sideリョウタ
魔神の丘に思わぬ形でたどり着いた俺とゆんゆん。魔神の丘には俺たち以外にもすでに多数の紅魔族がテレポートで避難してきていた。
すると、カズマたち全員も紅魔族のテレポートで魔神の丘に避難してきた。
「まさか魔術師殺しが乗っ取られるだなんてな……」
「あなた、あそこの結界は私たちがどうやっても開けることができなかったものなのに魔王軍には開ける手段があったということなのかしら? 」
「すいません。シルビアを閉じ込めてしまおうと思って封印を解除したのは俺です。本当にすいません」
カズマが青い顔でお義父さんに頭を下げる。
「族長、点呼終わりました。全員無事です!! 」
するととある紅魔族の若者がお義父さんに報告する。
「ならよかった。なぁにカズマくん、犠牲者も出なかったし気にしないでいいよ。我々にかかれば里を再建するのなんて余裕だしね。たとえこの里そのものを捨てることになっても簡単に新しい紅魔の里を作り出して見せるさ。まぁ魔王軍の思い通りになるというのは少し癪だがね」
お義父さんはニカっと笑って見せた。
「あはははははは!!!!!!!! 何もかも焼いてやるわ!! 焼けてしまえー!!!!!!!! 」
シルビアが炎のブレスを吐きながら紅魔の里を焼いていく。
赤々と里のあらゆる建物が燃えていく。
「どうした紅魔族!? どこに行ったの、この臆病者ども!! アタシと戦いに来なさいな!!!! 報復させろぉぉぉぉ!!!! 」
里を焼きながら激昂しているシルビア。
「クソっ!!!! 」
俺は怒りがわいてきた。このゆんゆんの故郷を焼いているあのシルビアに。そして何もできない自分自身に。
「あのままやられっぱなしは面白くないですね族長……」
「何か一矢報いる策とかないのかなぁ? 」
紅魔族たちがざわつき始める。すべては、シルビアへの報復のためにだ。あの手、この手と案を出してはその方法が決定打にならないとして思索にふけっている紅魔族たち。
「方法ならある。めぐみんから聞いた。昔魔術師殺しが暴走したときに、世界を滅ぼしかねない兵器を使って倒したって。だったらもう一度同じ手を使えばいい」
カズマがおもむろにつぶやいた。
それを聞き逃す紅魔族ではない。
「な、あの世界を滅ぼしかねない兵器を使うというの!? 」
「なんてすばらしい対抗策なんだ!! 」
「魔術師殺しを一度は破壊したとされるあの禁断の兵器を使うのか!! 名案だし外の人はよくわかってるな!! 」
「伝説をこの手で再現するのね!! 盛り上がってきたわ!! 」
カズマの案に盛り上がる紅魔族たち。なんてポジティブな人たちなんだろうか。思考がプラス思考すぎるだろう。あと、倒す気満々なあたり武闘派なことを改めて思い知らされる。
まぁ、ピクニックと称して魔王軍の結界に魔法を撃ちまくりに行くような日を作ってるぐらいだしある意味当然か。
「でもその作戦私たちもさっき考えたけど、肝心の兵器がどれか分かんないんだけど」
「地下格納庫はここから見た感じ壊されているから侵入できるとして、問題は兵器を扱えるかどうかなんだが」
「それにもしかしたらすでにシルビアに同化されてるかも……」
一部の紅魔族やゆんゆんがカズマの案の問題点を指摘するが。
「その兵器の所在はおそらくちぇけらさんの店の物干しざおだ」
「あのうちの由緒正しき物干しざおが? 」
「ああ。あれが世界を滅ぼしかねない兵器だ」
カズマはすでに世界を滅ぼしかねない兵器『レールガン』の所在を把握しているらしい。というか地下格納庫にはそれらしいものは無かったが、まさか本当に物干しざおとして使われてたのか……。
「いい案じゃないか、みんなどうだ、このまま里を蹂躙されるのはいい気はしない。魔王軍幹部シルビアに目にもの見せてやろうじゃないか!? 」
お義父さんが紅魔族に大声で語り掛けると。紅魔族は雄たけびを上げた。
「ではカズマくん、作戦指揮を!! 君はこういうのが得意なんだろう? 娘の手紙で聞いているよ!! 魔王軍幹部やデストロイヤーをしり退けた作戦を考えてきたのはすべて君だったとね」
「ええ……。わ、わかりました、じゃあ作戦考えるので少し時間をください」
カズマが考え始めた。ちぇけらさんや紅魔族多数にテレポート先にちぇけらさんの店を登録していないか確認し、残念ながら登録はしていないとの返答をもらってから、やがて約1分後。
「よし、作戦できた、できましたよ!! 今から作戦を伝えます!! 」
さすがは俺の親友。こういうとき、常に頼りになるすごい奴だ!!
ただ今回俺に出番はないんだろうな。と思うと少し寂しくもあった。
「作戦の概要を伝える!! まず、ダクネスは防御力を生かして、ゆんゆんは3次元戦闘でシルビアを引きつけろ!! それで紅魔族の皆さんはローテーションを組んで数人ずつで上級魔法でシルビアを攻撃してこのダクネスとゆんゆんを援護しつつ常にシルビアの興味を引いてくれ!! それで攻撃をもらいそうになったらテレポートで逃げてくれ!! テレポートによる退避先はここ魔神の丘。俺とアクア、めぐみんはみんながひきつけている間に世界を滅ぼしかねない兵器……レールガンをちぇけらさんの店から回収してシルビアに撃つ!! それで止めを刺して終わりだ。ダメだったらみんなでテレポートを使って里から逃げる。なお、作戦中に避難所のここの位置が感づかれたり、シルビアの行動が紅魔族への報復以外になった等の不測の事態が発生した場合は全員テレポートでその場を離脱し魔神の丘から展望台『バニルミルド』へ避難してくれ!! 」
それからもカズマの詳細な作戦説明が続く。それを終えると細かな打ち合わせを紅魔族たちと行う。
そして紅魔族たちが各々の判断でシルビアに攻撃するローテーションを組んでいく。
「よしみんな、準備はすべて整ったな!! 我々の真の恐ろしさをシルビアに見せつけ、冥府へと誘ってやろうじゃないか!! 」
『うぉぉぉぉ!!!!!!!! 』
紅魔族たちがお義父さんの言葉を受けて盛り上がる。
「リョウタはここで待機だ」
「分かってるよ。こうなると思ってたからな」
カズマが俺にわざわざ言ってくるのを聞いてため息をつきながら俺は返答する。
「今回は大人しくしといてくれよ。お前に死んでほしくないからさ」
「ああ、ありがとなカズマ。俺はみんなを信じて待つことにするよ」
「ああ、任せとけ!! 」
カズマが笑う。
「ゆんゆん。気を付けて」
「はい、わかってますよリョウタさん」
俺の隣で控えていたゆんゆんが俺に微笑む。
ゆんゆんの頬をやさしく撫でる。
「ん、リョウタさん。恥ずかしい」
「ごめん。でもゆんゆんは結構危険な役目だからついね」
「えへへ、大丈夫ですよ。ダクネスさんが一緒ですし里のみんなの援護もあるから」
「そうだね。じゃあ、行ってらっしゃい!! 」
「はい!! 」
ゆんゆんはダクネスと紅魔族第1陣と合流すると、テレポートで戦場へと行った。カズマもぶっころりーさんたちに頼み、テレポートで登録している服屋の一番近いところに送ってもらった。
俺は仲間たちを信じてここで待つだけだ。
「みんな、どうか無事で」
ゆんゆんのくれたお守りを握りしめながら俺は祈った。
sideゆんゆん
私は、ダクネスさんと紅魔族攻撃部隊第1陣と一緒にテレポートして、さっそくシルビアに相対していた。場所は学校付近で、学校は赤く燃え落ちていた。
「やっと来たのね!! アタシの部下をたくさん殺してくれたんだし復讐よ!! さぁ片っ端からぶっ殺してあげるわ紅魔族!! 」
シルビアは早速、まずは浮遊していて目立っているからなのか、私を標的にして炎のブレスを放ってきた。
ひきつけるという役目の関係上むしろ好都合だわ!!
私はグウェンをバリケードにしてそれを防ぐ、その間に散開していく第1陣のみんな。
「私を忘れるなよ!! 」
ダクネスさんが剣を振りかぶってシルビアに突撃した。シルビアは魔術師殺しの尻尾の先端についたブレードでダクネスさんの剣を受け止める。
「すごいパワーね。だけどなんでかしら、お嬢ちゃんの攻撃は受け止めなくても避けれた気がするわ……」
「だ、だまれ!! 」
ダクネスさんが赤面しながら第2撃を行うがそれをやすやすと回避するシルビア。
すると私に吹きかけられていた炎のブレスが止んだので、私は魔術師殺しで無い部分。すなわちシルビアの生身の部分にハルバードの一撃を叩き込むべく接近する。
だが。
「アタシが取り込んだのは、魔術師殺しだけじゃないわ!! あの段階でノーリスクで取り込めそうなものはもう取り込んだもの!! 」
シルビアは右腕を変形させて円筒形のパーツへと変える。そして、そこから赤い光線を放ってきた。
「っ!! グウェン!! 」
私は突撃をやめてその場に急停止。シルビアの放った右腕の赤い光線を回避する。
「フリーズガスト!! 」
その間に第1陣のうちの1人がフリーズガストをシルビアに放つ。
「無駄よ!! 魔術師殺しは無敵!! 魔法の吹雪では凍らないわ!! 」
そしてフリーズガストを撃った人に向けて。シルビアは左腕も変形。節のあるソードを展開し、それが蛇腹剣となって射出された。それをやすやすと回避したフリーズガストの人は続いて長大なライトオブセイバーを、散開していたほか4人と同時に発動しシルビアの生身の部分に振り下ろす。
「ふん!! 」
シルビアは魔術師殺しの身体をうまく使い、自分の周囲を取り囲むようにすると、振り下ろされたライトオブセイバーをすべて魔術師殺しの表面にブチ当て、叩き折って無効化する。
「死になさい!! 」
シルビアが左腕の蛇腹剣を伸ばして里のみんなを薙ぎ払おうとする。あまりの速度で、当たれば両断されてしまうであろうその一撃をみんなはテレポートを使って回避した。
「な、逃げるというの!? 」
「隙ありよ!! 」
私はシルビアの背後からハルバードで切りつけようとする。しかしシルビアの背中から複数の触手が飛び出し、私の接近を阻んだ。
「隙なんて無いわ!! あはははは!!!! 」
シルビアが哄笑する。
「このぉぉぉぉ!! 」
ダクネスさんが私に気を取られていたシルビアに体当たりを見舞う。
「っ!! 本当にパワーは一丁前ね。お嬢ちゃん……」
体当たりされた衝撃で少し後退するシルビア。
そんなシルビアに。
「カースドライトニング!! 」
「インフェルノ!! 」
「ライトニングストライク!! 」
突然テレポートしてきた第2陣のみんなが上級魔法を浴びせる。
「無駄よ!! さぁ今度こそ死になさい!! 」
シルビアが右腕から赤い光線を連続発射して第二陣のみんなに攻撃しつつ、さらにダクネスさんに向けて蛇腹剣を叩きつける。しかも頭だけこちらに向けて私に炎のブレスを吐いてきた。
『ガーター!! 』
第2陣のみんなはガーターを重ね合わせて赤い光線を防ぎ、さらに上級魔法で反撃する。
一方ダクネスさんは蛇腹剣をもろに喰らって、「いい!! 」と叫びながらほぼ無傷で耐え抜いた。私はというとグウェンに念じて高速飛行して炎を回避する。
「ちっ!! だけど、これなら!! 」
尻尾の先端のブレードによる横一線が第2陣のみんなに放たれる。それを受けて第2陣のみんなは。
『テレポート』
テレポートを発動し撤退した。
「あ、あんたたち、私をおちょくってると言うの!? 」
そんなつもりはないけれどシルビアからしたらそう思うわよね。
「エアスライサー」
私は思考制御できる風の刃を発射しシルビアの生身部分に確実に命中させようとする。だが。
「落ちなさいカトンボ!! 」
右腕の光線でそれを撃ち落し、照射したまま私に振り回してくるシルビア。
私はグウェンにくるまり、光線を防御。
「あんたはうっとおしいわね!! 」
私に尻尾のブレードと蛇腹剣を差し向けるシルビア。
っ!! このままだと外を確認するためにグウェンに包んでない首を刎ねられちゃう!?
私が防御体制のため回避をうまくできずに身の危険を感じていると。
「娘はやらせん!! トルネード!!!! 」
『トルネード!!!! 』
お父さんの声とともにいくつものトルネードがシルビアに殺到した。蛇腹剣と尻尾のブレードに命中するトルネード。当然魔力による渦なのでトルネードは消滅するが発生した衝撃までは消せない。
シルビアの攻撃が私から逸れた。
「ありがとうお父さん!! みなさんも!! 」
サムズアップで私に応えてくれるお父さんの率いる第3陣のみんな。見たところ紅魔の里の中でも特に武闘派な人たちで構成された部隊だった。
「やぁぁぁぁ!!!! 」
ダクネスさんが剣を振り回す。
「さっきから何なのよお嬢ちゃん!! 昼間のあれは演技じゃなくてまさか攻撃が本当にあたらないわけ? それともあなたも他の紅魔族と一緒でアタシをおちょくっているというの!?」
」
「そんなわけあるか!! 」
「仮にそのつもりが無いんだとしてもあなたの戦う様は苛立たせられるものがあるわ!! 」
ダクネスさんに怒るシルビア。
そんなシルビアに再度接近戦を仕掛けるべく私は突撃、シルビアにハルバードを振り下ろすと。
「お願いだからそろそろ死んでちょうだいよ、カトンボ紅魔族!! 」
両腕をブレードに変形させて私と斬りあいになった。
戦斧と、2本のブレードがぶつかり合い火花を上げる。ただ、シルビアのブレードは高速振動して切れ味を増しているようで、私のハルバードがどんどん刃こぼれしていった。
せっかくリョウタさんが選んでくれたものなのに!! 許せない!!
「私はカトンボ紅魔族じゃない!! 我が名は……我が名はゆんゆん!! 紅魔族随一の魔法の使い手にしてやがてこの里の長となる者!! 」
怒りに任せて私は名乗りを上げた。どこか自分の冷静な部分がこれが本能というものなのだろうかと考える中で、シルビアを挑発するという意味も込めて背後にライトニングによる落雷の演出を行いハルバードを振りかざしてポーズをとった。
「ゆ、ゆんゆんが!! 」
「族長の娘が!! 」
「私の娘が覚醒したぁぁぁぁ!!!! 」
第3陣のみんなが私の行動に興奮する中。
「そう、あなたはカトンボ紅魔族じゃなくて族長の娘だったの。ならばたっぷりかわいがってあげる!! ゆっくりいたぶって死なせてあげる!! 」
そう吠えるシルビアに私は。
「できる物ならやってみなさい!! 」
今まで腰に下げていたマジックワンドを左腕で引き抜くと至近距離でトルネードを発射した。
「ぎゃぁ!? 」
生身部分に攻撃を受けたせいで、身体を変な体勢でのけぞらせるシルビア。
私はいったん距離をとる。
シルビアは体のダメージを再生しているらしく骨をボキボキと響かせながら変な体勢から元に戻っていく。
それを好機だと判断した武闘派な第3陣のみんなは。
「「アースシェイカー!! 」」
まずシルビアの足場を粉砕して。
「「ガイアクラッシャー!! 」」
粉砕した足場から無数の岩山を生成し魔術師殺しの動きを封じ込め
「「「トルネード!! 」」」
トルネードを3方向から叩きつけ、岩山の間から抜け出せないようにした後。
「アイスハンマー!! 」
お父さんが超巨大な。それこそ私の家と変わらないサイズの氷塊をシルビアの頭上で生成しそれを叩き落した。
「ぐわっ!? あああああああ!!!! 」
シルビアが氷塊におし潰されて悲鳴を上げる。
「よし!! みんなやるぞライトニングストライクを束ねて撃ち落とす!! 」
第3陣の人たちに加え、テレポートで戻ってきた第1陣、第2陣のみんなと、さらにちょうどタイミングよく現れた第4陣のお母さんの率いる部隊が、お父さんの一声で、ライトニングストライクの詠唱を始める
やがて。
『我ら紅魔族!! 』
氷塊の真上にいくつもの魔方陣が展開されていき。
『紅蓮の焔の如き眼に暗黒のような漆黒の髪を携えし者!! 』
それらの魔方陣が一つとなって巨大で複雑な魔方陣と化し。
『そして!! 』
魔方陣の中心に電撃がほとばしり。
『貴様にとこしえの眠りを与えし者!! 冥府に墜ちろ魔王軍幹部シルビア!! 』
『『『『サンダーボルトブレイカー!!!!!!!! 』』』』
巨大にして超絶的な極光。総勢32人のライトニングストライクが束ねられた合体魔法がシルビアへと撃ち落された。
その一撃は氷塊を木っ端みじんに粉砕しその下にいるシルビアに突き刺さった。当然魔力によるダメージは無効化されてしまうが、極太の雷撃の計り知れない衝撃と高熱がシルビアに襲い掛かる。衝撃波が広がり里の一区画の炎の火元が丸々消し飛び鎮火した。一気に暗くなる周囲の景色。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! おのれ紅魔族めぇぇぇぇ!!!!!!!! 」
衝撃と高熱を浴びせられ全身に激痛という言葉では言い表せない感覚を味わったであろうシルビアが怨嗟の叫びを上げる。シルビアの真下のボロボロの地面は沸騰し煙を上げている。
「ゆんゆん。紅魔族というのは……本当にすごいんだな……」
「私、合体魔法の使用なんて見たのはいつぶりか分かりません」
私とダクネスさんはサンダーボルトブレイカーのあまりの破壊力に若干引きながらシルビアを見据える。
「殺してやる!! 殺してやる!! 絶対に殺してやる!! 」
シルビアはゆっくりと体を起こし、魔術師殺しの各節のレンズを輝かせる。そしてそこから。
「気をつけろ、何かが来るぞ!! 」
ダクネスさんがみんなに注意喚起する。
「これでも喰らえぇぇぇ!!!! 」
シルビアが叫ぶと同時に各レンズから赤い光線が全方位に放たれた。いや、正確には私たちを正確に1人ずつ捉えた射撃だった。
「みんなガーターだ!! 」
『ガーター!! 』
みんながガーターでそれを防ぐ。
それたり弾かれた光線が里の周囲の建物に再び火をつける。
「おのれ、こうなれば真に一方的な暴力を喰らわせてやるわ!! 使い方もやっと把握できたしね……」
紅蓮の炎の中で月をバックにしたシルビアがにやりと笑う。私は嫌な予感を直感的に感じた。
「魔力分解フィールド展開!! 」
シルビアが叫んだ瞬間、魔術師殺しのレンズが紫に怪しく光り……シルビアを中心にして巨大なドームが形作られる。そして異変が起こった。みんなの手元や空に展開されていた魔方陣が消失してしまい魔法が使えなくなったのだ。
しばらくの間みんなは沈黙した。そして。
「退避だ!! 」
お父さんの叫び声でみんなが一目散にその場から逃げ出した。
「逃がすかぁぁぁぁ!! 今からアタシがお前たちを抵抗できないままに殺してやる!! 」
私のグウェンは飛行能力を失わなかったため魔法や魔力で飛んでいるわけでは無い様だ。
それに安堵しながら、私とダクネスさんは顔を見合わせた後、頷きあい、みんなの撤退の支援に回った。
サンダーボルトブレイカーは本作オリジナルです。言うまでもなく公式にはありません。しかし映画「紅伝説」で紅魔族が合体魔法を使っていたのが元ネタです。