造られし害虫の王 ──The pest which is made── 作:バルシューグ
十五話
──泣いたってどうしようもないぞ!ほら、元気だして!──
──そうそう!笑顔が一番!──
──悲しくて、辛い時も笑っていられる人は強い人よ!でも、貴方は人に助けを求められる人になりなさいね。それも時には必要よ!──
──だからね……泣かないでさ、笑顔でいてね!
自分の思うがままに生きるんだよ!”男は理屈じゃない”んだからさ!──
──ね?豪太──
「…懐かしい夢を見たな」
俺はベッドから起き上がり、窓から朝日を眺める。時刻は早朝6時。
まだ完全に光り輝いてはいないが太陽は空に登り始め、空は清々しいぐらいに青い晴天だということはわかる。
だけど、
明日にはアネックス計画は始まる
あの日はアドルフと遊んだ後、何時ものように寝て、休みは遊んで平日はアドルフは学校、俺は鍛練…
そんな風に一ヶ月は過ごしていき、
その後の俺は何やら特殊な薬の製造関連などもあって少し忙しかったが、アドルフは前の様な実験は余り無く、過ごした。
8年たった頃だったかな?俺の実験などが落ち着きを取り戻した頃に特殊部隊の四人と残りのある一人を除く全隊員、小吉とティンとドナテロが来た。
何故か予定と違ってアネックス計画にドナテロやティンも加わり、ドナテロは娘を守るとアメリカ班に、ティンは成り行きで日本班となった。
てか、その時に自分に妹がいて部隊に入っていると聞いた時には唖然とした。オーエンに問いただそうと心に決めたが。
この日には妹は来ていなかった。
部隊の人数は俺を合わせて11人。
対テラフォーマー能力と対人能力の総合評価にて序列が存在し、非戦闘員は11人中2人いる。だが戦えないということはない。
だけどどちらかと言えば能力が高いほどに特徴が強いから不利な相手なら厳しい戦いになると俺は思った。
あと、勿論例の四人と戦ったが小吉、ドナテロ、ティンからの手解きを受けていたらしく、その強さは以前とは比べものにならなかった。
しかしそれは此方も同じ事であり、張っ倒した。
いつかリベンジをしてやる!と意気込みを入れる結果となった事には驚きを隠せなかったけど…
こうして部隊の皆とアドルフ、時たまに小吉達や何故か着いて来ているミッシェルちゃんなどを加えて鍛練やアネックス計画の人選選びなどをしていった。
ただし、俺は一年の中で一ヶ月は六つの国を転々とする事になった。
理由は単純に俺の監視、組織としての取り込み防止だ。
まあ、放射能は耐えられるわ、銃ぐらいじゃ歯が立たないわ、ミサイルにも効かないわ、再生するわ、そんな奴を一つの国に留められないと判断したのだろう。危険だから。後、戦力として組み込まれたら大変だから。
そのため遠回しの勧誘が凄かった。
だから中国班以外の原作キャラクターとは半分くらいは出会っている。
中国班の中だと劉さんや紅ちゃんしか会ってないな…
二人とはU-NASA関連で少し顔を合わせたぐらいだった。
唯、ロシアで軍神と呼ばれるシルヴェスター・アシモフさんに挑まれたのは冷や汗が出たな。
…本気で死ぬかと思った。
殴っても硬くてヒビが入るぐらいだし、下手に能力が使えないから殴ることしか出来ない。
しかも殴られれば吹っ飛ぶしで勝てる気がしなかった。
長期戦なら勝機は有るかもしれないが…後、ちゃんと娘さん用に薬を渡しておいた。
時期が時期でシルヴェスターは首を傾げていたな…
人選は特に原作と人が変わる事は無かったが、燈くん探しの時にその存在自体を知らず、いつの間にやら我が部隊に入っていた妹に出会ったり、例の実験で作られた俺の活性化能力を使った薬でウイルスの進行期間を細胞再生で遅らせられるという事でアネックス計画の成功で救える命が増えた。
因みに燈くんの幼馴染こと百合子ちゃんも早々に見つけ出した為にまだ生きている。
が、勿論このままなら死ぬ。
という訳で例のあの少年にも出会った燈くんは更にアネックス計画の成功をさせるという意思がより強固となっている。
他は原作通りに進み…いや、俺と会った人物については原作通りじゃないのかもしれないがとりあえず原作通りに進んだという事にする。
で、何故俺がこんな風に現実逃避みたいに語っているのかというと…
目の前の我が部下たち全員と戦わなければいけないからだ。
くそぉ…何で俺、今日にしようなんて事になったんだろう…
全員となんて…無駄に緊張してるぞ!変態して戦闘しなければならないから毒に注意しないといけないし。
更にオフィサーが集まって様子を見るそうだ。
会議的なのをする時に顔は合わせてるし、その時に決まったんだっけ?
確かあの時は……
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「──地球で起こっている病気と皆様が向かう火星との関係について説明します。
『アネックス一号』
蛭間七星はそう言った。
蛭間を囲むようにして座っている六人のオフィサーともう一人の男に向かって…
「人に病を起こさせる原因には実に様々なものがあります…
最近などの微生物に加え、厳密には生物ではないウィルスなど──」
「あとそれに……恋とか」
蛭間の言葉に割ってローマのオフィサーことジョセフがそう呟いた。
「ブッ」
豪太はその言葉に吹いたが、他の者は誰一人反応せず、六人の視線を受けた豪太は気まずそうに俯いた。
「続けます。
細菌は居心地の良い他生物の体内に寄生したがる者もいますが無論、生物なので自分で活動・分裂し繁殖する事も出来ます。
対してウィルスは一切の代謝機能を持たないので他生物の細胞に寄生しないと増殖できません。
増殖にも宿主の細胞を材料として使い、その際に細胞を破壊する者が多い…
しかし、ウィルスは基本的に寄生者なので当然、宿主に死なれては困ります。事実、多くのウィルスが宿主を病気にさせる事なくそれなりに共存している…
ですが、時には他の動物のウィルスが人間にも移れる様に突然変異したり、人間が今までにない動物とのかかわり方をした場合は──
ウィルスは慣れない生物の中でうっかり細胞を壊しすぎてしまったり、逆に人間側の免疫が過剰に現れる事で本来の体全体の機能が保てなくなる。
これが人間が病気(感染症)に罹る時のざっくりとしたメカニズムです。
つまり、何が言いたいのかと言うと───
いかに新種のウィルスと言っても必ず近縁のものや、それを保育する動植物が居る筈です。
しかし、この『
「……なるほどなぁ」
その言葉にアシモフは葉巻を咥えて、ライターに火をつけようとしながら言い、
「あー……
そりゃマズい事したね」
劉翊武は手を顎の辺りで合わせながら言った。
他の者は無言を貫いていた。
「42年前に突然現れ、20年前にその数を急激に増やしています」
蛭間はそう続けた。
「艦長と豪ちゃんのせいじゃん♥︎」
アシモフは小吉の肩に手を置き、二人を見てそう言った。
「「………」」
二人の表情は暗くなる。
自分のしたことがどれほどの事なのかが身に沁みて感じているから。
何故、アシモフが真っ先にそう呟いたのかも知っているから。
が、アシモフの咥える葉巻きが突然激しく燃え、ミッシェルが横目で睨みながら呟いた。
「口を慎め
「……怒られちゃった。
自分の娘と同じ位の子に…おじさん大ショック」
アシモフは身を屈めてそう言った。
「…………いいですか?
致死率は100%、このウィルスの最大の問題点は──
培養が出来ないという事です」
蛭間は見渡しながらそう言った。
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てな事があった訳だ。
この後にあった小吉が観戦に誘うとこはもういいだろう……
あん時、俺の慌て様は異常だったからな…
思い出したくもない。
ニヤニヤとしながら行きたいと答えたオフィサー達に俺は怒りを感じたなぁ…
あ、俺の誕生日でもあった会議の日はその後、またまた小吉の提案で飲みに行くことになった。
正直嬉しかったよ…
あとなんか悔しかったよ…
オーエン?
彼奴は誕生日祝いとか言って強化型クローンテラフォーマー2000体の中に俺を突っ込む様な奴だぞ!?
祝いどころか殺す気だろ!!
いや、確かにそれで強くはなれること自体は嬉しいけどそれをわざわざ誕生日にされて喜ぶ様な
と、オーエンに怒りつつ身支度を済ませる。
現在の時刻は八時、ちょいと思い返しの時間が長過ぎたな…
サッサと行くか。
昼頃が約束の時間だしな。
ガシャンとラーメンの丼を机に置く音が響く。
劉の要望で決まったラーメン屋は皆が満足する味だった。
あれから隊員との戦闘をし、夕方まで続いた。
腹が減ったという事で劉が行きたがっていたラーメン屋に向かった。
明日が出発なのに、だ…
「いや〜
来て良かった。噂に違わぬ…
伝統をブチ壊す旨さだね」
劉は満足気にそう言った。
「しっかし、豪太君やその部下たちの皆はよく食べるね…」
劉は丼を山の如く積み上げる俺を見てそう言った。ジョセフもその言葉に頷いた。
「もう戦い続きで腹が減ってるんですよ!それに明日には地球を出て火星に向かうんですし今の内に故郷の味を堪能しようかなと…死ぬかもしれないし」
俺は自分の頬をさすりながら言った。クローンテラフォーマーとの戦いで頬を鋼鉄のハンマーで何度も叩きつけられて割れてしまったのだ。
いくら強化されたテラフォーマーとはいえ、俺に傷が付くのだ。
その可能性は有る。
「ま、そんな事はどうでもいいです!今日はパーっといきましょう!せっかく来たのに楽しくなきゃそんでしょ!」
俺の言葉に皆頷き、他の話題に入っていった。
しかし、
隣ではラーメンを食えずに居るアドルフの姿があった。
その様子に気づいていないのか、話はドンドン進み、
「それじゃ、腹ごしらえも済んだしお酒いきますか」
「オッ、いいねぇ劉さん」
と、一人を残して酒に入ろうとしていた。
「!!?」
アドルフはそれに驚き、戸惑っていた。
「いやー、ちょいと済まんけどさぁ…まだアドルフがよ……」
俺はアドルフのアイコンタクトに気づき、二人にそう言った。
「「「「「アッ」」」」」
俺の言葉でアドルフの状態に五人は気づいたのか、申し訳なさそうな表情をしてアドルフを見た。
アドルフは五人を何とも言えない表情で見回していた。
まるで生まれたての子鹿の様に体をプルプルと震えさせながら…
「あー、食った食った!
久々のラーメンは美味いな!」
あれから夜遅くまで続き、酔ったミッシェルちゃんをドナテロに引き渡してやっとこさ家に帰った俺は、風呂を上がって椅子に座り、一息ついていた。
更に家の中には何故か我が部下たちが寝転がっており、スヤスヤと眠っていた。
机には明日、起こしてくださいという紙が貼ってあった。
何故かオフィサー達からも念の為に携帯で起こして欲しいと言われたという事に俺は溜息をつきたくなっていた。
アドルフはそんな俺の肩を叩いてくれたのが地味に嬉しかったけどな。
「さて、明日からはついにアネックス計画が始まるし早く用事を済ませるか!」
俺はそう言いながら薬剤や武器の整備を始めた。
……元気良く声を出したけどやっぱクソ眠い。
寝落ちしねぇように頑張ろ。
はい、時を飛ばしました。
手抜きと言われても仕方ないくらいに時を飛ばしました。
あのまま行くと途切れ途切れに過ぎてわかりにくいのでそれならもういっそ前日まで飛ばそうということで飛ばしました。作者の能力不足です…すみません。
次からはアネックス編に入ります。