造られし害虫の王 ──The pest which is made──   作:バルシューグ

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第十二話 決意

十二話

 

 

 

 

 

 

「よう…

久しぶりだな、製造者(親父)

 

「やあ…

久しぶりですな、我が創作物(息子)…ただ、血のつながりは無いですがね」

 

「……まあな」

 

 

俺とオーエンは滑走路の方へ進む。

 

 

 

ここはある場所に向かう為や、ある事に使われる為に特別に作られた小型空港。

普段はひっそりと存在しているだけで、俺自身は今回が初めて使うことになる。

 

 

 

で、すぐそこに止まっている小型ジェット機でお迎えにオーエンが来ている訳なんだが…

 

 

「オーエン…自分のプライベートジェット機で普通、来るか?」

と、俺はツッコミを入れる。

てっきり、組織やら何やらが用意するもんで来ると思っていたんだがな。

 

 

「……

 

 

 

 

 

 

 

”当たり前”だよ!!

 

 

 

 

今日、この時をどれほど私が待ち侘びた事か…!

時間が勿体無いのだよ!!

今こうして話す時間さえね…

だからこそあんなノロい物ではなく、私が持つ最速の物で来たのだよ!

 

あ、後、研究期間は六年間に変わったからそこん所宜しく!

君の隊員達には伝えてあるから心配しなくても大丈夫だ。

私は君の訓練の事情も知っている。

いやー、納得させるのに苦労したよ…

感謝してくれても良いのだよ?

 

 

ちなみに君の受ける手術はM.O.手術というバグズ手術の強化物だよ。

まだ、完成していないから君は知っていると思うけど、アドルフという少年と一緒にその手術を完成させる為の実験体となってもらうよ!

で、何故受けさせたいかというと、このM.O.手術だと、君の細胞もより怪物の様な性能に成長させる事が出来るから受けさせたいと思ったのだよ!しかし、残念ながら君は他にあるM.O.手術の強化の利点があまり得られないみたいだからね…

そこが残念で仕方が無いよ…

 

でも、君の身体ならば通常の人間の2.3倍の薬剤に耐えることが出来る!!

今までの人間ならば4.5本ぐらいが限界だが、君はその2、3倍の薬剤を使うことが出来る!

ならば、研究者としてより強くする他ないだろう!

いわば他の者より3倍強くなれる訳だからね!!!

 

その後には更なる実験が待っているぞ!君の武器を作るためのデータを取ったり、M.O.手術を受ける事でどのような変化が───」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、ひたすらマシンガントークの様に言葉を続けたマッドサイエンティスト…いや、オーエンはやっと語り終えたらしく、俺をジェット機へと案内した。

 

 

…六年って長すぎねーか?

というか、あいつら納得したのかよ!そこに驚くわ!

って、アドルフと一緒に実験!?

そんな事有りなのかよ!!

確かにその意味はわかるけど、同じ場所でするのか?

危なくないのかよ…主にアドルフ君が。

まだ子供だぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

…少し取り乱したが、つまり俺の頭の中は疑問ばかりという事だ。

ただ、今はオーエンも俺の問いに答える雰囲気ではないし、それは後々聞く事にしようと俺は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、行こうか。

 

 

 

 

 

 

 

ドイツへ!!!」

 

 

オーエンはそういうと、俺と共にジェットのに乗り込み、ドイツに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドイツに来たあああああ!!!」

親父はジェット機から地に降り着いた瞬間、空に向かってそう叫ぶ。

 

 

目の前にはドイツの国か組織から研究所までの案内人が来ている。

しかし、案内人はオーエンの行動に顔を引きつらせている…

 

 

「あ、気にしないでくださいね。

あのバ…オーエンの事は…

たぶん、時期に来ると思いますので」

俺は案内人にそう告げる。

このままでは時間を無駄にするだけだしな。

 

 

「は、はあ…

わかりました。では、行きましょうか。研究所へ」

案内人がよくわからないという表情でそう言うと、近くから車が寄ってくる。

 

 

見るだけでもわかる高級車だ…

 

俺は開けてもらったドアから車に乗り込んだ。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!

私を忘れてますから!

この私を!!」

俺が車に乗り込むのに気づいたのか、急いでオーエンも此方に向かって来る。

 

「君たち!私を置いて行こうとするなんて酷いではないか!!」

オーエンは車に乗り込むと怒りながら周りにそう言った。

 

「気にしないでくださいね!

このままスルーで構わないので!」

 

「……はい、わかりました」

案内人は少し困った顔をするが、直様、豪太の言葉に肯定した。

どうやらこの数分で慣れたようだ。

 

 

「いや、そこは否定するところではないか!?

仮にも私は重要人物だぞ!」

 

 

「さあ、行きましょうか!

研究所へ!」

 

「はい、あまり時間は掛からずに着きますので暫し、お待ちを」

 

「む、無視をするなあああ!!!

そこ!笑うのではなくて普通の対応をしてくれ!私の扱いが雑すぎるぞ!!」

 

「え?でも、上の方からはこう対応しろと…」

 

「あの野郎ォォォォォォ!」

 

オーエンは案内人からの一言で怒りながら誰かの名前を呼び、復讐を誓っている。

その復讐の内容は聞いていれば小さなものだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車がゆっくりと建物の前で止まる。

目的地に着いたのだろう…

 

「研究所に着きました。

中まで案内します」

案内人はそう言うと、車を降りて俺の方のドアを開ける。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

そのまま研究所の中へと進んでいく。その間も後ろからオーエンはブツブツと文句を垂れていたが、中に入った途端に案内人を引きづりながら中を走って行った。

まるではしゃぐ子供の様に…

いや、もう子供でいいだろ?めちゃくちゃ賢くて、体が大人の子供で。

 

 

 

 

俺は近くにいた別の方に案内してもらい、扉の前に立つ。

 

 

「30分間はここで休憩していてください。我々はその間にいろいろとやらなければならない事が有りますので」

 

「わかりました」

 

そう会話すると俺は中に入った。

中に入ってすぐに目に付いたのは少年の存在だった。

 

 

 

「「………」」

 

 

 

部屋に気まずい空気が流れる…

 

 

 

 

少年の名前は

『アドルフ・ラインハルト』

その髪はブロンド色をしており、目は薄いグリーン色をしている。

 

 

 

…間違いない、アドルフ君だな。

まさかこんなにも早く再会するとは思わなかった…

今日の間に会うだろうなとは思っていたが…

 

 

 

「君は……

 

…俺もこの実験に参加する事になったんだ。これから宜しく頼むよ」

俺はそうアドルフに向かってそう言った。

アドルフは俺から視線を外し、

「……よろしく」

と、小さく呟いた。

 

 

 

 

 

 

それから10分間、部屋の中は物音一つしない程の静寂に包まれていた。

だが、このまま静かにしていても何も変わらないと思った俺は自己紹介でもしようと考えた。

 

 

「なあ、これからは年は違っても一応、同期になるんだし、自己紹介でもしないか?

ちなみに俺は黒島豪太。

姓は黒島、名は豪太だ!豪太って呼んでくれ!」

俺はにこやかにそう言うが、アドルフは興味が無いとでも言うかのような表情で

「…アドルフ、ラインハルト」

と、俺に呟くように言った。

 

「そうか!

アドルフ、これからよろしくな!」

 

俺は敢えて親しみを持ちやすい様に言葉を崩して話しかけた。

アドルフは別の方向に目を向けていたが、微かに首が縦に揺れたのが見えた。

無愛想に見えてもちゃんと返しているのがわかる。

 

 

 

よし、これならば何とかコミニケーションは取れそうだ。

コミニケーションが取れなければ話にならないからな…

 

 

 

 

 

 

これから俺は積極的に会話しようと思う。

この行動がお節介だとしても俺は続ける。

 

今、俺がアドルフとの交流を逃せば俺自身が後悔するから…

 

何よりも俺は家族を失う哀しみと、実験の辛さを知っているから…

だからこそそれを少しでも和らげる為にも俺はコミニケーションを続けるつもりだ。

必要最低限の事だけでなく、たわいのない話もしていこうと思う。

 

 

 

 

…アドルフが強靭な精神を持とうと、自身の親は死に、更に今日からは地獄のような実験が始まるのだ。

そうなれば必ず心は壊れていくだろう…少しずつ……

 

 

まだ、八歳の子供にそんな道を歩ませるのはあまりに酷な話だ。

 

 

 

だからこそ、俺が受け止められる分だけ受け止める。

 

 

俺が身代わりとならなければならない…

 

 

 

 

 

それがいつか小さくとも負担を減らす事となる事を祈って…

 

 

 

 

それがいつか何かに変わるとなる事を祈って…

 

 

 

 

 

 

これが綺麗事、偽善だとは一番俺がわかっている。

 

俺の生い立ちや、今までの実験で何をしてきたか…

それを理解しているから。

 

 

そんな汚れた俺がするんだからそりゃあ偽善になるだろう。

 

だから…

だからこそそんな道を歩ませたくない。

こんな感情を味合わせたくない。

何としてでも阻止させなければならない、俺が…この手で…!

 

 

 

そんな事を考えていると、突然扉が開いた。

「時間です。こちらにどうぞ」

 

白衣を着た男性がそういい、歩いていく。俺とアドルフはその後ろについて行った。

 

 

 

 

 

 

俺は決意を新たにし、歩いて行く。

 

 

 

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