造られし害虫の王 ──The pest which is made── 作:バルシューグ
二話
「───!ーーーー、ーー──」
耳を澄ませば聞こえるような聞こえないような…
何にしろ、内容は全くわからない。
そんな会話が聞こえてくる。
あれから数分話し合った四人は意見が纏まったようだ。
…どうやら俺に付いてきて欲しいようだ。
おそらくはバグズ二号の艦長、
『ドナテロ・K・デイヴス』
に合わせる為だろう。
……さーて、事はどう動く?
正直俺自身、大量の食料以外は火星に何も持ってきていない…
食料を無しにしても乗れるのは三人程度の小型ポットが一応あるが使い道は微妙である。
…これからの展開によれば貴重な物になるかもだが。
だが、おそらくはバグズ二号の中にサンプルと俺が乗るための小型ポットが余分にあるはずだ。
何せ数ヶ月間先に来るわけだから小型ポットが潰されていてもおかしくないからな。
今回はその話と共に俺もバグズ二号の任務を手伝うと伝えようと思った。黙って助けるのもアレだしな…
それに手伝えば助けやすくなるしな。
「なあ、確か俺達と同じで任務を受けて火星に来たんだよな?」
小吉は俺に向かって声を掛けた。
あまりに静かな空気が耐えられなかったのだろう。
「それ、俺も知りたかったんだ」
ティンもその疑問に乗りかかる。
「アア、ソノトオリダ。オレハ、アルニンムヲ、ウケテキタ」
まだ体が言葉を話すことに慣れていないらしく、上手く声が出せない。
「ふーん、どんな任務なんだ?」
今度はティンから疑問を俺に投げた。
「テラフォーマーヲ、サンプルトシテ、スウヒキモチカエルコトダ」
どうせバグズ二号に着けば話す事だ、別に問題ないだろう。
「へぇ〜、俺達はゴキブリの退治が任務なんだぜ?いやー、さっきので無理だわって思ったけど」
小吉は落ち込んだ様に言った。他の三人も同じ考えらしく、小吉の言葉に頷いていた。
そんな感じで俺達は雑談をしてバグズ二号に向かった。
───そうこうしているうちにバグズ二号の本体が地平線の彼方から見え始めた。
近づいて行けば行くほどにそのバグズ二号の巨大さがわかる。
…でかい
この一言に尽きる。
漫画ででかいのはわかっていたがこれ程とは予想していなかった。
流石は数百のテラフォーマーがその機体の壁に付くだけは有る。
「さあ、着いたぞ!えーと…聞いた名前なら確か…豪太君?だっけ?」
俺は頷き、
「アア、アンナイヲ、タノム」
と呟いた。
「うし!着いてきてくれ!」
驚きながらも四人に案内してもらいながら中に入って行く。
「君が豪太君だね?
バグズ二号へようこそ。私が艦長の『ドナテロ・K・デイヴス』だ」
目の前に立っている金髪の男ーーー
デイヴスは手を差し伸べながら俺に自己紹介した。
俺はその手を取り、
「オレハ『ゴウタ』。ヒトニツクラレシ、モノダ」
力強く握手した。
大きなテーブルの周りには他の隊員がいて、興味深そうに俺を横目で眺めている。
小吉達はどうやら俺の説明をその者達にしているようだ。
少し見ると凄い勢いで質問攻めにあっている。
「では早速だが君は自分の任務を覚えているのか?」
デイヴスの問いに俺は直様答えた。
「アア、テラフォーマーヲ、サンプルトシテ、ホカクスル。コレガニンム」
俺は堂々とそう話す。
「そうか。覚えているようで何よりだ」
デイヴスは少し微笑んで言った。
俺は真剣な眼差しでデイヴスに声を掛けた。
「ジツハテイアンガ、アル。オレモ、バグズニゴウノ、ニンムヲシテモイイカ?」
俺にとって一番大事であろう事だ。
この提案が通らなければ大きく事が変わる。
…少し緊張しながら答えを待った。
デイヴスは少し考えるように眉を顰めると
「……それについては俺から頼みたいほどだ。部下から聞いた時に既に上には許可はとっている。
こちらこそどうかお願いしたい…」
デイヴスは頭を下げて俺に話す。
「…アタマヲアゲテクレ。オレカラノ、テイアンダシ、ナニヨリオレノチカラガ、ヤクニタツト、カンジタダケダ。レイヲイイタイノハ、オレノホウダ」
俺はそう話してデイヴスの肩を叩いた。
「…ありがとう。これからよろしく頼む、豪太」
「コチラコソ」
俺達2人は笑いながらそう言った。
───一通りの挨拶が済んだ頃、
デイヴスから指令が下る。
遂に始まるのか…
俺は手に汗を滲ませる程に冷や汗をかいていた。
「では本格的に奴らーーテラフォーマーの退治に取り掛かる!
幸い豪太のおかげで奴らの強さは以前よりも明確にわかった。
しかし、まだ探索もあまり出来ず、情報も少ない為に今は俺達が不利だ!
そこで豪太ともう一人この辺りの探索を再度してもらう!
誰かいないか?」
デイヴスは隊員達に声を掛ける。
真っ先に手を上げたのは──
「俺が行く」
───ゴッド・リー
この男だった。
「…やはりリーか。では豪太と「ただし、俺は単独で行く」……」
その言葉にデイヴスと豪太以外が驚く。幾ら昆虫の力が有ろうと敵の力は強力なのだ。
「…ヤツラハ、ツヨイゾ?」
「フン…知るかよ、そんなこたぁ…それにゴキブリならば高熱に弱いはずだ。それならば俺が適任だろう」
リーは立ち上がり、腕をクイッと動かした。
「シカシ──「わかった、それでいい」…デイヴス、イイノカ?」
デイヴスは頷き、
「…ああ、
ヤツはイスラエルの武装勢力にいた男だ。
そうだろう?リー」
「…ああ」
「それにその環境の中で26年間戦い続けたリーなら無茶はしないだろう」
その言葉で小吉達も納得がいったようだ。
「…先に行くぜ」
そう言うとリーは出口を出て行った。
「デハ、オレモイキマス」
そう告げ、俺も出口に向かう。
「おい!」
小吉が俺に声を掛ける。
俺は立ち止まり、ただ一つの言葉を聞く。
「死ぬなよ…」
俺は再び歩き出し、ただ艦を出る時に腕を高く振り上げ、手を振った。
長い付き合いではなくともこれで充分伝わっただろう
───それに俺はもう一人じゃない。小吉の言葉が俺を心強くさせた。
…これが仲間か。確かにこれは頑張ろうと、守りきろうと、気持ちが昂ぶるな…
さて、任務ついでに敵も叩き潰すか
俺はそう思いながら歩を進めた。
少し短いです。次は今回よりも長くなるかも?