ノーブル・ブラッド   作:korotuki

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今回は一気に行きます。
…まぁ行くも何ももうラスボスしか残ってないんですケド!


-1998年(バイオ1)-011

○月☆日⑩+③

 

 バリーに『此処は俺に(調査を)任せて先に行け』という死にそうなのか死にそうにないのか判別しにくい発言を受け、俺とジルさんは先に進むことにした。

 

 因みにジルさんはそのままバリーを信じる方向にシフトしたそうだ。決めたはバリーの懐から出てきた家族写真だそうで。

 

 『家族を思う人に悪い人はいない』ねぇ…逆に『家族を思うからこそ』悪事に手を染める人が多いような気がするが……まぁ今は気にしないことにしよう。そもそもバリーは一人で俺達は二人だ。裏切り者枠がもう一人出てきて前後で挟み撃ちにされない限りは大丈夫だろう。

 

 そんなこんなで先に進み地上へと出ると、何故か噴水の水枯れていた。何故か内部に下へと続く階段があったため降ってみると、エレベーターを発見した。

 

――なんか急にハイテクになったな、今まで一昔前の絡繰屋敷みたいだったのに。

 

 そんなことを思っているとエレベーターが下に着いたためあたりを見渡してみると、なんとビックリ鉄とコンクリによって舗装された立派な通路が広がる地下研究施設だった。

 

 安全確保のため掃討した為近頃なかなかみなかったゾンビ達を蹴散らしながら少し進むと、懲罰用なのだろうか?独房のような場所に閉じ込められたクリスやリチャード、レベッカを発見した。

 

 束の間のラブ…はないロマンスを堪能している二人の隣で何とか扉を壊せないかと試行錯誤してみたが、てんでうまくいかなかった。鉛と火薬で出来た贅沢な()()()()()()も通じない。

 

 一先ず洋館の玄関にて回収しておいた【サムライエッジ クリスモデル】と数十発分の弾丸を格子の隙間から投げ入れといた。

 

 リチャードが『俺にはなんかないのかよ』と言ってきたので刃渡り30cmの大型アーミーナイフを渡した。あぁ勿論レベッカには救急スプレーに救護箱と()()道中で入手した【レミントンM870】を渡しといた。クリスやリチャードから白々しい視線が突き刺さるが気づかないフリをした。

 

 再び進んみながら道中のレポートと思わしき書類を精査出るわ出るわ怪しい研究成果。

 

 特に実験室と思わしき場所にあった【各B.O.Wについて】という資料はヤバかった。何が【人間に爬虫類の遺伝を組み合わせてウィルスに感染させた本格的な戦闘用B.O.W】だよ人体実験なんて軽々と書くな。

 

 あぁあとはあの化け物…B.O.W達の正式名称が知れた事が辛うじてプラスだろうか。いちいち俺の絶妙に微妙なネーミングの名前を書くのは少し恥ずかしかったので、そこだけは感謝しよう。

 

 資料の最後に『究極の生物兵器』と銘打たれていた暴君を表す【タイラント】という化け物の記述だけはみなかったことにした。道中で見かけなかったしきっと未完成で、妄想の産物だったのだろう。そう思うことにした

 

 そんなこんなでも一つ隣の部屋へと歩みを進めるが、明らかに勘が“ヤバい”と言っているので行きたくはないが、ここにいても何も出来ないので意を決して()()()()()()()()()して此方に向かって挙動不審気味に歩み寄るバリーを迎える。

 

……早撃ちは苦手なんだけどな。

 


 

「ウェスカー!」

「ッ!………ガァ!?」ガギィン!

「…フン。この前の射撃大会で私に惨敗したことを忘れたのか?おめでたい頭だ」

「だからといって無抵抗なのは別だろ…!」

「ジル。銃を捨てろ…おいブラッドお前もだ」

「バリー……!」

「――あークソ」

 

 その一瞬で様々な事が起こった。ブラッドが銃を構える前にウェスカーの早撃ちによってブラッドの銃がはじき飛ばされ、そのやり取りの隙に二人の背後に回ったバリーがジルの頭に銃を突き当てた。

 

 流石にこうなっては2人ともなす術なく大人しくバリーの指示通りに武器を手放すしかなかった。

 

「まぁバリーを責めてやるな。アイツは私の指示に従わなければ可愛い妻や娘の命がないそうだぞ?」

「よく他人事みたいに言えるわね」

「ウェスカー隊長も地に堕ちたか…」

「…まぁ気にするな。じき全てから解放される」

「S.T.A.R.S.を潰す目的は何?」

「信じなくてもいいが、アンブレラの意向でな」

「資料に思いっきり“脅威になるから潰す”って書いてあったけど?」

「……まぁ“私個人”は違うが“上の人間”はそうじゃなかったらしい」

「まるで、アンブレラの奴隷ね!」

「君は頭がいい「俺は?」………だが勘違いをしている。この館にいるバケモノなどクズ同然。屋敷ごと焼き払ってくれる…!」

「その癖ハンターのサンプル持ってるな」

「――ええい黙れ!貴様は何なのだ一体!!」

「疑問点を提示しているだけの健全な人間『パチュン!』……OKOK。黙ろう」

 

 一瞬気の抜けたようなやりとりを見せるが、ウェスカーの銃撃によって元凶(ブラッド)を黙らせた為。再び引き締まった空気へと戻った。

 

 サングラス越しでもわかる程の怒気を滲ませていたウェスカーも気を取り直すように咳払いをしバリーへ向かって「地上で待機していろ」と言い渡し、バリーを地上へと向かわせた。

 

「来たまえ」

 

 銃で方向を指し示しスタスタと歩いていくウェスカーに、ジルとブラッドは大人しくついていった。

 

「これぞ究極のB.O.W…【タイラント】だ」

 

 案内された先の大型の倍容器に入っていたソレは、一見すると筋骨隆々の大男にも見えるが、3メートルを越すであろう巨躯と、歪に肥大化した心臓とその周りを覆う血管がソレが人外という事を知らせる。

 

「実に美しい……」

 

 恍惚とした表情を微かに浮かべるウェスカーに対し、ジルとブラッドの両名は思い切り顔を顰めた。

 

「あなたは…こんな物のために……」

「…想像の産物だと思ってたのに」

 

 己の隊が滅茶苦茶になった元凶とも言える存在に対し敵意を剥き出しにするジルと、つい先程『いるわけないだろ』とたかを括っていた存在が目の前に現れたせいで軽くショックを受けているブラッドだが、そんな2人――正確にはブラッドを無視しウェスカーが腰の【サムライエッジ ウェスカーモデル】へ手を伸ばした。

 

「さて、悲しくはあるがそろそろお別れといこう……」

 

 ゆっくりと見せつけるように此方に銃を向けるウェスカーに対し身構える。

 

「あぁそれと、冥土の土産に一つ教えてやろうブラッド」

「…なんだよ」

「貴様の使っている雷撃を撃ちだす銃は、アンブレラが開発した対B.O.W用兵器だ。本来はそれよりも大型の【RAI-DEN】の小型化と利便性を向上させたバージョンなのだよ」

「」

「どんな気持ちだ?これから憎むべき企業が開発した銃に命を救われた感想は」

 

 呆然とした顔を晒すブラッドを嘲笑うように口角を上げる。

 

「アナタ悪趣味ね」

「フン、なんとでも思うといい。どうせ君たちはこれから死にゆく者なんだぞ?そんなことよりもだ。…どう思ったんだブラッド?」

「え?いや別に…銃に罪はないじゃないですか」

「」

「」

 

 続いて阿保面を晒すことになったウェスカーを見遣り、呆れたように言葉を紡いだ。

 

「いや流石にコレがウィルスを研究していた研究者ならともかくそれによって開発された武器は憎むような要素ありませんよ。あとそこまで何でもかんでも怒っても疲れるだけでしょう?」

「――フン。貴様は最後までつまらん奴だったな」

「そいつは光栄だな」

 

 気を取り直しサングラスを直し、ジルに向けていた銃をウェスカーに構え直した。

 

 

BANG!!

 


 

○月☆日⑩+④

 

 あの後ウェスカーを裏切り俺達に寝返った…いや元鞘に戻ったというべきなのか?バリーがウェスカーの銃を弾き俺たちを救ってくれたが、執念で【タイラント】の起動ボタンを押し。ウェスカー曰く最強のB.O.Wが起動してしまった。後ついでに施設の()()カウントダウンが開始した。

 

…そう、自爆のカウントダウンである。

 

 あの野郎の差し金なのか【タイラント】が起動した時の緊急処置なのかは判らないが、ともかく施設の自爆カウントダウンが開始された。

 

 取り敢えず【タイラント】の相手は俺とバリーで押さえ込むことにして、ジルには未だ独房に閉じ込められているであろうクリス達の救出へと向かわせた。

 

 一先ず互いの最大火力を【タイラント】へ向け撃ち込んでみた。

 

 ウェスカーの言った通り道中遭遇したどんなB.O.Wよりも強大で、素早く、そして硬かった。

 

 コンピューターや研究用の音型ビーターやメモリの付いた巨大な装置をその伸びた爪でバッサバッサと掻っ捌く様を見て冷や汗を書きながらもなんとか膝を着かせることに成功し、入り口を手榴弾で埋めた後脱出口へと向かった。

 

 何とかクリスやリチャード等と合流し、無線機から施設上空のヘリポートでホバリングしているエンリコへ施設のヘリポートは着陸してもらう事にした。

 

 ヘリの操縦士である俺と、看護兵のレベッカが先に行くべきだと言われたので、それに甘えて先に上へと行くとにした。

 

 エレベーターが閉まる直前に見えたのは、ようやく相棒と合流できた事だテンションがハイになったジルとクリス両名が、ハンターやクラムゾンヘッドなどの強力なB.O.Wが纏めて吹っ飛んでいく光景だった。

 

 そんな有り得ざる光景を見ながら上昇していくと既に着陸したという連絡をエンリコから受け取り、そらと『その後の運転は任せる』という連絡も受け取った。

 

 『信頼されているんですね!』とキラキラとした目をしているレベッカをかわしながらもヘリポートへたどり着き、合流したエンリコに俺の【Steyr SSG 69】を渡し万が一の援護を頼み、操縦桿を握り目盛を確認する。

 

 あぁ…なんか一晩握ってなかっただけなのに一月ぶりに操縦桿を握ったような気もするが、やはり操縦桿は手に馴染む。

 

 やはり俺のポジションはココなのだと確認してエレベーターから出てきたリチャードとバリーを出迎えた。

 


 

『ブラッド!早くヘリを離脱させろ!』

「へ?」

『説明してる暇はないわ!早くヘリを出して!!』

「えぇ…あぁもう!」

 

 急に怒鳴り声にて入った通信に混乱しながらも、クリスとジルの指示に従いヘリを発進させた。

 

「血迷ったかブラッド!?」

「まだクリスとジルがいるんだぞ!」

「そのクリスとジルからの指示だ!俺だってわかんねぇよ!!」

 

 『だが現場の指示には従うべきだ』と言うと高度を上げ、ヘリポートを中心としたホバリングし始める。

 

「おい二人共!何があったか報告しろ!!」

『あのタイラントとか言うバケモノが復活した!慌てて逃げたが、あれは多分追ってくるぞ!!』

『私達は今エレベーターに乗っているわ!ブラッド達は上空から援護して!ここでケリをつけるわ』

「ハァ!?」

 

 そう言うと言葉通りにエレベーターから二人が飛び出てきて、直後に2人の側の床が割れ。そこから【タイラント】が突き破り登場した。

 

「あの野郎まだくたばってなかったのか…!」

 

 ブラッドと2人でタイラントを足止めしたバリーは未だ倒し切れていなかった事を悔やむ様に手を強く握り込む。

 

「…話は後だ!バリーは備え付けの【ブローニングM2重機関銃】で、エンリコは貸した奴で引き続き援護を!!」

 

 ブラッド自身も操縦桿を強く握りながら鋭い声で指示を飛ばし、自身もヘリを操り【タイラント】を狙い易い位置へと移動した。

 

「こっちから援護射撃を開始する!当たるなよ!!」

『すまん感謝する!ジル。行くぞ!』

『えぇ…行くわよクリス!』

 

 二人が【タイラント】の前後に陣取り、片方が狙われている隙にもう片方が背後から狙い撃つという単純ながらも効果的な戦術を展開していく。

 

 万が一片方が追い詰められているとしても上空からの援護射撃によって足止めを喰らい、その隙に体制を立て直すというローテーションを続けていくと、徐々に【タイラント】の動きが鈍っていく。

 

「よし止めだ。バリー後ろの格納庫から()()のロケットランチャーを下に投下してくれ」

「なんでお前が知ってるんだ!?」

「あ、後弾が一つ足りないと思うけど気にするな」

「おいそりゃあどうゆう事だ」

「――――――」

「まさかお前使っ」

「おいジル!クリス!」

『どうした!』

「コレをッ!」

 

 バリーが投下準備したままだったロケットランチャーをその手からひったくり、地上の二人の側へ向かいぶん投げた。

 

「『いったぞ ジル!』」

「『そいつをブチかましてやれ!』」

 

 ガコンッ!という重々しい音と共に投下されたロケットランチャーをクリスとジルが飛び付き、互いを支え合う様にして構える。

 

 無論【タイラント】も撃たれまいと突進攻撃を見舞おうと二人に向かってダッシュするが――

 

ドガガガガガガガガ!!!

 

「ぬ、ぬぉぉぉぉぉ!」

 

 バリーの掃射によってまず足を止められ、

 

パァン!!

 

「…借りは返したぞウェスカー」

 

 エンリコの狙撃によって膝裏を撃ち抜かれ強制的に膝をつかされた。

 

「ようやく夜が明けたんだ!悪夢(バケモノ)はさっさと覚める(死ぬ)のが道理だぜ!やっちまえクリス!」

「ジルさん!お願いします!!」

 

 リチャードとレベッカからの声援によって、二人が握るロケランの引き鉄に力が籠る。

 

「やるぞジル!」

「ええ。コレで終わりよ!」

 

 ポシュという最終決戦にしては気の抜けそうな音と共に飛翔したロケット弾は真っ直ぐ【タイラント】へ向かって直進して……………

 


 

○月☀︎日

 今俺は『いい加減休め』とエンリコに言われ、ヘリのプロペラ音をBGMにしながらこの日記を書いている。因みにみんなは疲れているのかぐっすりお休み中…クリスとジルさんは分かるのだがリチャードの肩にレベッカが寄りかかっているのは解せぬ。あとバリーは端っこで家族の写真を抱いて寝てる。起きてるのは俺と操縦中のエンリコだけだ。

 

 …話を戻そう。

 

 この一晩だけで色々とあった。

 

 人間を貪り食うゾンビ達

 

 この世のものとは思えない怪物達

 

 巨大製薬企業【アンブレラ】の醜悪な陰謀

 

 S.T.A.R.S.隊長『アルバート・ウェスカー』の裏切り

 

 そして何より……今まで生死を共にして来た仲間達の死。

 

 勿論人を看取るのが初めてというわけではない。凶悪な犯罪者やテロリスト、流れ弾に当たって死んでいった同僚達をこれまで散々見て来た。

 

 だが、これは余りにも……

 

 …止めよう。こんな辛気臭いのはキャラじゃないし、シリアスはつい先程やったのだ。いつまでたってもしんみりしてちゃ逝ったジョセフやケネス、フォレスト。そして何故か遺骨が見つからなかったエドワードに申しわけが立たない。

 

 リチャードも言っていたが、夜はもう明けたのだ。

 

 …まぁクリスとジル。そして他の奴らは【アンブレラぶっ潰す】と息巻いていたので、これでハイおしまいには絶対にならないと思うが

 

 あぁそれとウェスカーから来歴を聞かされた【INA-DUMA】だが、これからも使い続けることにした。なんだかんだ言っても威力は絶大だからな。射程が短いのが玉に傷だが、これからも使わせてもらうとしよう。

 

 ――帰ったら帰ったらでこれまで集めた証拠を、一定の信頼性が持てる資料に仕上げる作業があるのだが、それには目を瞑ることにする。




という訳で1998年(バイオ1)編完結です。次のヤツを書くのは暫くかかりそうなので幾つか短い番外編描いてみよーかなと思ってます。
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