【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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019 ライトオブセイバー

 破壊神デストラクターとの戦いが待っているという神託を受けて数日後。俺とゆんゆんは今日は2人でクエストをこなすことになりコンビで行動していた。

 

 今日のクエストは畑を荒らす一撃グマ狩りだ。クエストの難易度としては楽勝なもの。ゆんゆんの魔法で攻撃して、それでも仕留められなければ俺が接近戦で標的の命を削り取り、再度ゆんゆんの魔法で仕留める。

 

 作戦から読み取れるように今回のクエストではゆんゆんがとどめを刺すことをできるだけ優先したいと考えている。なぜなら、彼女のスキルポイント的に、後レベルが1上がれば念願の上級魔法が習得できるからだ。彼女はライトオブセイバーという、長さの調節ができて、魔力供給量と技量次第で何でも斬り裂くことの出来る光の剣を発生させる魔法を習得するつもりでいる。

 

 上級魔法を使えるようになることは紅魔族的に一人前として認定されることなので族長を目指すゆんゆんにとっては重要なことだ。それに、ライトオブセイバーは上級魔法の中でも特に強力な魔法のため、特化戦力だったり弾数1な、俺やアクア、めぐみんと違って恒常的な大火力を発揮できる、パーティーにおける最大戦力となることが期待される。

 

 ちなみに余談だがゆんゆん曰くベルディアの使用していたダークオブセイバーはライトオブセイバーや職業『ソードマスター』や『ルーンナイト』の使うルーンオブセイバーの亜種らしく、光属性とは逆に闇の属性の何でも切り裂ける剣とのことだ。ぶつかると大爆発が発生し、そのような反発する反応を利用した爆裂魔法クラスの超高火力の魔法も理論だけ存在しているという雑学も披露してくれた。

 

 霜の降りた枯れ草をわきに生やしている道を二人で歩いていく。

 

「冷えますね」

 

「そうだね」

 

 アクセルの街やその周囲の環境は、毎日馬小屋で寝るときに朝起きることなく凍死しないか心配になるほどの寒さなのだ。今は太陽が高く昇っているお昼過ぎとはいえそれでも寒い。

 

「この寒さ嫌になるな。毎日死なないか心配になりながら寝てるし。借金の天引きがもう少し少なければ宿にも泊まれるんだがな」

 

「そうですね、私も宿が恋しいです」

 

「お金出すからせめてゆんゆんだけでも宿で……」

 

「あのリョウタさん……。心配してくれるのはうれしいんですけど私だけ宿だなんてだめです。仲間じゃないですか。大事な友達のリョウタさんが馬小屋で日々頑張って寒さに耐えてるのに。友達は苦楽を共にするものだと思います!! 」

 

 友達という部分が強調されたゆんゆんの言葉に自分の過保護を少し反省する。

 

「そうだな、ごめんよ」

 

「もうリョウタさん前にも言いましたけどまるで私のお兄ちゃんですね。お友達なのに」

 

「あははは……」

 

 俺は苦笑する。

 

「それにしても、今日でおそらく上級魔法が習得できると考えると楽しみで仕方がないです」

 

「確かトラブルで中級魔法を習得せざる負えなくなった結果、上級魔法が習得できなかったんだよな」

 

「はい。でもこれで長きにわたる中級魔法使いの称号とはおさらばできそうです。多分明日からは一人前の紅魔族になれてると思うと舞い上がっちゃいますね。えへへ、私、気が早いですね」

 

 よっぽど上級魔法の習得が楽しみなのだろう。若干ゆんゆんの歩き方がステップを踏んでいるように見えた。

 

 何というか年不相応な発育と大人しい印象のせいで年齢が高く見えるけどなんだかんだまだ13歳なんだな。

 

 そんな子に恋をしているとは、若干背徳感がまだある。

 

「どうしましたリョウタさん? 」

 

 俺の表情が引きつっていたからであろう。ゆんゆんが俺のことを心配して顔を覗き込んできた。

 

「大丈夫、大丈夫だ。問題ない」

 

「ん? ならいいですけど」

 

 しかし魔法か。今以上に俺も使いこなせたら便利だよなー。

 

 俺は冒険者カードを懐から取り出し眺める。そこにはレベル31、スキルポイントは90、転職可能職業にウィザードとアークウィザード、ソードマン、ソードマスター、ナイト、クルセイダー、アーチャー、盗賊、戦士。そして転職可能間近の職業としてルーンナイトと表示されていた。

 

 『冒険者』はなんでも覚えられるのが強みだが、どのスキルもスキルポイントが専門職以上に習得に要求される、その上どのステータスもお世辞にも高いとはいえない。そんな『冒険者』だが俺の知る限りでそれの上位互換と言えそうな職業がある。それが魔法職と近接戦職のスキルを覚えられるルーンナイトだ。

 

 ちなみにルーンナイトになれるのは一握りの才能を持った者だけとのことから俺に戦闘面で才能があることがよくわかった。傲慢な言い方になるが、なぜそんな戦闘への才能にあふれている俺が最初に冒険者ギルドで登録する際に『冒険者』とウィザードしか選択肢がなかったのかはおそらく当時は基礎ステータスが一般人よりも貧弱だったからこそなのだろう。鍛えた結果、職業選択の幅も広がりしっかりと伸びたことがそれを裏付けている。

 

「なぁゆんゆん。俺がルーンナイトに転職したらどうなるかな、パーティーのバランス」

 

「えっと、いいと思いますよ。器用なカズマさんに、回復役のアクアさん。大火力のめぐみんに壁役のダクネスさん。魔法の使える私に、遊撃役としてもってこいなルーンナイトになったリョウタさん。作戦の幅がぐんと広がると思います。……今とあまりポジションは変わらない気もしますが」

 

「なるほど。じゃあレベルが達したときにルーンナイトに転職するよ。その時は上級魔法や中級魔法を俺に教えてくれないかなゆんゆん」

 

「え、わかりました!! それにしてもリョウタさんそんなにもレベルが上がってたんですね。すごくレベルの上昇が早っ……て!! どうなってるのこれ? 」

 

「どうしたゆんゆん!? 」

 

 俺のステータスの項目を見つめるゆんゆんが声を上げた。いったいどうしたというのだろう?

 

「普通、レベルが上がっても変わらない運がすごく上がってます。カズマさん一歩手前ですよ!? 」

 

「カズマの一歩手前!? あ、ほんとだ!! 普段から変わらないものとして気にしてなかったから全然気づかなかった……」

 

「いったい何があったんですか? 」

 

「…………あ」

 

 思い当たる節が一つだけある。

 

「エリス様のセイクリッドハイネスブレッシング……」

 

 ブレッシングの最上級をかけてもらったのを思い出した。

 

「エリス様にお会いしたときにそんなことまでしてもらってたんですか? 」

 

「うん。かけてくれてた。まさかこんなに効果があったとは」

 

 ゆんゆんの膝枕を味わえたのはこの恩恵があったからなのかと数値化された幸運に強く認識させられる。

 

「……今ならリョウタさんもスティールでカズマさんみたいに女の子のパンツを狙ってはぎ取れるかもしれません……」

 

 そんなことを赤い顔で呟くゆんゆん。

 

「カズマは狙ってなんかないよ。きっと」

 

 だがスティールか。せっかくなので試してみたい。

 

「ちょっとスティールしてみるか」

 

「え!? わ、私にですか!!!? 」

 

「違う違う。そうだね。じゃああの木の実の中で一番大きい奴を狙ってみようか」

 

 俺はゆんゆんを挟んで左の方に生えている赤いリンゴのような木の実。その中でも一番大きく実っているものに狙いを定めることにした。

 

「リョウタさん。ミスして私からはぎ取らないでくださいね……」

 

「大丈夫大丈夫」

 

 きっと大丈夫、でも手が滑ることはあるかもしれない。あったらまた口をきいてくれなくなりそうで恐ろしいが。

 

「じゃあ行くぞ」

 

「んっ」

 

 ゆんゆんが身構える。

 

「スティール!! 」

 

 突き出した右の手のひらから淡い光が放たれて。それが治まると。手のひらに何かが掴まれていた。

 

「手ごたえあり!! 」

 

 重いし赤っぽいしきっと木の実……じゃなかった。

 

「布製だな、ということは……」

 

 俺はゆっくりとゆんゆんの方に視線を向けると。何が起こったのかわからないという表情のゆんゆんが突っ立っていた。

 

「っ!! 腰から下が寒いって……え? 」

 

 ゆんゆんはスカートをはいていなかった。しかしそれだけではない。パンツも履いていなかった。

 

「は? 」

 

 俺は素っ頓狂な声を上げると、俺の右手に握られたスカートの間から白色のひらひらした物が地面に落ちた。言うまでもない。ゆんゆんのパンツだった。

 

「え、ふぇぇぇぇ……」

 

 涙目になる下半身裸のゆんゆん。彼女は内股になると局部を手で隠し、しゃがみ込むと泣き始めた。

 

 何と素晴らしい光景だったのだろうか。エリス様ありがとうございます。

 

 しかし。

 

 あーあやっちまった。若干の下心が頭の悪い奇跡を引き寄せてしまったか。

 

 俺は素早く土下座をするとゆんゆんを視界に入れないように配慮しながらパンツとスカートを、献上するかの如く差し出した。

 

「どうもすみませんでした」

 

「リョウタさんのバカ……」

 

 ゆんゆんは涙声で呟いた。

 

 

 

 一撃グマは基本的には夜現れるという情報を被害にあっている農家の方々から聞き、夜まで、よく被害の出ている畑の近くにテントを張って過ごすことにした。

 

 ゆんゆんの機嫌は思っていたより早く直りはじめ(前回と比較して)、日が沈み始めた今現在で目を合わさなければ会話が可能な状態となっている。

 

「ゆ、ゆんゆん。夜まで時間があるしボードゲームでもしないかい? 君のことだ。持ってきてるんだろ? 」

 

「そ、そうですね。そうしましょうか!! 」

 

 ただしこのように互いにどもりながらのぎこちないものだが。

 

 正直スカートをはぎ取ったうえパンツまで脱がせられ、あまつさえその状態を目に焼き付けられたというのに許してはくれているゆんゆんは女神だと思う。機嫌を直すのが前と比べて早いのは信頼関係が以前よりも増して強くなっているからだろうか? 

 

「じ、じゃあ始めようか、いつものチェス」

 

「は、はい」

 

 

 

 それから日が暮れるまでの間、この世界のチェスに無言で励んだ俺たちは、いよいよゆんゆんのレベルアップに向けて一撃グマを狩るためにテントの外に出た。

 

「一撃グマは警戒心が強いですからね。臭いけしポーションを使って伏せて待ちましょう」

 

「ああいうことがあった後でもクエスト中は真剣に取り組めるゆんゆんはすごいと思う」

 

「えっ、いきなりなんですか? ほ、褒めても何も出ませんよ。あと恥ずかしいのであの話はNGでお願いします……」

 

 頬を赤らめて、話の後半につれて声が小さくなるゆんゆん。

 

「かわいい」

 

「も、もう!! クエスト開始なんですから、しっかりしてください。リョウタさん真面目に」

 

「俺はいつだって真剣で真面目にかわいいと言っている」

 

「リョ、リョウタさぁん……」

 

 いよいよ顔を覆い隠してふにゃふにゃな声質になるゆんゆん。

 

「そういうところもかわいい。さて、ポーション使って地面に伏せるか」

 

「切り替え早すぎませんか!?……わかりました」

 

 俺と、口を照れで固く結んだゆんゆんは消臭ポーションを使用し、草が茂っている場所に伏せた。

 

「作戦を確認しておこう。まず一撃グマが現れたらゆんゆんがライトニングで攻撃。それをよけられたら俺がパラライズのマジックスクロールを使って動きを封じる。その後再びライトニング。それでだめなら二人で近接戦闘に持ち込んで弱らせる。そしてとどめはゆんゆんがさす。OKかい? 」

 

「はい、大丈夫です。やりましょう」

 

 そうして、近くで光らせていたランタンの火を消し息をひそめる。そこからは無言の時間が始まる。

 

 しかしゆんゆんとは最初の方は緊張だったり、慣れなかったり、コミュ障発揮したりで、会話が途切れることも多かったが、そのころから無言の中でも本当に気まずい感じにならないのが彼女の魅力の一つだと思う。

 

 ふと、彼女から自分がどう思われているのかが気にかかる。少なくともただの友達程度ではないのは心得ている。死線をくぐり抜けた信頼関係で結ばれているのだから。

 

 しかし俺が恋愛対象とかそう言うのに含まれているのかはいささか疑問がつく。『お兄ちゃみたい』という言葉や、普段の彼女の俺へ接する様から年が離れすぎていてそう言う風に見られていないかもしれない確率があるのだ。

 

 元ヒキニートが高望みしすぎだろうか?

 

 しかしそれだと先日のエリス様を褒めたときに見せた反応の説明がつかない。少なくともほかの女を褒めるようなことをすれば嫉妬する程度には思ってくれていると考えていいのだろうか?

 

 というか嫉妬する程度ってどの程度思われていることになるんだ? ゆんゆんが俺をどの位置に定義しているのかもわからないせいで、その方向性もわからないし。

 

 結論、乙女心というのはよくわからん。

 

 でも今分析してみて確かなことが1つだけ分かった。それは。

 

「ゆんゆんは魔性の女だ」

 

「え? い、いきなりどうしたんですか? 」

 

「なんでもない。ただの独り言だよ。……っ!! ゆんゆん見えるかい? 」

 

「はい……!! 一撃グマ。こちらも確認しました」

 

 伏せて5分もしないうちに一撃グマが畑のすぐ横の藪から現れ、畑へと、のこのこ入ってきた。

 

 俺たちは顔を見合わせると頷きあう。

 

 作戦開始だ。

 

「ライトニング!! 」

 

 ゆんゆんが勢いよく草むらから飛び出しライトニングを放つ。電撃は一撃グマに見事に命中し胸元を焼き焦がした。

 

 しかし、畑を荒らして栄養をたっぷり摂った一撃グマはその程度では死ななかった。

 

 怒りの咆哮を上げる一撃熊。まっすぐゆんゆんへと走り襲い掛かってきた。

 

「マジックスクロール・パラライズ!! 」

 

 俺は草むらから飛び出てゆんゆんの前に庇うように踊り出ると同時にマジックスクロールを展開。魔力を流す。すると、見事にパラライズは成功し一撃熊の足元に魔方陣を浮かび上がらせ拘束した。

 

「よし、弱らせなくてもこのまま撃てば済みそうだな。ゆんゆんもう一度電撃だ!! 」

 

「はい!! ライトニング!! 」

 

 電撃がゆんゆんの手のひらから再び発射される。それを喰らって悶えるがその一方でその場から一歩も動けない一撃グマ。実に一方的だが相手は害獣。かわいそうなどとは言ってられない。

 

 一撃グマは今の一撃を喰らってもまだ息があった。紅魔族の放つ中級魔法は一般人の上級魔法に匹敵するらしいがそれに耐えるとは。

 

 必死に抵抗しようとその場に縫い留められた状態でもがいている一撃グマ。

 

「なんだかかわいそうですけど、農家の人たちが困ってるから……。ファイヤーボール!! 」

 

 ゆんゆんはとどめとしてだろう、普段と比べて一際大きなファイヤーボールを一撃グマに射出し焼き尽くした。

 

「ふぅ、終わりましたね」

 

「ああ、お疲れ様」

 

「リョウタさんもお疲れ様です」

 

「早速レベル確認してみなよ。上級魔法習得できるかもしれないんだろ」

 

「はい!! 」

 

 ゆんゆんが冒険者カードを取り出す。レベルは25にスキルポイントは31あった。

 

「やった!! これで上級魔法が使えるようになります!! 」

 

 一度、飛び跳ねて喜ぶゆんゆん。年相応でかわいらしい。

 

「ライトオブセイバーだったよな覚えるの」

 

「はい!! ……習得しますね」

 

 ゆんゆんが自分の冒険者カードをタッチする。

 

「習得、できました!! やった!! 」

 

 ガッツポーズをとるゆんゆん。

 

「どんな魔法なのか見てみたいなゆんゆん」

 

「え? いいですよ。初めてだからうまく行くかどうかはわかりませんけど……」

 

「構わない。ぜひ見せてくれ」

 

「わかりました」

 

 ゆんゆんは目を瞑り深呼吸して息を整える。そして、右手を高く掲げ。

 

「ライトオブセイバー!!!! 」

 

 手刀から黄金の電撃を纏った金色の光の剣が天高く伸びる。神秘的にも感じられるその剣は周囲を明るく照らし出した。

 

「まるで、スーパーロボットの伸びる必殺剣だな……」

 

「え? すーぱーろぼっと? 」

 

「なんでもない。……きれいだよゆんゆん」

 

 二重の意味で。

 

「そうですね。この魔法。本当にきれい……」

 

 やがて、ゆんゆんはライトオブセイバーの放出を止める。

 

「ありがとう、ゆんゆん。いいもの見れた」

 

「い、いえそんな。でもそっか、ついに上級魔法を習得したんだ」

 

 下を向いて唱えるようにそう言うゆんゆん。やがて。

 

「これで私は……めぐみんと決着をつけられる……!! 」

 

 顔を上げたゆんゆんの顔は決意に満ちていた。

 

 

 

 

 

「つ、つかれました……」

 

「だね……」

 

 翌日の夜。

 

 昨日の決意の表情はどこへやら。ゆんゆん。そして俺は疲れ切った顔でギルドの受付へと歩いていた。

 

 農家の人たちに一撃グマを倒したことを伝えると大層喜び、朝から宴会を始めて俺たちを主役にして盛り上がった。コミュ障の俺たちはもちろんその場で極度の緊張を強いられて、一撃グマと戦うよりもはるかに疲れた。もちろん楽しくなかったわけではない。それなりに一緒になって騒いだし、それにもてはやされてゆんゆんはなんだかんだでニヘラという顔をしておりかわいかった。

 

「でも楽しかった……よね? 」

 

「はい!! 」

 

 俺とゆんゆんは受付で天引きされまくった報酬を受け取るとギルド内で夕食をとっているであろうカズマたちを探す。すると。

 

「おお!! カガミリョウタ。カガミリョウタじゃねぇか!! 」

 

「な、なんですかダストさん? いったいどうしたんです? 」

 

 苦手なチンピラ、ダストが現れた。俺に縋りついてくるダスト。

 

 ゆんゆんは知り合いですかという風な顔で俺の方を見つめてくる。

 

 このダストにはスキル『両手剣』を教わる際にいちゃもんをつけられてたくさん金を巻き上げられた過去があるためはっきり言って嫌いだった。

 

「どうもこうもねぇよ!! お前ら確かカズマのパーティーだろ!! 頼む!! カズマを説得してくれ!! 」

 

「説得? 」

 

「あいつ俺のパーティーと入れ替わる気なんだよ!! 俺じゃああの三人の制御なんか出来っこねぇ。頼むお前からも何とか言ってくれ!! 」

 

「……とりあえず話を聞きます」

 

 ダストからことの顛末を聞く。その内容は、まずダストがカズマを美少女の上級職におんぶにだっこと煽り、パーティー変わってくれよと言い出すと喜んでカズマに変わられて、その結果、アクア、めぐみん、ダクネスの制御ができず散々な目に合ったらしい。ダストの代わりにカズマを迎えたパーティーはというとカズマが大活躍して素晴らしいクエスト結果だったそうだ。そのせいでカズマとダストを取り換えることを本気でダストのパーティーメンバーとカズマが検討しているらしい。

 

「あの、完全に自業自得なのでは? 」

 

 言うべきことはしっかり言うゆんゆんがそう口にする。

 

「おい姉ちゃんそれはわかってても言わない約束だぜ。それにしてもいい乳してんなー」

 

「ふぇ!? 」

 

 胸元が大きく開いている服を着ていることもあってかそんなことを言われるゆんゆん。

 

 確かにダストの言う通りではある。

 

「リョウタとコンビ組んでるらしいしお前の彼女かリョウタ? 」

 

「コンビは組んでるけど恋人じゃない(残念ながら)。それとダストさん。ゆんゆんは13歳なのでセクハラは本気でやめた方がいいですよ(すでに俺はもっとヤバいことやらかしてるけど)。あと完全に自業自得です」

 

「げ、マジでガキじゃねぇか!! あと自業自得なのはわかってるからさっさとお前らもカズマの説得に付き合えよ!! このままだと俺がパーティーリーダーになるぞいいのか? 」

 

「よくないです!! 」

 

「だろ!? っておいリョウタ即答すんなよ!! いい度胸してんなぁ!? 」

 

 態度をコロっと変えて俺に食って掛かるチンピラダスト。

 

「と、とにかくカズマさんを説得しましょうお二人とも。本当にカズマさんがいなくなったらあの三人は本当に大変なことになると思いますし……」

 

 俺とダストは顔を見合わせると。

 

「「了解」」

 

 そう、同時に言葉を口にし、カズマの説得に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだかんだでカズマは結局戻ってきてくれた。




 ライトオブセイバーって本当にきれいですよね。余談ですがダークオブセイバー関連の話題で出てきた設定はオリジナルです。

 それと、ルーンナイトの詳細な設定は本作独自の物です。公式設定ではありません。原作ではルーンナイトの詳細な設定はされていなかったはずです。

 最後に。高評価、感想、いただけるとうれしいです。

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