■月○日⑩
病院に着いた俺とカルロス、そしてタイレルは病院の門の前で倒れていたジルさんを発見した。
軽い血液検査を行なったが、なんとt-ウィルスに感染していた。
……俺達S.T.A.R.S.は全員が大なり小なりt-ウィルスの耐性を持っている。あの地獄へ招待した運命とやらからのギフトなのかはしらないが、俺やクリス、そしてジルさんはそんじょそこいらのゾンビに噛まれても感染することはない。そんなジルさんが感染…かなりの濃度の汚染である。少なくともタイラントレベル……。
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とまぁ深刻そうに書いたものの、その後俺は腰にある白いアンプルを迷わずジルさんへ向けてぶっ刺した。
驚くタイレルと「何してんだ!?」とこちらに声を荒げるカルロスを尻目に青いジルさんの顔色はみるみると血色を良くし、勢いよくガバリと立ち上がった――アンプルを刺した俺の頭を強く打ち付ける形で。
『『〜〜〜〜〜ッ!!』』
流石に性別差もあって俺が押し負けることはなかったが不意打ちのような形で食らった俺とジルさんはのたうち回った。
復活した俺はタイレルに事情を説明。「それありゃアレ止められんじゃね?」とテレビ画面を指さすタイレル。釣られてみるとテレビジョンから『政府からラクーンシティ爆撃のお知らせ(超意訳)』というニュースが流れて来た。ニュースによるとあと一日でラクーンを新型爆弾が襲うらしい、流石は我が国。武力行使に躊躇ない。
流石にこんな地獄と運命を共にするのは御免であると、俺達は急いで目的を果たし脱出を図る事にした。
正直ジルさんと合流出来たので俺としてはさっさとバイクなり何なり調達して脱出してもいい。一般市民ならともかくここにいるのはプロの部隊員だし。……しかし人情に厚いジルさんはカルロスの目的に付き合う気満々らしい。『先に脱出してもいいわよ』と言われたが、ここで一人で脱出したらジルさんとお天道様が許してもS.T.A.R.S.(特にクリス)のみんなが許さないだろう。
バイオテロでくたばる前にフレンドリーファイアで死ぬ事となる。HAHAHA
そんなこんなでジルと俺、そしてカルロスとタイレルは病院内で後者二人の確保対象であるバード博士を確保――といきたかったのだが、病院内を駆けずり回り突破したセキュリティの先には死体と化したバード博士と、アンブレラの真実について記されたビデオメッセージに資料である。
ショックを受けるタイレルとカルロスを他所に、俺とジルさんは慣れたものだ。まぁそもそも知ってたし
「ジルが言ってのは本当だったんだな、信じなくて悪かった」
「いいわよ。私が初めて知ったときも信じられなかったもの」
頭を下げるカルロスと気前よく許していたジルさんが印象的だった。・・・・・・まぁその後「これ仮に帰投出来ても殺されるだけじゃ」と呟いたタイレルに対して俺は無言で肩を叩いた。
「――ッシィ!」
『・・・・・・!!』
ラクーン病院の受付場。そこには突如鳴り響いたアラームに群がり集まったゾンビ達のナイトパーティーの様相を呈していた。BGMは亡者の呻き声でミラーボールは今も天井でその存在を強く主張する赤いサイレンである。
そんなゾンビ達の中で一際目立っていたのは。爬虫類のような見た目が特徴的ではあるがジルとブラッドが洋館で出会ったハンターαとは違い、昆虫のような外殻とより爬虫類らしい鱗を持ったハンターβ*1を、その強靱な爪による攻撃を掻い潜ったカルロスの世界を狙える右ストレートがぶっ飛ばしたところである。
だがハンターβは一体だけではない。受付場の物陰に隠れていた二体目が一息つくカルロスの首を刈ろうと走り出す。
「させないわよ!」
しかしどこからか入手してきたグレネードランチャーを構えたジルの榴弾がそれを防いだ・・・しかしそれでもハンターβは未だ複数体存在。ジルとカルロスが知るよしもないが、このハンターβは実戦投入の最終試験として二十体程がこのラクーンシティに投入されたが、その8割弱――おおよそ15体ほどがこの病院内になぜか殺到していた。通常のゾンビもいるなか二人は劣勢になるはずだが・・・・・・
BANG!!
「あー・・・・・・なんか久々に後方支援らしい仕事してる気がする」
『お前狙撃手だったんだな、ショットガン持って突撃するからポイントマンかと思ったぜ』
「自分でも自覚してるからやめてくれ」
三階の手すりに腰掛けたブラッドは、座った姿勢で保持した【Steyr SSG 69】で病院外のゾンビと、こちらに向かって走り寄るハンターβを淡々と狙撃していた。忘れがちだがブラッドの本来のポジションはヘリでの輸送や狙撃手を主とした後方支援役である。背に背負われ続けられたいた本来の愛銃はこれまでの鬱憤を晴らすかのような精度と威力を発揮し、亡者と狩人の頭を次々と撃ち抜いていった。
「的を~狙えば~~・・・・・・外さねぇよ?」
αチーム内なら一位のスコアを誇る名実ともに「射撃の名手」であるブラッドは、その能力をフルに発揮し続けて敵を撃破し続けジルやカルロスにかかる負担を減らし続けた。
『カルロス!あとちょっとでサイレンが止まるぞ!さっきヤツで入り口を吹っ飛ばせ』
「了解だ!!」
戦線にこそいないが政府との交渉と病院内のシステムに侵入してサイレンの解除という
「ブラッド!私のことはいいからカルロスに援護!!」
「了解」
ジルからの要請により普段よりも数段低い声で短く返答したブラッドがカルロスに走り寄る集団に向けて腰のポーチから取り出した閃光手榴弾を放り投げ目潰しし足止めをする。
「――っうし設置完了だ!退避するぞっ」
カルロスの報告とともにジルとカルロスはその場から退避。ブラッドも病院内へ舞い戻り受付場にいるのは殲滅されたハンターβの死体と大多数が撃破されてもなお生き残っていた
・・・・・・頭を撃つ抜かれるか、爆発に巻き込まれるか。どっちがマシなのかは本人達にしか分からないことだが。
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「でもって、政府との交渉はどうなってんだ?」
「サンプルがあるってこと自体に疑心暗鬼だったが・・・・・・ブラッドのヤツが持ってたデータ見せたら一発だ。もうちょっとだけ待ってくれるらしい。しかも保護した後は要人プログラムで保護してくれるらしい」
「えっ」
「・・・どうしたんだ?渡りに船だろ」
「あーイヤ・・・ウン脱出した後は別行動しようか俺たち。ねぇジルさん」
「まぁ、そうね」
「どうゆうことだ?」
「シンプルに身動き取れなくなるんだよ。政府に保護されるのは監視されるのと同意義だからな。これで終わりなら飛びつくんだが――俺たちはまだやんなきゃいけないことがある」
強い決意の光を宿した瞳をカルロスに向けたブラッドはそう言い切った。カルロスがふと横にいるジルを見ると、彼女はまたこれまで通り強い意志を感じさせる鋭い目していた。
きっと彼らはこの事件が終わってもその腰の得物片手に地獄に挑んでいくことが容易に想像出来た。
「…まぁ取り敢えず、目先の目標は街からの脱出ですかね。ニコライとか言うのが邪魔なんでしたっけ?」
「そうね、あのクソ野郎は街から出ようとする限り必ず邪魔をしてくると思うわ」
「成る程…まぁ四人もいますし、囲んで叩けば一発でしょう。戦いは数ですよ数」
自身の右手の親指を、左手の人差し指から小指を使ってガッチリとホールドし邪悪に笑ったブラッドに対して、ジルは「元の調子になってきたわね」と笑い返し。カルロスとタイレルは「やべー奴と手を組んでしまったのかもしれない」とタラリと冷や汗をかいた。
「許容時間は夜が明けるまで。俺たちの目標はウィルスワクチンのサンプルの死守と、次点でニコライの排除若しくは無力化です」
ニッコリと笑ったままそう言ったブラッドは各々の準備を進めさせた。戦闘員として派遣されたカルロスとタイレルはともかくとして薄手一枚のジルには職員ロッカーの中にあった革製のコートを羽織らせた。
「
気楽に言い放つブラッドには妙な安心感があったと後年のカルロスは語った。
バイオ8見て意欲がヤバいので巻で行きます。(真顔)