【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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060 デッドリーポイズンスライム・ハンス

 俺たちは現在街の中心部でハンスたちを捜索していた。

 

 ウィズさん曰くハンスは、食べた人になら擬態が可能で、指名手配を行った今、姿を補足できない可能性がある。なのでハンスの捜索というよりどちらかと言えばあの兄妹の捜索と言った方が正しい。

 

 理由は、昨日の美少女の方の敵の発言からみんなで推測しあった結果、相手はデストラクターのように人間を依り代とするタイプの邪神か悪魔ではないかという結果が出たからだ。そのため、姿を変えるのも不可能ではないがアクアによると高い適合率の身体はそうそう見つかるものではないため体を捨てて別の体に乗り移っている可能性は低いとのことなのであの兄妹を探す方が現実的となった。

 

 カズマが敵感知を発動して周囲を警戒する。俺もサーチを発動して敵性存在がいないか確かめて歩く。

 

 街の中は朝から活気づいていた。冒険者や警察が指名手配された4人を探しているからというのもあるが、アクシズ教徒が元気に活動しているからでもある。魔王軍警戒警報が街中に発令されていうにもかかわらず家に引きこもっていないのはさすがと言えよう。

 

「もうすぐ朝9時が来るな……。それにしても滅ぶべくして滅ぶんじゃないのかアクシズ教は」

 

「何というか、愚かですね」

 

 カズマとゆんゆんがそんなアクシズ教徒たちを見て辛辣なことを言う。

 

「ちょっと、なんてこと言うのよ!! 本当に滅んじゃったら二人を私が祟るからね!! 」

 

「ええ!? 」

 

「おいシャレにならないからやめろよ」

 

 ゆんゆんとカズマが怯える。

 

「しかし、やみくもに探していても見つかりませんね。魂の収集が彼らの一つの目的ならばもしかして人がたくさんいる場所を襲ったりするんじゃないでしょうか? 」

 

「めぐみんの意見からいうなら人口密集地が標的になりそうだな。しかし冒険者や警察、少々の一般人とアクシズ教徒以外は今は街を出歩いていないしな」

 

「ねぇ待ってダクネス。まるでアクシズ教徒が一般人じゃないみたいな言い方はやめてくれる? 」

 

 アクアの抗議を無視しダクネスが顎に手を置き考える。

 

 確かに、兄の方が魂の収集がどうのと言っていた。ということは人口密集地が標的にされるわけだが。

 

「なぁみんな……それってここじゃないか? 」

 

『………』

 

 そう今俺たちがいる、冒険者や警察が右往左往しそしてアクシズ教徒が元気に活動しているこの街の中心部こそが標的になるのではないか。

 

「そんなことも、ありそうね……」

 

 アクアが言ったその直後。

 

 突然。

 

 轟音が付近くから聞こえてきた。それは建物が倒壊していく音で、それと同時にとんでもない規模の地響きが巻き起こる。

 

「なに、なに!? 」

 

 アクアがキョロキョロすると、カズマが。

 

「あっちだ!! 」

 

 指さした。

 

 そこには約100メートル先で毒々しい紫色の塊が肥大化していっているのが見えた。

 

「あれがハンスさんです。もうすでに多数の人を飲み込みましたね……許せない」

 

 ウィズさんがいつもの柔らかな雰囲気を一切感じさせない苛烈さを秘めた冷酷な声で一言。

 

「ウィ、ウィズ? 」

 

 アクアはハンスの方よりも、ウィズの方に驚き怖がっていた。

 

 そんなことしている場合かアクア!!

 

「アクア!! 俺とウィズさん以外の全員に支援魔法をかけられるだけかけろ!! 」

 

 俺はアクアに指示を出すと、アクアは「わかったわ」とスイッチを切り替え筋力増加や魔力増加の支援魔法をかけていく。

 

 そんな間にもハンスは、超巨大化する。どんどん飲み込まれとかされていく人々。それを見て逃げ惑う多くの人は、ハンスからとにかく遠ざかっていく。町は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

 

「あぁぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

 アクアが悲鳴を上げる。信者が何人も一瞬のうちに犠牲になったからだろう。

 

「許さないわよクソスライム!! よくも私の可愛い信者をぉぉぉぉ!!!! 」

 

 泣きながらアクアがハンスに向けて爆走した。

 

『アクア(様)(さん)!? 』

 

 俺は一気に加速し、アクアを羽交い絞めにする。その間にもどんどん巨大化し、俺たちの屋敷程度のサイズでやっと大きさを安定させるハンス。その姿は眼窩と牙を備えた口を持ったおどろおどろしいスライムだった。まるでというよりもはや巨大怪獣である。

 

「放して神殺し!! 」

 

「君にあれに有効打を与えられる攻撃力はないだろアクア!! 落ち着いて支援に徹するんだ!! 」

 

「だけど、だけど!! 」

 

 この子の信者を思う気持ちは本物なのだろう。

 

 俺は泣きわめくアクアを羽交い絞めにしたまま何度かバックステップを踏んで、どうするべきか迷っているみんなに合流する。

 

「ウィズから聞いてたけどあれがハンスの本気かよ…。とりあえず当初の撃退作戦の通り……湖に誘導してから爆裂魔法を食らわせて粉みじんにして小さくした後、ウィズのカースドクリスタルプリズンで完全凍結させて崩壊させる。飛び散った破片と汚染されてしまった湖はアクアが広範囲のピュリフケーションで綺麗にする!! いいな!! 」

 

 カズマがみんなに指示を出す。

 

『了解!! 』

 

「誘導係任せたぞ!! リョウタ、ゆんゆん!! 」

 

「ああ!! 」「はい!! 」

 

 魔法で攻撃しハンスの気を引く。デッドリーポイズンスライムには魔法が効き辛いらしいためダメージを与えることは期待してはいけない。そして、その動き自体はゆっくりなのだが体の一部を変形させて標的を飲み込もうとしてくる動作は早いためある程度距離をとっておかなければならない。

 

「アクア、放すよ」

 

「うん……」

 

 俺はアクアを放す。アクアはかなり落ち込んでいる。

 

「アクア、落ち込んでいてはもっと多くの死者が出ます、今は……っ!! この魔力の感じは!! 」

 

 めぐみんがアクアを説得している途中で、何かに気づく。その直後、俺たちにもめぐみんが何に気づいたのかわかった。俺たちの足元に爆発魔法の陣が展開されたのだ。

 

「爆発魔法の陣!? 」

 

「っ!! テレポート!! 」

 

 ウィズさんがとっさに俺たち全員をテレポートさせる。まばゆい光とともに視界がぐにゃりと歪んだと思ったら、いつの間にかハンスから300メートルほど遠ざかった街中に移動していた。ウィズさんが街中での戦闘になると踏んであらかじめアルカンレティアの街の多数の場所にテレポート先を登録しているが故だ。

 

 そして、さっきまで俺たちのいた場所では巨大な爆発が巻き起こった。

 

「クソ!! やっぱり来たか!! プラン変更、俺とダクネスとアクアでハンスを誘導する、リョウタ、ゆんゆんは爆発魔法で襲ってきた奴を撃退してくれ!! それにしてもなんで俺たちをピンポイントに狙ってきたんだ……。たまたまか? 」

 

「いや、意図的みたいだ!! みんな避けろ!! 」

 

 足元にまた展開された爆発魔法の陣を見て俺が叫ぶとみんなが散らばった。その瞬間魔法陣内が爆発する。みな紙一重で躱したようだ。めぐみんとカズマはゆんゆんにグウェンの力で引っ張ってもらい空に逃れている。

 

 2人を降ろすゆんゆん。

 

「ウィズ!! 昨日言ってたウィズの作った魔法で爆発魔法の犯人の位置を割り出してくれ!! 」

 

「わかりました!! マギカストーカー!! 」

 

 ウィズさんが魔方陣を地面に展開すると、魔方陣の中心にある矢印が浮き上がり、そこから光の線が伸びる。この魔法は、魔方陣内の魔力残滓を手掛かりにして魔法を使った存在を探し出すことの出来る魔法だ。そして、その方向は空を指していた。

 

「そこか!! 」

 

 俺は標的を確認する。マギカストーカーが指示した存在はモノクロームのドレスを着た昨日の美少女だった。背中には悪魔と思わしき翼が展開されている。

 

「ということは使えるな!! ディナイアルブラスター!!!! 」

 

 俺は間髪入れずに悪魔にディナイアルブラスターを発射する。強化の手ごたえはゲキドラスと戦った時と同じくらいだった。

 

 ディナイアルブラスターを回避する悪魔は心底憎たらしそうな表情を浮かべて言ってきた。

 

「何たる僥倖かしら。まさかゲキドラス兄さんを倒した冒険者のうち2人を倒せる機会が来るだなんて」

 

 どういうことだ。破壊神の関係者かこの悪魔は!?

 

「リョウタ、そっちは任せた!! 」

 

「了解!! 破壊神の眷族って言うなら絶対に倒させてもらうぞ!! 」

 

「ハンス様のもとにはいかせませんわ!! 」

 

 悪魔は、左手から長大なダークオブセイバーを生成し、ハンスの方に駆けていくカズマたちに振り下ろす。それにゆんゆんが反応し、飛行した状態でライトオブセイバーを発動。ダークオブセイバーにぶつけて押しとどめる。相反するエネルギーの衝突によって大爆発が発生する。

 

 それにあおられるゆんゆんと悪魔。

 

 俺はカズマたちがダークオブセイバーをゆんゆんのおかげで凌ぎ、まんじゅうを使った誘導作戦に移ったことを確認する。ハンスは本能で動くようになっている。だから、栄養価の高いものを自然と求めるためアルカンまんじゅうや肉まんじゅうに強く反応を示すだろうことがウィズさんの進言で明らかになっていた。まんじゅうに引き寄せられる魔王軍幹部というのはどうかと思うが、投擲しやすさから考えてもまんじゅうが一番適しているのでもはや何も言うまい。

 

 俺は爆風にあおられている悪魔にディナイアルブラスターを発射した。しかし悪魔は瞬時に体勢を整え、優雅にも思えるステップを空中で踏んで回避する。

 

 

「ゆんゆん、行けるか!? 」

 

「問題ありません!! 接近戦を仕掛けますからリョウタさんは援護をお願いします!! 」

 

「わかった!! 」

 

 羽が展開できれば俺も空中戦に参加できるのだがこればかりは仕方ない。俺はソードメイスを背中に背負ったまま神殺しの剣のみで相対することにした。片手は魔法を放つためにフリーにしておく必要があるからだ。

 

「ディナイアルセイバー!! 」

 

 俺はディナイアルセイバーを振り回し、悪魔に攻撃するが、回避され続ける。

 

「そのような攻撃、このテンロンには当たりませんわ!! 」

 

「お前がテンロンか!! 」

 

 バカが!! 今のは牽制だ。

 

 心の中で叫んでいるうちに、ゆんゆんがライトオブセイバーを槍部分から展開したハルバードをテンロンに接近して振り下ろす。

 

「ダークオブセイバー!! 」

 

 それをテンロンは闇の剣で受け止める。再び相反するエネルギーが対消滅を起こし大きな爆発を起こす。ゆんゆんはそれに跳ね除けられ、テンロンは翼をうまく使い今度はその場にとどまって見せた。

 

 ゆんゆんの方はまだグウェンに慣れきっていない。空中戦はテンロンに分があるだろう。だから俺が!!

 

「フォローする!! 」

 

 バーニングスラッシャーを連射し、体勢を立て直している途中のゆんゆんに迫ろうとするテンロンを遠ざける。

 

 さらに。

 

「フェイントオブインパクト!! 」

 

 足裏に発動した調整済みのフェイントオブインパクトの衝撃で一気にテンロンへと肉薄し、ディナイアルセイバーを発動、振り下ろす。

 

「アンチオブブラスト!!!! 」

 

 テンロンは何と右手からライトオブセイバーを。左手からダークオブセイバーを展開し自らそれを交差させて爆発を起こし俺を吹っ飛ばす。

 

 俺は地面に激突する衝撃を押さえるため、ここで鎧の背面に掛けていたリアクティブアーマーとして使う予定だったフェイントオブインパクトを発動し慣性を相殺。地面に奇麗に着地する。

 

「それにしてもなんで悪魔に性別があるんだよ!! 」

 

「そうですね……」

 

 俺の隣に舞い降りてきたゆんゆんが俺の悪態に同意する。

 

「冥途の土産に教えてあげますわ。私たちはデストラクター様が傀儡化した紅魔族を依り代にしてこの人間の世界に現界していますの。だからもともと兄弟だった私たちは後天的に性別を得ましたのよ」

 

 そう言うことだったのか。

 

「ゲキドラス兄さんに殲滅力と魔力量こそ劣りますが、戦闘能力は私の方が上ですわ。あなたたちと私。このめぐり合わせは運命。私にあなたたちを倒せと……仇を討てと言う地獄からのお告げですわ!! 」

 

 どうやら昨日。テンロンが風呂場で睨みつけていたのはカズマではなく俺だったようだ。

 

「仇ならどうして昨日のうちに俺に仕掛けてこなかった!? 」

 

 右手から光の光線を、左手から闇の煙を噴出しながら迫ってくるテンロンは。

 

「兄さんからの提案であなたには積極的にはかかわらないことになっていましたのでね!! ですがこの場にあなたたちがいるということは私たちの邪魔をするということ、戦わずにはいられませんわ!! 」

 

 なるほど、確かにデストラクターを復活させる目的を優先したければ神や悪魔に特効持ってる俺にかかわろうとしないのが一番だよな。かなり慎重だ。

 

 そう思いながら俺は右に。ゆんゆんは左に回避する。

 

 俺に闇の煙が迫る。それが何なのか分からないので取り合えずディナイアルブラスターを放ち相殺する。どうやら煙は爆発する特性があるようでディナイアルブラスターにぶつかると爆発した。

 

「ゆんゆん大丈夫かい!? 」

 

「はい!! 」

 

 ゆんゆんはハルバードの先から展開したガーターで光線を受け止めていた。

 

「はっ!! 」

 

 テンロンは掛け声とともに両手から出していたものをライトオブセイバーとダークオブセイバーに切り替え、回転切りを見舞ってくる。

 

 俺はジャンプして回避、そして、着地と同時に有り余る魔力に任せて地面を錬成。まっすぐテンロンに向けて巨大な鉄杭を伸ばす。

 

 超高速で繰り出された鉄杭をガーターで防御しながら後方に吹っ飛ばされるテンロン。

 

 そんなテンロンに後方に控えていたゆんゆんがハルバードの斧部分による斬撃を繰り出す。

 

 それが命中し背中から血を吹き出すテンロン。

 

 今ので背骨を切断したはずだ。

 

「っ!! 」

 

 テンロンが痛みに顔を歪めるが。

 

「きゃっ!? 」

 

 その吹き出した血に視界を奪われ悲鳴を上げるゆんゆん。そんな彼女に好機とみて蹴りを加えるテンロン。しかもなんと回復魔法を自分の背中にかけている。

 

 ゲキドラスよりも頭がいいな、やっぱり。

 

 血が結構噴き出していたが傷が再生した様子のテンロンは追撃をゆんゆんに加えようと闇の煙を左手から放出するが、ゆんゆんはグウェンにくるまりそれを防ぐ。

 

 俺はテンロンにエアハンマーを発射しゆんゆんから引きはがす。闇の煙の爆発をグウェンで凌いだゆんゆんはインフェルノを至近距離でぶっぱなし。さらに飛行して上空に位置すると一気に急降下、重い斬撃を加えようとする。

 

 一瞬の放出とはいえインフェルノをガーターで防御せざる負えないテンロン。そんな彼女の後方から俺は突き出した左手から4本のウォーターカッターを放ち彼女の各所を切りつける。

 

「このっ!! 」

 

 俺を睨んでくるテンロン。しかし。甘い。

 

「やっちまえゆんゆん!! 」

 

 ゆんゆんが急降下斬撃を加える。それにより大きく体を切り裂かれるテンロン。

 

「っ!! 」

 

「くっこれでも倒せないなんて!! 」

 

「破壊神の眷族をなめないでくださいませ!! 」

 

 そう言うとテンロンは自身の身体に回復魔法を発動して体を修復しながら左手から大量の闇の煙を放出する。

 

 爆発すると思ってガーターを発動したゆんゆんと俺だったがなぜか爆発せずに周囲を完全に覆いつくされた。

 

 俺は体に害があるのではないかと思い呼吸を止める。ゆんゆんもグウェンで口元を覆っている。

 

「リョウタさん、ここはトルネードで闇を吹き飛ばします!! 」

 

「了解!! 」

 

「トルネード!! 」

 

 ゆんゆんが風の上級魔法トルネードを発生させて闇を吹き飛ばす。

 

 テンロンはどこに行った?

 

 煙が晴れるとテンロンの姿はなかった。

 

 サーチでテンロンの位置を確かめる。すると。

 

「あの女悪魔、仇討ちとか言っておきながら、しっかり役目を全うしてやがる!! 」

 

「え!? 」

 

 テンロンは、カズマたちにまんじゅうで湖の畔あたりへと誘導されていたハンスをその場に押しとどめていた。その方法が。

 

「ふざけやがって!! 」

 

「人間を投げ込んでる!? 」

 

 逃げ遅れた人をつかんではハンスに放り投げるを繰り返してハンスの興味を自身の方向に向けていた。カズマはリボルビングライフルでテンロンを撃ちまくってその凶行を止めようとしている。この街の冒険者もそれに協力し弓矢や魔法でテンロンに攻撃したり、逃げ遅れた人の誘導をしている。

 

「ここからディナイアルブラスターで撃ち落す!!!! 」

 

 あんな惨いことを繰り返させるか!!

 

 ディナイアルブラスターがテンロンへと伸びる。途中でハンスの身体も一部を消し飛ばしたそれはテンロンへを飲み込む寸前で彼女が右腕から放った光属性と思われる極太の光線によって相殺された。

 

 ゆんゆんはその間にグウェンの全開で地面すれすれを疾走し、そして一気にハルバードで切りかかる。

 

 俺も一気に地面を疾走し、ディナイアルセイバーをゆんゆんとテンロンが魔法の剣で切りあい出来た隙を狙って叩き込む。

 

「テンロォォォォン!!!! 」

 

「当たりませんわ!! 」

 

 俺は憎悪を込めて叫びながらディナイアルセイバーを何度もくり出す。ゆんゆんもライトオブセイバーを振り回していた。

 

「むごいことしやがって畜生が!! 狙撃!! 」

 

 カズマが発砲した一撃がテンロンの額に命中し、頭が半壊しバランスを大きく崩す。その隙に。

 

「セイクリッドエクソシズム!!!! 」

 

 退魔の光線を発射するアクア。テンロンに命中するが、効果が無い。

 

「なんでよ!! どうして倒せないのよ!? 」

 

「私は神聖な力に対して耐性があるどころか!! 使いこなすこともできるんですわよ!!!! 」

 

 頭をヒールで修復してライトオブセイバーを発動してアクアに切りかかるテンロン。俺はアクアに攻撃が当たる前にディナイアルセイバーで切り払う。

 

「悪魔だって魔力が無限にあるわけじゃないんだ!! こうなりゃ全員で再生できなくなるまで集中砲火だ!! 」

 

 カズマが他の冒険者たちに指示を出しテンロンに集中攻撃をする。ダクネスはその防御力と様々な耐性を生かしてハンスが蠢くたびに飛び散らせる猛毒のかけらから逃げ遅れた一般人を護っている。

 

「うっとおしいですわね!! 」

 

 だがテンロンに集中し始めた結果、今度はハンスが冒険者数人を飲み込む。瞬く間に消化されて骨だけになる冒険者たち。

 

「クソっ、この2体をまとめてどうにかするにはどうしたら!! 」

 

 俺にゆんゆんにウィズさん。そして冒険者がテンロンに弾幕を張る中、カズマがぼやきつつ、スピードローダーで弾を装填しながら考える。

 

 カズマに頼りっきりで申し訳ないと思うが、この状況をどうにかできる策を思いつけるのはカズマくらいだろう。

 

 そして親友は必ずこういう時、期待に応えてくれる。

 

「なら!! 」

 

 カズマは覚悟を固めた表情で俺たちを見据えた。

 




 カズマさんは原作でも本作においてもパーティーの重要なブレーンです。

 しかし魔王軍幹部って本当にチートなのしかいませんね。まぁ私がそのチート加減をやや引き上げてしまっているわけですが。

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