―追記―
とあるお二人から誤字報告を受け、修復しました。
《対抗策》
【洋館事件からしばらくして】
あの悪夢の様なバイオハザードから生還してから初めての休暇に。ブラッドは一人ホームセンターから購入した木箱の中に様々な物を詰め込んでいた。
(…やっぱり、信じてはもらえなかったな)
つい先日提出したアンブレラの陰謀についてまとめた資料を提出したが、やはりというかなんというか。上の陰謀やらなんたらが働いていたらしく【空想の産物】だとロクに受理されなかった。今事件に遭遇した主なメンバーは自宅待機を命じられており、それぞれが行動を起こしていた。
クリスとエンリコは調査のため海外へ飛び、ジルは町に残り独自の調査を。
バリーは家族の亡命手続きを終えた後。せめて一人でも多くに事の危険性を知ってもらおうと今も場末の酒場や自身の友人達に声を大にして伝え。
レベッカは洋館内で手に入れたウィルスのサンプルと共にワシントンでのワクチン開発を決意し、リチャードはそれについて行った。
そんな中ブラッドがしていたのは、ある意味での“対策”だった。
(やっぱり最近“感染者”――ゾンビの数が確実に多くなってる)
ニュースや新聞紙を見ても、最近よく見る『人を食する恐怖の人喰』の記事を最低一件は見かけるようになっていた。
(絶対に【洋館事件】のような…“バイオハザード”は確実に発生する)
確信めいた事を思いながらもブラッドは木箱の中に『銃器や医療品』を入れ蓋をし、釘で蓋をしていった。
(まぁコレで助かる人なんて、数十人いるかいないか程度だろうがな)
彼がしていたのは“セーフハウス”ならぬ“セーフボックス”作りだった。
木箱で安価の木箱を買い、ガンショップや住宅街を回り手に入れた故障した銃器を修理し遠くの山から乱獲して来たハーブや自前の救急スプレーを詰め込む。後は地図やタオル、アンブレラの証拠といった彼が気紛れに思い付いた物資を適当に詰め込み完成した。
後は深夜になったら木箱を地図にマークした場所に設置するだけである。
(フゥ…日曜大工とすら言えないけど、結構疲れるもんだな)ムシャムシャ
三時前という事でおやつ代わりのサンドイッチを摘んでいると…
ユーメーデーオーワラセナイ♪
「ん?」
携帯電話の着信が来たためサンドイッチをフガフガ咥えながらも後ろポケットのケータイを取り出す。
「ふんふん…ゴクン…クレアちゃんからのメールかぁ………ってゲ」
その着信がクリスの妹クレア・レッドフィールドからの物だと認識し一瞬顔を綻ばせるが、メールの文面を見た瞬間顔を顰め直した。
内容は要約すると『兄がどこにいるのか知りませんか?』という内容だった。因みに彼女の兄は絶賛海外へ高飛び(死地)中である。
クリスは今回の一件の一切を妹には話していなかった。因みに酒場でベロベロにして聞き出したら『クレアをそんな危険な目に遭わせられる訳ないだろっ!』と泣きながら言っていた事をブラッドは脳の端で思い出した。
「うーむ…ど、どう答えたらいいんだ?」
頭を捻り何とかこの事態に的確な返事を考えるが、なかなか出てこなかった。
(…ヨシ!当たり障りのない内容にしよう!)
思考停止し『いやー俺も最近見てないんだよねー』という皆のメールを送り返……
「あっそうだ折角だし例のマップも送っとこう」
『確かラクーンシティのマップ持ってなかったよね?コレあげる!なんかあったら印の場所行ってみてね!!』と追記し送信した。
「…まぁ行動力の化身のような彼女でも、不穏なニュースばっか流れてる
サンドイッチによって適度に満たされた腹を撫でながらも、彼はそうしんみりと夢想した。
《確認》
【洋館事件から少し経った後】
「フムフム…ハンドガン80丁にショットガン50丁。アサルトライフルが30丁でそれぞれの弾が数千ダースと少しに、テーザーガンとスタンロッドが充電器合わせてそれぞれ100個で警棒が全職員分………戦争の用意かな?」
ラクーン市警の武器庫にて武器の在庫を確認していたブラッドは呆然とした様子でそう溢した。
確かに『武器の増加案』を出したのはブラッド自身だが、精精武器が数丁増えるのが関の山だとタカを括っていた為、この有り様には度肝を抜かれた。
「一体なんだってこんな様に……」
「そりゃあ、役に立ったからだろう?」
「……おっ誰かと思えばまたまたS.T.A.R.S.認定試験に落ちたケビン・ライマン先輩じゃないですか」
「ほほう?S.T.A.R.S.所属にも関わらず一般勤務警察官に射撃技術で負けてるチキンハート君がなんか言ってやがるぜ」
「………………」
「………………」
「…止めよう。虚しくなって来た」
「だな。喧嘩するのは酒場だけで充分だわ」
互いに数秒睨み合うもすぐさま無益だと察し、いつもの気軽なやりとりに戻った。
ブラッドに話しかけて来た彼の名前は【ケビン・ライマン】射撃の腕はジルやクリス、果てにはウェスカーやエンリコを凌ぐ署内No. 1の実力を誇るが、いい加減な性格や態度が災いし遅刻や無断欠勤が多い為。これまで二度S.T.A.R.S.の試験に落ちた悲しい男である。
ついでに言うとブラッドとは酒をよく飲む飲み仲間でもある。
「…それで?『役に立った』ってのはどうゆう事なんだ?」
「あぁいや…ほらお前も知ってるだろ?最近よく出没する【食人鬼】の話さ」
「………ッ」
「ん?おいおいどうした。顔色が悪いぞ?」
「い、いや…大丈夫だ。続けてくれ」
一瞬洋館での悪夢がフラッシュバックしたブラッドだがなんとか飲み込み、ケビンに続きを促した。
「おう。それで彼奴らを射殺したり拘束したりする為に武器の需要が激増してな。お前が主導した例の署名の後押しもあって、今はこんな有様って訳さ」
「なるほど……」
「いやーお前には感謝してるぜ。あの署名がなかったら絶対今頃マリア様の元に行ってる奴も多いだろうからな!」
ハッハッハッハと笑うケビンの横で何となくでとった行動がいつの間にか大事に膨れ上がっていることに少し驚きながらも、『殉職者が出ていない』ことにブラッドは深く安堵した。
「そりゃあよかった。気紛れでも先導した甲斐があったってもんだ」
「だな!ブライアンの野郎も上がる経費と実績の書類を交互に見て震えてやがったぜ!いやーアレは傑作だった」
「あ、それは見てみたかったな」
《警告》
【洋館事件から少し経った後】
「マービン警部補」
「ん?あぁブラッドか。もう体はいいのか?」
「えぇ。もうすっかり」
「ウェスカーやジョセフの件は…残念だったな」
「……そっすね」
ラクーン市警のエントランスでは、噴水の近くでマービン・ブラナーとブラッドが缶コーヒー片手に挨拶を交わしていた。
ブラッドはやる事がなかった為何となしに警察署へ来たが、そこで昔面倒を見てもらったマービンがいた為声をかけた形となる。二人はしばらくの間和やかに会話していたが、話す事が粗方終わった後に。急に神妙な顔となったマービンが話し始める。
「所で、お前達の言っているアンブレラの陰謀の話は……」
「やっぱり、信じられませんか?」
「…それは」
「まぁそうだろうとは思いましたよ。俺でも話してて信じられませんし」
「……………………」
「――まぁ、資料には目を通しといて下さい。暇潰しの、SFホラー小説程度には読み応えがあるはずですよ」
「…わかった」
「……帰ります。話したいことは話せましたし」
「送っていくか?」
「平気です。これでもS.T.A.R.S.メンバーですよ?そのらのチンピラよりは強い」
そう言い会話を打ち切ったブラッドはベンチから腰を上げると、少しフラフラしているがしっかりとした足取りで警察署から出て行った。
………すまん
そんな微かな声を背後で聞き取り、その言葉に後ろ髪を引かれるように一瞬止まるが、また再び歩き出した。
「ハハッ。気にしてませんよ」
返答のような、独り言のような声は。彼が思っているよりも掠れていた。
《取材》
【ラクーンシティバイオハザード発生前】
「特集!恐怖の洋館事件!!」
本誌はラクーンシティ市民の間でまことしやかに囁かれている【洋館事件】の真相に迫る!取材を受けてくれるのは【洋館事件】の自称生き残り。B・V氏だ!
記者兼インタビュアー: アリッサ・アッシュクロフト
――それでは、取材を開始させていただきます。
B氏「分かりました。所でこれってどこまで話していいんだ?」
――話していい…とは?
B氏「いや、自分で言うのもなんだが結構荒唐無稽な内容だぞ?全部真実ではあるが。雑誌は本当だと思い込ませてナンボだろ?」
――その点については問題ありません。どちらかというとオカルティック方に載せるので
B氏「…あっそう。じゃあ話すぞ」
――お願いします。
B氏「事の発端は俺の所属している部隊とは別の特殊部隊が、山中で失踪したことから始まる――――
〜男性女性会談中〜
――以上で取材は終わりです。ありがとうございました
B氏「此方こそ。荒唐無稽な与太話に応じてくれてありがとうございました」
――…底意地が悪いって言われたことない?
B氏「ハハッ。バレたか」
以上で取材は終了。最後まで陰鬱げに話してくれたB氏に感謝!
ラクーンプレス社掲載
「おおう…ある事ないこと書かれてやがる。やっぱ雑誌はクソだな!」