【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:菅原リディ

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031 神を殺す力

 

『被害甚大につき自爆装置を作動させます。乗組員は直ちに避難してください。タイムリミットまで残り10分』

 

 無感情なアナウンスが鳴り響く中、どうやら破壊神が本気になった。彼を中心にして何度も魔力の波が広がり続ける。

 

 その波の色は赤橙。爆裂魔法と同じ輝きだった。

 

「一本取られたぞ水の女神!! 全く腹立たしいな貴様は。さすがに頭に来たので本気でやらせてもらうぞ。確実にこの依り代は破壊されてまたゴーストになってしまうが仕方がない!! 」

 

 そう叫ぶ破壊神は強烈な印象を与える凶悪な笑みを浮かべていた。よほどアクアの不意打ちが頭に来たのかもしれない。

 

「なにかしら、顔芸で私に勝負でも挑むつもり? 」

 

「全く、神経を逆なでするのが得意な奴だな貴様は」

 

 凶悪な笑みを浮かべたままアクアに向けて呟く破壊神。彼は右手に魔方陣を展開する。その魔法陣は爆裂魔法の物だ。

 

「さて耐えられるか? 範囲を絞ったこの爆裂魔法を……!! 」

 

 魔方陣からエネルギーの塊が発射された。標的はミツルギだ。

 

「っ!! ルーンオブセイバー!!!! 」

 

 ミツルギがとっさの判断で繰り出したルーンオブセイバーは爆裂魔法とぶつかる。光のビームは爆裂魔法のエネルギーの塊を縮小させたものの……押し負けて飲み込まれた。その結果。

 

「ぐわぁぁぁぁ!!!! 」

 

 ミツルギに小範囲の爆裂魔法が突き刺さり、焼かれ、吹き飛び、壁に衝突した。

 

「魔剣の人!? 」

 

「ミツルギ!! 」

 

「ミツルギさん!? 」

 

 アクアが大けがをして気絶したミツルギに駆け寄り急いでハイネスヒールをかけ始める。

 

「ゆんゆん下がれ!! 君だと耐えられない!! 」

 

 俺はとっさに破壊神からゆんゆんを背中に隠す。

 

「な、私たちはコンビだって言ったじゃないですかリョウタさん!! 私だけ下がるだなんてできません!! 」

 

「君じゃ消し炭にされる!! ソードマスターがぎりぎり何とか耐えられるくらいだぞ!! アークウィザードじゃ無理だ!! 」

 

「そうかもしれませんけど……あなたを一人で戦わせるわけには!! 」

 

「状況をよく見て!! 君がやられたら何もかも意味がなくなる!!!! それに……」

 

 今の俺には、あの時と同じ力がある。破壊神が本気になったことで解放された神殺しの剣の封印されていた機能が発動しているのだ。あの牧場で要石を前にした時と同じ力だ。いや、単純な能力ブーストだけで言えばあの時以上の力がある。

 

「それになんですかリョウタさん!? 」

 

「俺1人でなら勝てる……!! 」

 

「え? 」

 

 ゆんゆんが戸惑い後ずさる。

 

「言い切ったな神殺し!! 十全とは正直全く言えぬが全力の我と貴様の力どちらが上か試してみようではないか。……神を殺す力が上か、すべてを殺す力が上か、なぁぁぁぁ!!!? 」

 

 破壊神が爆裂魔法を発射してきた。それも4発同時にだ。そのうち2発はアクアとミツルギに向けられている。そして破壊神自身は瞬間的な加速で俺に迫ってきた。その両手には魔力弾が握られている。

 

「撃ち落す!! 」

 

 神殺しの剣の刀身が白い電撃を纏うと同時に黒いエネルギーが発生し、七支刀のようなシルエットを形作る。そしてそれぞれ7本のエネルギーの刃がビームとなって一気に伸びていきそのうち4本が爆裂魔法を迎撃した。あのデストロイヤーすら破壊できる威力を持っている爆裂魔法をきれいに相殺できている。そして残った3本は破壊神の真横や真上を通過した後……数十本に枝分かれした。大量になったビームが幾何学模様を描くかのごとく折れ曲がりながら全方位から破壊神を襲う。俗に言うホーミングレーザーだ。

 

「分かれる上に追尾してくるか……!! 面白い……!! 」

 

 破壊神は俺への突撃をやめて球体状の魔方陣を展開して防ぐ。

 

「ひぃぃぃ!!!! 神殺しの剣が全力稼働一歩手前になってるんですけどぉぉぉ!!!! 神殺し、間違ってそのビーム、私にあてないでよね!!!! 」

 

 アクアの悲鳴と、破壊神に殺到する幾本ものビームの音が一緒に響き渡る。

 

「すごい……これがリョウタさんと神殺しの剣の力……!! 」

 

「まだまだいけるぞ!!!! 破壊神!!!! 」

 

 俺はホーミングレーザーの発射を中止し、神殺しの剣の刀身にエネルギーを収束させて。

 

「ディナイアルエクスプロード!! 」

 

 斬る動作と同時に呪いのビーム斬撃波を発射した。ディナイアルブラスターと同じ効果を持ち、目標物に命中すると爆発するそれは、高速で地面を切り裂き煙を上げながら破壊神の球体魔方陣に衝突した。そして爆発を起こす。黒い呪いの光が周囲に拡散した。

 

「ひぃぃぃぃ!!!! 神様を殺す呪いが部屋中に充満していくぅぅぅ!!!! 」

 

「その程度か!! 」

 

 破壊神は球体魔方陣でディナイアルエクスプロードを防ぎきり爆風と呪いの光の中から上空に飛び出す。

 

 俺は。

 

「ウイング展開!! 」

 

 背部にエネルギーを集中、高密度の金色の電撃状のエネルギーが羽のような形で展開される。それが、俺の身体を浮かせた。

 

「飛べ!! 」

 

 そして俺の身体が一気に破壊神の方に向けて空中を加速する。

 

「我と同じ場所に立つか!! 」

 

「そっから叩き落としてやる!! 」

 

「やれるものならやってみろ!! 」

 

 神殺しの剣と破壊神の握った右手の魔力弾がぶつかる。続いて2撃目。破壊神の左手の魔力弾と角度を変えた神殺しの剣がぶつかる。

 

 それから何度も剣と拳で打ち合った。もはや技量ではなく反応速度が速い方が勝つという次元に突入していた。その動きは超高速。傍から見れば何をしているのかまるで意味不明な速さの動きだろう。真っ黒な1つの軌跡と赤橙の2つの軌跡がぶつかり合っているように見えるのが関の山かもしれない。

 

 現状、俺の身体能力等は過去最高に強化されている。

 

「動きが早い!! だけど俺も早くなってる!!!! それにお前の身体も壊れ始めたな破壊神!! 」

 

 破壊神の目や耳の穴、爪の間から血が流れ始めた。ほかにも白かった軍服のような装束が下の肌から染み出た血で赤く染まり始めている。依り代が不完全なもの。すなわち紅魔族でないにもかかわらず全力を出しているのが原因だろう。

 

「それがどうしたぁぁ!!!! 」

 

 破壊神が高速で俺の腹に蹴りを入れると、さっきまで握っていた魔力弾を二つとも俺に発射してくる。俺は床に叩きつけられ肺の空気を押し出される。

 

「リョウタさん!! ライトオブセイバー!!!! 」

 

 ゆんゆんが俺へと迫る二つの魔力弾をライトオブセイバーで切り裂こうとするが。

 

「無駄だ!! それも小さな爆裂魔法。ライトオブセイバー如きでは切り裂けはせんわ!! 」

 

 魔力弾はライトオブセイバーを逆に破壊し身動きの取れない俺にいよいよ命中する。

 

「リョウタさん!!!! 」「神殺し!? 」

 

 と思われたが。

 

 俺の前面に展開された真っ黒な光の壁がぎりぎりで爆裂魔法弾の命中を阻んだ。これも現在の神殺しの剣で使用可能な能力。バリア展開。神や悪魔の補助スキルを無効化し、攻撃スキルのダメージを軽減する俺にかかっている呪い。その超高出力版ともいえるのがこのバリアだ。

 

「反撃開始だ」

 

 俺はウイングの力で倒れた状態から身体を無理やり起こすと、神殺しの剣の刀身から野球ボール大の白い電撃を纏った黒球を無数に生み出す。そしてそれらを破壊神に向けて一斉に襲い掛からせた。これは胞子状のエネルギービットの精製能力だ。

 

 破壊神は迫ってくるビットを小規模な爆裂魔法を連射して迎撃していく。

 

 ビットの制御には俺のイメージ力がもろに直結する。そのため先ほどの自動追尾の枝分かれするビームほどの精度はないが、その代わり。

 

「ぐわっ!? 」

 

 爆裂魔法をうまくかいくぐり破壊神に3発ほど命中させる。

 

 ビットの数が減れば減るほど一つ一つの制御力が上がり今のようにビットを繊細に操作できる。

 

 破壊神はさっきの3発によって右の翼の半分を失い、左腕を損失した。

 

「ちっ!! もろくなっているのか、だが!! 」

 

 破壊神は自身の身体の崩壊に苛立ちをあらわにしながらも、今度は天に向けて残った腕をかざし、巨大な爆裂魔法の爆焔を球状に形成する。そしてそれを一気に圧縮して変形。剣の形に仕立て上げた。

 

 見たところ近接戦闘を挑んでくる気なのだろう。だが猪突猛進する気はない。

 

「いっけぇぇぇ!! ビット、ホーミングレーザー!!!! 」

 

 神殺しの剣から大量の弾幕を張る。大量の胞子ビットと7本から無数に枝分かれした細いレーザーが破壊神に襲い掛かる。そして、ホーミングレーザーを照射しながら俺は神殺しの剣を前方に構えると、バリアを円錐状に剣先を頂点として展開。破壊神が回避しきれずに足を止めた瞬間にこの円錐バリアもろともに急加速して叩き込む。

 

「撃ち落してくれる!! 」

 

 破壊神は高速機動しながら、いくつもの爆裂魔法の魔方陣を背後に展開し発射。ビットやホーミングレーザーに命中させると同時に爆発させて迎撃していく。そんな動作をしながら着実に俺の方へと寄ってきていた。

 

 まだだ、最高のタイミングで突撃して確実に仕留める。

 

 破壊神が上空で乱舞し続ける。爆風が吹き荒れ、迎撃された呪いの力が周囲に黒い粒子となって充満していく。

 

「げほっげほっ!! 苦しい……」

 

 アクアがミツルギを治療しながらせき込む。呪いが周囲に充満しているせいでそれがダメージになっているのだろう。申し訳ない。

 

 アクアに心の中で謝罪する中、ついに一瞬だが破壊神が足を止めた。

 

 俺は足に力を入れウイングをひときわ大きく展開。破壊神に向けて突撃を駆けようとした……直前に気づいた。

 

 爆裂魔法の内の一発がゆんゆんへと放たれたことに。

 

「間に合えぇぇぇぇ!!!! 」

 

「っ!! リョウタさん……!! 」

 

 ゆんゆんが高速で迫る爆裂魔法を避けられないのをわかってか、あきらめの表情で目を瞑るのが見える。俺はそんな彼女に向けてウイングで急加速して庇うように前に立つとディナイアルブラスターを放って爆裂魔法を迎撃した。

 

 その瞬間。

 

 俺のもとにたどり着いた破壊神が俺の右のわき腹を、爆裂魔法で形成された剣による刺突で、魔法耐性や神殺しの剣によるブースト機能のステータスアップを無視しているかの如く簡単に切り裂いた。

 

「がぁぁぁぁぁぁ!!!? 」

 

「このまま切り裂いてやろう!! 死ね、神殺し!! 」

 

「さ、させないんだからぁぁぁぁ!! 」

 

 ゆんゆんが破壊神に駆け引きも何もかもかなぐり捨てた体当たりを敢行した。ダガーを持っての突進だったようで、読み切れなかった破壊神がそれを突き立てられ顔を痛みに歪めた。

 

「ボディ候補めが!!!! 」

 

 破壊神はゆんゆんの腹に膝蹴りを打ち込み後方へと弾き飛ばす。それを見過ごす俺ではない。もはや熱量で炭化してしまったわき腹の痛みをこらえてゆんゆんの後ろにウイングの推進力を生かして回り込み優しく抱き留める。

 

「助かったゆんゆん!! 」

 

「リョウタさんこそ……ありがとうがざいました」

 

 苦痛に顔を歪めながら、申し訳なさそうにゆんゆんが俺にお礼を言う。

 

「どう考えても足手まといなので、アクアさんと一緒にミツルギさんを連れて隔壁の向こうに避難しておきますね……ごめんなさい」

 

「頼むよ。それと、気にしないで」

 

 俺は優しく笑いかけ、ゆんゆんの頭を短く撫でると破壊神に向き直った。俺のそばからゆんゆんが離れアクアたちの方へと向かっていく。

 

 破壊神は胸元からダガーの刺し傷により血を流し、また同時に吐血する。その状態でも爆裂魔法の剣を握ったままだ。

 

「っちぃ!! 思った以上に自壊が早い、お前を破壊する前にこちらが先にくたばりそうだな」

 

 嫌そうな顔でそう漏らす破壊神。

 

「そのまま自滅してくれるとありがたいんだがな……」

 

 俺は本音をこぼしながら左手で神殺しの剣を構え右手で負傷したわき腹をさする。

 

「それにしても貴様の弱点はあの我のボディ候補の少女だと踏んだが本当にそうだったとはな。絆か? 」

 

「違う。愛だ……!! 」

 

「そうか。なら、それもまとめて破壊してくれよう」

 

「できるものか!! 滅びかけてる分際で!! 今から確実に滅ぼしてやるから覚悟しろ」

 

「それこそできぬわ!! 」

 

 お互いが同時に動いた。神殺しの剣と爆裂の剣がぶつかり衝撃波を放つ。

 

「うぉぉぉぉ!!!! 」

 

 俺が足に力を込めて踏ん張りながらウイングからエネルギーを噴射しどんどん押していく。破壊神はそれに負けじと翼をはためかせて魔力を噴射、今度は俺を押し返してきて剣と剣は互いの中間で鍔迫り合いを続ける。

 

「ディナイアルセイバー!! 」

 

 俺はその状態でディナイアルセイバーを発動。切っ先を鍔迫り合いの中で少しずつ破壊神の方に向けていきそれに付随してディナイアルセイバーがどんどん破壊神を切り裂かんと迫っていく。

 

 あと少しで切り裂ける!! そんな確信をした瞬間。

 

「エクスプロージョン!! 」

 

 爆裂の剣が自爆した。俺は爆風が吹き荒れ煙が舞飛ぶ中、バックステップでぎりぎり爆発の範囲外に逃れる。

 

「くっ、邪魔だ!! 」

 

 俺は煙を神殺しの剣で一閃して払いのける。すると、少し離れた位置で破壊神が詠唱しているのが見えた。

 

 その詠唱は何度も聞いたことのある物。爆裂魔法の詠唱だった。もうとっくに最後の方を言っている。

 

「詠唱完了。さぁ塵ひとつ残らず消え去るがいい!! エクスプロージョン!! 」

 

 爆裂魔法のエネルギーの塊が超高速でまっすぐ俺に向かってくる。先ほどまでの物よりも速く、鋭く、高威力なのが放っている魔力の渦や周囲をバチバチと瞬かせる静電気から想像できた。おそらく、直撃しなくても爆発に巻き込まれるだろう。そうなればここから離れているゆんゆんたちにも被害が及びかねない。

 

 こうなればイチかバチかだ!! 錬金術を使おう。今使わずしていつ使う?

 

 成功すれば身を護れるうえ隙をつける。今の思考速度すら強化されている俺にならできる。失敗したときのことは考えるな!! 

 

 ゆんゆんがくれたお守りのペンダントを右手で一瞬撫でた後。

 

「うぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!!! 」

 

 俺は爆裂魔法に突撃した。そして右手でそれに触れる。爆裂魔法が爆発を始めた。俺はそれに自分の魔力を伝播させていく。そしてすべてを掌握した感覚を捉えた瞬間!! 錬成して爆裂魔法を水へと変えた。

 

「なに!? 」

 

 破壊神が驚愕する。その顔はあまりに想定外な事態が起こったせいで現実を認識しきれていないという顔だった。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!!! 」

 

 俺はウイングのエネルギー放出を最大にして、一気に破壊神との距離を詰める。

 

「気を取られたか!? 」

 

 破壊神が爆裂魔法の陣を前面に展開し盾にする。ぎりぎりで展開されたそれに、右手で前方に突き出した神殺しの剣がそれにぶつかる。

 

 必ずここでとどめを刺す!!

 

「ライトオブセイバー!!!! 」

 

 俺はあいている左手で光の剣を生成。それを握り込み爆裂魔法の陣を切り裂いた。今の俺は魔力量もこれまで以上に強化されている。それによって発動された魔力量次第であらゆるものを切り裂けるライトオブセイバーならば斬り裂けないものはない。

 

 魔方陣が二つに分かれた後バラバラに崩壊する。そんな中で阻むものを失った神殺しの剣の切っ先が破壊神の胸元へと迫っていく。破壊神はその身をひねって迫りくる刃を回避する。

 

 破壊神はぎりぎりで死を免れた。しかし、俺はそれを否定する!!

 

「ディナイアルブラスター!!!!!!!! 」

 

 否定の名を冠した大出力のビームが神殺しの剣の刀身から照射される。今の俺にできる最大の威力。その太さは直径10メートル。ぎりぎりで刃を回避した程度の破壊神では決して避けることは叶わない。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

「これで終わりだぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

 破壊神がディナイアルブラスターに飲み込まれ肉体をどんどん崩壊させてゆく。

 

「我が破壊されるか!? ふざけるなよ神殺し!!!! 必ず貴様に復讐してくれる!! 我の眷族たちも活動をしている……。我と貴様が再び相見えるのは時間の問題だ、その時に必ず貴様のすべてを破壊して、破壊して、塵ひとつ残さず消滅させてやる!!!! 」

 

「言い残すことが長いんだよ!! さっさ消えろぉぉぉぉぉ!!!!!!!! 」

 

「神殺しぃぃぃぃぃ!!!!!!!! 」

 

 恨めしそうに、憎たらしそうに、せめて俺に一発入れようと右腕を伸ばしてくる破壊神。だが俺に触れる前にその身は塵へとなり果てた。

 

「終わった……」

 

 神殺しの剣が機能停止し、ディナイアルブラスターの照射も各種強化も終了して俺はただのルーンナイトへとステータスが低下する。

 

 完全に終わった。俺のなすべきことは早くも、そして割とあっけなく終わりを告げたはずだ。

 

 俺は極度の疲労を感じ、その場に膝をついた。

 

「あとは、カズマとウィズさんが自爆を止めてくれるのを……待たなくても大丈夫か」

 

「リョウター!! 動力源のマナタイトをテレポートで取り除いた!! 」

 

「リョウタさん破壊神はどうなりましたか!? 」

 

 二人がこちらに戻ってきた。気が付くとデストロイヤーの自爆アナウンスも止まっている。

 

「倒したよ。破壊神」

 

「やったな!! まさかこんなにも早くお前の使命が終わるだなんて思わなかった」

 

「俺も同じことさっきまで考えてた」

 

 眷族がどうのと言っていたのが気がかりだが。

 

 カズマが俺に手を差し出す。それをつかんで俺は立ち上がる。

 

「使命? 」

 

 ウィズさんが首をかしげる。彼女は俺が破壊神を倒すことを使命として与えられていたことを知らない。

 

「エリス様に破壊神を倒してくれと頼まれてたんだよリョウタは」

 

「そうだったんですか。大変な因縁が片付いてよかったですねリョウタさん」

 

「ありがとうウィズさん」

 

 俺たちが話していると。

 

「リョウタさん!! 」

 

「カズマー、神殺しー、ウィズー!! 」

 

 ゆんゆんとアクアがこっちに駆けよってきた。

 

「ミツルギの状態は? 」

 

「大丈夫よ。今は気を失ってるけど傷は無くなって元通りよ」

 

「それはよかった」

 

「激戦だったんだな。部屋の状況を見るに……」

 

 カズマが爆裂魔法やディナイアルブラスター等で傷つきまくったデストロイヤー内部を見ながら言った。

 

「よかったリョウタさんが生きててくれて……!! 」

 

 ゆんゆんが目に涙を浮かべてそう口にする。

 

「な、泣かないでくれゆんゆん、ちゃんと勝ったんだから!! 俺は死なないよ」

 

「でもわき腹にこんな怪我してるし……接戦でどちらが勝ってもおかしくない戦いでしたから」

 

「そうだね。まぁ確かに最後に意表を突かなけりゃまだ戦ってるか負けてたかもしれない」

 

「だから。……生きててくれてありがとうございます」

 

「あ、ありがとう」

 

 顔を赤くしてお礼を言ってくるゆんゆんに俺も照れながら返す。

 

 かわいすぎだろ。

 

「また始まったよ」

 

「カズマさん、リョウタさんとゆんゆんさんはいつもこんな感じなんですか? 」

 

「うん。いっつもラブコメしてる。見ててたまにイラっとするよ」

 

「「ら、ラブコメ!? 」」

 

 俺とゆんゆんの焦った声が重なる。それを見て「まぁ!! 」とウィズさんはどこか楽し気に微笑み、カズマはと言うと不機嫌そうな顔をして、押し殺した声で。

 

「言葉を重ねたりとかそう言うところだぞお前ら……」

 

「「ご、ごめんなさい」」

 

 俺とゆんゆんは謝罪した。すると。

 

「ねぇみんな、この部屋熱くない? 気のせい? 」

 

 アクアが突然そんなことを言い始めた。

 

 熱いと言われれば確かに熱いかもしれない。主にゆんゆんのせいで。

 

「……ほんとうだ、なんか熱いぞこの部屋!! 」

 

 カズマが声を上げた。あれ? この熱さゆんゆんのせいじゃないぞ。俺も気温が高くなったのを確かに感じてる。

 

「と言うかなんかコロナタイトのあった方からどんどん赤熱化してますね……!! 」

 

 ウィズさんが動力部の方を指さしながら焦る。動力部のある方向から床や壁、天井が徐々に赤く染まり始めていた。

 

「お前たちここにいたか!! デストロイヤーがどんどん熱を帯びている!! 危険だから早くここから離れろ!! 」

 

 ダクネスが俺たちのところにやってきた。ゴーレムとの戦いで鎧が傷ついているようだが、本人は全くの無傷だ。

 

「一番最初に危険に突っ込んでいった奴に言われたくねぇ!! 」

 

 カズマはそう言いつつも。みんなの方を向くと。

 

「お前ら撤収だー!!!! 」

 

 俺たちはミツルギを抱えてデストロイヤーから脱出するため走り出した。




 これが全力稼働一歩手前の神殺しの剣の力です。全力稼働するとプロローグの様に4枚羽になり、各種ブースト機能が最大稼働します。ディナイアル系統の技は今回の話と同じものしか使えません。

 さて、神殺しの剣のディナイアル系統の技のうち2つにはモチーフがあります。まずホーミングレーザーは「トップをねらえ! 」のガンバスターのホーミングレーザー、胞子状ビットは「機動戦士ガンダムAGE」のギラーガ、ガンダムレギルスのビットです。あと「リリカルなのはシリーズ」のアクセルシューターもイメージ元になりました。

 ちなみに羽が生えて飛べるようになるのは「シンフォギアシリーズ」のシンフォギアのXDモードが着想元です。というか、神殺しの剣自体が、立花響の纏うガングニールに秘められた神殺しの力が元ネタです。

 神殺しの剣は私の好きなものの詰め合わせでできていると言っても過言ではありません。

 余談ですが破壊神が爆裂魔法の範囲を基本的に絞っていたのは、爆裂魔法だと自分の残機を削り取ってしまえるため、通常範囲で閉所で使用=自滅につながってしまうからです。
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