この世界はあべこべである。   作:黒姫凛

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ヤバいですね!!(前回からの投稿期間)

正直原作通り進ませる事が難しいので、何とかひねってねじって絞り出してます。

………樹ちゃん。おみゃーは今日はお休みじゃて。


セラムの刻印

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の過ちは時に、神の逆鱗に触れる。

 

 

 

 

時は遡る事数千年。八百万の神を讃える人間は、災害や疫病、生活に害ある事項は全て神の怒りによるものだと信じていた。

無論、何故逆鱗に触れてしまったのか考える。見えてくるのは数日迄に罪を犯した罪人達である。

 

これに人々は激怒する。罪人達のせいで神が怒ったのだと。罪を償えと。贖罪をしろと。

 

罪人達は贖罪のために処刑、重労働、女の場合男達の慰め者や便所扱い。人間として扱われる事のない非人道的な行為が行われていた。無論、当時は倫理や人道等人々の教えにあるはずもないので、罪人である男は酷使し、女は穴という穴や身体を使って快楽の為にコキ捨てるものだという認識しか持ち合わせていなかった。

 

 

 

害あるものが起きる度、人間はそれを繰り返すこととなる。

 

そんな人間の姿を見て、神はどう思うのだろうか。

 

 

一度目の神罰。世界をも飲み込んだその極刑は、人間の種としての調律の崩壊を引き起こした。数百年前の事である。

それから世界は混沌の渦に呑み込まれることとなり、もう二度と神の怒りを起こさないよう、禁忌有り得る事を引き起こさないよう境界線を張った。

 

 

しかしそれはあくまでも数百年の話である。人間は長い歴史、風習、文化を忘れ廃れさせていく。無論神の怒りに対しても、人間は忘れる事となり再び世界は神の逆鱗に触れる事となる。

 

 

 

二度目の神罰。全人類種の減縮。世界は再び混沌の渦に、いや渦に飲まれる事すらなかったかもしれない。しかし残された人類は絶望の縁に立たされ、世界は滅びのカウントダウンを刻み始めた。

 

 

 

 

一度目の神は言う。

 

 

 

───概念にとらわれる事なく、物事を見据えよ。

 

 

 

二度目の神は言う。

 

 

 

───操りとなりし憐れな生き物。自己の罪を憎みなさい。

 

 

 

 

 

 

神の考えなど分かるはずもなく、しかし何かしらの意図があったのだろうと考えられるが。

 

 

その言葉すら、今や誰の記憶にも残っている筈は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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部活動。即ちそれは、青春の結晶である。

 

 

 

なんて、寒い言い方は置いておくとして、讃州中学には他の学校と大差なく部活動が多く存在している。

 

特に秀でた部活は無いが、全校生徒の大半が各部活所属しているだけあって活気だって活動されている。大半に含まれない生徒がいるがこの世界の性質上あまり触れないで頂きたい。

 

 

さて、唐突に話題とした部活動だが、何故この話をしたのかちゃんとした理由がある。

 

まず初めに、讃州中学校にはプリンスと呼ばれる男子生徒がいる。名を東郷力哉。車椅子生活を送っている東郷美森の兄であり、現在2年生の男子生徒である。

 

東郷力哉は部活動に参加はしていなかった。2年に上がったと同時に転校生として讃州中学に入学。以降、男であるが故に部活動参加は控えていた。どの部活動も男という存在は欲しい人材であり、それを機に色々と発展したいが為に色々とアプローチをかけてくる。それが他部活との暴力沙汰等起こる可能性があると学校側との話し合いで決まっていた。

なので、東郷力哉は基本的に部活動に参加しない側として学校生活を送っていたのである。

 

そして何故、東郷力哉を持ち出したのか。上記の理由から察するとこうだ。

 

 

───東郷力哉、部活動に参加。

 

 

部活動に所属する全ての生徒達は、この事に戦慄する事になる。

いや大袈裟過ぎると言われるかもしれないが、生徒達の間での東郷力哉の評価は他の男と比べて天と地の差程の圧倒的な差がある。

 

誰にでも優しく、声をかければ返してくれる。家に引きこもっているだけの男達は、女という存在自体を嫌っている。()()()()()、人間の雄は人間の雌を嫌う事等遺伝子レベルで決まっている事なのである。()()()()に嫌悪感を抱かない雄は作られた存在としか言い様のない存在であるが、東郷力哉は大赦が囲っているだけあって、東郷力哉の体を解剖して調べよう等と考える人間はいない訳だ。

 

東郷力哉も、学校側の申し出は有難いものだと思っていた訳で、特に何も支障は無かった。しかし、学校生活を送る中で、東郷力哉と接触できないから女子生徒達の鬱憤は溜まる溜まる。

もしかしたら、その鬱憤を()()()らにぶつけていたのかもしれないと考えると、やってしまった感はあるがそれはもうどうしようもないことなので割愛。

 

 

そんな学校で大人気の東郷力哉が部活動に参加するということになれば、皆是非も無くその部活に興味を持つのは当然。一夜にしてその部活動は学校中、ひいては家庭を超えて周辺地域にもそれは広がることとなる。

 

そんな東郷力哉を部活動に参加させ、今や話題NO.1の部活動はどんな部活なのかと言うと───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───来ないわねぇ、依頼……」

 

 

机にぐてっと半溶けしたようなだらけさを晒すのは、()()()()()()()()()二年生の犬吠埼風だ。

 

家庭科準備室を間借りし、散らかっていたのを整理し直して早数日。1年の半年を過ぎた秋分、部活動を新たに立ち上げたはいいものの、中々めぼしい活動が出来ていない状態であった。と言っても本格的に活動を始めたのは今日が初なので分かりきっていたといえばそうだろうと言える。

 

この勇者部という部活。内容は困っている事、助けが欲しいとこ。雑用からありとあらゆる様々なお願いを聞き届けて、それを解消するという活動内容の部活動である。

ざっくり言うと奉仕する感じだ。依頼は無料だが、出来る出来ないの判断はしっかりと判断するし、露骨な嫌がらせ等は学校側が介入してくれると()()()()()()()。そんな用意周到な部活動がこの部活だ。

 

 

「……そんなに早く来るわけないだろ?」

 

 

早々に依頼が来るとは誰も思っていない。しかし、部室内では明らかに全員がだらける以外やることがないように見える。

 

 

「お兄様、今日の牡丹餅をご用意しました。お召し上がりくださいね」

「力哉先輩、たまたまアイビーを見つけたので押し花作ってみました。貰ってくれますか?」

 

 

だらけている部員の周囲は熱気が漂っているが、話題の男───東郷力哉の周りでは冷気が漂っていた。

力哉を真ん中に、右隣に力哉の妹である東郷美森。左隣には結城友奈が陣取っている。風呂敷に包んだ重箱から牡丹餅を、学校指定のカバンからファイルを取り出してその中に収納された押し花を、それぞれ力哉にグイグイと押し付けるように差し出している。これには力哉も苦笑い。……しかしアイビーとはまた重いものを。

 

 

「………おい雌豚、近い」

 

「……は?何か問題でも?」

 

「私の目が黒いうちは力哉さんに肉体接触はさせないわ。ほら、()()も」

 

「眼球を白く塗り潰せば万事解決ね。明日の朝は視界が真っ白かもしれないけど、そういう病もあるらしいから今のうちに周りの景色でもしっかりと目に焼き付けておいた方がいいわよ?」

 

「意気がるなクソ雌豚。その邪魔な乳削ぎ落とすぞ」

 

「何嫉妬?お兄様の好みである私の乳房に嫉妬しているの?滑稽ね、可哀想な三好さん」

 

「……表出ろぶっ殺してやる」

 

「おい、いい加減辞めろ。俺の胃がズキズキ痛くなる」

 

「……皆仲良くすればいいのにねぇ」

 

 

ピクピクと額に大量の青筋を浮かべた三好夏凜が、美森と力哉の間を引き剥がす。友奈の方は椅子を少しずらして終わり。その対応にプツンと来た美森は夏凜にガンを飛ばす。夏凜も夏凜で喧嘩腰に対応。その二人の姿を離れて観覧する友奈は遠い目を、力哉の胃がズキズキと痛めていく。

 

この二人の仲はハブとマングース。お互いがお互いを喰らうさまはまさに弱肉強食。実際食べることは無いが、この場で負ける即ち力哉の傍に近づけないと言う暗黙のルールが存在するため、二人は常に神経を尖らせている。

 

 

「……暴れるなら外でやれ。部屋の中が暑くなるだろ」

 

「先輩っ。先輩もそう思うでしょ?戸籍上妹だからってベタベタして。力哉さんの神様のような見姿が澱んでいくわ」

 

 

やれやれと言った感じで肩を下ろすのは()()()()()()で頭の後ろを掻きながら夏凜と美森の修羅場を見つめている。

 

 

「あたしに同意を求めんなよ……。大体、美森は力哉さんの妹だから保護対象。夏凜がなんでキレてるか分かんないけど、そこ……忘れんなよ?」

 

「うぐ……っ、……べ、別にキレてる訳じゃ……」

 

「東郷、学校は目があるからあんまりくっつき過ぎないようにしなさいよ。私達の立場的に、()()()はキツイわ」

 

「……先輩に言われる筋合いはありません」

 

「黙って先輩の忠告は聞きなさい。それがきっと、貴女に役立つ時があるんだから」

 

「いやオカンかよ」

 

 

喧嘩両成敗。それぞれ断ち切った銀に、思わず風は銀の背後に仁王立ちする逞しい母親の姿が見えた。

 

 

讃州中学勇者部、現在2年生二人と1年生四人で活動中。部長の犬吠埼風を始め、学校のプリンス東郷力哉。学校の埃東郷美森。学校一の不良三ノ輪銀とその舎弟三好夏凜。鬱憤の捌け口結城友奈と言った、学校内では有名な生徒達が集まるこの部活だが、メンバーがメンバーだけに忌み嫌われている。まあ当たり前なのだが、東郷力哉を部活動に参加させた事への嫉妬や、顔面偏差値が圧倒的に低いメンバーの集まりである為に生徒達からの不満の声は当然と言えば当然の事である。

 

 

「……ちょっと辞めてよ。今のは揚げ足取りしなくていいとこじゃない?」

 

「部長って言ったら部活のトップ、だからオカンは当てはまる」

 

「先輩は私達の中では弄りキャラとして定着してるので、どんどん弄って行こうかなと」

 

 

いや待って、と手を前に突き出して待てのポーズ。何を言っているのだと風は頭を抑えながら言葉を続ける。

 

 

「私先輩よ?威厳とかなんか色々とあるんだけど?え、何?私の威厳とか全部皆に響かないわけ?」

 

「威厳はなくとも、母親としてならやっていけますよ。讃州中学の母性(醜い方)」

 

「めちゃくちゃ嫌なんですけど!?普通にそれ私の事ディスってない?………もっとこう、なんかあるじゃない」

 

 

風の頭の中ではグルグルと自分に似合いそうな二つ名が過ぎっている。いやそもそもそんな二つ名いらない。そんな名前が通ってしまえば、これから先の学校生活は波乱万丈待ったなし。まさに悪口の境地と言えよう。

 

 

「そうか?讃州中学の母性(バブみ)。いいと思うぞ、母親なんて皆からすれば尊敬出来る相手だろ?」

 

 

が、ここで伏兵の力哉が肯定。力哉の事からしてニュアンスを履き違えているが、風からすればそんな事関係なく力哉に肯定された事に素直に喜んでしまった。

 

「え?ほんと?………私が母親なら、旦那さんは…………っっっ!?!?」

 

「先輩トリップしないで。そんな現実私が断ち切ってやります」

 

「皆妄想の中では激しいんだよなぁ。風さんといい、美森といい」

 

「ちょっと待って三ノ輪さん。まるで私が妄想でしか語れないメンヘラみたいじゃない」

 

「あ〜も〜五月蝿い。力哉先輩私とだけでお喋りしてましょう?」

 

「友奈私も混ぜなさい」

 

 

力哉から貰った短刀をチャキチャキと鞘に入れたり抜いたりを繰り返して威嚇する美森。そんな姿や風の身体をくねくね動かしている姿を見て銀は今日何度目かの溜息をひとつ。我関せずを貫く友奈は力哉と離れてお喋りに花咲かせようと離脱。夏凜もそれについて行く。

 

 

「……ちょっと、皆一回落ち着いてよ。思い出した、どうしても言いたいことがあるの」

 

 

カオスとなった教室内で、ふと突然何かを思い出した風はパチンと1拍手。全員からの注目を集める風は、教室の扉が閉まっているのを確認すると家庭科準備室にあったホワイトボードの前に立つ。

 

鍵が閉まっているのを確認する辺り、何か聞かれてはマズイはなしなのだろうかと、今から話すであろう風の心境が分からない部員達は頭の中でとんでもない事を連想する。

 

 

「……何故鍵を?………まさかっ、お兄様に強姦をっ!?」

 

「飛躍し過ぎ!!もっとこう、私達に口封じさせてなんかさせるみたいな!!」

 

「いやどっちみち結果が同じような気がするニュアンスだなおい」

 

「力哉先輩、牡丹餅食べましょう」

 

「……あ、いや、あれほっとくの……?」

 

 

上から順に、美森、夏凜、銀、友奈、力哉である。友奈は完全に我関せずの精神。力哉はその精神に戸惑いと驚きを感じる。

ギャーギャーと騒ぐ(主に美森と夏凜)を余所に、風はホワイトボードにキュッキュッキュッと少しむず痒い音を鳴らしながら板書していく。

 

 

「……アンタらホントは仲良いんじゃないの?てか、言葉に節度持ちなさい。慎ましい乙女程、男に信頼される確率が上がるってなにかの本で」

 

「確率でしょ?当たるわけないじゃない」

 

「……こんな顔面のあたし達じゃ無理でしょ。風先輩、そういう系の本読んでもいいですけど、期待しない方がいいっすよ?」

 

「私はお兄様一筋なので結構です。……って、友奈ちゃん?どうしてわ・た・し・がっ、作ってお兄様に食べてもらおうと思っていた私の愛純度無限大の牡丹餅をどうして友奈ちゃんが食べさせてるの????」

 

「東郷さん、顔近付けないでね。気分が悪くなっちゃう……」

 

「……お前らほんと落ち着け。風の話を聞いてやれって。……あと美森、お前の愛はいつも感じてるから心配するな」

 

「ズギューーーーンっ、お兄様っ!!」

 

「あんたも例外じゃないっての。早く現実に引き戻しなさい」

 

 

ここは世紀末なのか。風は思わず遠い目。確かに、情報雑誌やファッション雑誌等の掲載されてる話が本当かどうかなんて分からないから疑心暗鬼にもなる。しかしこの教室にいる女性陣の顔面偏差値は底辺と言ってもいい。そんな彼女達からすれば、巫山戯んなと破り捨てたくなるようなものである。最近そういう雑誌に興味を持ち始めた風からすれば、どうしても否定したい話であるが、銀の指摘に対して共感しかないので胸の奥がムカムカしている。

まるで夫婦漫才をする夫婦に野次を飛ばす観客のような立ち位置を見せる東郷兄妹と友奈。愛しい兄の言葉に完全にトリップ、美森は妄想の夢に誘われた。

 

未だに板書する風は、騒ぎ立てる部員達にイライラ度が溜まっていく。

 

 

「……だァーもー、いい加減にして。私の話が終わらない限り今日は帰れないのよ?帰りたいのなら話を聞いて」

 

「……よっしゃ、早く聞こうぜ。今日は力哉さんが夜ご飯を作ってくれるから早く終わらせよ」

 

「部長早く話しなさい。時間は有限よ?」

 

「部長?お兄様と私の時間を削るというのですか?……覚悟はお在りで?」

 

「はいはーい、風先輩お願いしまーす」

 

「………ねぇ、ホントなんなのこの子達。私に対して辛辣過ぎない?泣いていい?泣くわよ?これまでにない涙と叫び声上げるわよ?」

 

「……風、一回落ち着け。泣かなくていい」

 

 

風の扱いが雑過ぎる為、思わず涙の脅迫。風の背中をゆっくりと撫で下ろす力哉の行動は、今の風には神経逆撫で状態である事を知らない。

 

全員が静かになったところで、立ち直った風はこほんと咳払いすると若干緊張した趣で口を開く。

 

 

 

 

「………まず改めて。この部活を作るにあたっての協力、及び部活動参加をしてくれた事、感謝しています。今更だけど改めて、ありがとう」

 

「……なんか鳥肌立つわね。まさか、お礼を言う為だけってわけじゃないでしょうね?」

 

「……素直に受け取りなさいよ。勿論、これだけじゃないわ。まだ力哉にしか話してなかったけど、どうして私がこの部活を作ったのかを」

 

「お兄様に向かって呼び捨てですか?いいご身分ですね」

 

「……………力哉、さんっ、に話しただけだけど、どうして私がこの部活を作ったのかを話したいと思いますっ」

 

 

鋭い眼光が風を貫く。咄嗟に力哉が発信源である美森の目を手で隠したことですぐに立ち直った風は、プルプル若干震えながらホワイトボードに書かれた文字を指す。

 

 

「……まず、最初に。私の想いを聞いて欲しい。私は、自分の境遇や、皆の境遇。最早そうなるしか無い私達の立場を、どうにか変えて行きたいと考えてる」

 

 

「私の立場は最底辺と言ってもいい。毎日蔑まれて暴力振られて、誰にも気持の相談も出来ない私達は、居場所なんて何処にもないの。……私達は、運良く力哉、さんっ、が近くに居たし、悩みだったり相談事を解決してくれたからまだ何とかやっていけた。でも、それはもし私達が今の場所じゃない、私達じゃない他の人と場所が変わったらと思うと、怖くて怖くて仕方が無かった……」

 

 

「きっと他に苦しんでいる人達は、私達が思う以上に苦しい思いをしているかもしれない。胸の内に抱え込んでる鬱憤を吐き出したいと思っているはず」

 

 

「だから私、学生の身を使って部活動という枠組みに当て嵌めて活動しようと決めた。個人でやるより、誰かと解決した方がより多くの人を助けられるかもしれないと考えたから」

 

 

「私は、苦しんでいる人を助けたい。だからこの部活を作ったし今ここにいる皆を入部させた。言いたいこといっぱいあるだろうけど、取り敢えず私はこういう想いで作ったってのを理解して欲しい。皆で協力すれば、きっとなんとかなるって思えた。あれだけ酷い扱いを受けてた私達が今までやってこれたのを見越して、私は選んだ。だから、私に力を貸して欲しい!!」

 

 

先程までの騒ぎはしんと静まり返り、風の言葉が一語一句全員のみみに入り込んでいく。

ジンと、何か胸に来るものがあったのを、力哉は感じる。

 

最初の出会いは印象的だった。初エンカウントは自販機の前。お金を落とした風に力哉が話し掛けたことから始まった。当時は大赦が派遣した人員である事にお互い気付いていなかったが、何かの縁か屋上で再び出会う事になった。

 

『自殺未遂』。どれだけ重く、心を締め付けられたか。淡く今にも消えそうだったあの時の後ろ姿。もしあのまま重力に従って落ちていったらと思うと、未だに思い出すだけで身体が恐怖で震える。

 

しかし、今の風はあの時なかった強い意志をその目に宿している。しっかりと地に足がつき、それでいて心に秘めた重い想い。誰かの為に力を尽くそうとする風の姿に、変わる事が出来て良かったと嬉しさが込み上げてくる。

 

 

「……言っちゃ悪いけど、ほんとにできると思ってるの?」

 

「違うわ夏凜。出来る出来ないじゃなくて、()()()()()()()()よ」

 

「……へぇ、あんだけ弱々しかった筈なのに、随分と変わったじゃない。見直したわ」

 

 

ふふんっ、と鼻を鳴らす夏凜。夏凜はあまり人を信用することが無く、基本的に他人には無関心な面が多いことを力哉は知っている。夏凜が認めたと言うことは、風を少なからず認めているに他ならない。

 

 

「……風さんの想いは理解出来た。理解出来たけど、自己犠牲が過ぎない?あたし達の境遇は確かに力哉さんがちかくにいてくれるから断然良い。でも、だからってあたし達が率先してやる事じゃないでしょ?あたし達だって、()()さんから与えられている存在。与えられている人間よりも、力哉さんのように与える人間じゃなきゃ成功しないと思う」

 

 

銀の言葉には確かに一理ある。所詮風達も力哉が居たから今がある。力哉がいなければ今の想いにたどり着くことは無かったし、風に至ってはこの世界で生活出来ているのかも分からない。

自分達でどうにか出来る力が無い限り、それはただの自己満足だ。

 

 

「……ええ、これは言ってしまえば自己満足よ。私が勝手にやりきった感を求めたいだけの欲まみれの想い」

 

「……やけに素直に認めるんっすね」

 

「でも、私は変えてやりたいの。こんなクソッタレな環境を。私達だって同じ人間。平等に扱えだとか、そういう事じゃなくて。私達は、私達を変える為に動かなくちゃならないの」

 

「……助け合いって事ですか?」

 

「そうよ友奈。私達は群れることの無いひ弱な生き物。でもひ弱だからって、決して弱いわけじゃない。私達は、助け合って生きていくべきだって思うの」

 

 

一匹の草食動物が、大勢の肉食動物に勝てるはずがない。一匹の肉食動物が、大勢の草食動物に勝てるはずが無い。生物上、生存方法を高める為に力無い生き物は知恵を使って今まで生き延びていたモノが多い。

その中で集団行動もまた1つ。弱い生き物でも集まれば数で圧倒出来る。集まっていればすぐにより多くの子孫を残せる。

 

生きていく中での知恵は、人間が生きていく事にも役に立つ。だからこそ、自分達の立場を考えて、自ら動き出そうとしている。

 

 

「以上よ。……直ぐに答えを求める訳じゃないけど、何かあるなら率直に言って」

 

「………その前に。お兄様がいるということは、お兄様も表立って活動されるのでしょうか?」

 

「ああ。……一つ付け足すと、これは俺が提案した事でもある」

 

 

ゆっくりと立ち上がった力哉は、風の隣に移動するとキュッキュッと板書する。大きな字で『大赦』と書かれている。

全員の頭の上にはてなマークが浮かんだ。

 

 

「……知ってる人もいるだろうけど、俺は大赦にコネをいくつか持っている。大赦の一部で、ある取り組みが行われようとしているのを聞いて、俺が風に持ちかけた。一緒に変えないか?ってな」

 

「……お兄様。何か違和感を感じます。隠し事が多い様な?」

 

「それはごめんけど、守秘義務として理解してくれ。風にもあまり深くは伝えてないけど、やる価値は絶大だと思ってくれ」

 

「銀ちゃんと夏凜ちゃんは何かわからないの?」

 

「あたし達も何にも聞かされてなくてさ」

 

「力哉さんが信用されたんだから、私がそれを信じないなんて有り得ないわ」

 

 

力哉が口を開いたのは、風に助け舟をしたのが大きいと見える。確かに話を持ちかけたのが力哉からだろうから、風よりも力哉が伝えた方が信憑性も上がるだろう。だが、今は風の想いを伝える為でもあった為に力哉はそれを見越して説明をあえてしなかったと言うのもある。

 

 

「………まぁ、夏凜の言う事も分かる。あたし達の力哉さんが信じたんだったら、あたしらも信じないなんて理由にならないよな」

 

「ちょっと待って三ノ輪さん。あたし達って何?お兄様はわ・た・しのお兄様よ。……お兄様のお考えは神の思考。私の想いはお兄様の想い。お兄様が私を敬愛するように、私もお兄様を敬愛する。断るはずがありません」

 

 

銀と美森は肯定する。やってやろうと。………若干力哉への愛故に肯定したような気もするが、それも選択肢のひとつなので割愛。

夏凜も肯定しているし、全員やる気はあるようだ。

 

 

「……私も、力哉先輩がそういうのなら、信じますけど」

 

「……けど?」

 

「力哉先輩が直接関わるのはやめて欲しいなーって」

 

「分かる。分かるわ友奈」

 

「友奈ちゃん。激しく同意します」

 

「マジそれ」

 

「いやいやいやいやそれは駄目。この話は俺有りきで話が進んでるから、俺も活動するから」

 

 

友奈は首をこてんと傾けて力哉にお願いと目をウルウルさせながら訴える。その姿はまるで捨て子犬。風以外全員確かにと首を縦に振る。

ダメダメと力哉は首を振って拒否する。

 

 

「……俺だって皆を助けたいと思うんだから、俺も働くぞ」

 

「それとこれとは話は別なんです、お兄様」

 

「大丈夫です力哉さん。私達がサクッと解決しますので」

 

「いや別にいいと思うんだけど………あー、ハイハイ。あたし達に任せといて下さいな」

 

「銀ちゃんも素直にならなきゃね」

 

「友奈何銀に吹き込んだ?……皆がそこまで言うなら、俺が表立つのは控える。が、俺もちゃんとやるんだからな!!」

 

 

 

こうして、讃州中学勇者部の活動方針は全員の胸の奥に刻まれる事になった。色々とあやふやだが、彼女達が納得いっているので第三者目線からは何も言わないでおこう。

もっと疑えよとかもっと深ぼれだとか聴きたくなるのはご愛嬌。きっと力哉がいつの日にか全てを答えてくれる筈だろうと、丸投げをおすすめします。

 

 

こうして、讃州中学勇者部の初日は依頼件数0で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───え?私の立場無くない?え?マジ?………うぅ……っ、私部長なのに………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







ん〜病ませるだけの話が描きたいいぃぃいいい!!!!!!!





ウマ娘どハマりちゅーの作者ですが、トウカイテイオーの糞可愛ロリボイスにお耳が妊娠させられてしまい、あの声が頭の中で常にリピートするようになってしまいました(末期)。

なんやあのクソロリがぁ!!可愛すぎんだろボケェ!!ボクっ娘ってっ、ボクっ娘ってそりゃもう反則じゃねぇかよぉぉおおお!?!?なんだよウマ娘なのに子犬みたいに駆け寄ってじゃれついてきやがってあんのロリガキがァ!!!ウマ娘じゃなくて子犬娘じゃねぇかよォ!!一人だけ種族違うじゃねぇかァァァ!!!あーーー困りますテイオーさんあぁあー!!困りますっ!!困りますテイオーさんっ!!これ以上作者を萌え死に尊死及び溺死させないでくれぇぇええ!!!お前のロリボイスは脳と耳と股間にきくぅぅ!!んがぁああんほぉおおおおおんん!!!!!!アニメもなんだよぉぉおおおかわいそすぎるだろぉぉおおお!!!俺はウマ娘達のイチャイチャを見てたいのにバリバリのスポーツ漫画でありそうな挫折感ぶち込んできやがって名前の無い感情がくちからとびでそうだぁぉい!!!!曇らせがそんなにいいのかァ!?心と体ポキンとおられて全てを悟って全てを諦めた時の表情がそそるのかぁぁあ!?!?絶望通り越して笑うしかないじゃないかって笑いながら涙流すのがそんなにいいのかよぉおおお!!!!!それがいいんじゃねぇかバカヤローー!!!!!なんでこんなにも鬱要素に萌えるのか意味わからんんンンン!!!!性癖の扉がまたガン開きしちゃって風通しがさらに良くなってるじゃねぇかぁあ!!!んおあああ!!!!



控えめに言って鬱要素が該当する作品、全て最高です!!!!!!!


………皆さんも、そう思いませんか?( ˆᴗˆ )ニチャ



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