【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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054 初めての旅行

 カズマが死んで生き返った翌朝。俺とゆんゆんはこたつに入ってボードゲームにいそしんでいた。そのボードゲームとはもちろんこの世界にチェスだ。

 

「ここにクルセイダーを移動。……こたつ、温かくていいですね」

 

「なら俺は冒険者でゆんゆんのこの冒険者を攻撃……そうだろ。俺とカズマがずっとここに入っていたくなる気持ちもわかるだろ? 」

 

「はい。気持ちはわかります。でもあんな風にずっとこもりっきりはダメですよ? 」

 

 しゃべりながら、各々の戦略通り駒を進めあう俺たち。

 

「そうだね。まぁ引きこもる以外にも商品開発するという楽しみがあるから、昨日ゆんゆんに説得されなくても出てくることはあったと思うよ。ただアイデアがつきかけてるんだよな。故郷にあった便利グッズの」

 

「そうなんですか? あ、このままだとこのクルセイダーがリョウタさんのアークウィザードに倒されちゃう」

 

「ゆんゆんの言った通りクルセイダーを倒させてもらう。……商品開発で残った案はほとんどが複雑で開発にそれなりに時間がかかりそうなものばかりだしなー。なんかゆんゆん欲しい便利グッズとかある? 」

 

 俺とカズマの頭ではそろそろ限界に達そうとしている。

 

「そうですねー……」

 

 ゆんゆんはしばし考え込むしぐさをする。

 

「あ、冒険に持ち運べる頑丈な櫛とか欲しいかもです。戦ったあと髪が乱れるのでそれをすぐ直せたらいいかなーって」

 

「となるとバタフライナイフみたいに櫛本体を格納できる奴がいいかな」

 

「どうでしょうか? 」

 

「ナイスアイデアだ。女性冒険者に特に売れそうだし、この一局が終わったら櫛でもちょっと買って研究してみるよ。ありがとうゆんゆん」

 

「いえ。あ、あの……出かけるんだったら一緒に行きませんか? 」

 

「じゃあ一緒に行こう。俺もゆんゆんと一緒の方が嬉しい」

 

「は、はい」

 

 照れてうつむくゆんゆん。かわいい。

 

 そろそろ、俺という人間の変革も終了して安定してきたし、好きと伝えるべきだろうか?

 

 しかし、いいタイミングがなかなかない。女性はこういうタイミングも重要視するはずだ。日常で変にさらっと言うのはあまりよくない気がする。

 

 いい機会はないものか?

 

 二人でまた長期クエストでもやって遠出して、その時にタイミングを見つけて言うのはどうだろう? 我ながら言い作戦かもしれない。

 

「ゆんゆん。櫛買いに行った後、ギルドに」

 

「あのロリガキ絶対許せねぇぇ!! 」

 

 机で食事をとっていたはずのカズマが突然声を上げた。

 

「な、なんだカズマ!? い、いきなり……」

 

 カズマの対面に座っていたダクネスが若干怯える。

 

「思い出し激怒だ!! あの小娘、まだ寝てるみたいだが、やってこようものならスティールで剝いてやる!! ひん剝いた後はあいつが泣きながら謝るようなすごい目にあわせてやるぅぅぅぅ!!!! 」

 

「か、カズマさんそれ犯罪なのでは? 」

 

 ゆんゆんが常識的な一言を。その表情は昨日のエクスカリバーを目撃したことを思い出したのか恥ずかしそうだった。

 

「ゆんゆんの言う通りだぞカズマ。それと、めぐみんが泣いて謝るようなことについて詳しく!! 」

 

「ダクネス、君は……」

 

 ブレないな。

 

 俺がダクネスの言葉に呆れていると。

 

「みんな朝から騒々しいわよ。私のように落ち着きなさいな。そしてさっきまでの優雅なひと時を返してよ」

 

 アクアがソファーから顔をこちらにのぞかせる。

 

「一日中そこで食っちゃ寝してるダメ人間が優雅とか語るな!! 」

 

 カズマがアクアに吠える。

 

「なんですって!? あんただって昨日まではこたつむりのヒキニートだったじゃない!! 」

 

「おう、だったらお前も同類だなこのヒキニート女神!! 」

 

「カズマ、しばくわよ!? 本気でしばくわよ!! 」

 

 ソファーからはたくジェスチャーをカズマに送るアクア。

 

 すると。

 

 廊下から歩いてくる音がした。

 

 それに反応したカズマは食事の席から立ち上がると、一気にリビングの入り口のドアの前に躍り出て、スタンバイする。

 

 そしてドアが開いた瞬間。

 

「めぐみんてめぇ!!!! 今から全裸にひん剥いてや……る? 」

 

「フハハハハハ、残念我輩でした!! 」

 

 なんと、現れたのはバニルだった。

 

 どういうこと?

 

 みんな固まっている。

 

「さぁ小僧に青年よ、目利きにおいては定評のある我輩が商談に来た、さぁ当店に卸す予定の商品を見せてもらおうか!! 」

 

「何でアルバイトのお前なんだよ」

 

 カズマが意気消沈した顔でバニルに問う。

 

「あのポンコツ店主ではろくな目利きができないためにガラクタを仕入れかねんのでな。ム? 」

 

「ちょっと、どうやってこの屋敷にあんたみたいな害虫が侵入してきたのよ? 結界張っておいたはずなんですけど……」

 

 アクアがゆらりとソファーから立ち上がりバニルを睨みつけた。

 

「おや、これは失敬、あの薄っぺらいものは結界であったか!! 超強い我輩が通っただけで粉々に砕け散ってしまったぞ? 」

 

「……はぁ? 」

 

 アクアがバニルの煽りに女神とは思えない殺意に満ちた表情をする。

 

「これってまずくないですか? 」

 

「ゆんゆん心配ない。戦いになっても君は護るから」

 

「そう言う問題ではないと思うんですけど。それと、あ、ありがとうございます」

 

「あらあらー? 体のあちこちが崩れかかってますわよ超強い悪魔さん? 確か地獄の公爵だとか聞いてましたのに。あの結解でそんなにダメージを? 」

 

「この体はただの土くれ。代わりなどいくらでもあるのだ。それにしてもなんと、あの薄っぺらいもので結界と言い張るのか汝は。いやぁ、これは失敬、そもそも人間の駆け出しプリーストでは我輩を押しとどめることができる結界などそもそも張れるるものではないな。フハハハハハ!!!! 」

 

「……セイクリッドエクソシズム!! 」

 

 バニルのあおりについに耐えかねたアクアが魔法の光線をバニルに発射。それがバニルに命中し、彼の足元に光の柱が現れるが……。

 

「華麗に脱皮!! 」

 

 バニルは自分の本体である仮面を投げてアクアの魔法から脱出。床に落ちた仮面から土がにょきにょきと生えて人型になっていく。

 

「これがアンタの本体ね!! さぁどうしてくれようかしら!? 」

 

 再生途中のバニル。その本体の仮面につかみかかるアクア。

 

「この仮面を破壊したとしてもいずれ第3、第4の我輩が……ええいやめんか、せめてセリフを全部言い終わってからにしろ!! 」

 

「おいアクア止めろ」

 

 俺はアクアを羽交い絞めにした。バニルは戦いに来たわけではないからだ。それに、不法侵入ではあるが彼は客人だ。なぜなら。

 

「ちょっと何するのよ神殺し!? アンタは本来、憎悪の炎を燃やしてこのクソ悪魔を討伐しなきゃならないのよ!? 」

 

「バニルは商談に来たって言ってただろ。少し落ち着けよ」

 

 カズマがアクアをなだめる。カズマが言ったように取引相手なのだから。

 

 

 

 

「なるほど、なるほど。我輩の小僧への見立ては正しかったようだな。それに神殺しの青年もかなり活躍したようである。これらは売れる。間違いなくな。このこたつとやらもうまい具合の暖房器具だな」

 

 こたつの上に並べた開発した品々を見てバニルは哄笑した。

 

「ふむ、では、商談と行こうか。取り決めでは毎月、商品が売れた利益の1割を支払うとなっているが……どうだ小僧に青年よ。これらの商品の、知的財産権事態を売る気は無いか? これら全てをひっくるめ、6億エリスで買ってやろう」

 

『6億!? 』

 

 これは想定外だ。そりゃ確かにこの世界にはない物ばかりだしカズマと絶対にこれはこの世界に革命をもたらすぞと大喜びしながら作り出してきたが。

 

「まさか6億の価値があるとは」

 

「うむ。それだけの価値のある物らである。月々の利益還元にすれば約200万であろうな」

 

『月々200万!? 』

 

「ところでこのゴム状のものは何か? 」

 

 カズマがゲスイ顔をしながら俺に提案し作り出した避妊具をバニルが手に取る。

 

「うむ、どれもどう使うのかわからないものが多いが特にこれはわからないな、なんなんだ? 」

 

 バニルの手にとったそれに対するダクネスの問いに真剣に答えるべきか否かと悩んでいると。

 

「ダクネスこれは風船って言ってね、こうやって膨らませる物なの」

 

「ほう。そうなのか」

 

 答えるべきではないな。今それが避妊具だと答えればアクアにゴッドブローを叩き込まれかねない。

 

「神殺しの青年の内心によるとそのように使うものではないことが分かったのだが、まぁ良い。それより、汝らが我輩に見せていない例の武器の知的財産権を売るというのであればなんとかして50億エリスを用意するがどうであるか? 」

 

「ちょっと、うちのカズマと神殺しを死の商人にするつもり!? 絶対にさせないわよ!! カズマと神殺しも、銃は絶対売り物にしちゃダメだからね!! 」

 

 何という女神。良識はしっかり持っているし俺たちのことも考えてくれている。やっぱり根は本当にいい子なんだなアクア。

 

「ああ、まぁ並べていないから売る気はないのであろうが、あれは私もダメだと思うぞ」

 

「危険すぎますよね」

 

 アクアの言葉にダクネスとゆんゆんも続く。

 

「心配するなみんな俺もリョウタもさすがにあれを売り出す気はないよ」

 

「危険すぎるからね」

 

 カズマと俺の言葉に安心した様子の女性陣3人。

 

「ふむ残念である。我々悪魔にとっては人類間の不和が広がることは良きことなのだが、仕方あるまい。まぁ我輩も人類が自ら数を減らしていくという点を考えればよいことばかりでもないしな。しかし小僧よ。我輩がそこのさっきから頭のおかしい紅魔の娘に汝がやることが気になって仕方ない鎧娘に不吉な未来が待っていることを予見したのは覚えておるな? 」

 

「それがどうしたんだよ? 」

 

 カズマが怪訝な顔をし、ダクネスが内心をばらされて顔を赤くしうつむく。

 

「いやぁ、金があることに越したことは無いぞ。まぁまだまだその日まで期限はある。せいぜい我輩たちの店に卸す品を新たに開発しておくのであるな。……それと商品の販売までには時間がかかる。知的財産権を売るか月々の利益還元か。考えておくとよい。では我輩は店が心配なので戻るとしよう」

 

「はっ!? 私たちの神聖な屋敷に悪臭が染みついちゃうわ!! 出て行って、ほら早く出て行って!! 」

 

 立ち去るバニルは歯ぎしりし、アクアは「ヘアっ」と謎の鳴き声を発し。バニルから勢いよく目を背けた。

 

 

 

 

 

 それからという物。お金にいよいよ困ることがなくなった俺たちは浮かれていた。

 

 カズマは余裕の表情でガウンを羽織り、アクアは『ゴブリンでもわかるセレブ用語』という本をソファーに寝転がり読みふけっている。ダクネスは「これでもう俺は働かなくても食っていける」とつぶやいている似非セレブなふるまい中のカズマのダメ人間っぷりに興奮し、ゆんゆんは現実を受け止め切れていないのオロオロし、俺はというと。

 

「金の目減りを気にすることないニート生活の到来だ」

 

 こたつに足を突っ込み寝転がっていた。

 

「みんな、どうしてしまったのですか!? いつものみんなに戻ってください!! カズマ、アクア、リョウタ!! お金があることは素晴らしいことです。しかしそんなに堕落する必要はないでしょう!? 」

 

 そんな中、遅れてリビングにやってきてダクネスに事情を説明されて、俺たちがいかにリッチな現状にいるか知っためぐみんが、堕落を始めている俺を含めた3人を糾弾する。

 

 しかしめぐみんの発言を完全無視し、カズマがお茶を淹れるようにアクアに頼むと、彼女はいつになく素直にそれに応じた。

 

「最高級の紅茶が入りましたわカズマさん」

 

「うむ」

 

 カズマがお茶を飲む。

 

「お湯なんだけど」

 

「あらまぁ、私ったらうっかり浄化してしまったみたいですわ」

 

「アハハ、また入れ直せばいいさ。ということで、アクアまた頼むよ」

 

「任されましたわ、カズマさん」

 

 そのようなやり取りを見て俺は。

 

「人間お金に余裕ができると心も綺麗になるんだな」

 

「いえ、心が綺麗になっているわけではないと思いますよ? 」

 

 めぐみんが的確に突っ込む。

 

「とにかくその腑抜けた状態をどうにかしてください。特にカズマ!! あなたはガウンを羽織ったりなんかして、アクアの失敗にも嫌な顔一つすることなく応じる。すごく気持ち悪いです!! 」

 

「何を言っているんだめぐみん。俺はもともとこんなにも心の広い人間だぞ? だから昨日のことも怒っていないし、アクアの失敗にも怒らない」

 

「昨日のことを気にされているのなら謝りますからどうか元のカズマに戻ってください!! 今のカズマはすごく気持ち悪いです!! 」

 

 涙目になって訴えかけるめぐみん。かわいい。

 

「めぐみん。カズマの心は平穏に支配されているんだ。君が何を言おうと届かない」

 

「リョウタもまたこたつむりになってしまって……。ゆんゆんいつまでも大金が手に入ることに驚いていないでリョウタをまたバブみを感じてオギャらせてください!! 」

 

「え、いやでも今はその必要はないと思うんだけどめぐみん? 」

 

「いいですから。なんだか堕落しきっているこの3人を見ていると不安に駆られるんです!! 」

 

「わ、わかったわ!! リョウタさん、頑張りましょう? 何を今頑張るべきなのか分かりませんけど頑張りましょう? 」

 

 ゆんゆんがぎこちない笑顔で俺にバブみを振りまいてくるが。そんなもの通用しない。なぜならば。

 

「信念なき母性に俺をオギャらせることはできない!! 」

 

「ええー!? 」

 

 ゆんゆんが軽くショックを受ける。

 

 おい、こんなくだらないことでショックを受けないでくれ俺の大好きな人。

 

「カズマさん。淹れ直してきましたわ」

 

「うむ……お湯だね。お湯!! 」

 

「あらあら。私ったらうっかり。また淹れ直してきますわね」

 

「頼むよアクア」

 

 優しい語気でカズマはアクアに茶をもう一度淹れるようにお願いする。

 

「や、やめてくださいカズマ。アクアもぉ……。そうです!!レベル上げに行きましょう。カズマのレベル上げに!! 昨日の続きをしましょう。ですから元に戻ってください……」

 

 めぐみん。そんな言葉が今のカズマに届くわけがないじゃん。

 

 俺は寝そべったままめぐみんを見据えてそう考えた。

 

「え、嫌だよ。装備も整えて挑んだのに俺また死んだんだぞ? 俺はもう冒険者としては生きていかない。商人として生きていく」

 

 ほらね。

 

「カズマさん。さすがに困るんですけど。魔王を討伐してくれなきゃ私困るんですけど」

 

 アクアがお茶を淹れるのをやめてカズマのところに行く。

 

「それならアクア。こうしよう。お金の力で大量に冒険者を雇うんだ。そして魔王の城にけしかける。そしておいしいところだけ俺たちが持って行く。これでどうだ? 」

 

「さすがカズマさんね!! 」

 

「名案だなカズマ」

 

 俺もアクアの意見に同意だ。冒険者は基本的にまとまりがない、しかしお金が絡んでくると話は別になる。金の力で統率された大部隊を作ればかなりの戦闘力を持った集団に化けるだろう。デストロイヤーの時に見せてくれた無双っぷりが再来することになる(あの時の団結していた理由はサキュバスだが)。……これで作った大部隊に銃を持たせればお手軽に軍隊の完成だがさすがに銃をばらまくと死の商人ルートのフラグが立ちそうなのでそれは無しだな。短期的には世界に平和をもたらしても長期的に見れば人類間で戦争が勃発した時に激化の原因になりかねない。

 

「認めませんよ!! お金の力で魔王を倒すだとか!! 魔王を何だと思っているのですか!? 」

 

「あーもう、めぐみんあのなぁ」

 

 似非セレブモードを解除したカズマがめぐみんに相対する。

 

「な、なんですかカズマ」

 

「俺は昨日死んだばかりなんだぞ。リザードランナーたちとの死闘の末にな。だからせめて首の古傷が癒えるまでは休ませてくれ」

 

「傷一つ残らず綺麗に修復したんですけど? 」

 

「……ならせめて心の傷が癒えるまで安静にさせてくれ」

 

 それを聞いためぐみんがしばし固まる。やがて。

 

「では慰安旅行に行きましょう。湯治です。水と温泉の都アルカンレティアに」

 

「慰安旅行ねぇ……待て、温泉だと? 」

 

 カズマが硬直する。今絶対エロイこと考えてるなカズマ。主に混浴とかを期待して、まぁこの答えにすぐ行きつくあたり俺もエロいのだろう。

 

「ねぇ今めぐみん言ったわよね、アルカンレティアに行くって。水と温泉の都、アルカンレティアに行くって言った!? 」

 

 ウキウキしながらアクアがめぐみんの方を向く。

 

「はい、言いました。あそこに行きましょう!! 」

 

「旅行か……。いいではないか!! 」

 

 ダクネスもめぐみんの話に乗る。

 

 これはチャンスだ。俺はゆんゆんに好きだと伝えるチャンスを探していた。旅行などまさに絶好の機会ではないか。

 

「俺も賛成だ。行こう旅行に」

 

 そして伝えるんだ。胸の思いを。既に伝わっているがあえて言葉にしてしっかりと自分の気持ちをゆんゆんへと。

 

「私はアルカンレティア行きに反対です」

 

 ……。

 

 一瞬。誰が反対したのかわからなかった。なぜなら普段から周りに合わせる方のゆんゆんが珍しく。そしてきっぱりと行きたくないと告げたからだ。

 

『ゆんゆん? 』

 

 全員が呆気に取られてゆんゆんの方を同時に見つめた。

 

「ご、ごめんなさい。何でもないんです」

 

 ゆんゆんが力のこもっていない声質でそう告げると誰とも目線を合わせなくなった。

 

「アルカンレティアで何かあったのかい? ゆんゆん」

 

 俺は直感的にそう感じたのでゆんゆんに問いかけてみる。

 

「なんでもないんです、忘れてください。皆行きたがってるみたいですしここは皆さんに合わせますよ? 」

 

 ゆんゆんはいつもの控えめな調子でそう言うが。

 

「いや、君が嫌なら俺も反対しよう。なんかあったんだよね? 」

 

「リョウタさん……。気持ちはうれしいですけど気にしないでください。皆さんも和を乱してごめんなさい」

 

「いや、ゆんゆんが嫌がるだなんて珍しいだろう。何かあるなら言えよゆんゆん」

 

 カズマがゆんゆんに問いかけるがその問いにもゆんゆんは。

 

「気にしないでください。みんなで行きましょうアルカンレティアに!! 」

 

 今度は強い調子でそう言うゆんゆん。

 

「な、なら行くことにしていい……な」

 

 カズマが全員に確認をとる。俺たちは頷くしかなかった。

 

「ええ、行きましょう、行きましょう!! 」

 

 アクアは、本当に行っていいのかという雰囲気の中一人ノリノリだった。




 いよいよあのアルカンレティアに行きます!!

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