【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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068 到着、紅魔の里!!

sideリョウタ

 

 突然現れ、仲間を呼んでいる鬼を見て、アクアが煽り始める。

 

「あんた下級悪魔もどきじゃないですかー。プークスクス!! 下級悪魔にすらなれない鬼みたいなアンタが何の用ですか、何の用ですか? あんたみたいな下級の悪魔以下の存在にはあいにくだけど私のエクソシズムが効かないから喜びなさい。見逃してあげるわ!! 」

 

 アクアに煽られぎりぎりと歯を食いしばる鬼。

 

 ……。と言うことは。

 

「やっぱり」

 

 俺が握った神殺しの剣が反応を示していた。体の不快感と痛みが消えていく。

 

「な、なんだよその剣は……。ま、まぁいい、お前ら数で押すぞ!! やっちまえ!! 」

 

 俺が神殺しの剣を引き抜くと本能的な恐怖でも抱いたのだろう。鬼は後ずさる。しかし似たような姿をした鬼たちが後ろからやってきたので調子を取り戻す。その数はざっと40と言ったところだろうか。

 

 余裕だ。まだ包囲もされていないし、本調子に戻り、しかも神殺しの剣がディナイアルブラスターが撃てないにしても起動している状態の俺とゆんゆんがいれば一瞬で殲滅できる。

 

 全員が身構える中、ゆんゆんは無言で一歩前へ出て。

 

「ライトオブセイバー!! 」

 

 光の剣を振るい、鬼数匹をバラバラにした。

 

 顔が引きつる鬼たちだったが、リーダー格と思わしき俺たちを見つけた鬼の指示で、俺たちを包囲してくる。

 

「リョウタさんは戦っちゃダメですよ!? 」

 

 俺も1歩前に出てライトオブセイバーを発動しようとするとゆんゆんに止められたが。

 

「大丈夫。神殺しの剣のおかげで調子よくなったから。ライトオブセイバー!! 」

 

 俺もゆんゆんに倣い光の剣を振るうと、鬼数匹がバラバラになった。

 

「くそっ!! だが俺たちはもっといるぞ!! 」

 

 鬼が叫ぶ。すると確かに後方から新たな鬼が迫ってきているのが見える。サーチを発動させて数を探ると、その数は何と100を超えていた。

 

 これはちと骨が折れそうだ。

 

 そう思った矢先。

 

「ゆんゆん!! よくも私の爆裂魔法をネタ魔法扱いしてくれましたね。ネタ魔法の力見るがいい!! エクスプロージョン!!!!!!!! 」

 

 鬼たちが俺たちを囲んでいく中、めぐみんが突如として爆裂魔法を発動した。まっすぐエネルギー塊が、後方から迫ってくる約100匹に突き刺さり爆発を起こす。轟音とともに森がめくれ上がり衝撃波で俺たちは全員バランスを崩し倒れ伏した。一応、敵の増援は全滅した様子だが取り囲んでいる奴らの数は残念ながら減ってはいない。

 

「どうですかカズマ!! 今の爆裂魔法の点数は!? 」

 

「-90点をくれてやる!! 」

 

「ち、ちくしょう、だけど完全に包囲したぞ人間ども!! 散々煮え湯を飲まされてきたんだ!! お前ら仕返しだぁぁぁぁ!!!! 」

 

『おぉぉぉぉ!!!!!!!! 』

 

 鬼たちが一斉に全方位から襲い掛かってくる。

 

 アクアとダクネスは基礎ステータスが高いからほっといてもなかなか死なないとして問題は基礎ステータスの低いめぐみんにカズマだ。この二人は護らないと死んでしまう。

 

 なので。

 

「ゆんゆん!! カズマとめぐみんを抱えて飛んでくれ!! 」

 

「わかりました!! 」

 

 ゆんゆんが2人を抱えて飛び上がる。

 

「行くぞ鬼ども!! 」

 

 俺が神殺しの剣とソードメイスの2本を構えて片っ端から殲滅しようとしたところで。

 

 状況が変わった。

 

「な、なんだ? 」

 

 俺は前方からさらなる敵の増援がやってきているのをサーチで感知した。のだが、どうにも動きがおかしい。何かから逃げているようなのだ。全員武器を投げ捨て走っているのが肉眼でも捉えられる。

 

 俺たちも、俺たちを包囲していた鬼たちもあっけにとられる中。そいつらは突然、目の前に現れた。

 

 全員黒づくめの格好をしており、それぞれ指ぬきグローブであったりライダースーツのようなつなぎを着ていたりと厨二チックな装いをしている4人組。彼らに共通するのは黒髪に赤い目をしているということ。

 

『こ、紅魔族だぁぁぁ!!!? 』

 

 鬼たちが恐れおののいた。

 

 現れた紅魔族たちは不敵に笑うと。

 

 それはそれは厨二チックな前口上をかました後、俺たちを包囲していた鬼たちをまとめてライトオブセイバーで切り伏せた。

 

 なんだか、前口上の中には、闇の炎だの、氷の(かいな)だのと言うワードがあった気がするのだが全てライトオブセイバーだった。

 

 そして逃げるようにこちらに走ってきていた魔王軍は方向転換して今度は遠ざかっていく。どうやら察するにこの4人から逃げていたようだった。だがそれを逃がす気のない4人は今度は長大に伸ばしたライトオブセイバーで魔王軍を一斉に一閃した。

 

 それによって全滅する魔王軍。サーチの反応の中から敵正反応が全て消え去った。その瞬間、俺の身体に再び痛みと不快感が戻ってくる。

 

 ……紅魔族ってやっぱりすごいんだな。

 

 俺は心の中で感心しながら神殺しの剣を鞘に納め、ソードメイスを背負うと、着地し、カズマとめぐみんを降ろすゆんゆんと並ぶ。

 

「遠く轟く爆発音に魔王軍遊撃部隊員とともにここまでやってきたと思ったら、めぐみんにゆんゆんじゃないか。なんでこんなところに居るんだい? 」

 

「お久しぶりです。靴屋のせがれ、ぶっころりー」

 

 カズマに背負われためぐみんが先ほど闇の炎と言っていた青年に挨拶する。

 

「ぶっころりーさん。お久しぶりですね。助けてくれてありがとうございます」

 

「いいよ、いいよ。ところで2人とも、この人たちは君らの冒険仲間かい? 」

 

 コクリと嬉しそうに頷くゆんゆんとめぐみん。それをみたぶっころりーさんはローブをひるがえし。

 

「我が名はぶっころりー。紅魔族随一の靴屋のせがれ。アークウィザードにして、上級魔法を操る者……!! 」

 

 紅魔族流の自己紹介をした。

 

 するとカズマが。

 

「これはどうもご丁寧に。我が名は佐藤和真と申します。アクセルの街で数多のスキルを習得し、策略を以てして魔王の幹部と渡り合ったものです。どうぞよろしく。それと助けてくれてありがとうございます」

 

「「「「おおおお……!!!! 」」」」

 

 紅魔族の4人が声を上げて驚く。

 

「素晴らしい、実に素晴らしいよ!! 普通の人は俺たちの名乗りを聞いて引いたりするものなのに、こんな返しをしてくれるなんて。それとどういたしまして」

 

「「「どういたしまして」」」

 

 みんなさっきまでの魔王軍をずたずたにしていた時の印象とは異なり、いい人そうだ。

 

 せっかくカズマがやったんだし俺もやっておこう。あとお礼も言わないとな。

 

「我が名は加賀美涼太。ルーンナイトにして、破壊神を葬りし者。カズマに続いてお礼を言わせてください。ありがとうございました」

 

「「「「おお!! 」」」」

 

 喜ぶ紅魔族4人。

 

 そして俺に続いて、アクアも紅魔族風の自己紹介を始めた。

 

「我が名はアクア!! あがめられし存在にして、やがて魔王を滅ぼす者!! そしてその正体は水の女神!! 」

 

 しかしそれを聞いた紅魔族4人の反応は微妙なもので。

 

「「「「そうなんだすごいですね」」」」

 

「なんでよー、私だけなんでそんな反応されるわけ? 」

 

 わめくアクア。紅魔族4人は視線をアクアから外しダクネスへと向ける。

 

 その視線は期待に満ちていた。

 

「わ、我が名はダスティネス=フォード=ラ……ラ……ティー、ナ。アクセルの街で冒険者を……ううぅ」

 

 羞恥心の基準がどこにあるのかわからない変態には今回のはハードルが高かったらしい。

 

「めぐみん、ゆんゆん。いい仲間を持ったね。ここからだと里まで距離がある。さぁテレポートで送ってあげよう!! 」

 

 ダクネスをニコニコ見ていたぶっころりーさんはそう言うとテレポートを発動した。

 

 そして俺たちは一瞬で紅魔の里にたどり着いた。

 

「ようこそ紅魔の里へ。外の人たち。そしてめぐみん、ゆんゆん。よく帰って来たね」

 

 

 

 

 

 紅魔の里はまさに平和そのものだった。のどかな農村と言った雰囲気をしている。

 

「まさかぶっころりーに会ってテレポートで帰ってくることになるとは」

 

「思いもよらない再会だったわね」

 

 めぐみんとゆんゆんがそんなことを言い合う中。

 

「魔王軍の襲撃を受けてるっていうのに平和そのものだな、おい」

 

「カズマの言う通りだな。何という平和な農村だろう」

 

「魔王軍なんて俺たち紅魔族にとっては敵じゃないからね」

 

 ぶっころリーさんは不敵に笑う。

 

「ところでリョウタくん。君のそのまがまがしい方の剣は紅魔族の琴線に激しく触れるものがあるんだが見せてもらえることはできないかな? 」

 

 目を輝かせながら言ってくるぶっころりーさん。ほかの3人の紅魔族も同様だった。

 

「いいですよ。どうぞ」

 

 俺は神殺しの剣を引き抜いた瞬間。あることに気づいた。

 

「「「「おおおおおお!!!!!!!! 」」」」

 

 神殺しの剣の刀身が黒く輝き、体の痛みが引き、不快感が消えていることに。

 

「かっこいいねその剣!! 」

 

「ありがとうございます……」

 

 俺はお礼を言う中、神殺しの剣を見たアクアが怯える。

 

「ひぃ!? いつになく神殺しの剣が黒光りしてるんですけど……」

 

「紅魔の里には破壊神の要石がありますからね。それに反応してるんじゃないんでしょうか? 」

 

「と言うことは今のリョウタさんは? 」

 

「絶好調だね。空も飛べるし、ホーミングレーザーもビットも使える」

 

「えっと、要するに破壊神と相対した時と同じなんですね」

 

「そういうこといやそれ以上か。最大稼働してるみたいだし」

 

 俺はゆんゆんに微笑みながら返す。

 

「ありがとうリョウタくん。いいものが見れたし、俺たちは哨戒任務に戻るよ!! 」

 

「「「それでは!! 」」」

 

 そう言って紅魔族4人は消えていった。

 

「消えた? すげぇ!! 戦闘のプロ集団って感じだな!! かっこいい!! 」

 

 カズマがテンション高く言うと、めぐみんが。

 

「そうですか、それを聞いて彼らも喜んでいることでしょう」

 

 さらっとそう言った。

 

「どういうことだよ、あの人たちはテレポートで消えたんだろ。だったら俺の言葉は聞こえて無いはずだろ? 」

 

「いえ、多分あれは光の屈折魔法ですね」

 

 めぐみんに代わりゆんゆんが説明する。

 

 やっぱりか。俺も取得しているので何となくそんな気がしてた。

 

 俺は神殺しの剣を鞘にしまいながらも、グリップを左手で握ったままにしておく。体の調子がこうしておくと良いからだ。

 

「大方、かっこよく立ち去るための演出に使ったんだと思います。テレポートの魔法は魔力を大量に消費するから戦闘後にそう何度も使える物じゃ……あいた!? 」

 

「大丈夫、ゆんゆん? 」

 

 余計なことは言わなくていいと言わんばかりにゆんゆんにどこかからか小石が投げつけられた。

 

「はい……。ぶっころりーさんたち酷い……」

 

「ちなみに、彼らは里のニートたちです。普段何もせずに里をぶらついているところを見られないようにするため郎党を組んで、勝手に魔王軍遊撃部隊を名乗っているのですよ」

 

 なんだかめぐみんに対して敵意が向いているのを直感的に感じるが、どうやらカズマに背負われているため、カズマにも石が当たるといけないためかゆんゆんの時のようにはしない元同族たち。

 

「さて、これからどうする? 謎施設とやらを調査するために早速ゆんゆんのお父様に許可をもらいに行くか? 」

 

「そうだな。そうするかダクネス。ゆんゆん、案内してくれるか? 」

 

 カズマがゆんゆんにお願いすると。

 

「わかりました、皆さんついてきてください」

 

 ゆんゆんがみんなを先導して里の中心地へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 族長宅は、他の家々より大きかった。俺たちの屋敷ほどではないにしろ立派なお家だ。ゆんゆんはある意味お嬢様だったんだなと思わされた。

 

 現在。俺たちは、応接間に案内されていた。

 

 そして。

 

「我が名はひろぽん!! アークウィザードにして紅魔族を束ねしもの!! 」

 

 族長すらも。いや族長だからこそなのだろう。紅魔族流のあいさつをされた。

 

 俺たちは各々自己紹介していく。今回はダクネスがかわいそうにみんなが思ったためか普通にだ。

 

「お父さん。リョウタさんは今身体が悪くて、この剣のグリップを握ってないと体が痛むから握ってもらっててもいい? 」

 

「ああ、かまわないよ」

 

「だそうですリョウタさん。握ってていいですよ」

 

「ありがとうゆんゆん。では失礼して」

 

 俺は族長宅につくに伴い、手から握るのをやめていた神殺しの剣のグリップを握り直した。

 

「そうか、君がカガミリョウタくんか。ゆんゆんの手紙通りの男のようだね」

 

 族長がうんうんと頷く。

 

 あれ、なんて書いてるの、ゆんゆん。俺のことを。

 

 さすがにこの子のことだから変なことは絶対に書かないと断言できるが……。今の族長の発言のせいで気になって仕方がない。

 

「まぁみんな座って座って」

 

 俺たちはソファーに腰掛ける。

 

「それで話とは? 」

 

「その前にお父さん、なんなのあの手紙は!? 私結構心配したんだからね!! 『もう私はこの世にいないだろう』って……。ああいうのやめてよ……」

 

 ゆんゆんがため息をつきながら言った。

 

「ただの近況報告じゃないかゆんゆん。書いてると紅魔族の血が騒いでどうしてもゆんゆん好みの普通の手紙にはならなくってね。それに『この手紙が届くころには私はこの世にいないだろう』と言うのは紅魔族の時候の挨拶じゃないか。学校で習わなかったか? ああ、お前ととめぐみんは卒業するのが早かったから習わなかったか……」

 

「習っていませんね」

 

「うん……」

 

 必修そうな部分を習わせずに卒業させるのはどうなんだよ。と突っ込みたかったがゆんゆんのお父様なのでそう言う突っ込みはしないでおいた。

 

「……じゃあ本題に入るねお父さん。実は―――」

 

 ゆんゆんが俺たちがなぜこの紅魔の里にやってきたのかを話した。俺が魔王軍幹部ハンスによって呪いを受けたこと。そのせいで寿命が尽きかけていること。そしてこの里では謎施設と呼ばれているところに俺を延命するための手段があるかもしれないことだ。

 

「なるほど、事態は深刻なようだね。構わないよ調査をしてくれて。事態が事態だからね」

 

「ありがとうお父さん!! 」

 

 ゆんゆんが満面の笑みで族長に笑いかける。

 

「いやいや。可愛い娘の頼みだし……それに。ね」

 

 俺の方を一瞥した族長。

 

 どのように思われてるんだろう。好きな女の子のお父さんと言う存在には非常に緊張させられる。

 

 俺が生まれて初めての。そして決して味わうなど思っていなかった感覚にプレッシャーを感じていると。

 

『魔王軍襲来警報。魔王軍襲来警報。手の空いている者は、里の入り口グリフォン像前に集合。敵の数は千匹程度とみられます』

 

「「「千!? 」」」

 

 俺とカズマとダクネスは驚き思わず立ち上がった。

 

「ああ、そう言えば、手紙の件だがね、魔王軍がそれはもう立派な軍事基地を建設してうちの里を連日強襲しているのは本当なんだよ。派遣されてきた幹部も魔法に強いやつでね。今から里の者で掃討するから見ていくかい? 」

 

 族長が笑いながら言う。

 

「大丈夫なんですか? 俺も手伝いますが」

 

「私も手伝おう」

 

 俺とダクネスが名乗り出るが族長は。

 

「なーに、心配しないで。一瞬で片が付きますから見物していて構いませんよ」

 

 

 

 

 族長の言うように魔王軍との戦いは一瞬で片が付いた。

 

 なぜなら50人の紅魔族による上級魔法の雨あられで、一気に殲滅されたからだ。俺やゆんゆんが習得している上級魔法の他、聞いたこともないような上級魔法を使って、綺麗さっぱり……1匹として里の入り口に入ることなく蹂躙し尽くした。

 

 高身長の赤いドレスを着た美女が魔王軍の死体の山の中で一人悔しそうに撤退していくのが見える。兵士の断末魔の中にシルビア様と言うワードがあったり、アタシの後ろに隠れなさいと言う言葉をドレスを着た美女が言っていた気がする。多分彼女が魔王軍幹部でシルビアなのだろう。

 

「これはひどい」

 

「戦いですらなかったな」

 

「一方的虐殺だろこれ」

 

 カズマにダクネスに俺は、今さっき見た光景、そして魔王軍の兵士の死体の山を見てそんな感想を抱いた。

 

「言ったでしょう? 一瞬で片が付くって」

 

 族長がにこやかな笑顔を俺たちに向ける。

 

 紅魔族はやばい。確実にやばい。絶対に敵に回してはいけない種族だ。魔王軍もよくもまぁこんな里を襲う気になったな。逆に感心させられる。と言うか数で押せば何とかなると思ったのだろう(まぁ千匹もいればそう思うのは無理がないと思う)が、無策にもほどがあるだろう。里にたどり着けたとして、何か勝算でもあったのだろうか?

 

「奴らを1匹残らず片づけたら、奴らの作った軍事基地を新たな観光資源にしようと思うんだがどうだゆんゆん? 」

 

 族長がゆんゆんに聞く。ゆんゆんはそんなこと言われても……。と言いたげな顔をしていた。

 

 

 

 

 再び族長宅に戻った俺たちは、ひとまず旅で色々疲れたので謎施設の探索は明日からにしようということになった。

 

「この後どうする? 」

 

 カズマがみんなに問いかけると、めぐみんが。

 

「私の実家に行きませんか? 妹の様子も見たいので」

 

 そう提案した。めぐみんの妹か。姉に似てさぞかわいらしいのだろう。

 

「ならそうするか。族長、お邪魔しました」

 

 カズマが族長に挨拶する。すると族長は。

 

「ああ。ゆんゆんとリョウタ君には少し用があるのでできれば残ってくれないか? 」

 

 そんなことを族長は言い出した。

 

 ……どんな用なんだ? 何言われるんだろ……。

 

 元ヒキニートに娘はやらんとか言われるのだろうか? それとも君は先が短いので娘からは身を引いてくれとでも言われるのだろうか?

 

 ていうか今の俺って、ぶっちゃけ不良物件じゃねぇか? ハンスの呪いにやられる前までは自分で言うのもなんだが人格抜きで考えればそれなりの優良物件だっただろうが今はそうとは言えない。

 

 ふと隣にいるゆんゆんに目を向けると、ゆんゆんは緊張の面持ちをしていた。俺と同じようなことを考えているのかもしれない。

 

 まぁとにかく残るとするか。

 

「わかりました。カズマたちはめぐみんの家に行っておいてくれ」

 

「了解だ。お前ら行くぞ」

 

 カズマたちが族長宅から出て行き、緊張の時間が始まった。 

 




 紅魔族とかいう凶悪アークウィザード集団。映画「紅伝説」の1シーンで魔王軍に対して無双、というか虐殺していたのを見て変な笑いが出た記憶があります。

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