。あとで桜ちゃんにも同じものを渡してくれないか?」

「もちろん」

 

 

その後、夜遅くまで作戦会議は続いた。

 

 

 


 

 

 

召喚されてから数日がたった。

初戦であるアーチャー対アサシンもそろそろ起きるころだろう。気を抜かずにいかなければならない。

 

本来ならば間桐邸にこもり続けることが大事なのだろうが、備蓄していた食料が底を尽きたので買い出しに行かなければならない。

雁夜を狙われるとまずいので、雁夜にはお留守番をしてもらおう。

 

「えっと、買い出し用のメモはと」

 

雁夜からお金と買う物のメモを玄関で確認する。

忘れ物がないことを確認した俺は靴を履き、玄関の扉を開ける。

 

「ん?」

 

ふと視線を感じたので後ろを見る。

そこには目のハイライトがない桜が無言でこちらを見ていた。

 

「一緒に行きたい?」

「...」

 

桜は無言でコクリと頷いた。外は危ないんだけどな...

けどここ数日外に出てないことだし、心の健康のためにも散歩くらいはさせるべきだろうか。

 

「おっけー。前に渡したお守りは持った?」

...うん

 

桜はそう言うと、懐から小さな電光丸を取り出した。

見た目はただのおもちゃだから、子供が持っていてもおかしくは見えないだろう、たぶん。

 

「それじゃーイクゾー」

...おー

 

俺は桜の手を取り、青空の天気の下へと歩き始めた。

 

 

 

桜と手をつなぎ、会話しながらショッピングセンターへの道なりを歩む。

まあ会話といっても俺が喋り続けてるだけなんだけど。

今の桜に必要なのは他者からの支えだろう。地獄に落とされた記憶は消えることがない。その絶望を上書きするほどの日常を噛みしめ続けるしかない。

 

ショッピングセンターにつく。

休日の影響なのか、ショッピングセンターの中は人でいっぱいだ。

桜とはぐれないように、しっかりと手をつなぎなおす。

 

センターの中を歩いていると、ふと桜が一瞬だけ立ち止まったような気がした。不思議に思って桜の様子を見ると、桜の視線の先には可愛い子供用の服屋があった。

 

「せっかくだし、桜ちゃんの服でも見ていくか」

 

その一言にビクッとした桜の頭をやさしく撫でる。

桜は心配そうな顔つきで俺を見上げる。

 

「お金のことなら心配ないさ。雁夜のおっさんからたんまりもらってるからね」

 

俺の言葉に安心したのか、桜の表情が少しだけ柔らかくなったような気がする。

桜の手を優しく引き寄せ、服屋へと入る。

 

 

桜ちゃんのお着換えショーの開催や!

とりあえず店員におすすめの服を紹介してもらって、次々と桜に着させていく。

もとが良いからなんでも似合うなこの子。

お金はあるし、とりあえず桜が気に入ってそうなのは全部買うとしよう。

 

 

両手に買った服をかかえる。思いのほか大量に購入したので、買い物の途中だが一度間桐邸に帰ることにしよう。

 

「楽しかった?桜ちゃん」

うん

 

桜はついでに買った大きなぬいぐるみを抱えている。時折顔をぬいぐるみに埋めて楽しそうだ。

 

 

買い物の最中に昼頃を迎え、ショッピングセンターにはどんどん人が増え始めてきた。

桜が人混みにまぎれ、迷子にならないように注意を払う。

 

「!」

 

そのおかげだろうか

相手より先に気づくことができた。

 

「桜ちゃん。こっちは人が混んでるし、あっちの出口から出ようか」

?わかった

 

視線を向けたのは一瞬だ。

見続けていたら確実にバレていただろう。

 

人形のような白髪の女性とその傍に立つ男装の麗人を尻目に俺たちは真反対へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「?」

「どうしたのセイバー?」

「いえ、何か見られていたような気がして」

 

金髪の麗人、セイバーは人混みの中を注意深く見渡す。

敵意はない。ただの勘違いか。

 

セイバーはそう考えて、目の前で楽しく笑うアイリスフィールの姿を見て、微笑みを漏らす。

 

今宵。英霊たちは集結する。

 

 

 

 


 

 

 

 

「てことはアーチャーとアサシンの戦いはもうすでに終わっていたのか」

「セイバーがすでに冬木にいるからな。おそらく今夜ランサーとセイバーが戦うかも」

「こういうとき使い魔が使えないのはつらいな」

 

お互い魔術の初心者。俺は投影魔術以外ほとんど使えないし、雁夜の蟲を使う魔術もこの間俺が蟲を全部燃やしたせいで使えない。

さすがに家の中すべての蟲を燃やし尽くしたのは早計だったか。

 

「でどうする?」

「とりあえず港の倉庫街に行こう。一応どんなサーヴァントが来るか見ておきたい」

 

時間はすでに夜。

俺と雁夜は急いで準備をし、港の倉庫街への道を急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

剣戟の音が港で響く。

透明な剣を携えたセイバー、その攻撃を赤い槍でいなすランサーが戦っている。

その攻防はすさまじく、離れたここまで衝撃が伝わってくる。

 

「すさまじい戦いだな」

 

隣で双眼鏡をのぞく雁夜がそう言う。

 

「あんまり顔出さないでよ。スナイパーに撃たれるよ」

「おっとそうだった」

 

戦闘を覗いてた雁夜が頭をひっこめる。

おそらく切嗣のおっさんと久宇舞弥が銃を片手にどこかで潜んでいるだろう。

 

「どっちが優勢なんだ?」

「今のところは五分五分。けどランサーがもう一つの槍を使ったら傾くと思う」

 

原作通りなら、セイバーはランサーの宝具ゲイ・ボウで手に不治の傷を負う。

そこからランサー側に試合が傾くだろう。

 

「話通りならキャスター以外は集結するらしいけど、お前は行かないんだよな?」

「もちろん。あの中に入ったら死ゾ」

 

ライダーの侮蔑なんか怖くねぇ!生き残れば良いってそれ一番言われてるから。

 

続けて戦いを見守る俺たち。

セイバーはランサーが持つ赤い槍の前では鎧は無駄と判断したのか、鎧を解いた。

そして身軽となった体でランサーへと迫る。

ランサーは迫るセイバーを前に、地中から黄色の槍を取り出す。

不意を突かれたセイバーは手首を切られる。

 

「おっ、セイバーがランサーの槍を食らったぞ」

「そろそろか」

 

今食らったゲイ・ボウによって、セイバーは宝具の開帳ができなくなった。

そして、この状況を観戦していたものが参戦する。

 

 

 

辺りを稲妻が襲う。

上空から戦車(チャリオット)に乗った大男が雷を身にまとい降りてくる。

 

「双方剣を収めよ!王の前であるぞ!」

 

腕をひろげ。眼前に立つ二人の剣士に向けてこう告げた。

 

「我が名は征服王イスカンダル!此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した!」

 

セイバーとランサーが呆気にとられる中、征服王イスカンダルは笑みを浮かべた。

 

 

 

 

「あれが征服王イスカンダル...」

 

双眼鏡を覗く雁夜が息を呑む。

一見自分から真名を告げるなど、大馬鹿者としか思えない。しかし、かの王から発せられるカリスマがその愚行を消し飛ばす。

あれは自信があるのだ。自分の真名を告げたとしても、聖杯戦争を勝ち抜く()()があるのだ。

 

「あれに勝てるのか?」

 

雁夜は不安になり、隣に立つ少年に目を向ける。

少年もまた双眼鏡を覗き、イスカンダルを見ている。

そこに恐れなど感じられない。

 

「俺たちの目的は勝つことじゃない、()()()()ことだよ。だから勝ち負けなんて関係ない。たとえ無様に敗走しようとも、途中で俺が消えたとしても、雁夜と桜が聖杯戦争を生き残れば俺たちの()()だ」

 

それに、と少年は笑みを浮かべてつづける。

 

「あの()には及ばない___」

 

士郎の腕に着けた腕輪がキラッと光った。

 

 

 

 

イスカンダルとセイバーたちとの会話が続く。

どうやら二人ともライダーの軍門への勧誘は拒否したらしい。

ライダーが少ししょんぼりとしている。

 

その後ライダーのマスターとランサーのマスターとの間でいざこざがあったが、ライダーはそれを一蹴し、再び両腕を開き大声で叫んだ。

 

「おいコラっ!他にもおるだろうが! 闇に紛れて覗き見しておる連中は!!聖杯に招かれし英霊ども! 今ここに集うがいい!!」

 

堂々たる覇気をまとい、大声を倉庫街に響かせる

 

「なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れい!!」

 

 

その大声は離れた雁夜のもとへと届いていた。

 

「まずいな観戦がバレてるぞ」

「大丈夫だって安心しろよ。無視すれば平気平気」

 

焦る雁夜を士郎がなだめる。

こちとら最弱コンビ。馬鹿正直に英霊たちの前に行く必要はない。

それよりも

 

「きた」

 

士郎がかの王の気配を感じとる。

慌てて雁夜が双眼鏡を覗きこむと、ライダーたちのそばの街灯の上に黄金の粒子が集まる。

 

「我をさしおいて王を名乗る不埒者が、一夜に二匹も湧くとはな」

 

黄金の鎧を身にまとい、三人のサーヴァントを見下ろすのは英雄王その人。

彼は鋭い目つきでライダーたちを睨みつけていた。

 

「難癖つけられたところでなぁ。イスカンダルたる余は、世に知れ渡る征服王に他ならぬのだが」

「たわけ、真の王たる英雄は天上天下に我ただ一人。あとは有象無象の雑種に過ぎん」

「そこまで言うならまずは名乗りを挙げたらどうだ」

 

征服王はそう問を投げかける。

街灯の上に立つ英雄王は、その問を投げかけたライダーを強く睨む。

 

「問を投げるか、雑種風情が。王たるこの我にむけて」

 

彼が立つ街灯が激しく点滅する。それは英雄王の怒りと呼応しているかのようだった。

 

「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すならば、そんな蒙昧は生かしておく価値はない!」

 

彼の背後にゲートが開かれる。

ライダーたちは来る宝具に向けて構える。

 

()()()()()()

 

英雄王の背後にあるゲートの向きが変わる。

その方向には誰もいないはずである。

 

「王たる我を盗み見する下郎を引きずりだすとするか」

 

英雄王もまたゲートが開いている方向へと目線をやる。

 

「とく参上せよ。そうでなければその場ごと吹き飛ばすぞ」

 

蛇のような英雄王の目は、遠く離れた場所で隠れている雑種(士郎)をしっかりと捉えていた。

 

 

 

 

 

「...なんかこっち見てないか?あの金ピカ」

 

雁夜は冷や汗を垂れ流しながら双眼鏡をのぞき込む。

覗きこんだ先には英雄王とその背後にある宝具とばっちり目があう。

 

「なあって」

 

不安になった雁夜は今だ無言の己のサーヴァントへと視線を向ける。

そこには雁夜と同じく冷や汗を垂れ流している顔面蒼白な士郎がいた。

 

「た、たぶん同じ方向にアサシンがいるんでしょ!俺は関係ないから...」

 

その瞬間、雁夜と士郎の間を何かが高速で通り過ぎていった。

直後、二人の背後にあったコンテナ群が爆発する。

 

「「....」」

 

二人は首を機械のようにグギギギと動かしながら、たった今起こった惨状へと目を向ける。

 

「我はとく参上せよと言ったのだぞ。3度目はない」

 

「よし行ってこい士郎君!骨は拾ってやるから!!」

「ファッ!?」

 

雁夜は信頼する相棒()の背中を叩き、英雄王(地獄)へと送りだす。

士郎はこの世の終わりみたいな表情を浮かべながら、とぼとぼと歩きだした。

 

 

 

 

そして士郎は集団の前に姿を現す。

 

「「なッ!?」」

「これはまたなんとも...」

「なんでここに...」

「子供が...?」

 

その場にいるサーヴァントとそのマスターの驚く声が聞こえる。

しかし士郎はそんな反応に意識を割くことができなかった。

 

「ほぅ...」

 

街灯の上に立つ英雄王の視線が体を貫く。

何もかも見透かされるような気分に陥る。

 

()()()

 

ギルガメッシュは士郎に何かを見出したのだろうか、笑みを浮かべる。

 

「雑種、この我が許可する。名を申せ」

 

英雄王のその言葉を聞いた士郎は、両手に握るおもちゃのような剣を構えて王に名乗った。

 

 

「愚地独歩でs「殺すぞ」...士郎です」

 

ふざけて答えた士郎の周りに大量のゲートが出現したのを見て、士郎は正直に名乗った。

遠くで眺めていた雁夜がずっこけたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 




久しぶりの投稿で誤字が多発してると思います。
発覚しだい修正していきます。
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