あ、あと今回試験的に脚注を付けてみました。
■月○日②
あの後黒い大男と一緒に地面へ向かってランデブーして行ったジルさんを、俺は追おうとしたのだが、それは叶わなかった。
勿論俺が自分可愛さに仲間を見捨てるクズ野郎だから…というわけではなく。ただ単にジルさんを迎えに行こうとしたところ
上を見上げるとどうやら俺の事を上空のヘリがスポットライトで照らしているようだった。
最初は追加の救護ヘリかと思ったのだがどうやら違うようで、俺に向かって棺桶のような、真っ黒い円柱型の物体を投下して来やがった。
脇目を振らずに全力で跳んだのでペシャンコにならずに済んだが、もし回避できなかったらと思うと…ゾッとした。
文句の一つでも言ってやろうと上空のヘリに目を向けたが、そのヘリに刻まれた
そのヘリのロゴはまるで傘を思い浮かべる八角形で、一つ一つの三角形には赤と白と交互にカラーリングされいた。
そのロゴは『自分の傘下の物を守る』ようにも見え、また『後ろめたい事をその傘で隠している』ようにも見えた。つまりは……
【アンブレラ】である。
一般市民だったら救いの蜘蛛の糸とでと思ってヘリか投下された物体に縋るのかもしれないが、俺はそうはいかない。数日前のエンリコからの連絡を思い出しながらも俺はヘリに見えないようにしながらアサルトライフルをリロードした。
『どうやらアンブレラはS.T.A.R.S.の生き残り――つまりは私達を殺そうと躍起になっいるらしい。注意してくれ』
あんな言葉を言われてアンブレラに対し無警戒で居られるほど能天気ではない。
ヘリから重機関銃が飛び出て来ても不思議ではないので警戒していると、ふと隣の黒い物体から『プシュー』という空気が抜けるような音が発生した。
隣を見ると黒い棺桶――というより
中から出て来たのは、先程まで戦っていた黒い大男に勝るとも劣らない体格をした。真紅のトレンチコートを着込んだ一角の
そいつはヘリの方を見上げると何事かを察したかのように俺の方を向き、次いでを拳を天へ高々と振り上げ俺へと振り下ろした
…何故だろう。最近よく『振り上げ』と『振り下ろす』という単語をよく見かける気がする。
そんなアホな事が脳裏を過ぎったが、目の前に迫る高速の拳をなんとか避け距離を取る。因みに奴が拳を振り抜いた地面には深いクレーターが出来ていた。んな強力な打撃を成したにも関わらず二撃三撃と繰り出される連打を軽いフェイントを織り交ぜながら躱していく。
あの鬼のような奴から繰り出される攻撃は苛烈かつ強烈だが、動き自体は素人のそれだった。路地裏のチンピラにも劣るような『駆け引き』の引き出しの少なさは、確実に俺と奴との間にある
これなら大男によって付けられた傷を加味しても逃走は可能だと判断した俺は腰の閃光手榴弾をぶん投げ鬼奴と未だ上空でホバリングしていたヘリの目をつぶし、その間に立体駐車場から数メートルしか違わず、さらには高さも大して変わらないショッピングモールの屋上に飛び乗りそのまま逃げ去った。
…先ずは大男にやられた傷の手当てをしなきゃいけない。何処かに落ち着いて傷の修復ができる場所はないだろうか?
「…特殊な奴が居ないのはプラスだが、数が居るのも考えものだな」
そういうブラッドの足元には、通常のゾンビ の死体が山の様に積み重なっていた。
こうなった経緯は至極単純。街中にいた負傷した人々の治療を行なっていると血につられたゾンビ たちが殺到ブラッドは『ここは俺に任せて先に行け』といいフラグを回収する事なく殲滅。狭い路地裏なら兎も角広い一本道であった為特に苦戦する事なく周囲のゾンビ を一掃した。
(こんな事なら銃器とかよりもスプレーとチャッカマンで即席の火炎放射器でも作った方がよかったかもな……)
そう思いつつも歩を進める。現時点のブラッドの目的は大男にやられた傷の手当てである。怪我自体は皮膚が青くなっておる程度で、ペースト状に擦ったグリーンハーブを患部に塗りつける*2だけで済む様な傷なのだが、ここでブラッドの重武装が尾を引いてしまう。
一人での着脱が可能な程度の装備ではあるが着るにも脱ぐにも一定の手間と時間が必要であるため、ゾンビの蔓延る大通りや街中では回復のために患部である地肌を晒すことが出来ないのだ。
なのでせめて屋内でできないかと建物を探すのだが―――
(ダメだな。大体の建物がゾンビが多いし何より
ホームパーティーのような状況になっている店やレストランを見ながらため息をついていると、ふと視界の端に巨大な十字架が見えた。
「教会か…よし!行ってみるか」
少ししょぼくれそうになっていた己を鼓舞するように大声を張り上げ、教会へその足を向けた。
武装員移動中…
無事教会前へ辿り着いたブラッドは、少し緊張した雰囲気で教会のドアを叩いた。因みにブラッドは特定の宗教には属していない無教徒タイプである。
「誰かいるかー?」
ギィィ…という老朽化ぎ目立つ音をたてるドアを開き、中へ入る。先ずブラッドの目に入ったのは……
「フム。こんな時にここに来るとは珍しいな」
聖職者特有の白くヒラヒラとした服を着た老神父のゾンビの死体と…
「待て。あんたリッカー倒したのか?」
ブラッド自身も遭遇し、初戦時には死すら覚悟したB.O.W【リッカー】の
「これはリッカーというのかね?成る程、確かに長い舌だったな」
血がついている両手を手拭きで拭いていた黒い服をきた日系の顔立ちをした神父だった。
「えーっと…俺の名前はブラッド。一応このラグーシティの警察機関の特殊部隊S.T.A.R.S.に所属している。――今は謹慎中だけど」
「これはこれは、丁寧に……私の名前は。まぁ【コトミネ】と呼んでもらいたい」
「分かった。コトミネ神父…でいいのか?」
「あぁそれで構わない」
ブラッドと謎の若神父『コトミネ』は向かい合って自己紹介をしていた。因みにブラッドの傷はコトミネの快い快諾によって得られたスペースでの治療により完治済みである。
如何にも『怪しい』という概念が服を纏って歩いているようなコトミネだが、ブラッドは一応一定の信を置いていた。理由は二人が出会った直後の一幕である。
『済まないが、飲料水か何かを持っていないか?』
『喉が乾いてるのか?まぁあるからどうぞ――』
『あぁいや、私が飲むわけではないのだ』
『え?じゃあなんで――』
『ここにいる神父様の遺体を、清める為だ』
『………………………』
『阿呆な願いだとは自覚している。だが、どうか頼む』
『…どうぞ。まぁここに不衛生なソレは似合わないだろうからな』
『感謝する』
そういいブラッドが差し出したペットボトルの水で神父の遺体を清めるコトミネの姿は、服装や態度、腐った目である事を除いても立派な【聖職者】のソレだった。
(少なくとも悪い奴では無い…と信じたい)
そう思いつつもコトミネを見ながらもブラッドは内心彼に対し確かな恐怖心を抱いていた。
少なくとも彼の知っている中であのリッカーを素手で撃破できる人物は初めてで*3、はっきり言って【未知との遭遇】を思い浮かべていた。
「フム…どうやら警戒されているようだな」
「まぁそりゃあな…リッカーって素手で倒せるような相手じゃ無いような気がするんだが」
「…私は東洋の八極拳を習っていてな。肉弾戦には多少自信があるのだよ」
「そのハッキョクケンって凄いんだな。街から脱出したら習ってみるか……?」
「私のようにはなれないと思うぞ?」
「……そうかい」
可もなく不可もない会話を続けること数分後、二人は自然と別れることとなった。
ブラッドは勿論街からの脱出と自負との合流。コトミネ自身も独自の目的があるようで、ブラッドからの同行の提案を丁重に断っていた。
まずは面の路地までは一緒に行くことになった二人は、肩を並べて歩いていた。
ガチガチに武装したブラッドと、引き締まった肉体をしているとはいえ聖職者の格好をしたコトミネがともに歩いている様子はひどく
そのまま歩き続け表に出た二人は自然とそのまま別れる流れとなったが……
「…む?」
「どうしたんだ?忘れ物でも?」
「…イヤ。向こうから何かが走ってきているようだぞ?此方――というより、
「――まさか……コトミネ離れろ!」
ブラッドはコトミネを庇うように前へ飛び出しリロードを済ませた【Steyr SSG 69】を構える。
すると遠くの方からではあるが、軽い地響きが鳴り響いていた。イヤな予感が現実味を帯びてきて軽く青ざめたブラッドは腰から単眼鏡を取り出し、地響きと砂煙を起こしている張本人を見遣った。
「…しっつこいなぁ!」
それが
大抵の弾丸が鬼のトレンチコートや顔面に着弾するが、大したダメージでもないと言うように加速し始めた。
「いい加減…くたばれよ!」
直接叩き込んでも効果がないと判断し、ブラッドは鬼の周囲の廃車…特にガソリンが漏れている車へ向かって集中的に発砲した。
ドガンッッッ!!!
結果大爆発。赤だか黒だかオレンジだか分からない爆炎が上がり、ブラッドの視界を極彩色に染め上げた。
「――
オイやめろ
「………ガァァ!!!?」
爆炎から飛び出してきた鬼によって、ブラッドは思いっきり吹き飛ばされた。
近くにあった車に叩きつけられ、思わず肺の中の空気全てを吐き切った。
「…グフッ……ハハッ!」
砂埃が晴れた先にいたのは、鬼が両足と片手で華麗な三点着地をしている光景だった。
「…Whoo! Superhero landing! You know, that's really hard on your knees.*4」
思わず最近見た映画のセリフを吐きながらも、彼の体はなかなかにボロボロだった。
(これ下手すると骨にヒビ入ってるかもな…)
そう思いながらも、ブラッドは手元に転がっていた【サムライエッジ】を持ち、鬼へ向け発砲した。
『………………』
此方に気付いた鬼がゆっくりとした足取りで此方へ向かって来る。
(…来いよ。射程範囲に来た瞬間ドガンだ!)
ブラッドはいたずらに発砲したわけではない。
己のリュックサックに詰め込まれた大量の手榴弾で、自分諸共鬼を消し飛ばそうと画策した。
(…ジルさんには悪いことしたなぁ)
彼に満ちるのは揺るぎない決意と、ほんのちょっぴりの後悔だった。
そんな事を思いつつも、彼が射程範囲に収まりに来た鬼を見つめ手榴弾を起爆させようとピンを引っ張り――
「おっと。流石に神父の目の前で死ぬのは感心できないな」
「……………なっ」
――きる前に、その手はコトミネによって止められた。
「なっ、ななっ……」
「おや、随分と面白い顔じゃないか…愉悦」
「あんたまだ逃げてなかったのか!?」
「当然だ。迷える仔羊が目の前にいるのに導く神父が逃げるとでも?」
「フツー逃げるわ!つーかあんたにはあの化け物が見えてないのかっ!?」
「ん?いやいや見えてるとも、あそこにいる大男だろう?何とも恐ろしい事だ」
「だったら逃げろ!」
「なぜだ?」
「…ッ!俺は警官だ!市民を守るのが仕事なんだぞ!!」
「……『私は神父だ。一人間であるキミは見捨てない』」
「あーもうっ!
「……ほう?」
最後のブラッドの台詞に、少し面白そうに口を歪めたコトミネは、ゆったりとした動作で鬼に対して向き直った。
「それでは。私があの化け物と対等だったらいいのだね?」
「――そうだな!その通りさ!!できたらの話でな!!!」
「フム」
そう言うとコトミネは、徐に地面に足を振り下ろし――
ズシン
地面を揺らし――
「フゥ………」
息を吐き――――
「フンッ!」
鬼を、化け物を
「へっ……….?」
理解が追い付かないとばかりに目を白黒させるブラッドに対し、コトミネは手を差し伸ばし。立ち上げらせた。
「そう言えば、フルネームは伝えていなかったな」
そう言うとこれ見よがしに十字架を持ち、名乗った。
「私の名は言峰綺礼。*5宜しく頼むぞ」
因みにこの神父さんはSN時空ではなくどちらかというとCCC的な神父です。
今後の展開
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テラグリジア・パニック事件(リベ0)
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アシュリー・グラハム救出作戦(バイオ4)
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リクエスト(書くかどうかは内容次第)