俺たちは夜遅くにキールダンジョン周辺へと到着した。現在木陰から仮面人形たちを観察している。
「数はどれくらいいますか、リョウタさん? 」
「サーチ」
俺は目で見ても明らかに昼間より増えている人形たちにげんなりしながら数を確かめる。そして。
「皆さん、数は約620です。正直かなり危険だと思います」
俺はそう進言した。冒険者たちが数を聞く前からテンションが低かったのにさらに下がるのが目に見えてわかる。
めぐみんの爆裂魔法の使いどころかもしれないが、このダンジョンの中にはもしかするとだが破壊神の眷族がいるかもしれないのだ。迂闊に最終兵器を投入するわけにはいかない。そんなことを考えていた俺の隣で。
「サトウカズマさん、これを」
セナさんがカズマに何かを渡していた。それはお札だった。
「これは、何のお札ですか? 」
カズマが聞くとセナさんは。
「封印用のお札です。相手がどんな存在であれ、召喚用の魔方陣を使用してこの人形たちを呼び出している可能性がありますから」
「なるほど」
そう返事をしながらポケットに封印用のお札を仕舞うカズマ。
「あの、何で嫌疑のかかっている俺たちにこれを渡すんです? 」
俺は気になってセナさんに質問した。
普通魔王軍関係者の確率の高い俺たちにこんな重要なアイテムを預けるだろうか?
セナさんはため息をついた後、優しげな顔で。
「私だって好き好んであなたたちを疑っているわけではありませんから。実際、サトウカズマさんのパーティーがいたからこそ勇者殺しのベルディアも、デストロイヤーも、破壊神もしり退けることができたのです。そこを加味すればあなたたちにこの札を預けることが一番いいと思ったんです」
案外思ってたよりも人間味もあるし俺たちのことを疑うばかりでもないんだなこの人。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとうセナさん」
カズマは笑ってセナさんの言葉に応えた。
「さて、それじゃあ突入するとしますか」
カズマが俺たちや都の冒険者に目配せすると全員が頷いた。
「ただこの入り口周辺の人形も倒さないといけないから2班に分けようぜ」
カズマの提案にその場の冒険者全員が納得し、話し合いを開始する。
その結果、有志メンバー16人のうち半分の8人と、インフェルノ級のファイヤーボールの使えるめぐみん、人形が悪魔由来の存在らしいためダメージを与えられるアクアが外に残ることになった。
回復役のアクアをダンジョン内に連れて行かないのはやや不安ではあったが、そもそもダンジョンでの戦闘のため暴れまわれば即生き埋めコースなので、居るかもしれない人形以外の敵も迂闊に大火力は使ってこないと判断した。あとは万が一、人形以外の敵やこの事件の元凶がゲキドラスのように知能が低い脳筋でないことを祈るだけだ。
「よしじゃあ作戦開始!! 」
カズマの一声で突入部隊である俺たちが動く。まずは突入までに邪魔な人形たちを一掃する。
「ディナイアルブラスター!! 」
木陰からダンジョンの入り口までの最短ルートに位置していた人形たちをまとめて爆散させる。
「走れぇぇぇ!! 」
『うおぉぉぉ!!!! 』
カズマが再び指示を出すと突入部隊の冒険者たちが雄たけびを上げながら俺の作った道を駆け抜ける。俺とゆんゆん、カズマにダクネスはその先頭だ。理由はただ一つ。証拠隠滅のために少しでも先に前へと進むためだ。
駆け抜ける中、外の人形の掃討が役目の冒険者たちが援護射撃をして突入部隊に人形が張り付かないようにする。
そして。
ダンジョン内に誰1人、人形たちにとりつかれることなく侵入すると。ダンジョン内はなぜか明かりが各所に灯っており明るかった。しかも。
「ここにもたくさんいるじゃなぇか仮面人形!! 」
ある冒険者が嘆いたようにダンジョンの入ってすぐの階段を降りれば広がっている少し広々とした空間には人形たちがひしめいていた。
「来るぞー!! 」
冒険者たちが注意を促す。その瞬間に人形たちが一斉に襲い掛かってきた。
抵抗虚しく人形たちに自爆攻撃を喰らわせられまくる他の冒険者たち。俺たちはと言うとダクネスがデコイでひきつけ、俺が神殺しの剣で叩き落しているためゆんゆんとカズマは無傷だ。
「ダクネス、リョウタ、ゆんゆん……!! 」
俺たちに小声で指示を出すカズマ。
わかっている。この混乱に乗じて前に進もうということなのだろう。
全員がカズマの指示に従いダンジョンの中を一気に駆け抜けていく。他の冒険者を見捨てるようで心苦しいが殺傷力はそこまで高くないため、そんなに心配しなくてもよいのが救いだ。
「あ、ちょっとカズマのパーティー待ってくれ!? 」
「おいてかないでー!! 」
悲鳴が聞こえてくるが無視だ。
全員心苦しいのだろう。口を固く閉ざしてひたすら前へと進んだ。
「当たる、当たるぞ!! 私でも攻撃が当たる!! 」
進み続けて10分ぐらい経過しただろうか。ダクネスが自分の攻撃が人形たちに命中することに喜んでいた。なぜならダクネスめがけて人形自らとびかかってきてくれるため適当に降った剣でも高確率で命中するからだ。
それにしてもそんなにうれしいのなら、スキル『両手剣』なりを取得して攻撃が当たるようにすればいいというのに、ダクネスときたら本当に難儀な性癖と性格をしている。
「おい、見ているかみんな!! 私でも攻撃が当たるぞ!! 当たっているぞ!! 」
「はいはい見てますよララティーナ様」
「ら、ララティーナと呼ぶなカズマ!! 」
「ったく!! そんなに攻撃が当たるのがうれしいならそれ系統のスキルを取得しろよお前」
カズマがさっき俺の抱いていた思いと全く同じことを発言する。
「それは、こう、何か違うんだ。わかってくれ」
「「わかるか!! 」」
俺とカズマは同時にダクネスの面倒くささに、理解の拒否の意を示した。
「えい!! ……たぁ!! 」
ゆんゆんはと言うとかわいらしい掛け声でダガーを振って人形を迎撃している。爆発でダメージを負わないか心配だったが、魔法由来の爆発らしく、持ち主の魔法防御力を上げるグウェンが完全に防いでいた。
「ハルバードが振り回せないのが残念です」
「まぁ狭いから長物は仕方ないさ。一応振れなくもないけど俺たちに当たりかねないしね」
「はい」
「お前ら良いな、自分たちだけ装備を整えて。俺も装備を一新したい……」
「ごめん」
「す、すいません!! 」
時々自分に襲い掛かる人形を(大抵はダクネスがデコイで吸っている)叩き落としているカズマが俺とゆんゆんにジト目を向ける。
「ちなみにカズマは装備を整えるとしたらどんな風にしたいんだ? 」
俺が聞いてみるとカズマは希望を語り始めた。
「まず武器を日本人だから日本刀にして、リョウタやダクネスみたいに頑丈そうな鎧が欲しい」
「なるほど。日本刀はいいかもな。切れ味最高だし、突きの威力に関してもそこらのナイトソードをはるかに凌いでるしな」
「ニホントウとはそんなにすごいものなのか? 」
ダクネスが高揚で頬を赤くした状態で訪ねてくる。
「俺たちの故郷の片刃剣でその切れ味は世界最強と名高い武器なんだ」
「ほう、それは気になるな。リョウタ絵がうまいだろう? 今度描いてみてくれないか? 」
「わかったよ」
そんなやり取りをしながら俺たちはダンジョン内を止まることなく進み続け……。
ついに、アクアの魔方陣がある部屋のすぐ近くの曲がり角まで来た。のだが。
「どう考えてもあれ、あの人形たちの主だよな? 」
カズマが恐る恐る小声で俺たちに語り掛ける。
俺たちの視線の先には一人の男がいた。
人形たちがSDキャラクターなら、その主と思われる存在は人形のリアル体形版と言ったたたずまいだ。黒のタキシードを身にまとい、白と黒、左右で二色に分かれている仮面をつけている。現在、胡坐をかいて粘土らしきものををこねて人形を製造していた。
どうやらセナさんの読みであった召喚用の魔方陣が使われていることは無かったようだ。
しかしあの仮面、綺麗に二色に分かれていることからゲキドラスの黄色と緑のボディを思い出させられ破壊神関係者ではないかと考えさせられる。俺は神殺しの剣の感覚に集中するが、人形たちに反応しているときと何ら変わらない出力しか俺に与えていないことが分かった。
「破壊神の眷族でしょうか? 」
「そう思えるけど、どうなんだろうね? あのゲキドラスのときみたいに神殺しの剣が反応してないかもしれないんだ」
「ええー? でもバカっぽくは見えませんよ? 」
「うん。だから一層警戒したほうがいいぞみんなって……ダクネス!? 」
四の五の言わずに確認したほうが早かろう。そう言いたげな雰囲気のダクネスが曲がり角から躍り出て。
「おい貴様、あの爆発する迷惑な人形の主だな。何が目的だ? それと貴様は破壊神の関係者か? 」
タキシードの男を問いただした。
「破壊神? ああ、あの我輩のご飯製造機を見境なく殺戮してくれる迷惑な輩か。我輩はそんなものとは一切無関係である」
男の言い草から破壊神の関係者ではないことが分かった。だがそれと同時にゲキドラスのように知能が低いということもなさそうなので一層警戒を強めながら、俺たちもダクネスに続いて角から出た。
「破壊神関係者でないというならあんたはいったい何なんだ? 」
俺が問いかけると、人形たちの主たる男は立ち上がり。
「我が名はバニル!! この世のすべてを見通す大悪魔にして、地獄の公爵。魔王軍の幹部のバニルである!! 」
大仰なポーズをとってそう名乗った。
魔王軍幹部、だと!?
「我輩のバニル人形を退け、よくぞここまでたどり着いたな冒険者たちよ!! 」
ハイテンションなバニル。
なるほど、確かに魔王軍幹部が現れたのならジャイアントトードが珍しくこの季節に這い出てきても不思議ではない。なにせベルディアの時もモンスターたちが怯えて姿を隠したのだから(ジャイアントトードの場合パターンが逆だが)この冬に異常行動をとる理由にも納得がいく。
「ま、マジかよおぉぉ!? 」
カズマが絶叫し、ゆんゆんが身構え、ダクネスが剣を強く握り直す。そして俺はと言うと、バニルに問いかけることにした。
「魔王軍幹部が何でこんなところでそんな迷惑な人形を作ってるんだ? 普通に攻めてくればいいだろ」
「ふむ、確かに普通はそう考えるであろうな。だが我輩は別にお前たちと争うためにここに来たのではない。魔王のやつに調査を頼まれたのと、働けば働くほど貧乏になっていく不思議な特技を持つポンコツ店主に会いに来たのだ」
「なるほどな。しかし魔王軍幹部と聞いて見過ごすわけにはいかない!! ここで倒す!! 」
「ほう? 魔王より強いかもしれないと評判のこの我輩を? まぁ、とにかく落ち着くがよい、風呂場で裸をそこの小僧に見られた際、自分の割れた腹筋を小僧に見られたのではないかと心配している娘よ」
「ななななな、なにを!! 貴様何を言っているのだ!? お、お前たち私の方を見てくるな!! 私は腹筋など割れていない!! 本当だ!!!! と言うか公衆浴場を共に利用したことのあるゆんゆんならわかるだろう!? 」
「は、はい。ダクネスさんの腹筋は……腹筋は……あれ? 割れかけてたような気が……」
「ゆ、ゆんゆん!! 」
「ご、ごめんなさい!! 」
「まぁとりあえず我輩の話を聞くがいい冒険者たちよ。我輩には先ほど言ったようにお前たちと敵対するつもりはない」
俺とカズマは顔を見合わせた後、バニルの話を聞くことにした。
バニルによれば、彼は魔王に結解の維持を頼まれているだけのなんちゃって幹部。要はウィズさんと同じような立場らしい。しかも人間の悪感情を糧に悪魔は生きているので彼にとって人間とはおいしいご飯製造機でありそれに手を出すのはナンセンスであり、むしろ人類が繁栄してくれることは喜ばしい限りとのことだ。
そして、悪魔によって悪感情の好みの違いはあるが、バニルの場合は人の発する、騙されたときやからかわれたときの怒りや羞恥の悪感情こそが好物なんだそうだ。
ここにいる理由はと言うと、たまには働いてくれと言う魔王の要請を聞き受けベルディアを倒した人間の調査を請け負ったのだが、ピンときたこのキールダンジョンに勝手に住み着いたかららしい。
ちなみにあの人形たちはこのダンジョン内に生息するモンスターたちを追い出すために作り出したらしく、俺たちが外に大量に出てきていることを伝えると役目を終えたとのことでフィンガースナップすると作りかけの人形が砂へと形を崩した。外にいる人形たちも同じようになったらしい。悪魔は何千年も生きている。だから時間感覚が人間とは異なるから、ずっとこんなところで確認もせずに人形を作っていたのだろうと俺は解釈した。
「さて、では計画を次の段階に移すとしようか」
「あんた、何を企んでんだよ……」
カズマがあきれ顔でバニルに尋ねると。
「企みとは失敬な。我輩には夢があるのだ……限りなく長く存在続けた我輩にはな!! この鎧娘が帰ってこなかった間、自室でクマのようにうろうろしていた小僧よ!! 」
「な!! うろうろなんてしてねぇし!! だ、ダクネス!! お前もモジモジするな!! 」
「……それで? 夢って何なんだよ? 」
うろたえるカズマに変わり俺がバニルに問いかけると。
「フハハハハハ!!!! 紅魔の娘の胸元を隙あらばちらちらと盗み見ている不埒な青年よ!! それはな」
「ちょっ!! なにを言い出すんだこの悪魔は!! 見てないからねゆんゆん!! 」
「っ!! は、はい!! ……本当に見てないですか? 」
ゆんゆんが身をこわばらせながら、俺に質問してくる。否定を貫くつもりだったがゆんゆんには思い当たる節があるようで俺を何度もチラチラ見てくる。カズマとダクネスは俺をじっと見据えてきた。俺は耐えきれなくなり。
「ごめんよく見てる」
正直に謝った。
「我輩はそろそろ夢について語ってよいだろうか? 一世一代の告白に失敗してしまった娘よ!! 」
「し、失敗してません!! あれはノーカウントですからぁ!! 」
告白か。え、なんだって!? どういうことなんだ!?
俺が内心焦りまくり、気になりまくってゆんゆんに質問したかったのだが、ゆんゆんの方が赤い顔でうつむいてしまっているため聞こうにも聞けなかった。
その間にバニルが自分の壮大な夢を語る。なんともはた迷惑な話でその夢とは、自分好みのダンジョンを作り冒険者を呼び寄せ、最奥にたどり着き自分を倒した冒険者たちに「スカ」と書かれた紙の入った宝箱を入手させ、失望している様を見届けながら悪感情をいただきつつ、何と滅びたいという物だった。
「とんでもなく迷惑な破滅願望だな。おい……」
「右に同じく」
カズマに俺は同意する。
「とりあえずあんたの目的はわかった。これ以上あの人形を作らないらしいし俺はもう何も言わないよ。となると、俺たちのやるべきことはあんたの後ろにある魔方陣を消すことだ。ちょっと退いてもらっていいかな? 」
「ほう、我輩も難儀していたこの忌々しい魔方陣を消してくれると言うのか。何とありがたい」
「俺たちにとってもその魔法陣があることは困ることでさ。それを消したら俺たちは帰るからあとは好きにしてくれよ」
「ちょっと待てカズマ!! 消すのはともかく帰るのはダメだろう!! 」
「そ、そうですよ」
「そうだぞカズマ。俺たちでこの幹部さんを討伐したほうが嫌疑も晴れて報酬も手に入る。どう考えても見逃すわけにはいかないだろ!! 」
「バ、バカ、本人が魔王より強いかもしれないとか言ってんだぞ!! それに喧嘩売るとか無謀もいいところだろ!! 対悪魔のエキスパートのアクアがいるならともかく……」
俺たちが言い争いをしているとバニルは首を傾げ。
「何故、この魔法陣が汝らに不利益をもたらすのか? それに対悪魔のエキスパートらしい水の女神と同じ名の存在は気になるところである。どれ汝らの記憶を少し拝見して……」
そう言って仮面の目の部分を赤く輝かせたバニルがフリーズした。そして、乾いた哄笑を上げ。
「そうかそうか、大悪魔である我輩すら立ち入れぬ魔方陣を張るなどと言う人間技を超えたことをなしたのは汝らの仲間のプリーストであったか!! いやはやそのプリーストとはもしや!! 」
こいつまさか!?
「カズマ!! 」
「ああ、こいつアクアのことを!? 」
「見える見えるぞ、貴様らの仲間のプリーストがもう一人の紅魔の娘とともに退屈そうに茶を飲んでいる姿が見えるわ!! 」
バニルが吐き捨てるように言った。
「人間は殺さぬが鉄則の我輩だ。人間には危害を与えぬ。人間にはな。だがしかし!! 」
「アクアには危害を加えるということか!! 」
「話が早くて助かるぞ青年よ!! さぁお前たちそこを退いてもらおうか!! 奴にきついの一発お見舞いしてくれるわ!! 」
「退くものか!! アクアに危害を加えるというのなら!! 」
「すんごい要求とやらが気になり先ほどから持て余してモジモジしている娘よ、鎧娘にどんな要求をしてやろうかとソワソワしている小僧よ、先ほど我輩の言った紅魔の娘の一世一代の告白が気になって気になって仕方のない青年よ、そして、青年に自分の思いをそろそろ気づいて欲しい紅魔の娘よ!! そこを通してもらおうか!? 」
「モジモジなどしていない!!」「ソワソワとかしてねぇし!!」「気になってないから!? 」「そんなこと思ってません!? 」
この悪魔、嫌な奴すぎる!!
「ほれそこの魔方陣の部屋でご休憩でもしていくといい。小僧と鎧娘よ。汝らのすんごい要求は叶うであろう。そして青年よ!! 先ほどの我輩の発言について紅魔の娘に追及していけば汝らの淡い希望も叶うであろう!! 」
どういう意味だ!? とにかくこいつは危険すぎる。ゆんゆんへの好意をいずればらされかねない。それにアクアが危険だ。さっさと排除しなければ!!
「ええい、お前と話していると頭がおかしくなりそうだ!! カズマ、リョウタ、ゆんゆん!! こいつを倒すぞ!! 」
「かかってくるというのならかかってくるがいい!! 腹筋だけでなく脳まで硬そうな娘よ!! 」
「き、きしゃまぁぁぁ!!!? 」
ダクネスが奇声を上げながらバニルに切りかかるが、バニルはダクネスの不器用な攻撃を完全回避する。
「俺も続く!! 」
俺は神殺しの剣の出力がゲキドラス戦と同じかそれ以上に引き上げられたのを感じながらバニルに切りかかる。おそらく今はウイング展開とディナイアルエクスプロードが使用可能になっているだろう。しかしこんな閉所では役に立たない。
「当たらんわ!! 」
バニルは俺の剣戟をきれいに避けきり足払いをして俺をこかせた。
「リョウタさん!! っライトニング!! 」
ゆんゆんが電撃を発射するがそれも上体を逸らし避けてみせるバニル。そしてゆんゆんに一瞬で急接近するとそれに驚いたゆんゆんに尻餅をつかせる。
「おや? 小僧が見当たらんな。こういう血気盛んな連中よりもああいう奴の方が厄介なのだが」
カズマは潜伏スキルを使用しているのだろう。そして好機を見計らっているのだ。……多分。
「このぉぉぉ!! 」
ダクネスが再度バニルに突撃する。バニルはダクネスの横なぎに振るった剣をしゃがんで回避する。
今だ!!
俺はバニルに刺突攻撃を繰り出す。バニルは横にステップを踏んで回避しようとするが。
「ここだ!! ってうお!? 」
バニルに潜伏を解除して突撃したカズマがバランスを崩し、斬撃から体当たりになってしまう。その結果バニルの身体は俺の刺突のレンジに引き戻されてしまい。
「ぐはっ!? 」
見事に胸部に神殺しの剣が突き刺さった。
「ま、まさか我輩がこんなことで滅びるというのか!? 」
そう言い残してバニルは土くれへと体を崩壊させた。あの仮面を残して。
「あっぶね!? もうちょっと体当たりした位置が悪かったらリョウタの神殺しの剣にまとめて貫かれてたぜ……」
「いやカズマ、あれは予期せぬ事故だったろどう考えても」
「リョウタ。世の中には言わなくていいこともある。年上のお前ならわかるだろ? 」
しかし何ともあっけない終わり方をしたものだ。
「勝ったのか? 」
「み、みたいですね」
ダクネスとゆんゆんが恐る恐るバニルだった土くれを覗き込んでいると。
「勝った!! と思わせておいて、スカッ!! 」
突如バニルの声がした。
「何!? 」
俺は身構える。
それは一瞬の出来事だった。バニルの仮面が土くれの中からひとりでに飛び立ち……ダクネスに張り付いた。
次回をお楽しみに……!!