ノーブル・ブラッド   作:korotuki

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転生主人公の利点って元ネタのゲームのクリーチャーとか重要施設の名前知っててもなんらおかしくないことですよね


-1998年(バイオ1)-008

○月☆日⑨

 

 あのあと無事プラント42と枯らした俺たちは、遅れて援護にやって来たバリーと遭遇した。ジルさんを除いた他3名からジトーっとした目を喰らい、申し訳なく思ったのか気まずそうに後頭部を掻きながら来たのが印象的だった。

 

 『流石にもう五人いる事だし』とバリーにリチャードレベッカを預け、その後は当初の様にジルさんとの二人一組(ツーマンセル)に戻った。リチャードの野郎とは別れる前に互いに『死ぬなよ』と激励を掛け合った。

 

 寄宿舎の捜査もプラント42が放り巡らせた蔓達が枯れたり焼けたり溶け落ちたりしたお陰で捜索範囲が一気に広がり、そのままの勢いで終わらせることが出来た。まぁ新たな手がかりは無かったが、精精ここ付近の生物に対するデータぐらいだった。

 

 情報の精査も兼ねて洋館にある即席バリケート等で出入り口を補強したセーフルームへ戻る為、俺たちは今一度洋館の中へ戻ることを決心した。

 

 たまたま拾った洋館裏口の鍵を使い洋館内部へ入ると、そのすぐ側で意外な人物と再開した。

 

 我らがアルファチーム隊長のアルバート・ウェスカーさんである。

 

 金髪グラサンと中々に怪しい風貌だが、プライベートでは案外付き合いも良く。この前街のラグビーチームに混じってイイ笑顔でトライしていたのを目撃している。

 

 そんなウェスカー隊長から『あの館にはまだまだ謎が残されてそうだから探すのを手伝ってくれ、私はこっちから行く』と言われ、そのまま行ってしまった。

 

 …極限状態で余裕がないと思えばまぁ。納得できなくもない、か?

 

 どこか気味の悪さを感じながらも洋館内へ戻ると、又もや愉快なゾンビ達が俺たちをお出迎え……かと思っていたのだが。

 

――何故か洋館内が静か過ぎる。

 

 生存者がいる気配が無いとかそうゆう意味ではなくただ単純に静かなのだ。

 

 道中動かなくなったゾンビ達も多数見て来たのだが、そのどれもが首を掻っ切られた状態だった。綺麗な断面と、ゾンビ達の返り血から判断するに恐らくは背後から一撃…まるで()()のような印象を受ける。オレを窮地に追いやった脳味噌裸ゾンビの死体もあり、それは抵抗したのか全身ズタボロの状態だった。まぁ甚振った可能性もあるが。

 

 後、洋館内のカーペットに印された足跡も可笑しいのだ。生憎とウェスカー隊長のように生物学には詳しくないが、それでもこの足跡が俺たち人間やゾンビ、犬っころ達とは違うことだけは分かった。

 

 …そういやあの『かゆうま日記』に気になる記述があったな。

 

 確か『皮をひんむいたゴリラのような奴』だったか?

 

 そうそう確かそのすぐ後の記述には『生きたえさがいいってんで、豚を投げこんだら、奴ら、足をもぎ取ったり 。内臓を引き出したり遊んだあげくやっと食いやがる。』って書いてあったなーアッハッハッハッハ……

 

 

 

 

 いやコイツじゃん。

 

 

 

 

 すぐさまジルさんにこれを報告。真剣な顔で頷いたあとこれまで以上の周囲の警戒を開始してくれた。一先ず俺も両手にショットガンをしっかりと構え待ち受ける皮剥ゴリラ(仮称)を待ち構えた。

 


 

「…成る程、確かゾンビよりかは明らかに強いわね」

「っすね。まさかショッガンを3発も耐えるとは思わなかった」

「何より厄介なのはあの俊敏性ね。射線を見切って銃撃を回避するなんて…」

「最悪、範囲の広いグレネードでなんとかなりそうだが数に限りがあるし……」

 

 二人が警戒を始め窓ガラス付きの廊下に差し掛かったところで、件の皮剥ゴリラ――後のハンター――と遭遇した二人。その容姿や耐久や俊敏性に驚きながらも何とか倒し、二人は今セーフルームへと到達していた。

 

「道中の鳴き声から察するに、この洋館内にはアイツらがウロウロしているみたいね」

「マジですか?それは中々……」

 

 情けなくも壁に寄りかかる形で座り込みながら話し合う二人は、少し息を整えるとスクッと立ち直った。

 

「でもあの皮剥ゴリラ。なーんか他の奴らと敵対してるみたいなんですよね」

「か、皮剥ゴリラ?いや敵対って…どうゆう事なの?」

「何というか、誰彼構わず“獲物”として向かってくみたいです…まぁゾンビ達は共食いしてますけど」

 

 ブラッドの脳裏に映ったのは此方を追いかけてくる皮剥ゴリラ――(作)あぁもうめんどくさい!こっからハンターとします!奴の日記じゃ無いし大丈夫ですよね?(確認)――達が、自分達の通行の邪魔となったゾンビ達を片っ端から切り裂いていた光景だった。

 

 一応ゾンビ達は腹が減りすぎて極限状態の様なものに陥った際は、人間やゾンビお構いなしに食い付くのを見ているが、アレはどう見ても“食べる為”というより“退かす為”の殺傷だと確信した。

 

「取り敢えずこれからの探索は、硫酸弾とか焼夷弾を積極的に使った方がいいな…アイツら相手には、むしろ悪手だ。下手したら傷を押して突っ込んでくるし」

「一応、ショッガンやアナタのライフルとかのストッピングパワーの高い物なら、有効でしょうけど……まぁ安全には変えられないものね」

 

 二人とも渋々と愛銃【サムライエッジ】を取り出し中の弾薬を全て捨て、代わりに特殊弾薬を詰め込み直した。

 

「あー…それとですねジルさん」

「ん?なにかしら」

「じ、実はショッガンとかライフルとか、特殊弾薬以外にも有効打を当たらられそうなのを所持していまして……」

「そうなの?いつの間にそんな便利な物を…」

 

 何処となく居心地が悪そうに腰のポーチを弄り始めたブラッドと素直に感心してその“武器”とやらに興味を持つジル。

 

「一応、これなんですけど」

 

 何故さ恭しく彼が持っているという謎の銃を受け取ったジル。

 

「ふーん…なんかコレおもちゃみたいね。形といいこの真ん中の機構といい」

「まぁそれは否定しない。色々検証したんですけど、コレはどうやら急所に当てないと効果がないっつー特殊な銃です」

「へぇ。変わってるわね……出所は?」

「…………………………」

 

 ダラダラと冷や汗をかき始めたブラッドを見て半ば察しながらも、流石になにも言わないのはナシなので通級を始める。

 

「…この洋館で拾いました」

「アナタと別行動をとったのは、解毒薬を取りに行く数十分のみだけど?」

「ス、スポンサーから渡された試作兵器で」

「あのねぇ…確かにブラッドは優秀だけど、流石にそうゆう類のモノはクリスやウェスカーに行くに決まってるでしょ?」

「――ケンドから貰った」

「ケンドは研究者(リサーチャー)じゃなくて銃職人(ガンスミス)よ」

「――――――」

「――――――」

「―し、真相を話させてもらいます」

「ここで黙秘権とかいい始めたら軽く殴るところだったわ」

 

 青年説明中……

 

「という訳で借りパクしました」

「…もういいわ。帰ったらちゃんと返すように、ね?」

「…………………」

「……返事は?」

「ハイ………!」

 

 まるで『聞き分けの悪い息子に言い聞かせる母親のような』構図になっていた二人は、ひとまず帰還した際にキチンと説明と弁明(おそらく無意味)してその銃を返せという結末に落ち着き、廊下のゾンビで威力証明も済ませた為。取り敢えず今この時は“お咎めなし”という結論を下した。

 

 そしてブラッドへの処遇が決定し、次の話題は未だ二人が探索していない領域……すなわち洋館の地下空間へと移っていった。

 

「…こんな場所だから絶対何かあるとは思うのだけど」

「いや、流石にアソコはヤバイですよ。ジルさんだって分かるだろあんな呻き声出してたら…」

「だとしても、私達は行かなくちゃいけないわ。だって警察官(ポリス)だもの」

「役職出されたら反論できないッ!」

 

 『後回しにするか、見なかったことにするべきだ』という後ろ向きな意見のブラッドと、『例え恐ろしいナニカがあるとしても調査するべきだ』というエンジンフルスロットルなイケイケ意見のジルの論争は、ジルの方へと傾いていた。というかそもそもブラッド自身が舌戦の類は苦手であり、しかも彼は“世話になった人には強く出れない”性分(しょうぶん)のためジルやクリス達相手には強く出れないのだ。

 

 その後も数分間論争は続いたが、常時ブラッドがジルに押され気味で幕を閉じた。当然結果は『ジルの勝利』である。

 

「〜〜ッ!分かりました!分かりましたよ!!でも条件があります!」

 

 理論と根性に根負けしたブラッドは観念したように絞り出すように声を上げ、しかしその後真剣な表情でジルへ向き直った。

 

「地下の敵と上のゴリラ!挟撃されても嫌なので、地下に行くのはゴリラを殲滅してからだ。これだけは受け入れてください」

 

 言い負かされたことが悔しいのか少しストックを持つ力を強めながらショットガンを構えるブラッド。

 

「それは私も賛成よ。いくらアナタと一緒とはいえ、未知の怪物二種類に挟み撃ちなんてされたくもないもの」

 

 肩を竦め提案に乗ったジルと、何とか聞き届けてくれたことに安堵したブラッドの両名は、休憩もそこそこに洋館内のハンター殲滅へと乗り出した。




*ネタバレ
リチャードレベッカはこの後グラサンと妻子持ちに捕まってクリスと一緒に投獄されるのでしばらく出番なしです
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