ノーブル・ブラッド   作:korotuki

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バイオRE:3編最終話です。ニコライ関連でやりたいことは前話でやりきったので今回で終わらせます。短いし内容も薄いので最悪読まなくていいです(オイ)


-1998年(バイオ3)-012

■月○日⑩+①

 

 モノの見事にネメシスを出し抜き研究所部分からに到達した。

 テンションがあがりFワードを連発する俺をジルさんがぶっ叩くことによって強制終了(シャットダウン)再起動(リブート)を瞬時に経験し目を白黒させながらも研究所内にあった地図と施設の案内書を捥ぎ取り再びタイレルと共に読み込み始める。

 

 地図の把握は元から得意なのでいいが、問題の施設の方だ。やはりアンブレラの中でも特大に黒い部分を取り扱う為かセキュリティがかなり厳重、電子錠に指紋認証生体認証当たり前らしい。……まぁ緊急時用の全ての扉を解除できるアクセスキーがあるらしいので先ずはそれを作るところから始まりそうだ。

 

 なんだよカルロス……フムフム。「ニコライの野郎は置いてった書類を見る限りウィルス本体よりもジルとネメシスの戦闘記憶を重視している可能性が高い。アイツの思惑通りになるのは気に食わないなんかないか?」だって?

 いやいや俺達の主目的はあくまで【ワクチンを死守しての街からの脱出】だ。んな妙な手間を取る訳には……タイレル?

 

 え?「アイツが自分の脱出手段を用意してないとは思えない。上手くいけば()()でヘリとかの脱出手段が増えるんじゃないか?」

 

 …………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし作戦はこうだ(手のひら返し)。

 

 まずニコライは俺達が“既にワクチンを持っている”という事を知らない。だが“脱出にワクチンが必要”ということは知っている。

 今回はこの情報の行き違いを利用したいと思う。

 

 具体的に言うと今からこの地下研究所でワクチンを作る。

 

 バード博士の研究資料の一部と研究所内のワクチン精製の手順と完成品の写真を見るに、ここで出来るワクチンは教授達が作った「デイライト」のような日光の如き白いワクチンじゃない。寧ろグレープジュースを思い浮かべる………濃い紫色だ。

 

 そしておそらくだが、ニコライがイメージしているワクチンは後者だろう。

 アイツは俺たちより先にこの研究所に辿り着き、尚且つ破棄する前のバード博士の完全なワクチン資料を読む機会があったはずだ。元チームメイトのカルロスがタイレルがこぞって「目敏い」と評価したのならほぼ確定と思っていい。

 

 故に俺たち四人の誰かがこれ見よがしにこの研究所印のワクチンを持っていたら「あのワクチンがアイツらの頼みの綱なのだろう」と思い、あわよくば……と企むはずだ。そこを叩く。

 

 まずは二手に分かれる。仮名Aチームはワクチンの精製を出来るだけニコライに見せつけるように行い、仮名BチームはAチームの後を追いながらも隠密に徹し、ノコノコ出てきたニコライをぶっ潰すという作戦である。

 

 そして最後にそのチーム分けだが――

 

 

 

 Bチームは俺、タイレル、()()()()

 A()()()()()()()()()()()という塩梅で行く。

 

 ニコライは優秀な狩人(ハンター)だ。それはこれまでの行為や出立ちを見れば大体分かる。奴を引き出すのなら、こちらもそれ相応にリスクヘッジを捨て置かなきゃいけない。

 

 ジルさんは納得してくれたし、カルロスとタイレルも納得はしてくれた。さてさて、後はうまく釣れるかどうかだが……………

 


 

「クッ――」

 

 ジルは現在足場の端っこから転落しかける所をなんとかギリギリで持ち堪え、現在己の握力だけで自身の体重を支えていた。

 こうなる経緯としてはネメシスに追われながらもなんとかワクチンを精製。拘束具が外れ成長限界がなくなったことにより一層苛烈になったネメシス改め獣化ネメシスの攻撃を躱しながらも、つい先程廃棄施設も思わしき円形のドームの足場を移動。通り過ぎようとした所で獣化ネメシスが襲来し、人外の膂力を見事に発揮し足場の留め具を破壊しその衝撃でジルは体勢を崩し現在の状況へと陥っていた。しかも悪い事に精製したワクチンは彼女のサイドポケットから零れ落ち現在彼女が掴まっている足場のギリギリで均衡を保っている状態だった。

 

「…おっと、これは何だ?拝見しよう」

「ニコライやめて!街にはそのワクチンが必要なの」

「俺よりもか?…ふん」

 

 そしてジルの目先には不運なことに嫌らしい笑みを浮かべたニコライがいた。ニコライはジルの片方の指を蹴飛ばすと同時にもう片方の指を軽く踏み付ける。ジルは小さく苦悶の声を上げると、満足げな顔をしながらも拾ったワクチンを手で弄んだ。

 

「この俺がせっかく知恵を授けてやったというのにまるで活かしてないとはな」

「お前にとって命とは値段がないものだろう。だが俺はその命で、カネを稼いでいる」

 

 出来の悪い生徒に言い聞かせる様にゆっくりと顔を上げると大仰に手を広げた。

 

「そこで取引だ」

「お前は下で、ネメシスと戦い俺はそれを記録し戦闘データとして売る」

「お前がいいショーを見せてくれれば、俺はワクチンで儲ける必要なくな「じゃあお前がここでどうにかなればそもそも儲ける必要性すらない訳だ」――――。」

 

 言い切る直前にニコライの頭の後ろに冷たいモノが当たる。温かみのある人の手とは違う…殺傷力だけを突き詰めた冷たい「銃の銃口」だと、いつも銃とともに生きてきたニコライは気付いた。

 

「先ずは手を上げろ。その汚い足を離せ、勿論蹴飛ばせば……分かるな?」

 

 カチャリという音ともに有無を言わせぬ強い口調で言われ、ニコライは一先ずジルを踏み付けていた足を退けゆっくりと手を上げた。

 

「私の手にはワクチンがあるが?失えば困るのではないかい」

「ハハハハハ。お前俺の資料も見てたんだろ?――俺は用意がいいんだ。既にワクチンは持ってる」

 

 場のイニシアチブを取るために上げた手に握ったワクチンを見せるが呆気なく一蹴される。

 

(チッ、揺らぎなしか。狂ったな……)

 

 内心で舌打ちをしつつも自分のホルスターにある拳銃とナイフに意識を向けつつ、ゆっくりと手を下げ始める。

 

「言っとくが、仮にお前が変な行動をしたら俺の後ろにいるカルロスとタイレルがすぐさまお前を撃ち抜くことになっている。抵抗しない方が寿命は延びるんじゃないか?」

 

 そう言うと共にブラッドは空いた片腕で角の先を視認する際や反射光で合図を送る際に使用するための小型の手鏡をニコライの視線の端に置くと、その先にはブラッドの宣告通り上階の踊り場とモニター室にそれぞれの銃を構えた二人が油断ない顔でスコープを覗いていた。

 

「――で、俺は何をすればいいんだ?お前達に謝る?」

 

 諦めた様子で要求を聞くニコライ。その瞬間ブラッドは悪どい笑みを浮かべた

 

「あぁそうだな。先ず武装解除……()()()()()()()

「なに…?」

「ところでニコライ。お前ネメシスの戦闘データが欲しいそうだな?」

 

 突拍子もない発言にニコライは思わず目を瞠目させる。

 

「確かに俺の目的はそうだが…いやまてお前はまさか――」

「だったら自分の実体験込みでクライアントに報告出来るモノ取ってこい!」

 

 瞬間ニコライの頭から銃口の冷たさが消えるとともに、背中に衝撃が走り。その足からは地面がなくなっていた。

 

「キッサマァァァァァァァァァ!!!」

「ビデオテープはここに置いとくから回収しとけよー!」

 

 ニコライの断末魔の声に返答すると宣言通りニコライが持っていたビデオテープの録画開始ボタンを押し足場のすぐ脇に置いた。

 

「囮役お疲れ様です。手をどうぞ……っと!」

「ハァー…肝が冷えたわ」

 

 ジルの手を握り上げ足場に復帰させた。

 

「タイレル。五分後に廃棄用の硫酸流す様にしといて」

『ハ?いやそこまでしなくてもいいだろ』

「多分だけどアイツはネメシス打倒するぞ。どちらかと言うと死んだふりが得意なネメシス用だ」

『成る程。そうゆう事なら了解だ』

「あと硫酸流すちょっと前にクレーン下ろして上げるようにも出来るか?」

『?まぁ出来るが…』

「頼む。まぁ強敵倒したら報酬は必要だろ?」

 

 先程までニコライの後頭部に突き付けていた「サムライエッジブラッドモデル」のセーフティをロックしホルスターに納め軽く微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

「……芋虫の出来損ない?」

「それは芋虫に失礼でしょ」

 

 先程の廃棄場を過ぎた辺りで、硫酸で溶かしたにも関わらず再生してきたネメシスが現れた。体の大部分はゼリー状を通り越して半ゲル状になっており、ノソノソとした緩い速度で現れた。

 それは最早進化というよりも退化を思わせる変化だった。*1

 

「いやなんかもう銃とか効きそうにない外見ですけど。どうします?飛べはしなさそうですしほっといて逃げますか?」

「……いや、立ち向かうわ。丁度効きそうなモノもあるわ」

 

 そう言いアゴで指し示した先は、研究所内の兵器資料で見かけた試作大型レールガン【パラケルススの魔剣】だった。確かにあれなら現在のネメシスにも通じそうだった

 

「あーまぁ確かに……っと!?」BANG!!!

 

 賛同の声を挙げようとした瞬間に刺す様な殺気を感じたブラッドは本能のまま上体を逸らすと、一発の銃弾が頬を掠めて飛び去って行った。

 

「貴様だけは殺してやる…!」

「っと、まぁ無事だとは思ってたが……」

 

 現れたのは返り血などで汚れつつも目立った損傷はないニコライの姿だった。

 発砲した拳銃を携えブラッドを見るその目はジルやカルロス達が見知った姿からは想像できない程の爛々とした獣の様な目をしていた。

 

「…カルロスはこっち来てくれ。タイレルは中央エレベーター辿って屋上でヘリ起動しといてくれ」

『ニコライの野郎だな。今すぐ行くぜ!』

『了解だ』

 

 無線機から口元を離すと拳銃と大型ナイフを構えニコライへ目線をやった。

 

「じゃあジルさん。そっちのデカブツを頼みます」

「了解!貴方こそ頼んだわよ!!」

 

 互いに互いへ“託す”と、二人はそれぞれの敵は向き直る。片や一夜から始まった因縁に終止符を打つ為、片や仲間を侮辱した外道に制裁を下すため。ジルはパラケルススの魔剣を構え、ブラッドはサムライエッジをニコライへ向けた。

 


 

■月○日⑩+②

 

 ハッキリ言おう。ニコライ滅多クソに強かった。

 シンプルに総合力が高いし一見怒り狂っていた様に見えたけど実際はかなり冷静で、仕掛けたフェイントは大体無視されるか逆にフェイントされ返される場面もあった。

 

 カルロスの助けがなかったら……勝率はおおよそ三割と言った所だろうか。流石は秘密任務を任せられた奴とでも言えばいいのだろうか。前述した通り飛ぶ様に現れたカルロスの不意のラリアットによって沈めたニコライを拘束し、その後ジルさんもネメシスを完膚なきまでに滅殺したのも確認した。いやレールガン口にぶち込んでゼロ距離で撃つなんて相変わらず変な所でエグい人だ。

 

 ニコライの命乞いを無視して(ジルさんの「そのぐらい自分で明かして見せるわ」という発言には痺れた)屋上へ行くと、タイレルがヘリのプロペラをあっためながら待機してくれていた。

 側にはニコライの脱出用であろう小型ヘリもあったが、元々あった方が四人乗りであったので無視して乗り込んだ……操縦桿を握るのはもちろん俺だ。

 

 …………資料映像と、戦争映画で見たことはあったが。まさか「街一つが新型ミサイルで吹き飛ばされる」シーンを生で見るとは思わなかった。衝撃波も中々だったが、あの程度なら俺にとってはそよ風に等しいものだったので問題なしだ。

 

 取り敢えず、これからどうしたもんか。アンブレラの陰謀を砕くための活動は今後やめる気は勿論ないが、まさかこんなに早く街から出る羽目になるとは思わなかった。今クリス達はヨーロッパに居ると聞いたがセーフハウス空いてるか?生活空間の確保って意味ならスイスにあるバリー家を訪ねてもいいけど………

 

 まぁ取り敢えず言えるのは「俺たちの戦いはこれからだ」ってことぐらいか。

*1
二足歩行の通常形態から四足歩行の獣化形態、そしてアメーバのような這いずりをする最終形態。戦闘能力って意味なら進化かもしれませんけど生物学や進化論からしたら退化だよなってプレイ中思いました




これみて一区切り、ありがとうございました!
前回の様に小話と軽い予告をしてからバイオ4編を書き始めます。
感想くれると喜びます
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