【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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071 謎施設

sideリョウタ

 

「何としても今日、手掛かりを見つけないとな」

 

 朝。俺はあてがわれた部屋で固く決意していた。

 

 理由は昨日のゆんゆんの号泣する声だ。俺の寝ていた客室の隣がゆんゆんの部屋だったため、ゆんゆんとめぐみんの話声が、最初の方は聞き取れなかったが後半はよく聞こえていたのだ。

 

 ゆんゆんは俺の寿命問題で、昨日までまともに泣いてすらいなかったらしい。俺の前では、優しい彼女が当然泣くはずもないので……なんというか仕方ないとはいえ、今まで彼女が抱え込んでいたことを気づけなかった自分に腹が立つ。

 

「ダメだな、俺」

 

 もっとしっかりゆんゆんが本音を言えるようにしないと。いや今回の件はさすがに俺がどうやったって無理だっただろうか?

 

「それでも。もっとあの子に気を配れるようにしなきゃ」

 

 そう呟いていると。

 

「おはようございます、リョウタさん。準備できましたか? 」

 

 ゆんゆんの声がドアの向こうから聞こえてくる。

 

「できてるよ。いこうか」

 

 俺は部屋から出て、ゆんゆんと今日初めて顔を合わす。ゆんゆんの顔には泣いた跡があった。俺はあえてそれについては指摘しない。絶対にゆんゆんは気にするからだ。

 

「はい、行きましょう、謎施設に」

 

 俺はゆんゆんと一緒に謎施設……ノイズ開発局へと出発した。

 

 

 

 

 謎施設はコンクリートでできた地球の研究施設の風体をしていた。『ノイズ開発局』と日本語で看板に書かれている。

 

 門前でカズマたちを待っていると、4人そろってやってきた。

 

「おはようみんな」

 

「皆さんおはようございます」

 

「よ、ようリョウタ、ゆんゆん……」

 

 なにかカズマが警戒している気がする。

 

「どうしたカズマそんな警戒なんかして」

 

「きっとリョウタやゆんゆんにもまともに呼んでもらえないかもしれないのを警戒しているのだろうカスマは」

 

「クズマさんたら気にしすぎよ」

 

「そうですよゲスマ。別にまともに名前を呼んでもらえない程度など気にするほどではないじゃないですか。あなたが昨日やろうとしたことと比べれば」

 

「…………」

 

「何で黙るのですかゲスマ? 」

 

 めぐみんにゲスマと呼ばれるカズマは無言で目を逸らした。

 

「お前何やったんだカズマ」

 

「お、俺は……!! 」

 

「クズマがめぐみんにいたずらしようとしたのよ」

 

 カズマが何かを言おうとしてそれを遮るようにアクアが発言する。

 

「……いたずらって、どういういたずらだ? 度が越してたのか? 」

 

 俺はわけがわからず聞いてみると。めぐみんがジト目で。

 

「いたずらという表現にはなんだか子ども扱いされてるようなのでやめてもらいたいですねアクア。リョウタ。要はゲスマに昨日襲われかけました。夜遅くに私がそちらに行ったのはそう言う背景があったからです」

 

「カズマはさぁ……」

 

 めぐみんから事情を聴いたカズマを俺は呆れた顔で見る。

 

「ちがうんだ!! 聞いてくれリョウタ!! お前ならわかってくれるだろうからここではっきり言うぞ!! 俺はめぐみんのお母さんさんからいわば許可をもらってた様なものだったんだ。責任さえとってくれるならとそういうことをしていいですよってな!! しかもほぼ強引にそんな場をめぐみんのお母さんが設けたんだ。それで美少女と2人っきりだぞ、むしろ手を出さないほうが失礼ってもんだろ!! なぁ!? 」

 

 確かにめぐみんほどの美少女にチャンスがあって手を出さないのは失礼にあたるのかもしれない……のか? だが襲うのはダメだろやっぱり。

 

「言いたいことはわかった。とりあえずこれ以上自分の株を下げないために黙ろうかカズマ」

 

「もう一度雌オークに襲われてくるといいですよ」

 

 めぐみんはカズマをゴミを見るような目で見た。

 

 それに耐えられなくなったのか、カズマが土下座し、一応この件に片が付いた。

 

 

 

 

「気を付けてくださいね。この謎施設には様々な罠が仕掛けてあります」

 

「そうなんですよ。入り口からいきなり罠が仕掛けてあるんです」

 

 めぐみんとゆんゆんがそう言いながら俺たちを先導してノイズ開発局の入り口まで行き俺たちを制止した。

 

「まずこれが最初のトラップです。この透明なドアが近づくと突然開きます。一見親切なのですが一拍おいて閉まるのです」

 

 めぐみんが説明する。

 

「ほう? この透明なガラスのようなものがか? 」

 

 ダクネスが首を傾げ、そのドアを見る。

 

「ねぇこれどう考えても自動ドアなんですけど」

 

「だよな。自動ドアだな」

 

「トラップでもなんでもないな」

 

 アクアにカズマに俺は、地球で見たことのあるそれに何にも警戒することなく近づき、謎施設へと入った。

 

「ちょっとリョウタさん、カズマさん、アクアさん!? 」

 

「私たちの警告を聞いていましたか!? 」

 

「うむ。閉まったな」

 

 俺たち地球の知識のある3人が入ると、自動ドアが閉じた。それを見て焦るゆんゆんとめぐみんに、興味深そうにするダクネス。

 

「大丈夫だぞめぐみん、ダクネス、ゆんゆん。これは俺たちの世界にあった物で自動ドアって言うんだ。危険はない」

 

 カズマが今度は説明する。

 

「そ、そうなのですか? 」

 

「リョウタさんとカズマさんの2人の世界にある物なんだ……」

 

「私には便利なドアとしか感じないのだがな」

 

「ダクネスの考えてる通りただの便利なドアだよ」

 

 俺はそう言うと、もう一度ドアに近づき、センサーに俺を反応させてドアを開いた。

 

「さぁ3人とも入って、入って」

 

「わかりましたリョウタさん」

 

「あなたたちを信じますよ」

 

「早く入ろう!! どんなものがあるか楽しみだ!! 」

 

 異世界組3人が施設の中に入る。

 

「ダクネスったら、子供みたいに目を輝かせちゃって。そんなにこの多分カズマたちの世界の人が作った施設が楽しみなの? 」

 

「あう、私は子供っぽく見えるだろうか? 」

 

「まぁ1番浮ついてるのは間違いないな」

 

 カズマの発言に「うう」と言いながら赤面するダクネス。そして、「別にリョウタの件を忘れているわけではないんだぞ」と不安げに言ってきたので。わかってるよ大丈夫と伝えた。

 

 俺たちはその後、ゆんゆんとめぐみん曰く未知の物がたくさんあるらしい1階の空間に進むため、そこにつながるエアシャワーの吹き出る小部屋に進入した。 

 

 電子音声のアナウンスで、『これより先はクリーンルームです、防塵服を着用してください』という警告が鳴った。だが俺たちは防塵服が無いことを気にせずにそのまま突き進もうとすると、紅魔族2人はきっと今でこそ風だけしか出ていないが昔は毒ガスが噴き出ていたんだろうと青い顔でささやきあっていた。俺は心配しなくてもただの風だよと言い聞かせながらみんなでクリーンルームを抜けた。

 

 そして。

 

「ここがめぐみん達曰く未知のものが大量にある空間か……」

 

「どう考えても工場ね。一応このマップによるとほかの階には研究室とかあるみたいだけど」

 

 アクアが室内の壁に設置された案内板を見ながら言う。

 

「ベルトコンベアとか、オートの製造機械が大量にあるな」

 

 その空間はまさしく巨大な工場であり、様々なものを全自動で製造するためのマシンがたくさん設置されている。ただそのほとんどが壊されている。

 

「ここ、ゲームガール製造レーンってあるわね」

 

 アクアが手近にあった製造レーンを見て首をかしげる。

 

「気を付けてください。今でこそ破壊していますが、昔はこの罠はこの上に乗った者をこの壊れている箱の内部に取り込み捕食する恐るべきトラップだったのです」

 

「リョウタさん。めぐみんが言うように私たちはそう教わったんですけど実際のところはどうなんですか? 」

 

「これは製造機械だね。材料を置けばそれをこの壊しちゃった箱の中に取り込んで中で組み立ててくれるんだ。そしたらあっちの箱の出口の方から完成したものが出てくるはずだよ」

 

「なるほど、人の代わりに物を組み立てる複雑な道具ということだな」

 

「そういうこと」

 

 ダクネスがわかりやすい解釈をしてくれる。

 

「ちょっと直してみるか」

 

「え? 」

 

「な、直すんですか? リョウタさん……」

 

 紅魔族2人が困惑する中、俺は壊された機械の箱に触れて、錬金術を発動した。魔力が若干失われる感覚と共に、壊れた機械が逆再生されるかの如く破損個所が修復される。魔力をそんなに消費しなかったことから考えて、大きな部品の欠損とかは無かったのだろう。

 

「直ったわね」

 

 アクアが修復されたタッチパネル式のモニターをいじりながらそう言う。

 

「俺の錬金術もこういうことになると本当にチートだな」

 

 念じた状態からかけ離れていればかけ離れているほど、複雑であれば複雑なほど魔力の消費は激しいが極論から言うなら魔力さえ足りれあどんなものも好きなように改変できるのだ。

 

「あ、動き出したわ」

 

 アクアがタッチパネルをいじった結果だろう。作動を再開するゲームガール製造レーン。やがて10秒もしないうちに、箱の後ろからゲームガールが出て来た。

 

「どうやら中で組み立て途中だったみたいだね」

 

 俺が出て来たゲームガールが微妙に形が違うのが気になりつつもそう言うと。

 

「あら、これ魔力で動くみたいね。……やったわ遊べるみたいよ!! 」

 

 ゲームガールを握ったアクアが嬉しそうにする。

 

「お、マジかアクア。それ俺にくれよ。それはゲーマーの俺にこそふさわしいアイテムだ」

 

「いやよカズマ。それによく考えたらソフトが無いから遊べなかったわ……」

 

「それもそうだな……」

 

 カズマとアクアが言い合ったのち落胆する。

 

「でもゲームガールがあるくらいだからソフト製造用のレーンもあるだろきっと。探してみよう」

 

 俺が2人に提案すると。

 

「え、あの、本来の目的からずれてませんか? 」

 

「……そうだったね」

 

 何のためにここに来たのか。それを日本にありそうな品や工場への感動で忘れかけていた。

 

 ゆんゆんの発言に思うところがあったのか、みな、謎施設の不思議さに目を輝かせるのをやめて、俺の寿命問題を解決するための手がかりを探して工場内を歩き回った。……のだが。

 

 見つかったのは、ゲームソフトの製造レーンや、プラモデルにフィギュアの生産用の金型、自動塗装装置などであり、俺の寿命を解決できそうなものが一向に見つかる気配がない。 

 

「ん? なんだこれは? おい、カズマ、リョウタ、アクア。これは何なんだ? さっきまでとは全然違う機械のようだが……」

 

「これは……」

 

「ガチャポンだな」

 

「ガチャポンね」

 

 俺にカズマにアクアは、工場内にあるのにものすごく違和感のあるそれを見て拍子抜けした。

 

「古代文字で何か書いてあるので私たちには読めませんね」

 

 ガチャポンに書いてある日本語を見てそう漏らすめぐみん。

 

「なんて書いていますか? 」

 

 ゆんゆんが俺に聞いてくるので、それを読んでみる。

 

「これはえっと、1等試作型プレイスケーション、2等ゲームガールカラー、3等紅魔族改造権……って書いてあるな」

 

「試作型プレイスケーション? 」

 

「俺たちの世界でゲームガールと同じく存在してたおもちゃだよダクネス」

 

「そうなのか……しかしゲームガールと言い、こんなものでどうやって遊ぶんだ? 」

 

「確かにダクネスさんの言う通りですね」

 

「ゲームはな、すごい面白いんだぞ。……ってちょっと待て」

 

 カズマが怪訝な顔をする。

 

「紅魔族改造権ってどういうことだよ? 」

 

 ……確かに。

 

「私も疑問に思っていました。紅魔族改造権とはどういうことですか? 本当にそのように書いてあるのですか? 」

 

 めぐみんもカズマの意見に同意する。

 

「間違いないな。そう書いてある」

 

「だよなカズマ」

 

「そうね。紅魔族改造権ってちゃんと書いてあるわ」

 

「え、それって私たちのご先祖様は改造されて誕生したってことですか? 」

 

 少し引き気味のゆんゆん。

 

「人間を改造するのか……? 」

 

 ゆんゆんと同じくダクネスが少し引いた表情を浮かべる。

 

「待てよ。ゆんゆんの言う通りだとしたら……」

 

 カズマが考えこむ。

 

「カズマ気にしないでください。そうですか、私たち紅魔族は神の作った摂理に反逆した人工的に作られた種族だったのですね!! 何という心躍る誕生の経緯でしょうか!?

これは戻ったら族長に報告して里中に広めなければなりませんね!! 」

 

 目を輝かせながらそう言うめぐみんにカズマは。

 

「別にそのことについては気にしてないんだが、まぁいい。なぁリョウタ……改造方法ってSFだと色々あるよな? 」

 

 確かに、体の各パーツを取り換えられたり、培養槽で時間をかけて作り替えられていったり、手術で体内に何かを埋め込んだりといろんな方法がある。

 

 ……まさか。

 

「なぁカズマ。これがもしかして俺が延命するための手段なのか? 」

 

「そうじゃないのか? 方法にもよるけど、培養槽とかで体を元の細胞ひとつ残さず入れ替えれば肉体を蝕んでる呪いとは縁が切れるわけだし」

 

「だよな」

 

 カズマが言いたいのは、細胞レベルで別物に作り替えることによって呪いの作用から解き放つと言うことなのだろう。

 

「なぁアクア。ブレッシングみたいな魂に作用する魔法や呪いはともかく、肉体にかかってる魔法や呪いは肉体を別物に作り替えることで呪いの効果を切ることはできたりしないか? 」

 

「たぶんできるわよ」

 

 俺の問いに何でもないことのようにさらっと答えるアクア。

 

「ならこれだな」

 

「ああ、これなんだろうな」

 

 カズマと俺は顔を見合わせた。

 

 俺は、メモ帳と鉛筆を取り出し、手術台や培養ポッド、改造ポッドなどの絵を書いていく。そしてそれを異世界組3人に見せた。

 

「こんな感じの、人を乗せる台や、人が入れたりする水槽や、棺桶みたいなものに見覚えは無いかい? ゆんゆん、めぐみん」

 

「ないですね」

 

「ありません。私たちも謎施設には授業で以外立ち寄ったことが無いので……全体像は全然把握してないんですよ」

 

 めぐみんとゆんゆんが口々に言う。

 

「絵の中にあるどれかに似たものが、紅魔族改造装置としてあるはずなんだ」

 

「ちょっと待ってくれリョウタ。お前は話を聞いている感じから推測するに紅魔族になって呪いを克服しようとしているのか? 」

 

「正解だよダクネス。俺の延命手段はきっとこれなんだよ」

 

「リョ、リョウタさんが」

 

「私たちと同じ紅魔族に!? 」

 

「そうだ。多分これが俺たちが探している手段のはずだ」

 

 カズマが驚くゆんゆんとめぐみんに言い切った。

 

「じゃあさっそく探すとしようぜ。紅魔族改造装置を」

 

「あ、それなら3階にあるんじゃない? さっきの案内板に3階、バイオテクノロジー何とかって書いてたはずだから」

 

「じゃあさっそく行ってみるか」

 

 俺たちは、施設内の床や壁に書かれている矢印や説明文を頼りに階段を探し当てると、そこを上って3階まで行く。

 

 そして扉を開くと。

 

 全体的に薄暗い部屋に、いくつもの培養ポッドが並び、その中身には見たこともないおどろおどろしいモンスターや、生成途中で内臓や骨がむき出しになっている何らかの生物。脈動している肉の塊などがあった。

 

「なにこれ、なにこれぇぇー!! 超グロテスクなんですけどぉ!? 」

 

「う、うわぁ……」

 

 アクアが涙目になりダクネスがドン引きする。

 

「べ、別に怖くはありませんがゆんゆん、手をつなぎませんか? 」

 

「そ、そうね、私たち友達だもんね」

 

 怯えながら手をつなぐめぐみんとゆんゆん。

 

「こういうのは映画やトラップなグロ画像で慣れてるから俺は大丈夫だぞ。引くけど」

 

「俺は気分が悪くなりそうだよ。いや、確実に悪くなってる」

 

 カズマと俺はそんなことを言い合った。

 

「そ、そう言えば3階には絶対近づいてはいけないって言われてたわね。授業でも」

 

「しかも、紅魔族流のむしろ行ってこいという意味ではなく、破壊神の要石と同じ方向性のダメという厳命でしたね……うぅ」

 

 歳の1番低い紅魔族2人は本当に辛そうだ。

 

「どうするゆんゆん、めぐみん。外で待っているか? 」

 

「だ、大丈夫ですよリョウタさん!! この中にリョウタさんの延命可能な手掛かりがあるかもしれないんですから!! 」

 

「そうですね。たとえグロテスクでも我慢しますよ」

 

 気を持ち直す2人。

 

「ちゃっちゃと、探しちゃいましょう。紅魔族改造装置みたいな感じのものを!! 」

 

 アクアの一声で俺たちはこのグロテスクな培養ポッドだらけの3階を調べ始める。培養ポッドの他にも、ロボットアームが行うであろう改造手術台があったりもしたが、紅魔族改造用とは書いていなかったので保留にして探し続ける。

 

 そして。

 

「これじゃないのか? 棺桶のような装置だし、……カズマたちがガチャポンの時に言っていた『紅魔族』という文字も書いてあるぞ!! 」

 

 ダクネスが興奮気味に、見つけた培養ポッドではない装置を指さしながら言った。

 

「本当だ、あれたぶん改造用ポッドだぞ!! 」

 

 カズマの大声を皮切りに俺たちはその装置に向けて走り出す。

 

 真っ白で、全体的に丸くスマートな印象を与えるそれは、人が入ると顔の部分だけガラスで外が見えるようになっている巨大な棺桶のような装置で。

 

「ダクネスが言うように、紅魔族改造装置って書いてあるな」

 

 ガラス部分のすぐ下には漢字でしっかりと、『紅魔族改造装置』と金の名札が付けてある。

 

「これが私たちの先祖を生み出した装置ですか」

 

「そして、リョウタさんを助けるための装置でもあるわね……。良かった見つかって!! 」

 

 涙目になり喜ぶゆんゆん。嬉しいな。こういう顔を俺のためにしてくれていると考えると。いつだってそう感じる。

 

「あ、これが制御装置ね」

 

 アクアが改造ポッドの近くに備え付けられた液晶ディスプレイとコンソールを触り始める。

 

 俺たちは全員それを覗いてみるのだが。

 

「全く分からんな」

 

「分かりませんね」

 

「どうなってるんでしょう? 」

 

 異世界組は、表示されている文字が日本語なのでわからないのは当然として。

 

「俺たちにもわかんないな」

 

「この私の曇りなき眼をもってしても操作方法がまるで読めないわね」

 

「……いろいろ手順が多すぎるみたいだな」

 

 カズマにアクアに俺もわからないでいた。

 

「こういう時は説明書を探すのはどうだろうか? 」

 

「そうですね。でも正直そう言ったものがある可能性は低そうですよ。この部屋のほぼ全体を探した末にここを見つけましたがそれらしいものは目に入りませんでしたし……」

 

「あ、それなら、2階の扉に書いてあった資料室にあるんじゃないかしら? 」

 

 アクアが今日は冴えている気がする。

 

「じゃあ資料室に早速行って、これの操作方法を探してみるか」

 

 カズマの発言に全員が頷くと2階へと向かった。

 

 




 原作14巻に出てきた紅魔族誕生の秘密が明かされました。本作は全7章(実際のところは全6章にプラスα数話みたいなもの)ですので原作では先の方で出てくる設定も組み込みました。しかし、ガチャポンの3等なんですね……紅魔族改造権って。

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