【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:翳り裂く閃光

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高評価ありがとうございました!! とても嬉しいです。


079 君が一番

 それから俺たちは長い間抱きしめあって過ごし、夕方になってから魔神の丘を去った。ゆんゆん宅へ戻ると手をつないでいた俺たちを見てすべてを察したお義父さんとお義母さんは俺とゆんゆんを盛大に祝ってくれた。お酒を飲みながら、酔ったお義父さんに早く結婚するように言われてしまったが、せっかく付き合いだしてカップルになったのにいきなり新婚になるのはもったいない気がするので、それはまださすがに早いですと言っておいた。

 

「リョウタさんと結婚かぁ……えへへ。今じゃないけどこの先絶対ありますからね。楽しみです。子どもは何人ほしいですか? 」

 

 お酒を飲んで酔ったゆんゆんが俺にそんなことを聞いてくる。明日これを言ったことを憶えていて赤面し尽くしゆんゆんが何も言えなくならないといいが。まぁゆんゆんだし酔ってた時の記憶は忘れそうだから心配しなくても大丈夫かな。

 

 それから俺とゆんゆんは昨日と同じように同じ布団で一緒に寝た。とても暖かくて幸せな眠りだった。

 

 

 

 

「まさか神殺しとゆんゆんが結局付き合うことになるなんて思わなかったわ!! アクセルの街に帰ったら広めないといけないわね!! 」

 

「アクセルの街のエースと優秀な魔法使いのカップル誕生だからな。ギルドもたいそう盛り上がることだろう」

 

「あう、恥ずかしいですからできれば広めるのはやめてもらいたいんですが……」

 

 俺とゆんゆんは手をつないで歩いていると、アクアとダクネスに遭遇した。なんでも、めぐみん宅で昨日も泊まっていたのだが朝起きるとカズマとめぐみんが2人がどこかに出かけてしまっていたそうだ。アクアとダクネスはやることが無いのでいなくなった2人を探すことにしたらしい。ダクネスはやや警戒した風な雰囲気を出していたことから、めぐみんに先を越されたのではないかと感じているのかもしれない。

 

 俺はめぐみんが、カズマに告白する可能性を考えたが、同時にカズマがバニルに言われたらしい、仲間に迷いを打ち明けられる時が来ると言うのを思い出して、直感的にそちらのことではないかと感じた。なので、地下格納庫の中にあったものを好きなだけ持って帰っていいという許可をお義父さんからもらったことをアクアたちに伝え、地下格納庫に向かうことにした。めぐみんの人生を左右する悩みの告白なのだ。邪魔するわけにはいかないだろう。頑張れよカズマ。

 

 しばらく里の中を地下格納庫を目指して歩いていると、ふにふら、どどんこに遭遇した。

 

 なぜか2人とも涙目だ。

 

「ど、どうしたの、ふにふらさん、どどんこさん? 」

 

「「あっ雷鳴轟く者ゆんゆんと神を断つ剣リョウタさん!! 」」

 

「「その通り名はやめてください」」

 

 俺とゆんゆんは同時にふにふらどどんこに懇願した。

 

 本当に、なぜあの程度の、だが正直言って結構かっこいいと思える名乗りを恥ずかしく思うのかはわからないが、とにかく恥ずかしいのだ。いや、微妙にかっこいいからこそ絶妙に言った後恥ずかしくなるのかもしれない。

 

 いや待てよ。

 

 というかそもそも冷静に考えてだ。誇張表現でもないのだから気にしなくてもいいのではないのだろうか? 昨日言われたように紅魔族の本能のようなものだし。俺はもう紅魔族だし。

 

 あれ、そう思うと別に「神を断つ剣なり」と宣言したこともそこまで恥ずかしくないぞ。うん。

 

「ってそっかー。私たちめぐみんにだけじゃなくてゆんゆんにも負けてるんだよね」

 

「まぁめぐみんに負けるよりかは納得いくけど……」

 

 暗い目をした2人に。

 

「ふにふら、どどんこ、前言撤回だ。別に神を断つ剣で構わないよ。それと、俺の活躍どうだった? 」

 

 なんだか気分の良くなった俺は昨日の活躍ぶりを聞いてみることにした。

 

「遠目からしか見てないけどすごかったのはわかりました!! 」

 

「とてもかっこよかったです!! 」

 

 うん、この子たちはかわいい。本当にかわいい。

 

 すると、ゆんゆんが強めに俺の手を握ってきた(別に痛いレベルではない)嫉妬しているのだろう。こちらはとてもかわいい。

 

「それとゆんゆんもかっこよかったよ!! 」

 

「うん、里のみんなを逃がすためにそこのクルセイダーのお姉さんと奮闘している姿、かっこよかった!! 」

 

「え、ええええ!!!? 」

 

 口をパクパクさせてゆんゆんは照れた。ダクネスも褒められて「いやぁ……」と言って照れている。

 

「ねぇふにふらちゃん、どどんこちゃん。この私の活躍は見てくれたかしら? 」

 

 アクアも褒めてほしいのかふにふらどどんこに聞いてみるが。

 

「「あ、ごめんなさい。見てないです」」

 

 2人に即答された。「何でよぉぉぉ!!!! 」と声を上げるアクア。

 

「まぁ今回のアクアの活躍はレールガンを運んだのと俺以外のパーティーメンバーの傷を癒したことだし地味目といえば地味目だけどさ」

 

「しっかりと地味でも活躍してるじゃないか。アクア。私たちは感謝しているぞ」

 

「アクアさん、あらためてありがとうございます」

 

 アクアは俺たちからのそう言う評価を聞いて満足げな顔をした。

 

 

 

 

 

 それから、ふにふら、どどんこと別れ、地下格納庫にたどり着いた俺たちは、シルビアによって破壊されてできた大穴から入ってみる。中にはもともと乱雑気味に置かれていた多数の物品が瓦礫とともに完全に散らばっていた。

 

「けっこう壊れちゃってるわね。あ、テレビとプレイスケーションは無事だわ!! ソフトも大丈夫ね!! 」

 

「こんなになっていたんだな地下格納庫。綺麗な状態の中を見てみたかった」

 

「よくわからない道具がこんなにたくさん……。すごいですね」

 

「人型ロボは……さすがにダメだったか。そりゃシルビアに取り込まれるよなあんな強そうなもの」

 

 俺はせっかく何体も並んでいた人型ロボが跡形もなくシルビアに吸収されているのを見て悔しく思った。

 

 なので。

 

「まぁこの使えそうな武器類で我慢するか。いくつか壊れてるのもあるけど錬金術を使えば復活するだろうし」

 

「あ、神殺し、これ直して。マッサージチェアー。早速使ってみたいのよ」

 

「いいよアクア。ほい」

 

 俺はアクアに言われて破損していたマッサージチェアーに錬金術を発動し修復する。

 

「ありがとね。よいしょっと。魔力を流せば……あ、動いたわ!! 」

 

 アクアの体形に合わせて可変し、アクアを癒すために作動を開始するマッサージチェアー。

 

「リョウタ、リョウタ!! これはなんだ!? 」

 

 ダクネスが興奮気味に手に持っていたそれは携帯電話(ガラケー)だった。

 

「これは携帯電話って言って、同じものがもう一つあれば離れたところで会話ができるようになるものなんだ」

 

「携帯デンワか。便利なものだな。魔力を少し流してやるだけでここが光ったぞ」

 

「魔力で動いてるんだろうねそれも。もう1個ないか探してみようか」

 

 まぁ本物の携帯電話なら絶対に通信できないだろうが、魔力で稼働するものなら形が同じだけで通信する方式が別物かもしれないし。可能性はある。

 

「あー気持ちがいいわ。素晴らしいわねマッサージチェアー」

 

 アクアはマッサージチェアーがたいそう気に入った様子だ。

 

「あ。リョウタさん、ダクネスさん。携帯デンワ見つけましたよ。いくつかあります!! 」

 

 ゆんゆんが俺とダクネスのやり取りを見て探してみたのだろう。携帯電話を見つけ出した。

 

「早速使えるか試してみようか」

 

 俺はダクネスが見つけた1機とゆんゆんが見つけた8機のうちの1機に魔力を流し込んでいく。するとしっかりと動作をはじめ、起動音とともに待ち受け画面が液晶パネルに表示された。

 

 俺は両方を操作して個々の電話番号を探り当てると、右手に握っている方の携帯から左の握っている携帯に電話をかけてみた。すると。

 

 プルルルルという着信音が鳴り響いた、

 

「おお、鳴ったな」

 

「これでいい。ダクネスこのボタンを押して少し離れてくれないか? 」

 

「ああ。わかった」

 

 ダクネスが通話ボタンを押した状態で少し離れた位置に行く。俺は電話をかけたほうの携帯に、「ダクネス」と呼びかけた。

 

「おお、リョウタの声がする!! 」

 

「俺が持ってるようにしてみたらいいよダクネス。そうすればダクネスが話したことがしっかりとこっちに聞こえるから」

 

「こうか? 」

 

 ダクネスが俺の携帯を持つしぐさを真似して、口元にマイクを、耳元のスピーカーが来るように持つ。

 

「これでちゃんと会話できるだろう。というかこれだと携帯電話というよりトランシーバーだな」

 

「とらんしーばー? 」

 

 先ほどまで携帯電話の通話機能に驚いていたゆんゆんが横で首をかしげる。

 

「携帯電話とは別の遠くに離れた人と会話する魔道具だと思ってくれたらいいかな」

 

「なるほど」

 

「なににしても便利だな、魔導技術大国ノイズの魔道具は」

 

 これはデストロイヤー作った転生者が趣味で作りだしたものだよ。そう言おうとした矢先。

 

 かつてない何かが爆裂する爆音が地下格納庫まで響いてきた。

 

「うわぁぁぁぁ、なになになに!? 」

 

 気持ちよさからか、船を漕いでいたアクアがマッサージチェアーから飛び起きる。

 

 俺とゆんゆん、ダクネスは急いで外に出る。アクアもそれに続く。

 

 そして俺たちが見たのは、紅魔の里付近のある林の方角に上がっている超巨大なキノコ雲だった。

 

「な、なんだあれは。まさか魔王軍の残党が起こしたのか!? 」

 

「え、また戦わなきゃいけないの!!!? いやよ私は!! 」

 

「いや違うな多分あれは……」

 

「爆裂魔法ですね」

 

「「爆裂魔法!? 」」

 

 めぐみんの爆裂魔法なのだろう。何があったのかは知らないがまだ今日はめぐみんは爆裂魔法を使っていなかったためおそらくそうだ。

 

 小高くなっている地下格納庫からは、紅魔族たちが何事かと思い、右往左往しいている姿が見えた。

 

「とりあえず爆心地の方に行ってみようか。なんであんな超威力に爆裂魔法がなったのか教えてもらわないと」

 

 俺たちは、カズマとめぐみんがいるであろう方へと向かった。

 

 

 

 

 カズマ曰く。めぐみんに優秀な魔法使いが欲しいかと聞かれ、ほしいと答えると、実はコツコツ貯蓄していたスキルポイントを使って上級魔法を取得させるようにめぐみんに頼まれたらしい。しかし、カズマが欲しいのは優秀な魔法使いではなく、最強の魔法使いなのであり、結果、めぐみんのスキルポイント全てを爆裂魔法関係に割り振ったとのことだ。

 

 それであの大火力である。

 

 カズマは間近でそれを見て、あのロボシルビアを爆裂魔法だけで倒せそうと感じさせられるほどにはすごかったそうだ。

 

 なるほど、確かに人生を左右する迷いの告白だな。そしてカズマはめぐみんに爆裂道を貫かせることを選んだようだ。

 

「司令塔の俺に、支援役のアクア、壁役のダクネス、前衛兼遊撃のリョウタとゆんゆん。そして大火力のめぐみん。とてもバランスがいいパーティーだろ? 」

 

 得意げに言うカズマは、めぐみんとともに紅魔の里の一角にて、俺たちにサムズアップしてきた。

 

「おめでとうめぐみん!! 」

 

「まぁカズマとめぐみんらしい決断だな」

 

「やっぱり私のライバルは爆裂道を歩まないとね」

 

「何はともあれ迷いが晴れたようでよかったよ」

 

「みんなありがとうございます。これからも私は最強の魔法、爆裂魔法を操る者ですよ!! 」

 

 カズマに背負われた状態で俺たちの言葉に返事をするめぐみん。

 

「さてと、さっきの爆裂魔法が何だったのかで紅魔族たちは困ってるみたいだし発令所にでも行ってさっきのはめぐみんがやったって広めないとな」

 

 カズマが、周りの様子を見てそう言った。紅魔族たちが魔王軍の残党が何かしでかしたのではないかと騒ぎになっているのだ。

 

「そうするか。みんないこうか」

 

 その後、騒ぎを収拾するべく爆裂魔法の件を説明した結果、めぐみんが爆裂魔法しか今後も使う気が無いことを里の人々に知られ、ネタ魔導士に無り下がったとしてショックを受けられていたが、めぐみん本人はどこ吹く風だった。

 

 

 

 

 

 ゆんゆんに紅魔の里を正式に案内してもらったり、ぺこにゃんというゴーストだった老人を成仏させたり、アクセルの街に地下格納庫から持って帰る物を吟味したりして3日間過ごした俺たちは、今日紅魔の里からアクセルの街へ帰還することになった。

 

「リョウタくん。ゆんゆんのことよろしくお願いするよ」

 

「お願いしますね」

 

「任せてくださいお義父さん、お義母さん」

 

「お父さん、お母さん。またね」

 

 ゆんゆん宅の玄関前にて、俺とゆんゆんはお義父さんとお義母さんに見送られていた。

 

「いつでも帰ってくるんだよ、ゆんゆん、リョウタくん」

 

「ここはあなたたちの家なんですからね。それと手紙は送ってくるのよゆんゆん」

 

「ありがとうございます。2人とも」

 

「分かってるから心配しないでお母さん」

 

 俺とゆんゆんは2人に笑いかける。なんというか2人とも寂しそうだ。俺も少し寂しく感じるが、アクセルの我が家が俺たちの帰りを待っている。

 

「それじゃあね。お父さん、お母さん」

 

「どうかお元気で」

 

 手を振る2人に、同じく手を振りながら、俺とゆんゆんはテレポート屋のところに向かう。

 

「里帰り。いろいろありましたがリョウタさんの寿命問題も解決しましたし、楽しかったです」

 

「そうだね、寿命問題も解決したし、紅魔の里。俺からすると少し変わったところだったけどいい里だった」

 

 手をつないで歩く俺とゆんゆん。背中には謎施設から持って帰る多数の物品を背負っている。

 

「帰ったらリョウタさんとカズマさんはこの背中に背負ったものをリバースエンジニアリング? して、さらなる魔道具や便利グッズを開発するんですよね」

 

「うん。知力も地頭が賢くなって高くなったわけだし。その予定だ」

 

「あの、その……」

 

「なんだいゆんゆん? 」

 

「い、いえ、デートとかにもたまには連れて行ってくださいね? 」

 

「大丈夫だよ。本格的に春が来たし(2重の意味で)、もうこたつむりには戻らないって。でも大金も手に入るわけだからゆんゆんたちとみんなで遊んで暮らすよ。商品開発は趣味でやっていこうと思う」

 

「そうですか、よかったぁ……」

 

「さてと俺とゆんゆんはこれから少し大変だね」

 

「そうですね」

 

 俺とゆんゆんはまずテレポート屋の人によって、アクセルまで転移して帰った後、地下格納庫からもらってきたものを持って帰るために、ここ数日で習得したテレポートに登録した紅魔の里と、到着後に登録するアクセルの街を行き来して大量の荷物を運ばなければならない。1度にテレポートできる物の量は限られている。それにテレポート屋さんに何度も頼むのはお金がかかるし、そもそもテレポート屋さんの体力が全物品を転送するには持たないのだ。俺の場合紅魔の里に戻った瞬間、破壊神の存在のおかげで即魔力が回復するし、ゆんゆんはアクアからカズマのドレインタッチで魔力を送ってもらえば補給できるので1度アクセルまで送ってもらえば何とかなるのだ。

 

「頑張りましょうリョウタさん」

 

「ああ、がんばろう」

 

 俺とゆんゆんは里の中を歩く。相も変わらず紅魔の里の同族たちは俺たちのことを通り名で呼んでくる。俺は別に構わないのだがゆんゆんは恥ずかしそうだ。それに。

 

「ラブラブじゃないゆんゆん!! 」

 

「末永くお幸せに!! 」

 

 通りがかったふにふら、どどんこにからかわれるゆんゆん。

 

 このように恋愛方面でもいろいろ言われた。俺たちが恋人になってもう3日たったというのにいまだに紅魔の里内では俺たちのことを祝福したりからかったりしてくる人が多い。

 

 ゆんゆんは真っ赤な顔で。

 

「そ、そうなのラブラブなんですよ、ふにふらさん、どどんこさん。だからリョウタさんのことまたカッコいいとか褒めてたぶらかさないでくださいね!! 」

 

 あれ? 意外と強気だ。友人だからだろうか?

 

「わ、わかってるわよ!! 」

 

「そもそもたぶらかしてないし!! 」

 

 赤い顔で反論するふにふら、どどんこ。かわいい。

 

「リョウタさん。今この2人のことかわいいと思いましたね」

 

「……なんでわかったんだい、ゆんゆん? 」

 

「雰囲気で感じ取れますからね!! 私、自分でも今再認識しましたが結構嫉妬深いですよ? 」

 

 はにかみながらそう言うゆんゆん。

 

「……ごめん」

 

 するとゆんゆんが俺に体を寄せてくる。それを見て後ずさるふにふら、どどんこ。

 

「あのゆんゆんが積極的すぎる……」

 

「あと、またかわいいって思われてた……」

 

「そりゃかわい」

 

 そこまで言って、ゆんゆんが俺の身体に抱き着いてきた。

 

「それ以上は言わせませんよ。……次は口をふさぎますからね」

 

 どうやって口をふさがれるのだろうか……。この積極的な様子を見るに、どう考えても唇でだよな。

 

 なんだろう。さすがに恥ずかしい。こんなにもゆんゆんが堂々としているのは成長として喜ぶべきなのだろうが恥ずかしい!! でもなんだかうれしくもある。

 

「「女としてゆんゆんに完全に負けてるー!! うわぁぁぁぁん」」

 

 ふにふらとどどんこは泣きながら撤退していった。

 

「じゃ、じゃあ、みんなを待たせたらいけませんしテレポート屋さんに向かいましょう」

 

 ふにふらとどどんこがいなくなった途端に積極的な態度は鳴りを潜め、いつもの雰囲気に戻るゆんゆん。照れて顔を伏せている。

 

 どうやら俺のことが絡むとムキになるようだ。

 

「やっぱりゆんゆんが1番だ」

 

「な、何がですか? 」

 

「1番かわいい」

 

 本当にかわいい。俺の大好きな人は他の追随を許さない。

 

「リョ、リョウタさんはもう……えへへ」

 

 ニヘラと笑うゆんゆん。すごくかわいい。

 

「さてと、帰ろうか、アクセルに」

 

「はい!! 帰りましょう!! 」

 

 ゆんゆんは笑うと俺と一緒にテレポート屋に再び歩みだした。

 

 

 

 

「お前らずっと手つないでるよな」

 

 テレポート屋に来て早々、カズマからそんなことを言われる。

 

「だ、だって恋人ですから」

 

「手つないでると落ち着く」

 

 俺とゆんゆんは口々にカズマにそう伝えた。

 

「何々、カズマは神殺しが羨ましいの? 」

 

 アクアがにやにやしながら言うとカズマは焦りながら

 

「ち、ちげーし。そんなことねーしー。……ていうか!! めぐみんと甘酸っぱい展開があったから別に本当にうらやましくねーし!! 」

 

 それを聞いたダクネスが。

 

「な、どういうことだめぐみん!? 一緒に寝ているときか!? いったい何があった!? 」

 

 カズマ以上に焦りながらめぐみんに問いかける。

 

「べ、別に何にもありませんとも。カズマは急に何を言い出すのですか!? 」

 

 めぐみんは少し顔を赤くしてカズマに抗議する。

 

「……これは2人っきりで少し話す必要がありそうだなめぐみん」

 

 ダクネスはめぐみんをじっと見据えてそう言った。

 

 ああ、カズマを中心にラブコメが始まっている!!

 

「え、なんでだよ。どうせなら俺も混ぜてくれよ2人とも」

 

 カズマはにやけ顔でそう言う。

 

「だ、ダメです」「ダメだ!! 」

 

 この分かりやすい反応。まさしく。

 

「カズマ、モテ期到来だな」

 

「おめでとうございますカズマさん」

 

 ゆんゆんも俺に続いてカズマに春が訪れていることを祝福した。

 

「お、お前たちはいったい何を言っているだ!? 私たちがカズマを異性として好きになるなどあるか!! なぁめぐみん。おい何故無言になるんだ!? 」

 

 ララティーナお嬢様。照れ隠しがかわいいですね。おっと、これ以上他の女性をかわいいなどと考えているとまたゆんゆんにかわいい嫉妬をぶつけられてしまう。

 

 それにしてもめぐみん。ダクネスの様に否定しないんだな。

 

「な、何でもありません」

 

 赤面しためぐみんの答えはそれだった。

 

「ひゃほう!! 」

 

 そうカズマが歓喜で叫ぶ。

 

「な、何を喜んでいるのですか!! 」

 

 照れて語気が強くなるめぐみん。

 

 そんなやり取りが行われ盛り上がってきている中、アクアは1人、冷静なままで。

 

「ねぇみんなテレポートの人が困ってるからそろそろ落ち着きを取り戻しなさいな」

 

 まさかアクアがそんなことを言うとは……。

 

 

 

 アクセルに戻り、何度か往復して大量の荷物を屋敷に運び込んだ俺たちは、ダクネスが淹れてくれたお茶をリビングですすりながらくつろいでいた。

 

「やっぱり我が家が一番ね!! 落ち着くわ!! 」

 

 そう言いつつはしゃぐアクア。落ち着いてないじゃないかとは敢えて突っ込まない。

 

「これから俺たちには悠々自適な生活が待っている。なにせ総資産が10億エリス超えたもんな」

 

 カズマがにやにやする。

 

「カズマの言う通りだな。俺たちは金に囲まれた素晴らしい生活をすることになる。あと俺にはゆんゆんという彼女もできた。人生バラ色だ」

 

「リョウタとゆんゆんはとても幸せそうだな」

 

 ダクネスが微笑む。

 

「まさかゆんゆんにまともな恋人ができるとは思いもしませんでしたよ」

 

 めぐみんも微笑を浮かべながらそんなことを。

 

「待ってめぐみん。私がまるでまともじゃない人を恋人にしそうだってって言いたいわけ? 」

 

「その通りです。あなたはどうあがいてもちょろい子ですからね。チンピラやゲスな彼氏ができたりしそうに感じていましたから。リョウタと付き合うことになって親友としては安心です」

 

「も、もうめぐみんは!! 私に親友って言えばなんでも許されると思って言ってるんじゃないのあなたは……」

 

「今の反応で少し安心しましたよ。チョロさも最近改善されてきましたね。いいことです」

 

「そ、そう? えへへ」

 

「……やっぱりチョロいです」

 

「それがゆんゆんの魅力の一つだよめぐみん。チョロくてかわいい」

 

「まぁそうかもしれませんね。あ、それと親友と言ったのは本心からですからね。一応言っておきますが適当に言ったわけではありませんよ」

 

「分かってるわよ、……リョウタさんの寿命も延びて、恋人になれて、めぐみんには親友って言ってもらえて……。私幸せ」

 

 ゆんゆんが夢見心地な顔をする。

 

 俺もそれを見ているとすごく幸せな気持ちになり自然と笑顔がこぼれた。

 

 それを見たカズマたちには「バカップル」と評された。

 




 これにて第5章終了です。相当力を入れて書いた章でした。前話のあとがきでも書きましたがここで終わっても問題ないかなと思う程度には達成感があります。

 さて、ゆんゆんとリョウタは無事結ばれ、寿命問題も解決し、大団円という感じですが、まだ破壊神関連の話が終わっていないのでお話は続きます。次話からはEXステージ突入みたいな感じです。

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