「…君も立ち上がってはどうだ?“一般市民”が“化け物”に応戦しているこの状況。“警察官”は見逃すのかね?」
「んな“無辜の一般市民”がいてたまるか…」
言峰が差し出した手を握り、いまだに困惑気味の声を出しながらも立ち上がった。
「あーっと…取り敢えず一緒に戦ってくれるって事でいいのか?」
「その認識で構わない。それに…あの化け物を打倒することは、私の“目的”とも一致する」
「因みにその“目的”を聞いても?」
「“守秘義務”があるのでな。黙秘権を行使しよう」
「…まぁ追求はしないでおくさ。命の恩人だしな」
鬼*1は受けた傷以上に『自らが吹き飛ばされた』事に衝撃を受けたのか、しばし放心していた。
「さっきぐらいの攻撃ってあとどのくらい出来る?」
「フム?アレが私の“通常攻撃”だが?」
「――前衛を頼む。アイツの攻撃を引き付けてくれ、俺は後ろから援護射撃する」
「了承した。精精拳で語り合うとしよう」
そう言った言峰は人間とは思えない程のスピードで鬼へ向けて直進して行った。先程の殴打と合わせて信じられない光景に目眩を起こしそうになるブラッドだが……
「…成る程、あれがジャパニーズニンジャってやつか」
そう思う事で自信を無理矢理納得させた。
「っとと、こうしてぼうっとしてちゃいけないな」
援護射撃すると言った手前しないわけにもいかなくなったブラッドは、近くに転がっていた【Steyr SSG 69】を回収。無理して保持し続けず直ぐに手放したことが功を奏したのか、部品や機構に故障は見受けられなかった。
「よし。それじゃあ援護を……って言ってもなぁ」
先程の戦闘から分かる通り、彼が使う狙撃銃【Steyr SSG 69】の弾丸【7.62mm×51 NATO弾】では効果が薄い事が先程証明されてしまった、
(…どうしたもんか)
服の縫い目や、顔面でも目や口といった急所中の急所を狙えば違うのかもしれないが、棒立ちなら兎も角。今鬼は言峰と戦闘中で、大きく体を動かしている最中だった。
少なくとも彼に近接戦闘中の大男をヘッドショットできるほどの腕前はない。
「まぁ背後とか側面に回って射撃すればいいだろ」
先程花壇から毟ってきたハーブを気付けの酒がわりに噛み締める。生薬特有の強烈な苦さと青臭さに顔を顰めるがお陰でブラッド確実に目を覚ます事が出来た。
(…よし。行くか!)
狙撃銃を背後へ格納し、代わりにアサルトライフル【M4カービン】を取り出し言峰の方へと駆け出した。
■月○日③
そうゆう訳で、俺は気合を入れ直して戦闘現場へと向かった……そう、向かったのだ。
あの時の俺は間違いなく気合に満ち溢れていた。
明確な目標も、それを実行する為の決意にだって満ち満ち溢れていた。
そう、そうなのだ。そうなんだが…………
戦いの規模がデカ過ぎて中々介入出来なかった。
いや拳の激突でさも当たり前のように大地を砕かないでほしい。初めて見たぞ激突の衝撃で広がる衝撃波とか
なんかもう常識とかそうゆうのが音をたてて崩れ去っているような気がする。あと口調が変になってる。具体的に言うとキャラ崩壊してるわオレ
それでもなんとか援護しようと、彼らが戦っている真正面を避けて前術の通り背後や側面からの攻撃を敢行したが、やはりと言うかなんと言うか、あの鬼相手には豆鉄砲ぐらいしか効果がない。
手榴弾の類なら怯ませることをできるかもしれないが、それは今も拳を振い続けている言峰ごと吹き飛ばす事になりかねないので出来なかった。
仕方ないので、首筋などの神経が集中していそうで尚且つ“当たったら『煩わしい』と思わせられる”箇所へ向けて発砲し、ふと此方にヘイトが向いたら煙幕手榴弾や閃光手榴弾で見失わせるという。言峰へ向かうヘイトを多少分散させる程度のことしかできなかったのは『できらぁ!』とばかりに啖呵きった身としてはこのザマなので大変誠に遺憾だった。チクショウ
俺が言峰と鬼の戦闘…というか闘争を見ていると、言峰の強烈な蹴りが鬼の頸椎を捉え行動を止めた。
『…ほう。私の蹴りをもってしても、事切れぬか』
『――フム』
少し考え込むような顔をした言峰は、俺に向かってこう言った。
『少し下がっていてくれ。そこだと
そう、
『感謝する』
そう言うと、言峰は深く息を吸い込み始めた。
これだけだと先程の拳打と同じ予備動作に見えるかもしれないが、今回のは違った。
なんというかこう、
先程の拳打の呼吸を普通の…普段から意識せずにやっている呼吸と考えると、言峰が今やっているのは深い深いため息の様な長さだった。
あとなんか言峰の付近の空気が曲がっている。
『…本来は私の技ではないのだがね。まぁ“同門”ではあるのだ。許してくれるだろう』
息を吸い、そして吐き切った言峰はこれまた目にも止まらぬ速さで一気に鬼へ近づくと、思い切り地面を踏みしめる。
『…“我が拳は
そう…『これで終わりだ』という宣言をした言峰は、爛々と目を光らせその一撃を放つ
『“七孔噴血”撒き死ぬといい』
ズ……ドンッ!!
軽い一言から放たれた一撃は、確実に鬼の心臓を仕留めたらしく。鬼はゆっくりと地に沈んでいった
てっきりこの後スーパー化*2するかと思ったが、そのままピクリとも動くこともなかった。言峰曰く『心臓とかそこら辺の臓器機能を完全に停止させたから』と言っていた。なんかもう慣れた。
「成る程、どうやら完全に生物学や科学のみで出来たもののようだな…ところで、君はこれの正体を知っているのかね?」
「知ってるっつーか…知りたいか?」
「あぁ、私の目的にも。これも知識は必要でね」
「いや、でもなぁ…」
「では、君の命を助けた対価としてならどうだ?」
「……それ言われちゃ言わざるをえないな」
「フッフッフ…」
「なんの笑い声だよ…ソイツは恐らく、アンブレラの最高最悪の別名“究極のデキソコナイ”【タイラント】のバリエーションだ。」
「成る程。できればどの様な手順で開発されたのか聞いても?」
「――アンブレラが開発した人を怪物に変えるt-ウィルス*3を感染させる事によって作る。俺はそれしか知らない」
「そうか…それでは最後に」
「なんだ?」
「“オド”や“マナ”、それに“魔術”という単語に聞き覚えは?」
「…?ないな。オカルトの話か?」
「――いや、知らないなら結構。助かったよ」
そう言うと言峰は踵を返し、そのまま歩いて行った。
「…なぁ言峰!」
「…なんだね?」
相変わらず胡散臭げな笑みを浮かべる言峰に向かってブラッドは声をかけた
「そんなに強いんだった…無理にしろとは言わないから。せめて目についたやつは助けてやってくへないか?」助けてやってくれないか
「!――フフッ……無論だ。私は神父だからな」
そう言うと、言峰はその場で高く跳躍し、夜中の街へと消えて行った。
「…一体なんだったんだか」
夢か現かの境界すら無くなりそうな非現実的な戦いに、ブラッドは軽く目眩を覚えつつもその場を後に――
「あ、一応木っ端微塵に吹き飛ばしとくか」
――する前に、アンブレラに再利用されないように鬼の残骸を爆破解体するためプラスチック爆弾を仕掛け。近くの車から回収したガソリンをたっぷりと振り掛け後に天高く手榴弾を上空にぶん投げ、ブラッドもその場を後にした。
ドゴーンッ!!!
「「フム、派手に過ぎたか*4」」
これにて外道神父とはお別れです……え、中途半端だって?そりゃこのまま言峰同行させたら原作まんま描くより大味に…あぁヤメて!石とトマト投げないで!トマト祭の季節はまだだしジョークも言ってない!!
…と言うのはさておきこれからは原作モードです。
クロスオーバータグ「オヤスミー」
今後の展開
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テラグリジア・パニック事件(リベ0)
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アシュリー・グラハム救出作戦(バイオ4)
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リクエスト(書くかどうかは内容次第)