【とある魔術の禁書目録】錆びゆくガンマンの青息吐息   作:白滝

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行間Ⅲ

 『私』という存在を語る上で、名前を名乗る事は特に意味を成さない。だからこそ、「R.Pだ」という簡潔な一言で自己紹介を締めくくらせてもらおう。

 同様にして、『君』という存在について説明してもらう必要も特にない。『君』がどんな人格であろうと、全てのプロフィールが『私』という存在へと帰結するのだから。

 あぁ、これは聞き流してもらって構わないよ、いずれ分かる事だ。

 今、君に耳を傾けて欲しい話は『時間』についての事だ。『時間』についての心構えができていないと、きっと君は自らの運命を受け入れられないだろう。

 さて、君は『時間』についてどう考えているかね?

 ……という漠然とした質問じゃあ、要領を得ないかもしれない。

 質問を変えようか。

 君は、『時間』という概念が数直線のように一本の繋がったものだと定義しているかい?

 数直線の上に、『現在』、『過去』、『未来』という目盛を設定する事ができるのか、という話だ。

 これに関する答えは種々様々で、エル・パソの一件にて真相に辿り着けばもうすぐ君にも答えてもらう事になるだろうが、まず最初に私の考えを述べておこう。

 

 時間は、『まだ』数直線では表せない。

 

 これが私の答えであり、きっと『未来』の君の答えでもある。

 『現在』とは、点次元の世界だ。一瞬よりも短く、刹那よりも儚い。しかし、確かに実在し我々が唯一知覚しうるノンフィクションだ。

 一方で、『未来』や『過去』は存在しえない幻想だ。自然発生した『未来』はその時点で『現在』であり、自然消滅した『現在』は既に『過去』へと追いやられる。だからこそ、『未来』や『過去』というものはきっと我々が想像しているだけの概念でしかないだろう。この世界には存在しない、ただのフィクションでしかないのだ。

 ややこしい屁理屈になってしまったかな?

 要は、我々が知覚できなければ存在していないのと同じ、という事さ。シュレディンガーの猫の話は、君だって耳にした事はあるだろう?

 だからこそ、存在しないフィクションの『未来』や『過去』と存在するノンフィクションの『現在』は同じ数直線上に表わせられる概念ではないんだよ。

 そう、『まだ』ね。

 だが、もし我々が『未来』や『過去』をまるで『現在』のように知覚できるようになったのならば、『時間』という概念を同じ数直線に並べる事ができるようになるだろう!

 

 『未来』や『過去』をまるで『現在』のように知覚する―――――そう、時間旅行(タイムトラベル)さ!!

 

 さぁ、次は『現在』の君が自分の答えを告げる番だ。

 分かりきった答えだが、期待して待っているとしよう…………

 

 

 

 




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