【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:菅原リディ

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誤字報告、助かります!! そして高評価、ありがとうございます!!


085 帰ってこない!!

「おいアクア様起きろ!! 大変なことが起こったんだ!! 」

 

「大変なのですアクア!! 」

 

「お、起きてくれアクア!! 」

 

「起きてくださいアクアさん!! 」

 

 俺たちが全員で机に突っ伏していたアクアをゆすって起こす。

 

「な、なによ? なになに? せっかく私が気持ちよく寝てたのに何で邪魔するの!? 」

 

「緊急事態だからだよ!! 」

 

「あれ? そう言えばカズマは? 」

 

 アクアが周囲を見回してカズマがいないことに気づく。

 

「カズマが拉致されました……どうしましょう!? 」

 

「え、カズマが拉致されたの? 誰によ!? あれ、王女様たちもいない……」

 

 アクアが立ち上がる。

 

「その王女様たちに拉致されたんだ!! 」

 

「どうしましょう、カズマ、あんなことやらかしましたしもしかして処刑されてしまうのでは!? 」

 

 めぐみんが涙目で混乱する。

 

「まさかそんなことは、無いと思うが。しかしまずいことになったな。なぜあんなことをアイリス様は……」

 

 顎に手を当て考えこむダクネス。

 

「今から王都に向かいましょう!! それしかないと思います」

 

 ゆんゆんはすぐさま今取れる最善策を提案する。

 

「ゆんゆんの言う通りだな。今すぐ王都に行こう、そしてカズマを救出する」

 

 幸い王都で、アイリス姫たちの居城である王城には要石がある。しかも残機と力の3割ほど。ということは神殺しの剣をシルビア戦ほどではなくても高稼働させた状態で戦えるということだ。であればたとえ大軍が相手になっても勝機はある。

 

「ま、まて、王都に行くと言ってもリョウタとゆんゆんは知っての通り1週間はかかるぞ!? 」

 

 言われてみればその通りだ。その間にカズマの身に何か起きる確率は無いとは言えないが。

 

「でもそれ以外できることが無いだろうダクネス」

 

「うう、確かに。しかし救出と言ってはいるがさすがにカズマの身に何かがあるとは考えられないのだが」

 

 アイリス姫とクレアのことを知っているが故に困っているダクネス。そんなダクネスにめぐみんが。

 

「ダクネスは何を悠長なことを言っているのですか!! 貴族なんて裏では何を考えているのかわからないろくでもない連中ばかりですよ、アクセルの悪徳領主然り!! 」

 

「お、おい、めぐみん。私も貴族の一員なのだが!? 」

 

「とにかく急いでいきましょう!! カズマさん、めぐみんが言ったようにあんなことやらかしたんだから処刑されてもおかしくないわ……」

 

「さすがにアイリス様もクレア殿もそのようなことをするとは思えない……」

 

 しかし、よくよく考えれば普通に王都に向かう必要はない。テレポートがあるじゃないか。だったら。

 

「とにかく、ウィズさんに王都にテレポート先を登録していないか電話をかけて聞いてみて、それから……まてよ」

 

 俺はそこまで言って固まった。ウィズ魔道具店は取引先なので携帯を1台預けている。そのことを思い出して、カズマの安否を確かめるいい方法を思いついた。

 

「どうしましたリョウタさん? 」 

 

「よくよく考えればいい物が俺たちにはあるじゃないか。……携帯電話だ」

 

「「「「あ」」」」

 

 さっそくカズマに電話をかけようとすると、逆に突如俺の携帯に着信が入る。バイブレーションと共にメロディが鳴る。

 

 画面を見ると、カズマからの着信だった

 

「カズマですね……。リョウタ、早速通話ボタンを押してください」

 

「分かってる。ピッと……」

 

 俺は通話ボタンを押し、さらに音量を上げる。

 

〈もしもし、カズマだ。今俺は王城にいるぞ、無事だから安心してくれ〉

 

「カズマさん!! 」

 

「カズマ!! 」

 

 アクアとめぐみんが歓喜の声を上げる。

 

「もしもしカズマ、リョウタだ。まず無事でよかった。ところで早速なんだがなんでお前もテレポートさせられたんだ? 」

 

〈王女様曰く、頬を引っ叩いたダクネスへの当てつけと、楽しそうにしていたのがうらやましくてこんな行動に出たらしい。まだお話ししたいみたいだから、一晩付き合ったらすぐに帰るよ、テレポートでレインさんに送ってもらうから〉

 

「アイリス様からの、あ、あてつけ!? 」

 

 ダクネスが焦る中俺は。

 

「なら安心だ」

 

 すると、ダクネスが俺に携帯を貸してくれと言うので手渡すと。

 

「分かっているとは思うがカズマ、絶対に変なことはやらかすなよ!! 庇ってやれんのだからな!! 」

 

 カズマにくぎを刺した。

 

〈王女様も最初のころの雰囲気が嘘みたいになくなってるから問題ない。白スーツに関してはまぁとげとげしいが。大丈夫だろう〉

 

 ダクネスは「本当に大丈夫だろうか」と言いつつ浮かない表情で俺に電話を返す。

 

「まぁ明日には戻るんだな」

 

〈ああ。魔力の消費が激しいからもう切るぞ。それじゃあお休み〉

 

「ああお休み。また明日」

 

 俺の言葉を聞き終えたカズマは、電話を切った。

 

「よかった、国と戦うようなことにならなくて」

 

「本当ですね……」

 

 俺の言葉にゆんゆんも微笑む。

 

「我が爆裂魔法がお城に再び猛威を振るうことが無くて良かったですよ」

 

「神殺し、ゆんゆん、めぐみん。あなたたち少し発想が物騒すぎるわよ」

 

 アクアが呆れた顔をする。

 

「アクアの言う通りだ!! 暴力で物事を解決しようとするなお前たち。喧嘩っ早すぎるぞ」

 

「「売られた喧嘩は買うのが紅魔族のおきてなので」」

 

「あ、リョウタさんとめぐみんがハモった……」

 

 ゆんゆんが少し苦い顔をする中。

 

「リョウタお前は後天的な紅魔族だろうが!! 全く、物騒な……」

 

 ダクネスはそう言ってため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 それから翌日の朝になるとカズマから一通のメールが来た。その内容はなんともう1日だけアイリス姫に付き合うというものだった。

 

「子供にはやっぱり甘いなカズマは」

 

「そこはあいつのいいところだ。ロリコンではないかと疑われてはいるがな……。それと何もしでかしていないようで安心だ」

 

 俺の言葉にダクネスが苦笑しながら答えた。

 

 

 

 

 

 さらに翌日。またカズマからメールが届いた。「やっぱりもう1日アイリスと一緒にいる」と書いてあった。

 

「子供と遊ぶのが楽しいのかな? 」

 

「アイリス様がカズマとお戯れをするとは……なかなか考え辛いがな。アイリス様のスケジュールはなにせ過密だからな。いや、やはりお戯れていると考えるべきだろうか? アイリス様に相当カズマは気に入られたようだな」

 

 

 

 

 

 そしてさらに翌日。

 

「またカズマ帰ってこないだって」

 

「何やってるのかしらカズマさん。まさかお城で悠々自適にかいがいしくお世話さえながら過ごしてるんじゃないでしょうね……」

 

「まさかそんなことは」

 

 

 

 

 

 またまた翌日。またカズマが1日延ばした。しかもアイリス姫と楽しそうな2ショットが添えられていた。

 

「よっぽどアイリス姫に気に入られてるんだなカズマ。それにカズマもアイリス姫を気に入ったみたいだ」

 

「何を考えているのですかカズマは……」

 

 それを見てめぐみんが不満げに呟く。

 

 

 

 

 

 そしてまた翌日。

 

「今日も戻らないのか」

 

「リョウタさん、カズマさんまさかとは思いますが、向こうで洗脳でもされたんじゃないんですか? 」

 

 不安げなゆんゆんの言葉にめぐみんも不安そうな顔を浮かべる。

 

「そんな物騒な。カズマに洗脳して手ごまとして置いておくほどの価値があるとは……いや、作戦立案、指揮に関しては定評があるからわからないな」

 

 

 

 

 

 

 俺たちがやや不安を抱きながらまた翌日。

 

「今日も戻らないってさ。本当に大丈夫なのかな。カズマ……」

 

 カズマがいないと商品開発が進まないし暇だし寂しい。

 

「カズマさん、いい加減に帰ってこないかしら。めぐみんが最近心配して夜あんまり眠ってないみたいなんですけど。というか女神の従者としての自覚が足りないわね」

 

 

 

 

 

 

 そしてさらにさらに翌日

 

「また帰ってこないか」

 

「……まずい」

 

「どうしたんだいダクネス? 」

 

 ダクネスが青い顔をしている。

 

「クレア殿から手紙が届いたんだ……。カズマがアイリス様をどんどんダメにしていると。そしてカズマもダメ人間のような生活を営んでいると……」

 

「マジか」

 

 アイリス姫がカズマの影響を受け始めているのか。しかし手紙届くの早いな。テレポート業者を使ったのだろう。

 

「……まずいぞ。どこの馬の骨ともわからぬ奴が、城でニート生活を送っているのは非常にまずい!!」

 

 ダクネスが頭を抱える。

 

「明日帰ってこなければ……」

 

 ダクネスは決意の表情をした。

 

 

 

 

 

 

 そして翌日の朝。

 

「カズマ、今日もお城にいるってさ。これは……」

 

 俺がおもむろにつぶやくと

 

「あの大バカ者を連れ戻すぞ!! 」

 

 ダクネスが声を張り上げる。

 

「そうよ1人だけお城でロイヤルニート生活だなんて許せないわ!! 」

 

「アクア、そこは問題ではありません。……あの男、連れ戻したらどうしてやりましょうか!! 」

 

「カズマさん。さすがに仲間兼家族を放り出してずっとお城にいるのはあんまりですよ……」

 

 ダクネスに続いて、みんな思い思いの言葉を口にする。

 

「じゃあさっそくウィズ魔道具店に向かおうか。昨日のうちにウィズさんに王都にテレポート先を登録しているのを確認済みだからね。カズマを連れ戻そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちはお昼ごろ、ウィズ魔道具店(相変わらず繁盛している)に到着する。

 

「ウィズさん、昨日話してた通りです、結局テレポートの件、よろしくお願いします」

 

「分かりました。行先は王都ですね」

 

「ああ、頼むウィズ。あの男を連れ戻さねばならない!! 」

 

「だ、ダクネスさんすごく意気込んでらっしゃいますね……」

 

「それだけカズマが城で生活しているのは看過できない事態みたいなんですよウィズさん」

 

「そうですか。……では、王都に送りますね。テレポート!! 」

 

 並んで立っていた俺たちの足元に魔方陣が展開されて、視界がぐにゃりと曲がり、次の瞬間には。

 

「久しぶりですねリョウタさん」

 

「ああ、これで2度目になるね」

 

 王都に到着した。王都は相変わらず賑やかで、華やかな街並みだ。

 

「急いでカズマのもとに行くぞ!! 」

 

 ダクネスの怒気をはらんだ声に全員で頷くと、王城の方へと俺たちは駆け出す。

 

「王都っていろんなものがあるのね。あとで観光したいわ」

 

「そうですね私もそう思います」

 

 王都に初めてくるアクアとめぐみんがそんなことを走りながら言う。

 

「カズマの奴を連れ戻してから観光するとしよう」

 

 俺たちはレベルにばらつきはあるものの、カズマとダクネスを除けば上級冒険者(カズマとダクネスは中級)だ。そのため走るのが一般人の比ではない(ダクネスも体力は自信があるため十分ついてこれている)。

 

 どんどん景色が移り変わっていき。やがて王城に到着した。

 

「いつ見てもでかいな。この城は」

 

「本当にそうですね。それに綺麗……」

 

 俺に続いてゆんゆんが一言。

 

「なんでしょう、ダメなのはもちろんわかっていますが……爆裂魔法の標的にしてみたいですね」

 

「それをするならいずれ喧嘩を売る魔王城にしなさいなめぐみん。そして魔王の奴を討ち取るのよ!! 」

 

 ダクネスが門番にダスティネス家の紋章を見せて入城許可をもらう中で俺たちはそんなことを言い合って過ごし。

 

「お前たち、許可が下りた。行くぞ」

 

「分かった」

 

「ええ」

 

「行きましょう」

 

「お城の中に入れるんですね。貴重な体験……」

 

 ダクネスの言葉に全員返事をする。いや、1名返事ではなく感動で返した子がいるな。ゆんゆん。気持ちはわかるけどね。

 

「私は身分の問題故、城内で冒険者服でうろつくわけにはいかないからダスティネス家専用室で着替えるから少し待っていてくれ」

 

「了解だよダクネス」

 

 そんなことを伝えられながらお城の中を歩く。通路はうちの屋敷とは比較にならないほどの豪華さのものだ。まだ部屋には入っていないが各部屋もとんでもなく豪華なのが想像できる。そして、騎士たちが重要そうな部屋の扉の前では警備をしていた。彼らは1日中そこに突っ立っているのが仕事なのだろう。むなしくならないのだろうか? いや、むしろ何も考えないでいいから楽か。

 

 やがて、ダスティネス家の専用室にたどり着き、ダクネスは着替え終えるとワンピース状のドレス姿になっていた。綺麗だ。

 

「ではカズマのいる部屋に行くぞ。奴の居場所は……そう言えばどこだ」

 

 ダクネスが首をかしげる。そう言えばそうだ。

 

「騎士の人に聞けばわかるわよダクネス。カズマのことだし絶対悪目立ちしてるからどこにいるかなんて把握されてるはずよ」

 

 そんなことを普段の残念な言動で悪目立ちしてしまっているアクアが提案する。

 

「うむ。そうだな。では早速聞いて回るか」

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 カズマの部屋に無事たどり着いた俺たち(案の定カズマは毎日城内を遊びほうけていたため騎士や、執事、メイドたちから覚えが良くすぐに部屋までたどり着けた)はベッドの上に寝転がっているカズマにあきれ顔を向けていた。なぜなら。カズマが扉を開けてやってきたのをメイドだと勘違いし、メイドをからかって遊ぼうとしている言動を発していたからだ。具体的には「シーツを簡単には変えさせはしない。変えさせてほしければこう言うんだ」である。

 

「『ご主人様どうか……』」

 

「ご主人様どうか……? その先を言ってみろカズマ。ほら、パティーメンバー全員で聞いてやる」

 

「ご、ご主人様、どうか私にに、ご主人様のさわやかな香りのついたシーツを……」

 

「さわやかな香りの付いたシーツを? その先を言ってみろ。セクハラはお前の特技だろう。この場の全員で聞いてやるから言って見せろ!! 」

 

「……何でお前らがここにいるんだよ!! この部屋は俺に与えられた俺の聖域だぞ。誰の許可を得て入ってきたんだ!! 出て行って!! ほら早く出て行って!! 」

 

 アクアのような口調で「出て行け」とまくしたてるカズマ。

 

「なぜ私がここにいるかだと!? 言うまでもない、お前を連れ戻しに来たのだ!! どこの馬の骨ともわからぬ奴が城に居座り、あまつさえアイリス様に悪影響を与えているのだぞ!! 」

 

「悪影響って具体的にはどんなだよ!? 俺はお前と同じで世間知らずなアイリスに生きていく知恵を教えてるんだよ。それの何が悪いって言うんだ!! 」

 

「き、貴様という奴は!! 貴様の言う生きていく知恵というのは姑息だったりするものだろうが!! クレア殿から聞いたぞ。アイリス様が軍事や戦闘の授業で突拍子もないことを言い始めたと。しかもその内容がなかなかえげつない搦め手だったりするとな!! 冒険者と違い、王族や騎士団は堂々と戦うものなのだぞ!! 変なことを教え込むな」

 

「猪突猛進で、脳筋な戦い方で俺たちが魔王軍幹部に勝ったことがあったか? いつだって基本的には戦略を練りに練って勝利してきただろうが!! というか上層部からして姑息な戦い方を全然しないからこの国いつまでたっても魔王軍を倒せないんじゃなぇのか? 」

 

「あ、それ同感だカズマ。この国は騎士道精神とかに則り過ぎてる。戦闘民族な軍事国家なくせにうまいこと戦略を練って戦えてないと思うんだ。正直日本からのチート持ちとかを統制できれば魔王なんて簡単に倒せそうだぞ。なにせ今までだって幹部は少数精鋭で倒してきたしな。まぁその精鋭が俺たちなわけだけど」

 

「リョ、リョウタお前まで何を言い出すんだ!! 少し黙っていろ、カズマが調子に乗るだろうが!! 」

 

 だって事実じゃん。今まで少数精鋭で幹部を撃退できたんだから絶対に統制さえ取れればチート持ち軍団をうまく使いこなして勝利できるだろ。

 

「だよな、リョウタ。さすが親友。話が分かる。決めた。俺はアイリスの教育係兼遊び相手係に就任するよ」

 

「教育係はともかく遊び相手係などこの国の役職には存在しない!! 貴様は一度痛い目を見なければわからないようだな!! 」

 

 ダクネスがズイっと一歩前に出た。

 

「お、やる気かララティーナ!! お前はすでに俺に敗北してるだろ。負けたのにまた挑もうってか? 学習能力がないなー。俺はアイリスと楽しく毎日をこれから過ごすんだ。ほら、帰れ帰れ」

 

「カズマ……」

 

 めぐみんがしょんぼりした声を出す。

 

 その瞬間カズマもまずいことを言ったと思ったのだろう顔がこわばった。

 

「カズマ。わかってるだろ。俺たちはパーティーだ。帰ろう家へ」

 

 俺はカズマに笑いかける。しかし往生際の悪いカズマは。

 

「で、でもアイリスが、俺の妹が……」

 

 そんなことを言い始めた。

 

「アイリス様が貴様の妹なものか!! カズマ勝負だ!! ……皆、部屋の外に出ていてくれ」

 

 それを聞いて俺たちは顔を見合わせるとカズマとダクネスを2人きりにするべく部屋から出た。

 

「何をするんでしょうかダクネス……」

 

 しょんぼり気味のめぐみんが呟く。かわいい。

 

「取っ組み合いの喧嘩とかしなければいいけれど……。それとリョウタさん。今かわいそうなめぐみんを見てかわいいと思いましたね。ダメですよそんな性根が腐ったようなことを考えたら」

 

 ゆんゆんがやや冷淡な目を俺に向けてくる。俺は冷や汗を流しながら

 

「な、なんでわかった!? 」

 

 そう言って後ずさった。あとこんな表情のゆんゆんもかわいい。

 

「大丈夫神殺し? 頭にヒールする? あ、効かないんだったわね。あんたには」

 

「うるさいぞアクア様。知力においては誰よりも劣っている分際で他人の頭の心配をする余裕がよくあるね。懐が深いからかい? 」

 

「そうね神殺し。その懐の深い女神さまを今アンタは切れさせたわ、聖なるグーを見舞ってあげましょうか? 」

 

 アクアが笑顔で睨みつけてくる。

 

「2人ともやめてください……」

 

「そうですよ、あとやっぱりリョウタは少し倒錯していますね」

 

 ゆんゆんに仲裁され、めぐみんに呆れられていると。通路の向こうから見たことのある少女と女騎士2人が歩いてきた。少女とはアイリス姫だ。

 

「え、アイリス姫!? 」

 

 ゆんゆんが焦ってあわあわする。

 

「おやおや、カズマと遊びに来たのでしょうか? 」

 

 やや不満げに呟くめぐみん。

 

「こ、こんにちは皆さん。どうしてここにいらっしゃるのですか? 」

 

 俺たちに緊張気味に話しかけてくるアイリス姫。

 

 ……ずいぶん雰囲気が変わったな。これが素なのか? それともカズマの英才教育の結果なのだろうか? 今のアイリス姫はチェンジなど思わせないどこに出してもガッカリされない立派な可憐なお姫様だ。

 

「実は、カズマを迎えに来ました。今部屋の中でララティーナにカズマが説得されているところで……」

 

「――――あああああ折れる折れる!! 嘘ですごめんなさい!! だ、誰か来てくれえ!! 」

 

 俺の言葉を遮ってカズマの悲鳴が聞こえてきた。その瞬間アイリス姫は驚き顔と共にこの場のだれよりも早く扉を開けて部屋に入る。

 

 ……よっぽどカズマのことを気に入っているらしい。

 

「ら、ララティーナ……お願い。どうか酷いことはしないであげて……? 」

 

 カズマを組み伏せているダクネスに上目遣いでそう訴えかけるアイリス姫だった。




 私の技量不足で今回のお話の中盤はダイジェスト感がある物に仕上がってしまいました。すいません。

 話の終盤でリョウタが言っていますが、日本から来たチート持ちをもっとうまく使えればベルゼルグ王国は魔王軍を簡単に全滅させられる気がするんですよね。もっと頑張れベルゼルグの戦略担当。
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