神殺しの魔王と覇王   作:虚体無名

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今更ですが、原作とは違い白崎はハジメ呼びしてます。
理由は颯斗が「もっと仲良くなりたいなら名前で呼ぶのが良いぞ」と吹き込み、それを真に受けているからです。


…っていう設定です。(後付け)


ステータスといじめと

 

「全員に渡ったな?これはステータスプレートだ」

 

パーティーがあったのが昨日のこと。

今は生徒全員が白の広場に集まっていた。

先程声をあげたのは騎士団長であるメルドだ。

生徒に気楽な態度をとり、豪放磊落な性格である彼はまさに頼れる兄貴分だ。

 

そしてこの銀色の板はステータスプレートと言うらしく、自分の力を数値化するものだとか。

血を垂らすことで所有者が登録され、これ一つで身分証明もできる優れものらしい。

 

「原理とかは聞くなよ?そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

アーティファクトというのは現在では再現できない強力な魔法具らしい。

普通アーティファクトは国宝になるものらしいのだが、これは唯一、一般に流通しているアーティファクトだとか。

颯斗は(んな都合の良いことあんのかよ…)と考えながら、ステータスプレートへと血を垂らす。

そこには…

 

==============================

 

橘颯斗 17歳 男 レベル:1

 

天職:拳闘士

 

筋力:90

 

体力:120

 

耐性:150

 

敏捷:80

 

魔力:50

 

魔耐:150

 

技能:全属性耐性・物理耐性・複合格闘術・剛力・金剛・縮地・直感・気配感知・限界突破・闘気・言語理解

 

===============================

 

…と表示されていた。

完全に物理特化のステータスである。

 

(こうなんのか…ゲームみてぇだ。他の奴等は完全に浮かれるだろうな…技能はなんとなくわかるが…闘気ってのはなんだ?)

 

そう考えた時、颯斗の頭に情報が浮かぶ。

どうやら感覚で分かるようになっている様だ。

 

闘気:拳や脚に纏わせ、攻撃を強化する。貯める時間に威力が比例する。しかし、貯めすぎると自分の体が耐えられないことがある。

 

簡単に説明するならばチャージ攻撃をすることが出来る技能らしい。

体が耐えられる時間はこれからの訓練で探っていくことになるだろう。

 

そう考えていた所で回りがざわめいた。

何だと顔を上げれば、どうやら天之川が勇者であり、ステータスが凄いと騒いでいる様だ。

 

(あいつが勇者ねぇ…お粗末な勇者だよ全く。しかし、一部あいつよりも高い数値があるな。突っ掛かって来ませんように)

 

心の中で手を合わせる。

そうして居るとハジメの番になった。

するとホクホク顔でいたメルドの表情が固まった。

颯斗が眉を潜めると答えが聞こえてきた。

 

「まぁ、その、なんだ。錬成師というのは鍛冶職の事だ。鍛冶するときに便利だとか…」

 

歯切れ悪く天職を説明するメルド

どうやら非戦闘職であり、それに困惑していたようだ。

それに他の男子達は食いついた。

普段からハジメに大して嫉妬している男子が食いつかない訳が無かった。

その筆頭、子悪党檜山がニヤニヤして近づいていく。

 

「おいおい、南雲。お前非戦闘職か?それでどうやって闘うんだよ?メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

「…いや、鍛冶職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

「おいおい、南雲~。お前そんなんで戦えるわけ?」

 

実にうざったらしく絡む檜山。

男子もニヤニヤしている。

女子は鬱陶しそうにしているが、庇う様子はない。

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

「じゃあさ、ステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」

 

そしてハジメのステータスを見て爆笑する。

 

「ギャッハハハ!オール10で技能一個とか完全に一般人じゃねぇーか!見てみろよ!」

 

そして須藤達に投げ渡す。

それを須藤が受け取る前に腕が伸び、横からかっさらった。

颯斗は掴んだプレートを眺めると小さく笑いハジメに近づいていく。

檜山はハジメと仲が良い颯斗にビビったが、笑ったのを見て自分に賛同したんだと解釈し、さらにハジメをなじろうとする。

 

「橘もそう思うだろ?こいつは使えねぇ無能___「良い天職持ったなぁハジメ」___は?」

 

しかし、颯斗が発した声によって、それは遮られる。

ハジメも予想外だったのか呆けた表情になる。

颯斗は笑いながらハジメと肩を組んだ。

 

「俺の感じゃ、お前の力は絶対に必要だ。少なくとも檜山(こいつ)よりは価値がタケェぞ」

「んだと!?テメェ___「うるせぇな」___っちっ!」

 

颯斗の言葉に突っ掛かっろうとした檜山は、颯斗の睨みを受け怯み、舌打ちをしてから離れて行った。

それを鼻で笑うと、ハジメとの会話に戻る。

 

「俺に良い考えがある。そいつが成功すればお前は英雄になれるぜ?」

「そう…かな?」

「そうさ。自信の持てよ」

「そうですよ!気にする必要はありません!先生だって非戦闘職?の天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。南雲君は一人じゃありませんよ!」

 

愛ちゃん先生が南雲を励まし、「ほらっ」と自分のステータスをハジメに見せた。

 

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畑山愛子 25歳 女 レベル:1

 

天職:作農師

 

筋力:5

 

体力:10

 

耐性:10

 

敏捷:5

 

魔力:100

 

魔耐:10

 

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

 

===============================

 

それを見たハジメは死んだ目になりながら遠くへ目を向けた。

「どうしたんですか!?ハジメ君!?」とガクガクと肩を揺さぶる先生。

確かに数値は全体的に低いが…魔力だけは勇者に匹敵しており、技能数は勇者を越えている。

ハジメの様にありふれた職では無いのが一目で分かる。

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったわね…」

「ハジメ君!?大丈夫!?」

「くっははは。敵は味方にありってのはこのことか」

 

反応が無くなったハジメを見て八重樫が苦笑いを浮かべ、白崎が心配し、颯斗が笑う。

愛ちゃん先生は「あれぇ~?」と首を傾げる。

ホッコリとした空気になったところで、メルドが颯斗へ話しかけた。

 

「ハヤトが最後だ。ステータスを見せてくれるか?」

「あぁ、ハイハイ」

「…ほう!一部ステータスが勇者よりも上とはな!期待してるぞ!」

「どーも」

 

メルドの言葉を聞いた回りはざわめき出す。

勇者である天之川よりも高いステータスに驚いている様だ。

颯斗はチラリと天之川を見るとこちらを睨んでいた。

大方「なんで勇者である自分より、あんな奴の方が高いんだ」と考えているのだろうと颯斗は悟った。

それを鼻で笑いながら、次の訓練に向かった。

 

 

 

_____________________________________________________________

 

 

 

 

そんなハジメの心が折れてから二週間がたった。

現在ハジメは颯斗と一緒に部屋にこもり、とある物の開発をしていた。

二人であーでもない、こーでもない、違うそうじゃない、これそうじゃない?あ、そうそれと知恵を絞って挑んでいた。

 

しかし、一切訓練に参加しなかった訳ではなく、ハジメは真面目に取り組んでいた。

そこで分かったのは絶望的に戦闘力が無いこと。

近接はステータス的に足手まといになるだけであり、魔法に関しては論外だった。

なぜかと言えば、適正が()()()()のである。

そのため火球を放つのにも2メートル近い陣を必要とするのだ。

錬成に役立つアーティファクトも無いため、貰ったのは錬成の陣が刻まれた手袋だけである。

そのため三日以降は、訓練に参加するのを三日おきし、開発に全力で取り組んでいる。

そのお陰か錬成のレベルが上がり直径3メートルの範囲を動かすことができた。

だからといって戦闘力が上がった訳ではないのだが。

ちなみに訓練に参加が少なくなった事によって完全に無能のレッテルを貼られた。

 

「ここはこうだろ?」

「そしたらここもこうなるね」

「そうだな…もうほとんど完成だな。後は細かい部分を調整すれば良い。っと訓練の時間か」

「もうそんな時間?今日は僕も出るよ」

「そうか。んじゃ先に行ってろ。籠手とか取ってくる」

「分かった」

 

颯斗と別れたハジメは訓練施設へ向かう。

腰に下げた細剣を見ると思わず封印した歴史(チュウニビョウ)が心に飛来するが、自分では扱えない事にため息を吐く。

 

訓練場に来ると他のクラスメイトは自主練や談笑をしていて、教官は来ていない様だった。

颯斗もまだ来ないだろうし、とハジメは自主練でもしてようと細剣を抜いた。

その時、後ろから衝撃を受けてたららを踏んだ。

転倒はしなかったものの、抜き身の剣を前に冷や汗が出る。

後ろを振り向けば予想通り檜山達、小悪党組がニヤニヤしながらハジメを見ていた。

これが訓練を憂鬱に感じる要因の半分であり、ハジメは心底鬱陶しかった。

 

防具を身に付けた颯斗が訓練施設に着いたとき、ハジメの姿が見えない事に眉を潜めていた。

今までは檜山がうざったらしく絡んでいて、それを散らせていたのだが、今は檜山達の姿も見えない。

意識を凝らすと、ここからは死角になっている場所に五人の気配を感じた。

そこに向かうと、風の魔法によって吹き飛ばされているハジメの姿があった。

 

「マジで弱すぎ。やる気あんのかよ南雲~。訓練してやってる俺らに感謝しろよ?」

「なら俺もテメェらに訓練つけてやるよ」

「な!?ガハッ!!」

 

笑っていた檜山の後ろから話しかけ、驚いて振り返ったところを殴り飛ばした。

殴られた檜山は3メートルほど飛び、蹲って痛みに絶叫する。

 

「ぐぁぁぁあああ!イッテェェェエ!」

「テメェ!何しやがる!」

「あ?だから俺も弱いテメェらに訓練つけてやるってんだ。感謝してくれよ」

「このやろぉ!ここに風撃を望む--〝風球〟!」

 

渦巻いた風が颯斗に迫る。

颯斗はそれを見て、〝金剛〟を発動した。

着弾した風はズドンッと音を立てる。

しかし、颯斗は何事も無かったかの様に立っていた。

颯斗もハジメと開発に勤しんでいたが、なにも訓練してなかった訳ではない。

今では颯斗のステータスは…

 

 

==============================

 

橘颯斗 17歳 男 レベル:13

 

天職:拳闘士

 

筋力:180

 

体力:230

 

耐性:260

 

敏捷:160

 

魔力:120

 

魔耐:260

 

技能:全属性耐性・物理耐性・複合格闘術・剛力・金剛・縮地・直感・気配感知・限界突破・闘気・言語理解

 

===============================

 

…と大幅に上がっている。

ちなみになぜ天之川よりもレベルが高いかと言われれば、ほとんどの訓練を対人戦に当てているからだ。

ハジメが来たときは一緒に筋トレや走ったりするのだが、ほとんどは騎士と戦っているためである。

 

「っんな!?」

「おいおいこんだけか?もっと強くこねぇとなぁ!?」

「ひっ!や、やめグハァ!」

 

魔法を放った斎藤に縮地を使って接近し、腹を殴る。

ボグンッと鈍い音がなり、斎藤は蹲って嘔吐する。

 

「きったねぇなぁ…んで?次はどっちだ?」

「「ひっ!」」

 

颯斗の睨みに中野と近藤がビビり、後ずさる。

中野に至っては転んでしまった。

と、そこへ女の子の声が響いた。

 

「何やってるの!?」

 

目を向ければ天之川グループが揃っていた。

白崎は蹲って唸っているハジメを見ると目を見開きながらそこへ向かう。

 

「ハジメ君!?大丈夫!?」

「大丈夫じゃ…ないかも」

「待ってて!今治してあげる」

 

同じく蹲っている檜山と斎藤を無視して、一番にハジメの元に向かった白崎に颯斗はニヤニヤしていた。

そこへ怒りに満ちた声が響く。

 

「橘。何をしてるんだ」

「あ?俺はヨエェ檜山達に訓練をつけてやってたんだよ。あぁ、ハジメはちげぇぞ?やったのは檜山達だからなぁ」

「言い訳をするな。同じクラスの仲間だろう。二度とこんなことをするなよ」

「仲間?笑わせんなよ。俺は言ったはずだぜ?協力しねぇってな」

「ふざけるな!そんな勝手は許さないと___「黙れや。雑魚」___っ」

 

颯斗が放つ威圧に、天之川は口を閉じる。

その目は怒りが宿っていた。

 

「未だに殺さないだ殺しちゃ駄目だと幻想を見てる様なお子ちゃまは邪魔なんだよ。テメェのせいで死ぬなんざごめんだからな。チャンバラごっこは余所でやれ」

「殺さないさ。俺には力があるからね。捕虜に関しても皆を説得できたんだ。君の様にはさせない。それに南雲自身も、もっと努力すべきだよ。訓練にも参加しないで部屋に籠っているそうだね。俺なら少しの時間も訓練に当てるよ。檜山達も南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?もっと頑張るべきだ」

 

と天之川はのうのうと言い放った。

これには八重樫が頭を抱え、坂上は唖然としている。

それに気がつかない天之川は言うことはもうないと、訓練施設へ向かった。

坂上はそれに戸惑いながらも、着いていった。

 

先程言っていた、「捕虜に関して皆を説得できた」と言うのは、捕虜の扱いに猛抗議した天之川に教皇や国王が不服そうに了承した事によるもの。

しかし、抗議しただけであって、具体的にどうするかの意見を全く出さなかったのが天之川が天之川たる由縁である。

 

「ったく。捕虜に関しちゃ上が天之川の言葉に頷いただけで、誓約も契約もしてねぇだろぉが。本当にアホだよなぁ」

「はぁ…もう本当に、ごめんなさい。あれで悪意が無いのよね…」

 

そう、颯斗が言った様に国王や教皇が頷いただけで、天之川は盲目的に信用し、先程の様に抜かしたのだ。

 

「もう大丈夫?ハジメ君」

「うん。バッチリだよ白崎さん。ありがとう」

「んま、いずれ現実を知るだろうさ。デケェ対価を支払ってな」

「…はぁ…疲れるわ…」

 

回復したハジメと共に訓練施設へ向かう四人。

八重樫は最近多くなったと自覚しているため息を、我慢せずに吐き出した。

それを見ている颯斗は、八重樫に対して危機感を感じていた。

 

…檜山達が居たことなど忘れて、四人は訓練に励んだ。

 

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