余談だけどTwitterの一部フォロワーに小説の存在がバレました。
復帰したジルを含めたカルロス、タイレル。そしてブラッドの四人は脱出手段を求め病院内にあると記載されていた地下施設を目指していた。
一同はブラッドが事前に持っていたt-ウィルスの治療薬である【デイライト】によって政府からの条件を満たしていたが、それはあくまで爆撃までの時間を先延ばしにしただけに過ぎない。
彼らが生還するには街からの脱出が必須である。
しかし病院はラクーンの中心地にある立地なため、ただでさえゾンビの妨害が予想される陸路での移動は却下。郊外に繋がる川がほぼないラクーンでは必然的に空路になるわけだが、そんな折にブラッドが見つけたのがバード博士の研究室から見つけた【地下施設の地図】だった。
他の3人は「こんな時に地下行ってどうする」と早々に地図を手放したのだが、
丸で囲まれた「H」の記号…即ちヘリポートの地図記号を。
意図せず本職のブラッドと心得があるカルロスという隙を生じぬ二段構えの陣形だった四人は即座に目標地点を再設定し、向かっている最中だった。
「こっちでこっち…んでここの空調施設を【EXIT】の標識がある場所を抜ければ……」
「成る程。地下駐車場の立体駐車場が、実は機械式駐車場だったってオチか」
地図を持ったブラッドとタイレルは時に仕掛け扉時に声紋認証時に使用用途不明の謎解きを解きながらズンズン進んでいた。途中タイレルがハンターβに襲われかけ窮地に陥る場面もあったが横にいたブラッドのショットガンが火を吹き難を逃れた。
「よく考えたらココ【スペンサー記念病院】よね。確かにアンブレラの施設や一つや二つ。あって然るべきね」
「スペンサー…あぁ、アンブレラの創設者か。成る程確かにな」
一方で探索型の二人が次々と謎や道を切り開いているのでヒマしているのが戦闘型――いやまぁジルもカルロスもそれなりに頭の回転が早い部類ではあるのだが、いかんせん前者二人には一歩劣る――の二人である。武力に関しても問題ないため暇を持て余して雑談に興じている最中だ。
「……というか一つ思ったんだが、ブラッドの奴結構若いよな?」
「そうね。確か今年で…19だったかしら」
「19!?」
「別のチームにレベッカって子がいるんだけど、その子を除けばS.T.A.R.S.最年少ね」
「実力は身を持って知ったが…親のコネかなんかか?」
その言葉に、ジルは「ムッ」と口を尖らせた。
「違うわよ。彼元々クレー射撃の名手なのよ?それをエンリコがスカウトした形ね」
「ヘッドハンティングって訳か」
「えぇ。それに『操縦出来るのがクリス一人なのはダメだろ?』って言葉でヘリの免許まで取ってくれた。今ではヘリだけならクリス以上よ?」
「スーパーボーイって訳か……」
誇らしげにするジルと予想以上に奇抜な経歴を聞いて唸っていたカルロス。
「…………あのですねジルさん」
とその時、タイレルと交互に地図を見ていたブラッドが耳を僅かに赤く染めながら二人に振り返った。
「確かにヘッドハンティングされたのは事実ですけどエンリコ隊長にはボロ負けでしたし、ヘリの操縦だって元空軍のクリスがマンツーマンで教えてくれたから出来たことです。俺の力じゃないですよ」
「あらそう?でも努力はアナタの力でしょ」
「あーもう…押し問答ですね。諦めます」
ジルからの言葉が“揶揄い”ではなく“善意と信頼”から来るものだと察したブラッドは舌戦をするだけ恥ずかしい思いをするだけだと察し、目を逸らした。
恥ずかしがっているブラッドを揶揄うためか脇腹を肘で突くタイレルを、ブラッドは少々強く突き飛ばした。
「…いや凄いな。こんな物まであるとは」
そんなこんなで、四人は地下への扉を見つけ昇降機を降り地下研究所へ降り立った。
「いやラクーンってこんかに地下建築盛んだったか……?」
「アンブレラで流行ってたんじゃないかしら」
「まぁ悪の組織っつったら“地下施設”だからな。妥当なんじゃないか?」
緊急時の非常灯のみで薄暗かった地上の病院とは違い、その地下研究所はしっかりと照明が灯っていた。
「取り敢えず地図通りに行ってみますかね」
「そうだな、そうするか」
地下研究所の二階(B0.5階…?)に移動するため昇降機を操作しようとした瞬間――
バチンッ!!
「うおっ」
「ヒューズがイカれた!?」
『ハッハッハッハッハ!』
「!?その声は……!」
小さな火花を伴ってヒューズが爆裂。プスプスと焦げ臭い匂いを放つと同時に研究所一帯の照明が消える。
それと同時にジル――それとカルロスとタイレルの耳に少し聞き慣れた嘲笑が響き渡った。
『やぁジル・バレンタイン、まさかウィルスを克服してここまで来るとは驚きだ。まだまだいいデータが取れそうで安心したよ』
「ニコライッ!」
ジルが叫ぶと同時に視線を上に向け、他の3人もそれに釣られて上を見上げた。強化ガラスの向こう側、そこに居たのは少し白がかった銀髪と狐のような目。そして何より人を小馬鹿にしたような笑みが特徴的なニコライ・ジノビエフ当人の姿があった。
『久しぶりだなぁカルロス・オリヴェイラにタイレル・パトリック。おや?君達には確かナサニエル・バード博士の保護任務があった筈だが……博士はどうしたのかね?』
「しらばっくれるな!お前が殺したんだろうが!!」
「明確な裏切り行為だぞ!?何考えてんだ!」
『ハッ。裏切る?私が?……何も知らないと言うのは罪なモノだなぁ。まぁ懇切丁寧に説明してやってもいいが………』
そこでニコライは一人黙っているブラッドを見遣ると、片眉を吊り上げ矛先を向けた。
『なんと!そこにいるのはジル・バレンタインと同じS.T.A.R.S.のブラッド・ヴィッカーズではないか。お目にかかれて光栄だよ』
「そりゃどーも」
『貴殿も大変だなぁ。ジル・バレンタインは貴殿と離れた後に連携のための行動を取らずチームメイトを放っといての単独行動。部隊員としては落第だ。更には警察官の本分である「市民の警護」すら出来ていない。しかもウィルスに感染した始末と来た』
「――ッ、テメ」
「待ってカルロス」
間接的どころか直接的な原因である自分の存在を棚に上げての物言いに思わず憤怒したカルロスが怒声を上げようとした瞬間。当の本人であるジルに引き止められる。
「――――――」
肝心のブラッドは口を一文字に結び不動の姿勢。目と耳こそは演説じみた中傷を行うニコライを捉えて離さないが、逆に言えばそれ以外は極めて
「おいブラッド!お前も少しは言うことあるだろ!!」
「―――――。」
『ほお、
確かに
「〜〜〜ッ!クソッ」
恐らくこの状況はニコライの話が一区切りつくまで終わらない。そう予感したカルロスは手近な壁を叩き頭を落としたままジルの近くへと戻っていった。
『待たせたな。続けよう』
そこからつらつらと語り出した内容はジルを徹底的に扱き下ろす内容だった。
ラクーンシティの出来事から洋館事件のこと。そして更にはどこから調べたのかS.T.A.R.S.として活動していた頃の内容もあった。そしてタチが悪いのはニコライの話に“誇張”はあっても“捏造”はないことだ。
元よりブラッドの担当は後方支援。災害やテロ、そして彼女の本分である爆弾解除の際などに前線に立つ事が多いジル(とクリス)はその分危機に陥りやすく、またそれを支援するのはブラッドの仕事だった。
良く言えば「フォロー」、悪く言えば「尻拭い」。
当の本人にも思う所はあるのか、ジルはその気丈な目をニコライから離すことこそ無かったが、その拳は微かに揺れていた。
『……とまぁ、こんな所かな?どうだろうか。貴殿としてもより良いモノだったのではないかな?』
「――それで終わりか?」
そう言うとブラッドは「ふぅ」と軽く息を吐き足を軽く広げ右足を少し後ろに下げる。体にかかる体重を片方の足へ集約させ軽くリラックスする形だ。と同時に、彼にとっては普段から使うもう一つの
「それで、
『なんだ、言い足りなかったか?だったらもっとBANG!!!――』
――次の瞬間、ニコライの顔面が粉々になった。
「――急に何だ?」
いや正確には、ニコライの顔面の位置にある
先程までは音響装置を通じての響きような声が、今はニコライ自身の肉声で十分聞こえる程度には風通しがよくなっていた。
ブラッドの両腕には愛銃の【Steyr SSG 69】が握られており、その銃口からは白い硝煙が漏れ出ていた。
因みに先程言いかけた「もう一つの姿勢」の意味は彼が近中距離で銃を発砲する際に取る「立射」の構えである。如何にも「話を聞き疲れた
「さっきから黙って聞いてれば、何だお前」
スコープから目を離したブラッドの口から放たれたのは先程の異常な行動とはあまりにもかけ離れた
「――巫山戯るなよ?」
しかしその声音は、聴く人全てに威圧感を与えるような憤怒に彩られ、カルロスやタイレル。そしてニコライでさえも顔が強張る。
「市民を守れなかった?それはお前の仕業だろう。ウィルス感染した?原因であるネメシスを誘導したのもお前だ」
ニコライが言った一言一言に反論するように、ブラッドはゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「洋館事件での危機?あんなの予測できてたまるか。俺と合流しない?通信系はどれもお釈迦だったし、ジルさんの行動のおかげで俺は合流出来た。」
「作戦中の援護?アレは任務で、俺の仕事だ。ゾンビになり掛けの死に損ないにトドメすらさせない臆病者?ハッ――覚えとけ」
「ジル・バレンタインは確かにゾンビになる可能性がある人間を終わらせてやれない『お人好し』だが、お前みたいな外道相手にも躊躇う程『慈悲深く』はないぞ?」
「――――そうか、覚えておこう」
強い視線を浴びせるブラッドに耐えかねたようにニコライは少し早足でその場を後にした。
「ッチ、やっぱ撃ち抜けなかったですね。これだったらジルさんのグレネードランチャーのマインスロワー弾で「ブラッドォォ!!」おおお!?!?」
ブラッドが振り抜き3人を方を向こうとした瞬間。彼の目の前に広がったのは3人の仲間と暗くなった地下研究所ではなく視界一杯の
「お前っ!冷淡な奴だとは思ってなかったがお前…お前えええええええ!!」
「えっえっえぇ!?なんだよカルロス離せって……ジルさんも助けて下さいよっ!」
「…ごめんなさい、今は無理そうよ」
「チームメイトに恵まれたなジル」
泣きながら怒るカルロスに困惑するブラッド。手の甲で顔を隠し天を仰ぐジルに爽快げな顔をするタイレル。
彼らがこの後無事替えのヒューズを見つけ、昇降機を再起動したのは言うまでもないだろう。
【今週のビ○クリ○ッキリメカ】
はいやってまいりました今週のビ○クリ○ッキリメカのコーナー。司会進行とレポートを取るのはブラッド・ヴィッカーズ、ブラッド・ヴィッカーズですどうぞよろしく。
さて今回のコンセプトは【強力な獣(B.O.W)に確実にダメージを与えるトラップ】。依頼者はジル・バレンタインとなります。
ジルさんがいうには己にウィルスを注入した変異した怪物(写真を拡大した所コートの端にネメシスと記載されていた)がまだ生きており、この地下研究所内に自分達と同じようにに侵入している可能性が高い。そのためソイツの足止め、また奴の頑強な皮膚にも問題なく通用する強力なブツが欲しいとのことです。
そんな訳で用意するのは俺たちよりも前に突入したと思われるどこぞの特殊部隊が遺したと思わしきラペリング用のワイヤーと縫合用のちょっと太めの糸。そしてトラップの本体となる手榴弾です。
まずは此方の糸と手榴弾をチャチャッと繋いで糸を引っ張るだけでピンが抜けるようにします、コレでお手軽高火力の完成です。
次にワイヤーと手榴弾に繋げた糸をダクトテープでしっかりと連結させます。
最後にワイヤーの端と端をターゲットが通りそうな場所にコレまたダクトテープで固定します。流石日曜大工にそのまま流用できるダクトテープだなんともないししっかり固定させてるぜ!*1
これで「対象に複数個の爆発物を一気に浴びせる高威力のワイヤートラップ」の完成です!
………え?「それだとターゲットが掛かる前に普通のゾンビやハンターが引っ掛かって無為に終わるんじゃないか」って?
チッチッチ♪ 此処までは対人にも流用できるトラップ、こっからがB.O.Wに特化した工夫よ。
そもそも疑問に思わなかったか?「なんでワイヤートラップの
理由は俺が使ったワイヤー、前述の通り鍛え上げられた軍人+装備の重量を楽々支える立派な物だ。人間一人が引きちぎれる代物じゃない。それこそ車にも負けないような膂力の持ち主じゃない限りはないはな。
ハッキリ言うとこのトラップ。ゾンビやハンターそして俺が引っかかったとしてもワイヤーとダクトテープの耐久性が高過ぎて
つまりこんなトラップを機能させられるのは野生のクマか
そして最後に、この地下研究所には件のネメシス以外の巨大B.O.Wはいない。
命名【キミだけが切れるゴールテープ】
因みにゴールテープの先は生命的な意味ではないとは無きにしも非ず。
そしてビ○クリ○ッキリメカは作るだけじゃダメだ。実際に仕掛けてその効果を確かめるまでが【今週のビ○クリ○ッキリメカ】なのだ。
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「オーニさんこっちら!手ーの鳴ーるほーうへー!!!」ガシャン!!
『GAAAAAAAAAAAAッ!!』
ブラッドがそう言い放ち、『パンパン!』と一拍分の手拍子が終わった瞬間隔離壁が完全に落ち切る。
哀れブラッドのビッ○リドッキ○メカによって機動力の要である足を潰され、またトラップ起動時の爆音によって奇襲すら出来なかったネメシスくんの困惑とも激昂ともとれる咆哮は、隔離壁越しの四人の耳にもシッカリと届いていた。
「ハンッ!デカけりゃ強いんだったら人間サマはここまで栄えてないんだ!!有史以来人間は生粋の
「「「………………」」」
勝ち誇ったように中指を隔離壁越しのネメシスに向けるブラッドに対して3人が思ったことは一つ。
(((色々と台無しだぜ/よ)))
ニコライとの遭遇時に見せた顔と現在の顔。どちらがブラッドの“素”なのか分からなくてなった3人だった。
A.両方とも“素”です。
評価、感想お待ちしています!!
追記: UA30000突破しました。これからも頑張ります