造られし害虫の王 ──The pest which is made──   作:バルシューグ

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第十四話 存在

十四話

 

 

 

 

 

 

「今日の実験は終了だ。

だが、明日から我々の事情により一月ほど休暇を取る。

その間は問題を起こさない程度に自由にしてくれ」

 

その言葉に俺たちは驚きながら答えた。

「わかった!暫くは俺らも自由に出来るんだな!

 

よし、アドルフ!明日からいっぱい遊ぼうぜ!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

あの日から数ヶ月間、実験が続けられた。

M.O.手術は完成し、実験の内容も少しずつ落ち着いていった。

 

 

段々、M.O.手術というよりも俺たちの能力についての研究のようになり、その過程でアドルフの口の周りなどは火傷で爛れ、

俺の場合は体の皮膚、甲皮は線のような物がスーッと体に出来ていた。

 

 

 

 

でだ、今回の一月ほどの休みは専用武具の作成によるものらしい。

完成し、一月経てばまた実験は再開されて暫くはその武器を使った実験が入るみたいだ。

 

それが終われば実験の内容も少なくなるようで毎日実験ではなくなるようだ。

 

 

 

まだアドルフには知らされていないみたいだけどサプライズ的な事になるので良いだろう…たぶん。

 

 

「じゃあ、今日はサッサと用事を済ませて寝るか!

明日は休みだし遊びまくるぞー!」

 

「わかったよ!豪兄ちゃん!

楽しみだなあ」

 

アドルフも表情が少し豊かになり、

前よりも感情を出すことが出来る様になっている。

 

とても喜ばしいことで俺は嬉しくなった。

 

 

 

 

 

「ほら、早くしようよ!」

アドルフの声でやっと動き出した俺はすまんと一声かけて歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝、俺たち二人はとある公園に来ていた。俺は肩に物で膨らんだ袋を持ちながら辺りを見渡した。

 

少し肌寒いが、太陽の光が差し込んでいるので意外と気持ちがいい。

人もほぼいない状態だし、遊ぶにはもってこいの日だろう。

 

「よし、二人だけだけだしキャッチボールでもするか!」

アドルフの武器の練習にもなるだろうしな。

 

「うん!でもグローブとボールがないよ?」

 

俺はガサゴソと袋からグローブとボールを取り出した。

「ほら!ここにあるぞ!

グローブとボール」

 

「袋の中身ってグローブとボールだったんだ…全然わからなかったよ!」

 

「そうだろ?わかってたら楽しみも減っちまうからな!

敢えてわからないようにしたんだぜ!」

 

ふふふ…

まあ、事前に計画していたんだから当たり前だけど、よく考えてみりゃあ計画してた割にはちょいとしょぼいな…

喜んでくれたから良かったけど。

 

 

 

俺はアドルフにグローブとボールを渡した。

 

 

「サイズ大丈夫か?

一応、聞いてみて買ったんだけど」

 

「うん!

大丈夫だよ!少し大きいくらいだし、これなら出来る!」

 

「そうか、なら早速やろうぜ!まずはアドルフから投げてみてくれ」

 

アドルフは頷き、俺のグローブ目掛けてボールを投げるがグローブよりも少し左に曲がった。

俺は腕を動かしてボールを掴み、

「お、上手いじゃん!

この調子でいけば百発百中も夢じゃないな!」

と、素直に感じた事を話した。

 

「そ、そうかな?ならこの調子で頑張る!」

アドルフは元気良くそういい、グローブを構えた。

 

「いくぞー!」

俺はそう叫び、振りかぶってボールを投げた。

 

ボールは一見、アドルフに向かって飛んだかのように見えたが少しずつ曲がり、大きく逸れてアドルフの足元に転がり落ちる。

 

 

 

「「…………」」

 

 

 

二人の間に沈黙が訪れる。

 

 

 

 

「…僕よりも豪兄ちゃんの方が下手なんだね」

 

「うっ…」

アドルフの放った何気ない一言が俺の胸に突き刺さり、燃え上がらせた。

 

 

ーこうなったら何が何でも上手くなってやる!ー

 

 

「…よし、練習あるのみだ!

アドルフ、俺の練習に付き合ってくれ!」

 

「うん!いいよ!

でも、豪兄ちゃんよりも僕の方が上手くなるんだから!」

 

「な、何だって!

駄目だぞ!そんなの俺は許さん。

絶対に俺の方が上手くなってやる!」

 

「ふふん!負けないよー!」

 

 

こうして大人気ないバカ(豪太)とアドルフはキャッチボールを続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やあ、体の調子はどうかな?』

 

とある場所にてオーエンの声が響いた。

しかし、その声はスピーカーを通っての声であり、スピーカー本体は厳重に管理されているある一室に有った。

 

 

 

「…悪かねぇよ。見りゃあわかんだろ、阿呆じゃあるまいし」

 

 

 

問いに返したのはその一室に端にて腰を掛けている者だった。

その姿形自体は青年の様であり、一見見れば何故そのような場に居るのかが不思議な程である。

 

 

 

 

 

 

 

ーー辺りに散らばる数体の強化型クローンテラフォーマーの死体が無ければーー

 

 

 

 

 

 

 

『それもそうか。

…あ、あとそうだ。遂に君もM.O.手術を受ける事が出来る様になったよ!

やったね掟樹ちゃん!これで強くなれるよ!』

 

掟樹と呼ばれた者はその言葉に眉を顰めながらも耳を傾けていた。

 

 

「そうか…………で、ベースは何なんだ?」

掟樹はオーエンに聞き返す。

 

 

 

『……ナイリクタイパン』

 

 

「おい、今サラッと恐ろしい生物を言ったよな!小さい声で危険猛毒蛇の名を今言ったよな!?」

掟樹は予想すらしていなかった答えにツッコミを入れた。

 

 

 

『ハハハ!

まあ、いいじゃないか!君のベースだし、それに中々強い生物だし、困る事なんてないだろう?』

 

 

「まあ、そうだが……あー、もういいから。わかったから。何も言うなよ。ちょっと驚いただけだから」

掟樹は手をひらひらと振り、言った。

 

 

『ふむ、それに君は豪太君の細胞を薄く薄くして創り出された存在だから私は信用しているよ!』

が、オーエンは掟樹の言葉を無視して話した。

 

「いや、もういいって言っただろうが!人の話ぐれえ聞きやがれ!

兄貴に会いたくなるだろうが!そんなん聞いたらよ!」

掟樹は立ち上がりスピーカーに向かって怒鳴りつけ、深呼吸をして少し落ち着きを取り戻した後、地面に転がる死体を見た。

 

 

 

 

 

 

「あー、しっかし気に食わねえな…

 

俺の中にほんの少しでもこいつらの血が流れているのが…

こんな気味の悪いわ、気持ち悪いわのゴミ共の血が流れているのがな!!

だから流れているのが兄貴の血じゃなけりゃあ自分で自分の身体を引き裂く所だぜ」

掟樹は静かに声を荒げて言い、死体の顔を踏み潰した。

 

 

 

 

 

 

「おい、オーエン。

 

サッサとゴミ屑どもを出しやがれ…

今すぐにぶっ殺してえんだよ!」

 

 

 

 

『ほうほう、了解したぞ!』

オーエンはそういい、何かのスイッチを押した。

 

 

 

掟樹は静かに前を向き、構える。

研ぎ澄まされた殺気が辺りに充満する。

 

 

 

少ししてからテラフォーマー達が放たれた。

その数、十五体である。

 

 

フゥ…と息を吐き、掟樹は走り出した。

一気に距離を詰め、そのまま一体のテラフォーマーの顔面目掛けて蹴りを放つ。

テラフォーマーは反応すら出来ずにまるで消し飛んだかの様に顔面は潰れ、風圧で胴体は吹き飛ぶ。

 

そして為す術もなくテラフォーマー達は蹂躙される。

たった一撃でその命を奪われながら…

 

 

 

 

 

 

 

そうしてものの数十秒で殆どの者が倒れ、死んだ。

そして最後の一体が倒れた時に掟樹は言った。

 

 

「火星の奴等もぶっ殺してやらあ…

このゴミ屑の様にな。

 

それに俺は兄貴の部隊に入れねえが、助けることぐれえは出来るんだからな」

 

 

掟樹はそういい、部屋の扉を念の為に設置されている音声認証で開いて外に歩いて行った。

 

 

オーエンはその様子をもの前のモニターで見ながら、

「やはり、豪太君の妹なだけはある。あれほどの強さに届くものがどれほどこの地球に存在するか…

 

 

 

ーーゾクゾクしてきたぞ!!

 

 

ああ、早く武器を完成させ、部隊を整えてその戦いぶりを拝みたいものだ!ああ!待ちきれないぞ!

楽しみで仕方が無い!

 

 

 

……と、こうしてる暇はないんだった!さて、そろそろ行くか」

と言い、急ぎ足で歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──その顔に悍ましい笑みを浮かべながら……




やっとこさの更新です。
文が短いですが…
で、豪太に実は妹が居たという新事実が発覚しました。
何故か嫌な予感もプンプンします。
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