【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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048 驚愕の趣味

 俺とカズマは暖炉の前のソファーでくつろいでいた。商品開発の現在休憩中である。

 

「この世界の便利な素材とか使って作った方がより量産性とかが上がるかもな」

 

 俺が暖炉の火で暖まりながらそのように提案するとカズマは。

 

「だとしたらファンタジー世界にありそうな発火する鉱石とかかな? 」

 

「図書館で今度調べてみよう。今日はこの後は、また作りやすい便利グッズでも作ろうか? 」

 

「そうしよう」

 

 クエストにはいかず商品開発に没頭する日々が続いている俺たちだったが、ある程度思った物を作れるためかなり楽しい。

 

「ねぇカズマ、神殺し。私も寒いからソファーに混ぜてよ」

 

「ん? いいぞアクア」

 

「お帰りアクア。何してたんだ」

 

 カズマと俺は各々アクアに反応する。女性陣はみんな今日は出かけていた。その中で真っ先に帰宅したのがアクアだった。

 

「じつはね、わたしあのクソ悪魔、バニルの監視をしていたのよ!! それでね、私はこの街の現状に警鐘を鳴らすわ」

 

「偉いなーアクア。警鐘なんて難しい言葉を知ってたかー」

 

 カズマがバカにしたようにアクアを褒める。それを聞いたアクアは。

 

「えっへへ、偉いでしょ!! ちなみにその意味は危険が危ないって意味よ」

 

「点数で言うと50点ぐらいか? 」

 

 俺がアクアの回答に点数をつけるとカズマは。

 

「いや0点だ」

 

 残念なものを見る目でアクアを見ながら言った。

 

「それでなんで警鐘を鳴らしたいんだよお前は? ってかなんでバニルの監視を? 」

 

 カズマが問いかけるとアクアは。

 

「あのクソ悪魔、悪魔だから絶対よからぬことをすると思って、いつでも魔法を放てる状態でずっとつけてたんだけど。悪魔とあって小癪だからなかなか尻尾を現さないのよ。おまけになんだか私より街に溶け込んでる気がするし。主婦や子供たちに受けがいいのよあのクソ悪魔」

 

「つまりアクアの思い過ごしなのでは? 」

 

「そうだぞー。そもそもバニルにとって人間はおいしいご飯製造機でしかないんだから。たとえ、迷惑なことはしてきても大量殺戮みたいなことはしてこないんだからほっとけ」。

 

 俺とカズマがアクアにアドバイスするが。

 

「私の予感なんだけど奴が近々何か良からぬことを私たちのパーティーメンバーに仕掛ける気がするのよね……2人とも気を付けてね」

 

「お前が不吉なこと言うと大抵当たるからやめろよ」

 

 カズマが心底いやそうな顔でアクアを見た。俺も同じくアクアを引きつった顔で見る。

 

「そんな顔で見ないでよー!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 昼過ぎ。カズマは、ショッピングにゆんゆんと行っていためぐみんが帰ってきたので、2人で一緒に爆裂散歩に向かった。ゆんゆんに感想を聞くととても楽しかったそうで、ニコニコしていた。

 

 現在俺は1人で散歩するとみんなに言って、ウィズ魔道具店に向かっていた。その目的はバニルに会って、その力で俺の錬金術の性能の詳細を知ることである。しっかりお金は用意してきた。ざっと100万もあれば足りるだろう。

 

「ウィズさんこんにちは」

 

「あ、こんにちはリョウタさん……」

 

 いつにもまして生気のないウィズさんが出迎えてくれる。

 

「どうしたんですか? 」

 

 俺は心配になり訪ねると。

 

「店の経営が今赤字でして。このままだとお店が差し押さえられてしまいそうなんです……」

 

 涙目で言うウィズさん。

 

「な、何か買っていくから元気を出してくれウィズさん。えーと、この願いの叶うチョーカーとか」

 

 俺がチョーカーを手に取りウィズさんに見せる。

 

「ありがとうございますリョウタさん!! 」

 

 明るい笑顔を浮かべるウィズさん。

 

「ちなみに値段がそこそこしますけどこれって何かの魔道具ですか? 」

 

「はい。それは願いが叶うまで外れないうえに徐々に絞まって行く魔道具なんです。死ぬ気でダイエットしたい人に良く売れています。というか当店では珍しく売れている商品ですね」

 

「そ、そうですか」

 

 買ってはあげるけど絶対に使わない。というか危険すぎるので買ったら即捨てよう。

 

「そう言えばバニルはいないんですか? 俺、奴に用があってきたんですけど」

 

「バニルさんなら店の差し押さえを阻止するためのお金集めでバイトに出てますよ」

 

「確かバニルはここのアルバイトなんだろ? アルバイトが別のところでアルバイトしてくるって……とんでもない状況なのでは? 」

 

「あう……そうなります」

 

 ウィズさんが悲しそうな顔をする。かわいい。

 

「すいません。とりあえずバニルの行き先分かりませんか? 」

 

「多分ですが雑貨屋にいると思いますよ」

 

 雑貨屋と言えば、ミツルギの剣を売り払ったところだろう。

 

「わかりました。ありがとうございます。行ってみます」

 

「バニルさんにいったいどんな要件が? リョウタさん、バニルさんにひどい目にあわされたと聞いたのですが……まさか討伐を!? 」

 

「いや違います」

 

 ゆんゆんにもしもすべてを話したうえで受け入れてもらっていなければそうしていた可能性が高いが。

 

「やつの見通す力に頼って俺のスキルの真価を見極めてもらおうと思いまして」

 

「ああ……そうだったんですね。安心しました」

 

「とりあえずウィズさん。これ買っていきますね」

 

 すぐ捨てるけど。……いや、錬金術で効果を書き換えれば何かに使えるかもしれないから置いとくか。

 

「ありがとうございますリョウタさん!! 」

 

 俺はウィズさんからこの危険極まりないチョーカーを購入した。

 

 

 

 

 

 

 雑貨屋に到着したが、バニルの姿が見当たらない。店主のおじさんに聞いてみたところ先ほど仕事を上がり、どこかに行ってしまったそうだ。一応行った方向を指さしてもらいそっちに歩いているわけだが。

 

「バニルはどこにいるのかなっと」

 

 あの長身タキシードな仮面は目立つため案外すぐ見つかりそうと思っていたが、そうでもないようだ。

 

 そんなことを考えながら、街の端の付近まで、たどり着いてしまうと。

 

「汝、我輩を探しているのか? 」

 

「……後ろか」

 

 振り向くとバニルがいた。

 

「いやはや、紅魔の小さい方の娘とあの小僧から羞恥の悪感情をもらいに行くついでに物を売りつけてやろうと思っていたのだがまさか貴様と会うことになるとはな!! フハハハハハ」

 

「……やっぱり何も感じない」

 

「そのようであるな。あれだけ我輩にあおり倒されておいて顔面真っ赤になっていたので、我輩に会えば憎悪でも抱くと思っていたのだがな」

 

 俺はバニルに対してどうやら憎悪や苦手意識は特にないらしい。自分でも驚きだ。それだけゆんゆんに受け入れてもらったということが俺にとって大きかったのだろう。ゆんゆんに感謝だ。

 

「それで、汝、我輩にいかなる用があるのだ? 我輩は貴様を見通すのに少々力を入れねばならぬのでな。神殺しの剣が起動していない今はマシではあるが」

 

「神殺しの剣が起動してる時ってお前も見通し辛くなるのか? 俺のことを? 」

 

「その通りである。今も神殺しの剣の呪いによる靄のせいで見通し辛くはあるのだがまぁ問題はあるまい」

 

「……じゃあ起動してるときはどうしてあんなに煽れたんだ? 俺のことを」

 

「それは汝の神殺しの剣が我輩の人形にしか反応を示していない段階で、神殺しの剣を危険視した我輩が貴様の精神をほぼ覗ききったからである」

 

「そう言うことか」

 

 神殺しの剣の呪いがあってもこの大悪魔にとっては見通すことができる。その力のすさまじさに少々戦慄させられる。

 

「実は頼みたいことがあるんだ」

 

「なんであるか? 汝、分かっているとは思うが悪魔に頼みごとをする以上それなりの対価を支払ってもらうぞ」

 

「今ウィズ魔道具店がピンチなんだろ。100万エリス払うから俺のスキル錬金術の詳細スペックを教えてくれ」

 

「青年!! いや、お客様。かしこまりました!! 汝のスキル錬金術とやらを全て見通してみせようではないか」

 

 俺がポケットに入れていた100万エリスをバニルに差し出すと、バニルはそれを受け取り大事そうに自分のポケットにしまい、仮面の目の部分を真紅に輝かせた、その光は紅魔族の物とは違っておどろおどろしい様相の物だった。

 

「ふむ、見える、見えるぞ、汝の力の詳細が、限界が!! 」

 

「どうだった? 」

 

 俺はあらかじめ用意しておいたメモ帳を出してメモの準備をする。

 

「説明を始めようお客様よ。錬金術。これは想像したものをなんでも作り出せるが、その代わりそれに見合ったものを素材にしなければならない力である。魔力を使ってしまうのは、対価として足りない分を補うために消費するからだ」

 

「そうなのか? 」

 

 メモを取りながら質問する。

 

「お客様が錬金術で魔力を消費しているのは対象の価値が作り出したいものに及んでいないかだと考えてもらってよい。逆に言うと錬成したいものの価値と対象の価値が近ければ近いほど。すなわち、複雑なものを錬成したければ、それに匹敵する複雑なものを用意すれば魔力の消費は少なくて済むのだ」

 

「マジかよ」

 

「物質から別の物質を作り出すのには魔力をほとんど消費しない。しかし魔法の効果などを上書きするのにはどんな魔法でも一定量の魔力を消費するのである。書き換えたい効果の内容が元の効果よりも遠く離れていれば離れているほどにな」

 

「なるほど」

 

 心当たりはある。土を鉄に変換するのにそんなに魔力を消費した覚えはないし、魔法の効果に関しては今まで対極の効果を持つものほど錬成時に魔力を消費した。

 

「要するにだ、望んだものに匹敵する価値のある物があれば自由に望んだものを錬成し作り出せる正真正銘の……お客様たちの故郷の言葉を借りればチート能力なのである。極論から言えば魔力さえ無限にあればどんなものからでも望んだものを錬成することも一応可能である」

 

 な、なんという。

 

「何という想定外な力……。こんなにもチートだったのか」

 

「説明は以上である。お客様わからなかったのであればもっとわかりやすく説明して見せるが今の説明で理解できたであろうか? 」

 

「ああ。よくわかったよ。感謝する」

 

「それは何よりであるお客様」

 

 これで商品開発がはかどる。

 

「ところでバニル。カズマとめぐみんに用があるみたいだったけど何なんだ? 」

 

「ああ、そのことであるか。……ふむ、汝にとって面白い展開が見れるぞ。一緒に来るか?

 

「……からかうにしてもほどほどにしろよ。さすがに俺のパーティーメンバーに俺にやったようなことするっていうなら容赦しないぞ」

 

「我輩の好みの悪感情は羞恥の悪感情や失望の悪感情である。汝から先日いただいた憎悪や憤怒の悪感情は我輩好みの悪感情ではない。決して嫌いではないがな!! それでどうか? 汝も来るか? 」

 

「お前の監視という目的で付いて行くよ」

 

「好きにするがよい。フハハハハハ!! 」

 

 俺はバニルに付いて行くことにした。やってることがまるでアクアだな。

 

 

 

「フハハハハどうやらお困りのようだな。口ではそんなことを言いつつも内心ではおぶって帰れるときは楽しみで仕方のない小僧よ!! 」

 

 俺とバニルは、アクセルの町はずれの平原にてカズマとめぐみんが爆裂魔法を撃ち終わり、カズマがどうせならもっと肉感的な女の子を背負いたいと言うようなニュアンスのことを言って揉めているところに突如として割入った。

 

「お前いきなり出てきて何言ってんだ!! だだ誰が楽しみにしてるってんだよ!! ……というかなんだよその心臓に悪い組み合わせは」

 

「大丈夫だ。俺はバニルに襲い掛かるつもりとかはない。ただの監視だ。安心してくれ」

 

「そうか? ならいいんだが。って何故監視? 」

 

「カズマとめぐみんをからかうって言ってたから。でも面白いものが見れるぞって言われたから、止めずに一緒にやってきた」

 

「お前……」

 

 カズマが引きつった顔を俺に向ける。

 

 仕方がないだろう。そもそもこいつ……バニルのからかいは仲間のいろんな一面を知ることができて楽しいのだ。

 

「小僧よ。欲望に素直なのはいいことだ。我輩も欲望の赴くままにこうして汝の羞恥の悪感情をむさぼっているのだからな」

 

「お前、後でアクアけしかけんぞ」

 

「あの、どうでもいいので早くおぶってくれませんかカズマ? 土の上に寝ているのは肌寒いです」

 

 めぐみんがそんなことをマイペースに言う。

 

「汝、ドレインタッチをしてもらえば動けるにもかかわらずそれを拒否しておぶってもらいたい日もあるなどと言って小僧にべったりくっつき甘えたいだけの娘よ」

 

「ふぁ!? 」

 

「え、そうだったのかめぐみん? 」

 

 カズマがにやけながらめぐみんに聞く。

 

 なるほど、ドレインタッチをしてくれと要求していないのはそう言う理由があったのか。

 

 めぐみん。やっぱりカズマのことが好きだったのか。

 

「確かにバニルの言う通り面白い展開が見れた」

 

「リョウタ、あなたという人は!? この悪魔を大人しく止めてくれていればいいのにどうしてしまったのですか? なんだか人が最近変わってるような気がしますよ!! 」

 

 赤面しながら俺を責め立てるめぐみん。かわいい。

 

「俺、自分らしく生きるって決めたから。それにアイデンティティが崩壊したのでとりあえずまずはカズマのように本能の赴くまま生きてみようかと」

 

「おい誰が本能の赴くままに生きてるって? 」

 

 いきり立つカズマ。

 

「まぁ落ち着くがよい我輩が小僧と紅魔の娘、二人の欲望が叶うステキアイテムを販売してやろう。おんぶ紐である。小僧は発展途上娘のぬくもりと感触を楽しめて最高。紅魔の娘も赤子のように存分に甘えられて最高の逸品だ。おひとついかがかな? 」

 

「か、カズマ!! それは絶対買わないでください!! この年でおんぶ紐だけは許してください!! せめてさっき言っていた一輪車による輸送でお願いします!! ……どうして財布を開くのですかカズマ? カズマ!! 」

 

「お前も俺もwinwinなアイテムだろ? 何か問題が? 」

 

「問題しかありません!! 」

 

 目を紅く輝かせながら訴えるめぐみん。かわいい。

 

「めぐみん」

 

「な、なんですかリョウタ!? リョウタもカズマに言ってやってください!! 」

 

「絶対似合うと思うぞおんぶ紐」

 

「今初めてあなたをぶん殴ろうと思いましたよ!! なにをふざけたことを言っているのですか!? 」

 

 ギリリと歯を食いしばるめぐみん。かわいい。

 

「至極まともに言っている。俺の趣味はな。年不相応な扱いされたり、そんな状況に陥ったり、幼い子供の服を着せられた女の子が恥ずかしがる姿を見ることだ。めぐみんは俺の理想の状態になろうとしているのだから俺はカズマを止めるどころかむしろ後押しするよ」

 

「え、ちょっと何を言っているのかわからないです。いくら欲望に素直に生きてみようと思うと言ってもそれは倒錯しすぎなのでは……? 」

 

「百も承知だよ。さぁカズマ。買うんだ!! そんでもってめぐみんをそれを使っておぶれ!! ……カズマ、何故財布を仕舞おうとしているんだ? 」

 

「今俺はお前の趣味というか性癖を聞いてドン引きしてるからだ!! まぁそりゃ人によっていろいろ性癖はあるだろう。それを責める気はないが……。ちなみにおまえ、もしゆんゆんがスモックとか着てたらどう思うんだよ? 」

 

 カズマがいぶかしんだ顔で素晴らしい想像のネタを提供してくる。 

 

「最高だね!! 妄想しただけでも鼻血が出そうだよ!! 」

 

「こいつはもうダメだ!! 」

 

「か、カズマ、スモックとはいったいなんです? 」

 

「……俺たちの故郷で小さな子供が着るための服だ」

 

「リョウタ!! あなたは倒錯した新手のロリコンだったのですか!? 」

 

「ロリコンではないはずだ!! しかし倒錯しているのは認めよう!! 」

 

「とにかくめぐみん。俺はおんぶ紐は買わない安心してくれ」

 

「はい、絶対にこの変質者を喜ばせるようなことはしてはなりません」

 

「だ、だれが変質者だ!? 」

 

「おまえだ!! 」「あなたです!!」

 

 カズマとめぐみんが俺を同時に指さした。

 

「フハハハハハ、紅魔の娘から自分がそのスモックなる服を着せられておんぶ紐されている姿を想像した羞恥の悪感情が得られて我輩も満足だ!! 」

 

「あ、あなたは変なことをバラさないでください!! 」

 

 めぐみんがバニルに抗議した。

 

 

 

 

「ゆんゆん、ゆんゆん。リョウタは倒錯した変態でした。ダクネスほどひどくはありませんが酷い変態でしたよ。彼でいいんですか!? 」

 

 俺とカズマと、ドレインタッチで歩くことにしためぐみんと一緒に帰宅すると、めぐみんが真っ先に同じく帰宅していたゆんゆんに俺のことを報告した。

 

「ちょっ、ちょっと!! いきなり何を言い出すのよめぐみん!? リョウタさんでいいのかだなんて、私はリョウタさん以外……」

 

「わ、私を何だと思っているのだめぐみんは!? 」

 

 赤面して焦るゆんゆんと嘆くダクネス。

 

「リョウタはその、年不相応な格好を女性にさせることに興奮する変態だったのです!! 」

 

「え、それってその……変態って言わなくない? 」

 

 「変態」というワードに恥ずかしがるゆんゆん。かわいい。

 

「違うのです!! リョウタは小さな子供の着る服を着せられたり、小さな子供と同じような扱いをされる女性に興奮する変態なのですよ!! 彼でいいんですか!? 」

 

「え、ええええええええ!? 」

 

「へ、変態よ、どう考えても変態だわ!! 」

 

 ゆんゆんは驚き声を上げる。アクアは俺を見てドン引きの表情を浮かべる。

 

 しかし俺は大丈夫。

 

「ゆんゆんはどんな俺でも受け入れてくれるんだろ? だから大丈夫だ!! ね、ゆんゆん? 」

 

「は、はい、私は受け入れますけど。私リョウタさんにそんなこと頼まれてもしませんよ? 」

 

 頬を赤く染めて上目遣いで俺の方を見てくるゆんゆん。かわいい。

 

「いや君のことだ。なし崩し的にOKしてくれるに決まってる。だってゆんゆんは優しいから」

 

「そ、そんなー……」

 

「チョロさに付け込んでいるとみなして爆裂魔法の餌食にしますよリョウタ!! 」

 

 怒るめぐみん。

 

「め、めぐみんが私のために怒ってくれてる……」

 

 嬉しそうなゆんゆんに。

 

「いや、そこは感動するところなのか? 」

 

 ツッコミを入れるダクネス。

 

「とにかくいいんですかこの人で? 」

 

「ま、まぁめぐみん冷静に考えろ。誰にだって性癖はあるわけだ。お前だって爆裂魔法が性癖みたいなものだろう? 」

 

 さすがにめぐみんに言われっぱなしの俺が不憫に思えたのかカズマが俺のフォローを始める。いいぞもっと言ってやれ。

 

「爆裂魔法は崇高なものです。性癖なんぞと一緒にしないでもらおうか」

 

「とにかく一度冷静になれって。リョウタが変態だからと言ってゆんゆんと付き合ってはいけない理由になるか? 」

 

「か、カズマさん!? 」

 

 悲鳴を上げるゆんゆん。

 

「そ、それは……確かにそうですね。弁明の余地がありません。すいませんリョウタ、ゆんゆん」

 

 一気にクールダウンしためぐみんが俺とゆんゆんに謝る。

 

「わかってくれたならそれでいいよめぐみん。カズマもフォローありがとう。……俺は将来的にゆんゆんとお付き合いするんだ。それは絶対に誰にも邪魔させないぞ」

 

「そ、そうですか」

 

 俺の有無を言わさぬ調子で言い放った最後の一言に気圧されるめぐみん。

 

 一方でゆんゆんは。

 

「リョウタさんのバカぁ……」

 

 照れてその場にへたり込んでいた。本当にかわいいな俺の女神様は。




 リョウタの趣味の片鱗は実は「021少女たちを襲った悲劇」にて、おもらししたゆんゆん、めぐみんの2人を見てエロく感じているところで出ています。まぁそれ以外兆候が無かったわけですが。これはリョウタが真人間らしく振舞おうとしていた結果、趣味を隠していたからです。

 嘘をつかなくなったリョウタのキャラクターを形作るうえで何かインパクトのあるものはないかと考えた結果、私の趣味をそのままリョウタに突っ込むことにしました。おそらく作品内でのめぐみんとカズマのようにドン引きされる趣味だと思います。皆さんはどう思いますか? この特殊な趣味。

 ちなみに、今回と次回のお話の元ネタはこのすばの特典小説集である「よりみち」から抜粋したエピソードの二次創作です。

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