神殺しの魔王と覇王   作:虚体無名

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討伐と願いと

 

迷宮の通路を、高速で移動する影が二つ。

二人は〝天歩〟を完全にマスターし、〝縮地〟で地面や壁、時には〝空力〟で足場を作り、高速で宿敵たる爪熊を探していた。

ハジメにとって心を砕いた相手、それを下し、この先の覚悟を固めるために。

 

「グルゥア!」

 

途中、二尾狼が二頭飛びかかってくる。

ハジメは冷静にその場で跳躍し、錬成で作った針金で固定したドンナーを抜き、引き金を引いた。

 

ドパンッ!

 

燃焼石の乾いた音が響き、吸い込まれるように狼の頭部へ向かい、粉砕した。

 

颯斗は狼の首を掴み、そのまま地面へ叩きつける。

そして、長い脚をムチのようにしならせ、腹部を蹴りつける。

 

ボギュッ!

 

と生々しい音が響き、蹴られた箇所とは反対側の腹がまるで爆発した様にはぜて、臓物を吹き出し絶命した。

 

その間にハジメは片腕で器用にリロードし、食らう価値の無い狼には一瞥もくれずに、二人は駆け出した。

 

暫くの間、遭遇する狼や兎を瞬殺していると、ようやく宿敵の姿を捉えた。

現在は食事中の様で、兎の魔物を咀嚼している。

その姿を確認したハジメは、獰猛な笑みを浮かべた。

そこへ颯斗が歩み寄る。

 

「んじゃハジメ、さっさとトラウマ乗り越えてこいや」

「おぅ、あいつは敵だ…敵は殺す」

 

颯斗が軽い調子で声を掛けた。

その言葉にハジメは、変わらない笑みを浮かべたままそう宣言し、さらに殺気を滾らせて、悠然と歩き出した。

 

爪熊はこの階層の最強種、故に兎や狼は遭遇しないように細心の注意を払い、遭遇したら一目散に逃走する。

ましてや、向かってくる事などあり得ない事だ。

しかし、そのあり得ない事が、目の前で起こっている。

 

「よぉ、久しぶりだな爪熊。俺の腕は旨かったか?」

 

熊はその鋭い眼光を細める。

目の前の生物はなんだ?なぜ、己を前にして背を見せない?なぜ、その瞳に絶望を写さない?

遭遇したことのない事態に、熊は困惑する。

 

「リベンジマッチだ。まず、自覚させてやる。俺がお前にとっての___敵だってな」

 

そう宣言し、ハジメはドンナーを抜き、銃口を熊へ向けた。

その動作中にも、自身の心へ問いかける。

恐怖はあるか?___否、絶望に囚われる事も、恐怖に呑まれることもない。

あるのはただ生への渇望と___

 

___こいつへの殺意だけ!

 

ハジメの口が吊り上がり、殺意を纏う笑みを浮かべる。

 

「死ね」

 

その言葉と共に、ドンナーを発砲する。

ドパンッ!と炸裂音を響かせ、秒速3.2キロメートルの弾丸が、熊へ向かう。

 

「グゥウ!?」

 

熊は咄嗟に崩れ落ちる様に地面へ身を投げ出した。

結果、弾丸は肩の一部を抉るだけにとどまった。

それにより、熊の瞳に怒りが浮かぶ。

どうやらハジメを正しく〝敵〟と認識したらしい。

 

「ガァァァア!!」

 

咆哮を上げながら、2メートルの巨体に見合わない速度で、ハジメへと突進する。

長い豪腕を地面へ叩きつけ、地響きを上げながら迫る姿は、常人ならば即失神する程の迫力がある。

 

「はは!そうだ!俺は敵だ!ただ狩られるだけの獲物じゃねぇ!」

 

熊から凄まじいプレッシャーを掛けられながらもなお、ハジメは不敵な笑みを崩さない。

恐怖は無く、絶望は無く、ただ殺意を持って、ハジメはドンナーを爪熊へ向けた。

 

 

 

 

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「俺の糧になれ」

 

その言葉と共に、引き金を引く。

打ち出された弾丸は、ハジメの意識を忠実に実行し、熊の頭部を蹂躙した。

 

銃声が木霊する。

 

両者は共に、最後まで目を離さなかった。

想像していたような爽快感は無なく、虚しさも無い。

ただ、やるべきことをやった。

ハジメはスッと目を閉じると、改めて己の心と向き合う。

そして、この先もこうやって生きると決意する。

戦いは好きじゃない。

苦痛は避けたい。

腹いっぱい飯を食いたい。

 

そして…生きたい。

 

理不尽を粉砕し、敵対する者には容赦なく、全ては生き残るために。

 

そうやって生きて…

 

そして___

 

___故郷に帰りたい。

 

そう、心の深奥が訴える。

 

「そうだ……帰りたいんだ……俺は。他はどうでもいい。俺は俺のやり方で帰る。望みを叶える。邪魔するものは誰であろうと、どんな存在だろうと……」

 

 目を開いたハジメは口元を釣り上げながら不敵に笑う。

 

「殺してやる」

 

再度、誓いを呟き、ハジメの心はさらに強くなる。

そこへ背後から足音が響き、振り向けば颯斗が軽い笑みを浮かべながら近づいてくる。

 

「お疲れさん。途中はヒヤッとしたが、無事でなによりだ」

「ああ、ちぃと慢心してた」

「気を付けろよ。んな調子じゃあ___「分かってるさ。もう二度と、油断も慢心もしない」___ならいい」

 

そこで言葉を区切ると、暗い階段へ目を向ける。

そして颯斗が威圧感を撒き散らしながら不敵な笑みを浮かべ、それに吊られたのかハジメが獰猛な笑みを浮かべる。

 

「んじゃ行くか」

「おう」

 

短く言葉を交わし、〝化物〟二人は、歩き出した。

 

 

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17

 

天職:錬成師

 

筋力:300

 

体力:400

 

耐性:300

 

敏捷:450

 

魔力:400

 

魔耐:400

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

 

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橘颯斗 17歳 男 レベル:23

 

 

 

天職:拳闘士

 

 

 

筋力:980

 

 

 

体力:1260

 

 

 

耐性:1510

 

 

 

敏捷:630

 

 

 

魔力:300

 

 

 

魔耐:1510

 

 

 

技能:全属性耐性・物理耐性・複合格闘術・剛力・金剛・縮地・直感・気配感知・限界突破・闘気・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力]・風爪・言語理解

 

 

 

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ハジメの戦闘は変わらないのでバッサリカット
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