RASのマネージャーにされた件【完結】 作:TrueLight
俺がチュチュのもとで家事手伝いのバイト……という名の奴隷生活を始めて、それなりに日が経った。
当初は驚いたことに、すでに形にはなっているのかと思っていたチュチュのバンドメンバーは、彼女を含めて二人だけという状況。
そこからは俺が
まぁガールズバンドに加入できそうな女の子なんて数人しか心当たりは無かったし、そこまで苦労はしなかった。本当に苦労したのは自動車免許を取らされたことだ。費用を出してくれるという破格の待遇だったが、俺を足にする気満々でいやがる。
ついでに言えばチュチュのかーちゃんとも話はついた。よほど娘を溺愛しているらしく、チュチュが決めたのなら問題ないだろうとトントン拍子だ。親子そろって頭沸いてんな。好都合だぜ!(ゲス顔)
それはともかく。チュチュのスカウトによって新たに二人のメンバーが加わった。ベース&ボーカル担当のレイヤ。そしてドラム担当のマスキング。どちらも女子高生で、俺と同じく名前はチュチュが決めた。ネーミングセンスどうなってるの?
ちなみに俺より先に誘われてたらしい娘はパレオちゃん。こちらはなんと中学生らしい。チュチュと同い年らしいが、発育度合いの差が涙を誘うね! どっちにしろお子様には変わらんが。
「
「そうですねチュチュ様! あとはギターさえ見つかれば……!」
「間に合わせのセッションや音源はソースでいいにしても、ライブとなるとそうもいかない。早急に見つけないと……!」
「音無さんが女の子だったら良かったのにね」
「だよな。レイはサポートの知り合いとかいねぇのか?」
「残念だけど……」
「むぅ~……。ちょっとソース、何か案出して」
「そんな雑なパスあります? ち〇こ切ってこいってか?」
「バッッッッカじゃないの!? レイヤとマスキングみたいなアテはないのかって言ってんの!
「そそソースさん! そういうのは良くないですよっ!」
中学生組は可愛いもんだなぁ。レイヤとマスキングが苦笑してるぞ。いや、俺にか? 俺にだな。(確信)
「残念ながら、他にアテは無いな」
俺が首を振ると、ふと気になったというようにレイヤが口を開いた。
「あれ、音無さんが私たちをチュチュに紹介したんですか?」
「え? ああ、一応。一緒に演った時のこと思い出してさ」
「……一緒に?」
俺の言葉に、二人は首を傾げた。なんかおかしなこと言ったか? あ、そうか……!
実は俺がライブハウスで演奏する時は、毎回つば長タイプのキャップを
つまるところレイヤとマスキングは、俺のEternity時代の顔を知らないんだ……! これはちょっとまずいな、正直知られてないなら、バンドのことは教えたくない。解散の理由がアホすぎるもん……。
「ああ、最近解散したって言ってたわね。その前に共演したことあったの」
チュチュが得心いったというように手を叩いた。なんでそう間が悪いんだ、このガキャア……。
「最近解散したバンド……?」
「ガールズバンドじゃねぇよな。……まさか、Eternity?」
我慢はしようと思ったんだぜ? 無理でした。ちょっとトラウマだもんね。ビクッとしちゃったよね。
「えっ、嘘?」
「しかもチュチュの話じゃギターだろ? 顔割れてないのって一人だけだし……SOUさん、だよな」
「本名だったんだ……」
レイヤとマスキングがどんどん暴いていきよるわ。
「へぇ、Eternityねぇ? 随分おしゃれな名前じゃない! とんだLimitedだったみたいだけど!」
おいおい激ウマギャグだな! 誰に教わった? 引ん剝くぞコラァ!! 減給されたくないから心に仕舞っておくがな! 感謝しやがれ!!(クソ雑魚ナメクジ)
「チッ。ああそうだよ。
「うわぁ……」
「マジかよ……!」
俺が拗ねたように言うと、マスキングが興奮したように身を乗り出してきた。近ぇ近ぇ!!
「大ファンっす!」
「お、おう。そうなのか。ありがとう、佐藤さん」
「ますきかマスキングで良いっすよ! マジか、マジモンのEternity……!」
ここまで好反応だとビックリだ。共演したことあるし、覚えてはいるだろうと思ってたけど。まさかファンでいてくれたとは……。
「解散の事は残念っした……。あたしも似たような経験あるけど、あんなに
うわぁ……言えねぇ。言えねぇよマスキングには、解散の真相。墓まで持ってこ。
「……解散の件は、俺もまだふんぎりついて無くてさ。悪いけど、詳細は話せない。ドラムの奴は海外に行っちまったし、俺たちメンバーでも話し合ったんだ」
嘘は言ってない。ドラマーは(ゴリラに進化……いや退化か? するため)アフリカへ渡った。話し合いもちゃんとした。なおその時には解散は決まっていた模様。(ブチ切れマンモス)
「そうっすよね……。でも嬉しいっす! バンド組む訳じゃないとは言え、SOUさんと一緒に活動できるなんて!」
「私もです。ギターとベースって点で違っていても、ボーカル兼任として憧れてました……!」
まーいい子たち! 二人とも高2らしいから二つ三つしか違わないけど! えぇメンバーやで……。どこぞのカスどもに見せてやりてぇわホンマ。
「二人ともありがとう。でも、俺のことはソースって呼んでくれよ。寂しいけど、SOUだった俺とは決別しないといけないしな……。あと、敬語もな。仲間だろ?」
「……っすか。そっすよね、これから同じバンドでやってくんだ……!」
「うん……分かった。よろしく、ソース」
俺とレイヤ、マスキングの三人は何とも言えない雰囲気に包まれた。だが悪くない……。久しく忘れていた、青春のかほり……!
「
そんな
「わぁったわぁった。考えるってご主人様ー」
「わぁ……
えぇ、やだぁその響きキラァイ……。