-1998年(バイオ1)-001
○月▼日
今日から日記…というか、活動報告を付けてみたいと思う。理由は特にない。強いて言うなら『形になる物を残したいから』だろうか?……いや、らしくない。みんなから女々しいと言われそうだ
俺の名前はブラッド・ヴィッカッーズ。ラクーンシティ警察の特殊部隊S.T.A.R.S.のアルファチームの一員で、日夜テロリストだが人質とって立て篭もった凶悪犯から市民の皆様を守るお仕事をしている。
そんな俺だが、今日確保したテロリスト供から謎の銃を拝借した。形からしてハンドガンの類らしいが、明らかに普通のものではない。
まず銃中部の
マガジンにあたる部分から電池が出てきた。俺にも見覚えのある大手メーカーのいたって普通の単三電池だった。デスクの中からオフィスの時計用のと同じ物が出て来たので試しに叩き込んでみると銃本体から電子音がなった。
試しに射撃場にてぶっ放してみると軽く電気が出て来ただけで、的には傷一つなかった。
――――暴徒鎮圧用の威嚇用兵器?
一瞬そう思ったが、まさかテロリストがそんな甘ちゃんな武器を持つ訳がない。まあ多分何かの役に立つこともあるかもしれないから、お守り代わりだと思って持っておくとしよう。
――職権濫用?生憎と、
○月■日
最近、妙に暴徒に関する事件が多い気がする。元々このラクーンシティは血の気の多い奴が一定数いる町だが、そこを加味しても多すぎる。中には人を
――そもそもここ最近。なんかキナ臭い
というわけで行動を起こすことにした。一先ず先輩警察官のマービンさんやバリー。後は日夜酔っ払いや小悪党と戦う現場主義の皆様から署名を集めた。題名は『非常時に備える為の物資補給』である。暴徒鎮圧用の警棒は勿論。非常食からマインスロアー弾まで幅ひろく、且つ多く備蓄しておくための署名である。
何故か署長が渋ったがそこは数の暴力でカバーした。『これで無駄になったら貴様に責任を取ってもらうぞ』と脅しつけられたが、そうなったら、まぁ、クリス兄妹の家政婦にでもなるとしよう。
―追記―
この事をクリスさんに話したら何とも言えない顔をされた。解せぬ
○月◇日
今日、アークレイ山地での複数の猟奇事件を調査する為俺達アルファチームの“同僚”に当たるブラボーチームがヘリで派遣されていった。レベッカからは『ブラッドさん操縦のヘリじゃなくて残念です』などと茶化された。
一応、ヘリ操縦には自信がある。俺の操縦テクに勝てる奴はラクーンどころかアメリカ全土にだっていないと断言できる程度には自信がある。
……いずれ俺達アルファチームにもお呼びがかかる可能性もある。愛銃達の手入れもしといた方がいいかもしれないな、こーゆうのは日本の諺で『備えあって憂い無し』っていうんだったか?
「…ようやく、終わったか」
ラクーン市警のS.T.A.R.S.オフィス。夜も更けて市警内に残ったのは夜間の番を任された者や
「いつになく遅くなってしまったな。明日も早いというのに……」
S.T.A.R.S.アルファチームポイントマン、クリス・レッドフィールドは今ようやく片付いた書類達を恨めしげな目で見つめた後『帰るか』と眠気覚ましように噛んでいたガムをゴミ箱に吐き捨ててからオフィスを後にした。
タァーン、タァーン……
そんな時、銃声がきこえた。一定で規則的に
(射撃場に誰かいるのか?こんな夜更けにいったい誰が……)
好奇心に惹かれ射撃場に向かうクリス。肉体的にも精神的にもタフな彼だが流石に書類の山はこたえたらしく、少し脚をフラつかせながらも射撃場の扉を開けると――
「…?クリス先輩。どうも」
見慣れた後輩が自前の愛用ショットガン【AA-12】を構えていた。彼の前にある人を模した的に例外なく頭部を中心に穴が多数開いていた。中には頭の部分がとれているものもあった。
「ブラッドか。こんな時間までどうしたんだ?」
「…別に、いやな“予感”がしたので自主訓練ですよ」
そういうとリロードを済ませた愛銃を構え直し、絶え間なく撃ち続ける。銃に詰めた一発と専用のドラムマガジンから撃たれる32連射が容赦なく火を吹き、的の空白比率を更に高くした。
「“予感”…か。お前の勘はよく当たるが、それは何に対してだ?」
「【アークレイ】と【ブラボーチーム】って言ったらどうします?」
「……それは、胸中穏やかじゃないな」
ブラボーチームとアルファチーム。ラクーン市警が誇る二大特殊部隊で、ごく稀に雑誌やテレビで『何方が強いのか』などの企画が組まれる事から世間からはライバル的な見方をされている節があるが、この二部隊の仲は至って良好である。合同の訓練はよくやるし、互いに書類仕事にたいする愚痴を言い合うし、なんなら二部隊主導のキャンプや釣り大会を開く程度には良好である。特にブラボーチームの一員であるレベッカはクリスにとっては妹のクレアを思い出す存在で、よく可愛がっていた。そんな彼ら彼女らに危機が迫るかもしれないと言われると、先の発言通り胸中穏やかではなかった。
「それに備えているのか?」
「えぇ。今回のヤマは、絶対大きくなりますよ」
そう言うと背中に背負っていた狙撃銃【Steyr SSG 69】を構え、一番遠くの的を狙う。
パァン!
放たれた弾丸は一直線に的へ飛び込み、その頭部を撃ち抜き、ついでに的の背後にあったラクーンシティのマスコット【ラクーンくん】の人形を吹き飛ばした。
「…オイ」
「害獣駆除って事で」
しれっとシラをきりながら次弾の準備をするブラッドを見てクリスはハァとため息を吐き、自分の腰から自らの愛銃『サムライエッジクリスモデル』を取り出し構え、
「――ヒュウ。相変わらず俺とバリーさんのお株を奪いそうな腕前ですね」
「付き合おう。次いでにスコアも競うか?」
「…ッ。いいでしょう!勝った方は空薬莢の片付け役で!!」
因みにその晩「拳銃で散弾銃よりも高いスコア出してんじゃねぇよ…!」と呻きながらモップを操る若い男性の姿があったとかなかったとか。