【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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069 思わぬ歓迎

「我が名はりんりん、アークウィザードにして、紅魔族の長の妻!! 」

 

「お帰り母さん」

 

「あ、お母さん!! 」

 

 カズマたちが去ってから、俺とゆんゆんがソファーに腰かけ族長から話を聞こうとしていると、ゆんゆんのお母さんらしき人が現れ俺に紅魔族流の自己紹介をした。名前はりんりんのようだ。なんだろう、ゆんゆんと言い、りんりんと言い、なんだかパンダの名前のようだ。

 

「ただいま、あなた。こんにちは外の人。それとおかえりなさいゆんゆん」

 

「うん!! 」

 

 両親に久しぶりに再会したからだろうか。ゆんゆんは嬉しそうだ。年相応の子供っぽい感じがする。

 

「そちらの方は? 」

 

「カガミリョウタくんだよ!! 」

 

「ああ、例の彼ね!! 」

 

「初めまして、我が名は加賀美涼太。ルーンナイトにして、破壊神を葬りし者です。諸事情により剣のグリップを握ったままな無礼をお許しください」

 

「いいのよいいのよ、そうあなたがゆんゆんの……」

 

 ゆんゆんのなんですか!?

 

「今から二人とお話ししようと思っていたところなんだ。母さんも同席するかい? 」

 

「ええぜひ!! 」

 

 りんりんさんは俺とゆんゆんの対面に座っている族長の隣に腰かけた。

 

「さて、リョウタくん。随分娘と親しい仲のようじゃないか。娘が送ってくる手紙で知っているよ? 」

 

 真面目な顔の族長。そして隣でニコニコしているりんりんさん。

 

 なんて答えたらいいんだろう。親しくないとは言えるわけがないし。ここは素直に。

 

「はい、ご存じの通りかなり親しい仲です」

 

「リョ、リョウタさん……」

 

 俺の隣でモジモジするゆんゆん、こんな時でも思わされる。かわいい。

 

「そうかそうか……本当に親しいんだな」

 

 俺の一言を聞いてか、ゆんゆんの今の反応を受けてか、それとも両方のせいなのか。族長の眉間にしわが寄る。

 

 あ、これなんか言われる奴だわ。確実に何か言われる奴だわ。

 

 今のうちに覚悟しとこー。

 

「お、お父さん? 」

 

 不安げなゆんゆん。

 

 やがてしばしの沈黙の後。

 

 

「ありがとう、本当にありがとう」

 

 

 族長が泣きながら頭を下げてきた。

 

「ぐすっ……私からも言わせてください。ありがとうございます」

 

 …………。

 

 えっ、なにこの予想外の展開!? キレられたり辛辣なこと言われる覚悟をしていたのに、泣きながらありがとうっていうのは予想外にもほどがある。

 

「や、やめてよお父さん、お母さん。恥ずかしい……っていうかなんで泣くの!? 」

 

 焦るゆんゆん。俺も焦っているので、どうしましょうと言いたげな顔で俺の方を見てこられても困る。そもそも君の両親だろうに。

 

「だってゆんゆん、あなたのことだから私たち、パーティーなんか組めずにソロで活動するんだろうなって思ってたのよ」

 

「それが、しっかり信頼できるパーティーを見つけて冒険者をやっていると手紙を見て嬉しかったんだ。そして、ゆんゆんとパーティーを最初に組んでいつも娘を気遣ってくれているリョウタ君には感謝している……。本当にありがとう」

 

「い、いえ、こちらこそ娘さんには感謝してもしきれませんよ」

 

 本当に感謝してもしきれない。こんな俺を受け入れてくれて。そして好きになってくれた。

 

「そんな……娘は日々、君に助けられてばかりと聞き及んでいるよ」

 

「も、もうお父さん!! 」

 

「娘はリョウタさんも知っての通りその……少しばかり紅魔族としては浮いていてめぐみんちゃんとあるえちゃんしか友達もいなかったのに、そんな娘と友達になってくれて、そのうえ新しい友達まで一緒に見つけてくれて」

 

 新しい友達とはカズマたちのことなのだろう。

 

「い、いえそんな。新しい友達に関しては俺のおかげと言うよりも成り行きですから俺は何もしてませんよ」

 

「いやいや、君のおかげだと手紙には書いてあったよ。めぐみんとももっと仲良くなれたと喜んでいたし」

 

「も、もうやめてぇぇ!! 手紙に書いてたことリョウタさんにばらさないでよ!! 」

 

 ゆんゆんが涙目で叫んだ。

 

 よほど手紙の内容を言われるのは恥ずかしいようだ。

 

「すまないなゆんゆん。でもお父さんはうれしくて……」

 

「お母さんも嬉しいわ、それに、まさかゆんゆんに……彼氏ができるだなんて」

 

「か、彼氏!? ま、まだそんな関係じゃないから!! あと少しでなると思うけどまだだから!! 」

 

 そう、もう少しでそう言う関係になる。

 

「え、まだなのかリョウタくん? 」

 

「はい、まだです。でも近いうちには必ず」

 

「恋人になるのね!! 」

 

「そのつもりです!! 」

 

「リョウタさんは気合を入れて返事しなくていいんですよ!? 恥ずかしいじゃないですか……」

 

 必死に抗議するゆんゆん。かわいい。

 

「リョウタくん、これから私のことはお義父さんと呼んでくれ」

 

「私もお義母さんでお願いしますね」

 

 まさかゆんゆんのご両親からこのような好意的お返事をいただけるとは思いもしなかった。

 

「わかりました、お義父さん、お義母さん」

 

 それを聞いてにこにこする族長とりんりんさん。

 

「お義父さんにお義母さんって……そうなるとリョウタさんと結婚かぁ……。リョウタさんと結婚。えへへ……」

 

 おっと俺の未来の彼女は、さらに未来のことを想像してしまって夢見心地のようだ。

 

「あらあら、ステキな彼氏さんどころか、ステキな息子ができそうだわ」

 

 俺、そんなに評価していただいているほど素敵な人間ではないと思うのですが。

 

 一気に気が引けてくる俺。

 

「ああそうだな、母さん」

 

 満面の笑顔の族長。

 

 バニルのおかげ(バニルのせい)で大抵のことに動じなくなったはずの俺すら動じさせる紅魔族。やはり恐ろしい種族だ。

 

 そんなくだらないことを考えていると。

 

「リョウタくん、今日は泊っていきなさい。来客用に部屋があるから」

 

「どうぞ泊って行ってくださいな」

 

「わ、わかりました。では泊らせていただきます」

 

 と言うかこの里、宿屋あるんだろうか?

 

「「うんうん」」

 

 族長とりんりんさんは満足げに頷いた。

 

 

 

 

「この後どうしようかゆんゆん。めぐみんのところにでも行く? 」

 

 ゆんゆんの御両親とあの後軽く雑談して、それが終わった俺はゆんゆんに来客用の部屋に案内してもらうと部屋に荷物を置いて、ゆんゆんに問いかけた。

 

「そうですねぇ……私、一昨日の混乱を生み出したもう1人の元凶のあるえを制裁に行こうと思います。リョウタさんも来ますか? 」

 

「ああ、あるえか……」

 

 今日はやることもないし、ゆんゆんと一緒にいたいからついていくか。しかし優しいこの子から制裁と言うワードが出るとは。本当にできるのだろうか?

 

「分かった、あるえのところに行こう」

 

 俺はゆんゆんの後に続いて紅魔の里を歩く。アクセルの街とは比較にならないくらい静かな雰囲気のせいで、アクセルの街とは比較にならない軍事力を持っているとは思えなかった。だが、この里は大人がみんなアークウィザードで知能も高く滅茶苦茶強いことを実際に先ほど目の当たりにしている。いや、知能の高さはまだ見ていないな。なにせ力こそパワーなゴリ押し戦法で紅魔族側も戦ってたし。

 

 そんなことを考えながら歩いていると、柵の上で昼寝をしている猫を見つけた。

 

「本当にのどかで平和だね、紅魔の里内部は。さっきまで激戦があったていうのにああやって猫が昼寝してるし」

 

「ああ、あの猫は使い魔ですね。常に里の周囲を監視してくれてるんですよ」

 

「なるほど」

 

 先ほど目の当たりにしなかった知能の高さをさっそく垣間見た気がした。

 

「あ、あそこにいるのは!! 」

 

 ゆんゆんが声を突然上げた。

 

「あるえを見つけました!! 」

 

「どの人があるえ? 」

 

 里の中を歩いている人はそれなりにいて、しかもみんなが黒髪赤目なうえ全員美男美女のためあるえがどの人なのか分からない。

 

「あの子です。……あるえー!!!! 」

 

 ゆんゆんが指さした後、あるえの名を呼ぶとあるえと思わしき少女が後ろを振り返った。

 

 その子は蝙蝠の羽型の髪留めに短めの縦ロール。めぐみんがたまにつけているのと似たような眼帯をつけている。多分ファッションなのだろう。

 

 駆け出したゆんゆんに俺も付いて行きあるえに接近する。

 

「私の名を呼ぶ声がすると思ったら、ゆんゆんじゃないか。外の人を連れて帰ってきているといううわさは聞いていたけれど本当だったんだね」

 

「うわさが広がるの早いな。……初めまして。我が名は加賀美涼太。ルーンナイトにして破壊神を葬りし者です」

 

「おお!! 素晴らしいよリョウタさん、私たちに合わせた挨拶をしてくれるなんて嬉しいね。我が名はあるえ。紅魔族随一の発育にして、アークウィザード!! そして作家を目指す者だよ」

 

 あるえは若干感動するとともに自己紹介をした。

 

 しかし確かに本人の言う通り。

 

「素晴らしい発育だ」

 

 身長こそゆんゆんとさほど変わらないものの、胸のサイズはゆんゆんを上回っていた。

 

「だろう? 」

 

 自信満々に言うあるえ。かわいい。

 

「リョ、リョウタさん!? むー……」

 

 一方で不機嫌そうな顔で俺を見るゆんゆん。こっちもかわいい。

 

 もう少しからかおうかな?

 

「スモックを着ていただきたくなる」

 

「リョウタさん!! 」

 

 ゆんゆんの声がかなり怒気をはらんだものになる。かなり嫉妬とかしているなこれは。からかうために言ったことだけど実は少しだけ本音だったことは絶対に言わないようにしよう。

 

「……なんだか随分雰囲気が変わったねゆんゆん。まぁいいか。それでどうしたんだい? 」

 

「あなたを制裁に来たのよ!! あるえの書いた紅魔族英雄伝のせいで私とリョウタさんは大混乱したんだから!! 」

 

「あれで、混乱を? はて、どうしてかな? 」

 

 あるえが首をかしげる。

 

「そ、それは……」

 

 頬を染めて口ごもるゆんゆん。

 

「ああ、そう言うことか、2人はカップルなんだね。私の予測では紅魔族英雄伝を読んで、そけっとが実際に占った結果だとゆんゆんは勘違いしたんだろう? 合ってるかな? 」

 

 紅魔族凄い。知力が高いからか、予測が当たってる。でも惜しい点が1つある。

 

「あるえ。君の言ってるそけっとが誰なのかはわからないけどそれで合ってるよ。ただ1つ推測が外れていることがある。それはゆんゆんと俺がカップルなことだよ」

 

「え、ちがうのかい? ゆんゆんのあなたを見る目は愛しい人を見る物そのものなんだけど……」

 

「な、何を言い出すのよ!? 」

 

「厳密には今の俺たちは告白をしていない友達以上恋人未満な関係だ」

 

「なるほど、甘酸っぱい関係だね」

 

「だろう」

 

 俺がそう言うとあるえはにやにやしながらゆんゆんに問いかけた。

 

「ところでゆんゆん、優しい君が私に制裁なんかできるのかな? 」

 

「や、優しいってそんな」

 

 照れるゆんゆん。

 

「チョロそうなところは変わって無さそうで安心したよ」

 

 うん、確かにこの子はチョロい。どんなことでもなし崩し的にOKしてくれそうな節がある。

 

 と、チョロそうと言われてイラっと来たのかゆんゆんは。

 

「……あんたの書いた原稿、全部焼くわよ? 」

 

「い、いきなり、ものすごく酷い制裁になったね……。とりあえず勘違いさせて悪かったよ」

 

 作家にとっては悪夢のような一言を遠慮なく放つゆんゆん。

 

「い、いいわ、許してあげる」

 

 やっぱり優しいなゆんゆんは。

 

「ところで2人は友達以上恋人未満の関係なんだろう? だったらリョウタさん、魔神の丘で告白するのをお勧めするよ。そこで告白して結ばれたカップルは魔神の呪いで永遠に別れることができなくなると言われてる場所さ。……リョウタさん、あなたにゆんゆんをとこしえに愛し続ける覚悟があるならばそこで告白するといいよ」

 

 あるえの言葉の最後の方は演技っぽい言い方だったが実に上手かった。しかし魔神の丘か。

 

「いい場所だな。ありがとうあるえ。そこにすることにするよ」

 

「そこにするってまさかリョウタさん!? 」

 

 ゆんゆんが期待と困惑の入り混じった顔をする。かわいいなぁ。

 

「そうかい? では告白が成功することを祈るよ。まぁ結果は言うまでもなさそうだけどね」

 

「まぁね」

 

「それじゃあ私は紅魔族英雄伝第2章の執筆をしないといけないからもう行くよ。それじゃあね、ゆんゆん、リョウタさん」

 

 小さく手を振って去っていくあるえに。

 

「それじゃあねあるえ。良い場所教えてくれてありがとう」

 

「あ、またねあるえ」

 

 俺とゆんゆんも小さく手を振った。

 

「じゃあ用事も終わりましたしどうしますリョウタさん? 今日は疲れましたし家で休みますか? 」

 

「そうしようか。明日の探索に備えて休むと――――」

 

「あれゆんゆんじゃん? 」

 

「やっぱり帰ってきてたんだ 」

 

 するか。そう言おうとして俺の声を遮る2人組が現れた。

 

「どちら様だいゆんゆん? 」

 

「あ、この2人は」

 

「「待ってゆんゆん!! 」」

 

 ヘアピンを付けた長めのツインテールの子と、短めのポニーテルにリボンをした子の2人組は紹介しようとするゆんゆんに焦りながら止めた。

 

「ここは私たちが自分から自己紹介しなきゃ。ね? 」

 

「うん、私たち紅魔族のやるべきことだから。ということで」

 

 まずはツインテールの子の方から自己紹介を始める。

 

「我が名はふにふら!! 紅魔族随一の弟思いにしてどどんこの親友!! 」

 

 続いてポニーテールの子の方

 

「我が名はどどんこ!! 紅魔族随一の……なんだっけ!? あ、えーととにかく、ふにふらの親友!! 」

 

 おいそれでいいのかどどんこ。しかしまぁ揃いも揃って紅魔族と言うのは。

 

「2人ともかわいいな」

 

「「っ!? 」」

 

 驚いて口をパクパクさせる、ふにふらと、どどんこ。

 

「リョウタさんは誰にでもかわいいって言うんですね」

 

 ゆんゆんが少し冷めた視線を向けてくる。こういう顔もかわいい。

 

「すまないゆんゆん。でも事実だし。みんなかわいかったり美人だったりしてて紅魔の里には驚かされるよ。さて、俺も自己紹介を。我が名は加賀美涼太。ルーンナイトにして破壊神を葬りし者です。どうぞよろしく」

 

「な、何々この人!? 」

 

「か、かわいいって言われた!? 」

 

 赤面して焦るふにふらとどどんこ。あんまりかわいいとか言われ慣れてないのだろうか? かわいいのに。

 

「とにかくリョウタさん!! この2人は私の友達? の、ふにふらさんとどどんこさんです」

 

「うん。うん? 」

 

「どうしました? リョウタさん」

 

「いや、気のせいかな? ゆんゆんの友達ってワードに疑問符がついてた気がしたから」

 

「き、気のせいですよ(リョウタさんに昔、話してた時に話題になったたカンパしてくれって言ってた子たちだってこと思い出しちゃった。リョウタさんには言わないようにしないと。多分この人私のために怒りだしちゃう)」

 

「え、ちょっとゆんゆん、私たちって友達だよね? 」

 

「そ、そりゃあの時は悪いことしたって思ってるけど、友達であることには変わらないでしょ……? 」

 

 なんだかなー。何と言うかゆんゆんからすると友達まではいかない微妙なラインのようだ。

 

「というかあの時って何なんだい? 」

 

「「そ、それは……」」

 

「私はもう気にしてないから大丈夫です!! 私とふにふらさんとどどんこさんはお友達です。ね? 」

 

 強めの語気で言い切るゆんゆん。

 

「「う、うん」」

 

 おい、ふにふらどどんこ。逆に友達と言われて引き気味になってどうするんだ。

 

「と、ところでリョウタさん? 」

 

 気を取り直した様子のふにふらが不思議そうな顔をしている。

 

「なんだいふにふら? 」

 

「どうしてずっと剣の柄を握ってるんですか? 」

 

「あ、それ私も思ってた。何でですか? 」

 

 どどんこもそう言って首を傾げた。

 

「ああこれはね、この剣の柄を握ってると調子が良くなるからなんだ。と言うか握ってないと呪いで全身が痛くなったりとかする」

 

「「なにそれ、かっこいい!! 」」

 

「何の呪いなんですか!? 」

 

「と言うかそれって呪いの魔剣!? 」

 

 紅魔族のセンスはやっぱりどこかおかしい。呪いだのなんだのに目を輝かせすぎだ。

 

「まぁ、魔王軍幹部にやられてね(まぁ半分自滅みたいなものだけど)。この神殺しの剣を握っていないと体の調子が悪くなるんだ」

 

「「へぇー」」

 

 俺の話を聞き入るふにふらとどどんこ。何と言うか珍しい体験だ。こんな風に俺の話に興味を持ってくれるのは初めての体験だ。

 

「神殺しの剣ってことは神様を殺せるんですか? 」

 

「すっごく見た目がカッコいいし……」

 

「ああ、実際自己紹介の時に言ったように破壊神を葬った」

 

「「破壊神を!? 」」

 

 本当なのゆんゆん? と言いたげな顔でゆんゆんの方を見つめるふにふらにどどんこ。

 

「本当だよ。リョウタさんが破壊神を1度滅ぼしてます」

 

「す、すごい」

 

「破壊神がいつの間にか蘇ってて討伐されたとは聞いてたけど、まさかこの人が……」

 

「「かっこいい……」」

 

 憧れのまなざしを向けてくるふにふらとどどんこ。なんだこの2人。超かわいいじゃないか。

 

「ありがとう」

 

 俺は美少女2人に「かっこいい」と言われ内心調子に乗っていると。ふと隣のゆんゆんが目を紅く輝かせているのが目に入った。

 

 おそらく独占欲的なものなのだろう。本当にかわいいな。

 

 すると、ふにふらとどどんこもそれに気づいたらしく。

 

「なにゆんゆん? なんで目が真っ赤なの? 」

 

「光らせるような要素合った? あなたはリョウタさんのパーティーメンバーなんでしょ? 」

 

「……多分それはリョウタさんが2人に鼻の下を伸ばしてるからじゃないでしょうか? 」

 

「え、ゆんゆん、まさか……」

 

「え、うそ、ゆんゆんとリョウタさんはもしかして……」

 

 ふにふらとどどんこが何かを察した表情をした瞬間。

 

 突然。

 

 ゆんゆんが俺に腕を組んできた。

 

「ちょ!! ゆんゆん!? 」

 

 突然のゆんゆんの大胆な行動に俺が狼狽えていると。

 

「帰りましょうリョウタさん。私たちの家へ」

 

 すまし顔で言い切ったゆんゆんは俺を引っ張って族長宅に足を運んでいく。

 

「「ゆ、ゆんゆんに彼氏ができてるー!? 」」

 

 ふにふらとどどんこの嘆きと羨望の入り混じってそうな声が後ろからした。

 

「私から目を逸らしちゃダメですからね」

 

 ゆんゆんは俺を見るとほんのり赤い顔でいたずらっぽく笑って見せた。

 

 かわいすぎて死ぬかと思った。




 最後の名有りオリキャラ「りんりん」です。名前はゆんゆんという名前のパンダらしさに倣って付けました。ゆんゆんの手紙効果のおかげでリョウタへの好感度は、ひろぽん、りんりんともに高めです。……なんだか「なろう」っぽい展開な気がします。……なんて書いた本人の元なろう作家が思ってみたり。

 本当はかわいい娘をお前にはやらんって展開も思いついたのですが、私の中でひろぽんは、アイギスのようなおちゃらけていて得体のしれない鎧のような野郎でない限りは冷静に対応するだろうと考えたのでこんな展開になりました。その理由は、フリーダムな紅魔族をまとめられるだけの能力があり、族長なので外の人の常識もある程度理解できる柔軟な思考を備えていそうだと思ったからです(あと「紅伝説」の設定資料を見る限りでは経済的にも余裕があるので心にも余裕があるはず。めぐみんの家族と違って)。多分ひろぽんは基本的にはノリがいいけど冷静な側面を常に持っているキャラなんじゃないかなと分析しています。

 どうでもいいですが、族長のひろぽんという名前は、あのかつて強壮剤として使われていたヒロポンと同じ名前なので、私はそれが理由で族長が「紅伝説」で名乗った時になぜか笑いました。

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