【完結】この素晴らしいゆんゆんと祝福を!!   作:菅原リディ

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098 ゆんゆんに愛をこめて

 神殺しの剣が溶断された。その事実は俺の心に隙を作るのに十分だった。

 

 再生途中の左手に圧縮した爆裂魔法を発生させた状態で俺を殴りつけようとする破壊神。

 

 ぎりぎりでバリアを展開するがそれをぶち破り、威力の減衰した圧縮爆裂魔法は、俺の鎧の胸部を吹き飛ばした。さらに胸元に大きな抉れた傷がつく。

 

「っ!? 」

 

 そして爆発に翻弄されて俺は体勢を崩す。そんな俺にとどめを刺さんと破壊神は爆裂の剣を今度は右手に握り振り下ろしてくるが。

 

「させない!! 」

 

 ゆんゆんがグウェンを左腕に巻いて爆裂の剣を受け止める。

 

 ありがとうゆんゆん。

 

 胸の痛みが大きすぎて声が出なかったため心の中でお礼を言う。

 

「ちっ!! 」

 

 破壊神が舌打ちする。そのころには破壊神の体は完全に再生していた。

 

「リョウタとゆんゆんから離れろ!! 」

 

 ダクネスがシールドビットに乗った状態でイージスを自分の前面に展開し破壊神に体当たりを仕掛ける。破壊神はそれを大きく上に飛んで回避する。

 

「大丈夫かリョウタ!? 」

 

 カズマの声がする。

 

「大丈夫だ。俺は。でも神殺しの剣が……」

 

「折れちゃいましたね……」

 

 ゆんゆんが、痛みで胸元を抑える俺の背中をさすりながら言う。

 

 神殺しの剣から情報が伝えられる。ディナイアル系統の技の使用が不可能になったこと。ウイングと、バリアはまだ使用可能なこと。

 

「くそ、ディナイアル系統の技が使えなくなった!! みんなすまない!! 」

 

「修復は!? 錬金術なら!! 」

 

 カズマの提案ですぐさま神殺しの剣に錬金術をかけようとするが、背筋を凍らせるような何者かへの怨嗟の声が神殺しの剣から俺の中に響き渡った。それは呪い。神殺しの剣の根本にして構成しているもの、すなわち俺にとってつかめないものだった。よっては修復できない。

 

「無理そうだ!! ごめん!! 」

 

「ハハハ……ハハハハハ!!!!!!!! 」

 

 破壊神がウィズさんのコキュートスの吹雪やインフェルノをよけた後、爆裂の剣でミツルギとアイリス姫と切り結びながら哄笑する。

 

「これで我に対して特効を持っている者は……!! 」

 

 確かに破壊神に特効を持っている者がいなくなってしまった。

 

 などと認めるわけがない。

 

 神殺しの力はもう1つある!!

 

「まだいますよ!! スパイラルエクスプロ―ジョン!!!! 」

 

 めぐみんがいる。

 

 シールドビットを飛び移りながら、左手に高速回転する圧縮した爆裂魔法を握りこみ、それを破壊神に突き出している。

 

「当たるものか!! 」

 

 破壊神は回避しようとするが。

 

「いや絶対に当たってもらう!! 」

 

「動きを止めます!! 」

 

「喰らうのである!! 」

 

 ダクネスがシールドビットで破壊神を取り囲み、ウィズさんがコキュートスの吹雪をその中に吹かせて破壊神をどんどん氷漬けにし、そしてバニルがパラライズの魔方陣を破壊神の足元に展開してその場に縫い留める。

 

「それがどうした!! 」

 

 破壊神はその場から離れられない状態でも球体魔方陣を展開し、さらに上空に無数の爆裂魔法の陣を展開し雨のように降らせようとする。

 

 しかし。

 

「アクア頼みます!! 」

 

「任されたわ!! 」

 

 爆裂魔法の迎撃をアクアに信じて任せた様子のめぐみんは構わずスパイラルエクスプロ―ジョンを破壊神の球体魔方陣に叩き込み、見事粉砕し、破壊神の胸元に風穴を開けた。消滅するスパイラルエクスプロ―ジョン。

 

 さらに、容赦なく放たれた破壊神の爆裂魔法は、アクアによって同じ数だけ展開されたセイクリッドブレイクスペルの魔方陣から放たれた極太ビームで消滅した。

 

「これで破壊神の残り残機は3つである!! 」

 

「そうだったな。爆裂魔法をここまで使いこなせる奴が、目下の脅威が我にはもう1人いたな……!! 神殺しの剣を折った歓喜で忘れていたよ……」

 

「神器によるサポート付きなのが悔しくてたまりませんがね!! いるんですよ、もう1人の神殺しは!! 」

 

 めぐみんは、苦虫をかみつぶした表情の破壊神に不敵に笑った。

 

「お前ら!! こうなった以上、めぐみんを中心にして戦うぞ!! 言う通りに動いてくれ!! 」

 

 カズマが全員にそのように伝える中、めぐみんは破壊神から距離をとった。

 

「リョウタ、アイリス、バニルは破壊神へヒット&アウェイでこれまで通り攻撃!! ミツルギは3人の作った隙に容赦なく大火力攻撃を!! ダクネスは今まで通りイージスから作り出した光の盾を制御してみんなの援護!! ウィズは破壊神を凍結系の力で拘束してくれ!! アクアは爆裂魔法対応係を続けろ!! 俺もフォローする!! ゆんゆんはめぐみんを抱えて移動し続けろ!! それで破壊神がボロボロになって攻撃への対応が難しくなったところか、ウィズに拘束されて動けなくなったところに容赦なくめぐみんを投下しろ!! 」

 

『了解!! 』

 

 そしてカズマの立てた戦略通りに俺たちは動き出す。ソードメイスにライトオブセイバーをコーティングして俺は破壊神に接近する。バニルとアイリス姫もダークオブセイバーや聖剣を構えて突撃していく。

 

「邪魔をするな神殺し!! 見通す悪魔!! ベルゼルグの王女!! 」

 

 破壊神が接近してきた俺たちから逃れるように高速飛行すると、めぐみんを抱えたゆんゆんへと突撃していく。エクスプロードバスターを破壊神はゆんゆんに連射するが、ゆんゆんは巧みな高速飛行と透明化の連続使用でめぐみんと共に姿を現したり消えたりを繰り返し破壊神の攻撃を完全回避する。

 

「破壊神!! ゆんゆんとめぐみんはやらせない!! 」

 

「切り落としてやるのである!! 」

 

「行きます!! 」

 

 俺はライトオブセイバーをコーティングしたソードメイスを破壊神に振り下ろす。身をよじってそれを回避する破壊神に今度はバニルのダークオブセイバーの横一線が迫る。それも爆裂の剣で受け止める破壊神だったが足を止めたことで聖剣でアイリス姫に斬りつけられる。

 

「ぐっ!! 」

 

「ミツルギ!! 」

 

 俺は斬りつけられて苦痛に顔をゆがめる破壊神を蹴り、ミツルギの方にぶっ飛ばす。

 

 ミツルギはコクリと頷くと。

 

「ルーンオブセイバー・バーストラッシュ!! 」

 

 聖なる光の斬撃波を連続発射した。破壊神はぎりぎりで爆裂魔法の陣を展開してそれを防いだ。が、連続のルーンオブセイバーに耐えかねて、爆裂魔法の陣は崩壊する。それにより体勢を崩してよろける破壊神。

 

「お前も厄介だなソードマスター!! まぁいい、まとめて今度は正確に破壊してやる!!!! 」

 

 破壊神はその場で空に無数の爆裂魔方の陣を展開した。

 

「今度は数が多いわね!! 」

 

「俺もいるから大丈夫だアクア!! 」

 

「アクア、私も手伝う!! 」

 

 容赦なく発射される爆裂魔法。今度はまっすぐ雨の様に落とすのではなく、俺たち1人1人や王都の各区画を狙った攻撃だった。

 

 ダクネスがシールドビットを高速移動させて爆裂魔法を相殺させてゆく。アクアもまたセイクリッドブレイクスペルで爆裂魔法を撃ち落していく。そしてカズマはイチイバルから最大出力であろう巨大な矢を複数発射し爆裂魔法を狙撃していく。それでも撃ち落しきれないものはダクネスが足元のシールドビットを操作して直接イージスで爆裂魔法にぶち当たり相殺して回る。

 

「おのれ水の女神に、最弱職に、脳筋クルセイダーが!! 」

 

 唖然とした後、悪態をつく破壊神。ウィズさんはそれを好機とみて。

 

「カースドクリスタルプリズン!! 」

 

 自身の魔力で破壊神の周囲の空間を氷結させて氷の中に破壊神を閉じ込める。さらに。

 

「コキュートス!! 」

 

 今度はコキュートスを使ってカースドクリスタルプリズンを上からさらに凍結させる。

 

「今だめぐみん!! 」

 

 カズマが叫ぶ。

 

「ゆんゆん私と一緒に!! 」

 

「分かってるわ!! 行くわよ!! 」

 

 めぐみんがゆんゆんに抱きしめられた状態でグングニルをまっすぐ下に構えて、破壊神の封じ込められた落下する氷の牢獄へと加速していく。グングニルの穂先に爆裂魔法のエネルギーが収束し魔力の渦を巻き起こす。静電気がバチバチと瞬きを見せる。まるで氷塊に向けて流星が迫っていくようだった。

 

「やっちゃえめぐみん!! 」

 

 ゆんゆんが親友の名を叫ぶ。それに応えるゆんゆんの親友、めぐみん!!

 

「ランスオブエクスプロージョン!!!!!!!! 」

 

 流星は氷塊へとまっすぐ突き刺さり、砕け散らせ、中にいた破壊の権化へとぶっ刺さった。爆裂魔法がドリル状になって破壊神を抉っていく。その魂もろとも!!

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! だ、だがぁぁぁぁ!!!! 」

 

 胸元を突き刺された破壊神がゆんゆんとめぐみんを取り囲むように爆裂魔法の陣を展開する。そこからエクスプロードバスターを照射する。しかし。

 

「「させるかぁぁぁぁ!!!! 」」

 

 シールドビットに乗って突っ込んできたダクネスとカズマが自ら盾となりそれらを防ぐ。

 

「このぉぉぉぉぉ!!!!!!!! 」

 

 めぐみんが叫び声を上げる。グングニルへとめぐみんの魔力が大量に流れ込んでいるのが目に見えて伝わってくる。

 

 俺の近くで見ていたバニルが叫んだ。

 

「ウィズ!! 全員の魔力と神器のエネルギーを束ねて爆裂娘に送るのだ!! ベルゼルグの王女よ、汝のアガートラームの魔力制御でウィズのドレインタッチの補助を!! そうすれば破壊神をこの攻撃で終わらせられる……はずである!! 」

 

「わかりましたバニルさん!! 」

 

「やってみます!! 」

 

「僕たちは魔力を送ればいいということですね!! 」

 

「そうだな!! 」

 

 ミツルギと俺が納得する中。

 

「でもウィズに私の魔力を流したら消えちゃうわよ!? リッチーなんだから!! 」

 

 アクアが焦る。

 

「そこはベルゼルグの王女のアガートラームの魔力制御に賭ける!! 」

 

「責任重大ですね。でもベルゼルグの王女としてやって見せます!! 」

 

「お願いしますねアイリス姫!! 」

 

「ウィズ、絶対浄化なんかされちゃだめよ!! 」

 

「はいアクア様……!! 」

 

 ウィズさんが微笑み頷く。

 

「ドレインタッチ最大出力!! 」

 

 ウィズさんが両手を天にかざすと、彼女へと俺たちの魔力が引き出されていく。それは離れているカズマやダクネス、ゆんゆんからも起こっていた。そしてウィズさんのかざしている両手の間に紫色の魔力の塊が出来上がっていく

 

「くっ!! アクア様の魔力が……」

 

「お願いアガートラーム!! 」

 

 アイリス姫はその塊の中に銀色の右腕を突っ込む。

 

「あ。痛みが消えていく」

 

「どうやらアクアさんの魔力をアガートラームでうまく制御できてるみたいです。ウィズさん。このままもっと魔力を集めましょう!! 」

 

「はいアイリス姫!! 」

 

『うぉぉぉぉぉ!!!! 』

 

 俺たちは抵抗することなく全力で魔力を解き放ちウィズさんが吸い集めやすいようにする。どうやら離れていたカズマやダクネス、ゆんゆんにも聞こえていたようであり3人も魔力を差し出していく。

 

「ふざけるなよ!! 我を完全に破壊する気か!? 」

 

 破壊神がめぐみんへと触れようとするがグングニルから巻き起こっているドリル状の爆裂魔法によってそれをできないでいた。

 

 そしてウィズさんの頭上にてどんどん巨大な魔力の塊が成長していく。やがてそれは直径10メートルはあろうかというサイズになった。

 

「よしウィズ、王女よ、十分だ!! 爆裂娘へと送り込め!! 」

 

 バニルの指示を受けて紫色の塊が。

 

「「受け取ってくださーい!!!! 」」

 

 ウィズさんとアイリス姫の叫びと共にめぐみんへと飛来する。

 

「いけめぐみん!! 」

 

「やってしまいなさいな!! 」

 

「やれめぐみん!! 」

 

「いっけぇぇぇぇめぐみん!! 」

 

「やってくれ!! 」

 

「行くのだ爆裂娘!! 」

 

「めぐみん、私たちの魔力と思いを乗せて!! 」

 

 カズマ、アクア、ダクネス、俺、ミツルギ、バニル、そしてゆんゆんの声を受けためぐみんは、飛来した魔力の塊を吸収し。

 

「はぁぁぁぁ!!!!!!!! エクスプロォォォォジョン!!!!!!!! 」

 

 破壊神の胸元へと爆裂魔法を発動した!! 魔方陣が何重にも破壊神の胴体部分に展開されて。

 

「消し飛べぇぇぇぇ!!!! 」

 

 めぐみんの叫びと共に解き放たれた。

 

 破壊神が爆裂魔法のエネルギー塊を受けて一気に地面へと突き飛ばされていく。そんな中で。

 

 

 

 

「よくこの手段を選んでくれたな。その選択を後悔するがいい!! 」

 

 

 

 

 確かにそう言ったのが聞こえた。

 

 しかし破壊神はそのまま爆裂魔法のエネルギー塊に地面へと叩きつけられたのち、大爆発を起こして木っ端みじんになりやがて消し飛んだ。その爆裂魔法は範囲はともかく今までめぐみんが放ってきたものの中で最大威力であろう。超巨大な火柱が立ち上り、焦土と化していた王都の大地をさらに抉り、砕き、破壊した。

 

 終わった。

 

 やっと終わったのだ。破壊神との戦いが。

 

 しかし本当に終わったのだろうか?

 

 不安を胸に抱きながも、みんなは高度を下げていく。俺もそれに続いた。

 

 やがて着地するがみんな終始無言だった。多くのものを失ったからだ。倒せたことに歓喜はあっても、それを表に出すことなど到底できなかった。

 

 かろうじてカズマが。

 

「終わったなリョウタ」

 

 そうこぼしただけだった。

 

「ああ。終わった。何もかも」

 

 俺はそれにおもむろに答えると。

 

「ああ、何もかも終わるのだ。貴様らの何もかもがな!! 」

 

 ゆんゆん!?

 

 ゆんゆんからの想定外の返答に俺は驚く。なにを言っているんだゆんゆん!? 

 

「ゆ、ゆんゆん? 」

 

 不安げなめぐみん。

 

 ゆんゆんに抱えられていためぐみんが放り投げられる。

 

「ふん!! 」

 

「あぐっ!? 」

 

 めぐみんは魔力と体力を使い果たしてしまっているようで受け身も取れずに地面に転がった。

 

「まさか!? なるほど、確かに不確定な未来を決定させられるのは人の意思だけではなく神の意志にでも可能だが……」

 

「どういうことだバニル!? 」

 

 めぐみんにカズマ、アクア、ダクネスらが駆け寄る中、俺はバニルに身構えた状態で問いかける。

 

「全員、紅魔の娘から距離をとれ!! いや、もはやあれは紅魔の娘ではないな、破壊神である!! 」

 

 全員が息をのむとともにゆんゆんから距離をとった。

 

 その瞬間。

 

 ゆんゆんの服が変化し、白いドレスのようになる。そしてグウェンの純白だったその色が漆黒に染まった。さらに、その美しい紅い瞳には金の輪が浮かび上がる。

 

「思えば神殺しの青年が、破壊神を先ほど無に還したのにまだ飛行が可能であった時点で気づくべきであったな……」

 

「言われてみればそうだが、そんなことはどうでもいい!! ゆんゆんが破壊神に乗っ取られたってことか!? 」

 

「その通りである……」

 

「ゆんゆんさんが!? 」

 

「そんな、ゆんゆんさん……」

 

「どうせればいいんだ、彼女に攻撃はできない!! 」

 

 アイリス姫、ウィズさん、ミツルギが口々にそう言って身構える。

 

 その一方で俺はバニルの返答を聞いた瞬間全身から力が抜けた。神殺しの剣とソードメイスを手放し崩れ落ちる。絶望感が押し寄せてきた。なにせ破壊神に体を乗っ取られたものは魂が壊れ精神が崩壊するのだ。つまりゆんゆんはもう。

 

 死んでしまっている。

 

「畜生がぁぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

 俺は跪いた状態で地面を殴る。そしてゆんゆん、否、破壊神を睨みつけた。目から涙がこぼれているのがわかる。頬を熱い涙が伝っている。対照的に俺の心はどこまでも冷えてしまっていた。

 

「あのさっきまでの我のボディを破壊してくれた爆裂魔法。それを放つ過程で魔力をほとんどすべてこの爆裂魔法使いに流し込んでいただろう? そのおかげでセイクリッドハイネスエクソシズムの効果を発揮していた魔力ももろともにはがれたのだ。そして、今のこのボディには因子を埋め込んでいたからな。すぐに乗り移ることができたよ。残機がすべて砕かれ魂は残り1つとなってしまったがな」

 

 破壊神が金の輪が浮かんだ赤い瞳で俺を見てひょうひょうと語る。ゆんゆんの顔で、ゆんゆんの声で。

 

「ゆんゆんの表情を使うな、体を使うな、ゆんゆんを使うな!! 不愉快なんだよ!! 俺の愛する人を……!! 」

 

 俺は破壊神に無力さを感じながら、ゆんゆんのくれたお守りのペンダントを握り締めて激昂するが、破壊神はどこ吹く風といった様子で涼しい顔をしている。

 

 やめろ。やめろよ。やめてくれ。ゆんゆんの姿で何もするなよ。

 

「さて、貴様らにはもはやどうすることもできまい。神殺しの剣は折れ、爆裂魔法使いは魔力切れ、そして魔力を供給しようにも全員そろって魔力もまともに残っていない。……これで終わりだ!! 」

 

「ゆんゆん、目を覚ましてください!! ゆんゆん!! 」

 

「「「「ゆんゆん!!!! 」」」

 

 めぐみんにカズマ、アクア、ダクネスがゆんゆんだったものに問いかけるが、破壊神はにやりと笑い。

 

「まずはお前の盾を壊す!! 」

 

 ダクネスに瞬時に接近すると、一対のイージスを超大出力のライトオブセイバーを纏ったハルバードで破壊神は切り裂き、ダクネスを蹴飛ばした。

 

「ぐわっ!? 」

 

 鎧が砕け散りながらダクネスは地面を転がった。

 

「ダクネス!? 」

 

「次はお前だ最弱職。その鎧を破壊する!! 」

 

 破壊神はカズマに至近距離でライトニングストライクを発射した。それによって、もともとさっきのゆんゆんとめぐみんを庇った際にガタのきていたパワードスーツは完全に砕けカズマは倒れた。

 

「がはっ……」

 

「次はお前だ水の女神。破壊する!! 」

 

「ゆんゆん、元に戻って頂戴!! お願い、やめてやめて!! 」

 

 涙目のアクアにハルバードから展開されたライトオブセイバーを振り下ろされる。

 

「女神様!! 」

 

 ミツルギがとっさにグラムとバルムンクで交差して受け止めるが、ミツルギの体力が限界だったためか、パワー負けして庇ったアクアもろとも後方に吹っ飛んだ。

 

「わ、私はどうすれば…… 」

 

 仲間がやられているにもかかわらず喪失感と、ゆんゆんが仲間を攻撃しているという様に絶望感を抱き動けないでいる俺の隣で、同じく動けないでいるアイリス姫。

 

「ウィズ!! 」

 

「ごめんなさいリョウタさん、ゆんゆんさん……コキュートス!! 」

 

 バニルの叫びを受けて、ウィズさんが悲痛な面持ちで破壊神に向けてコキュートスの冷気を放つが、迷いがあったからか破壊神に完全回避されて、ウィズさんは接近を許し、膝蹴りで弾き飛ばされた。

 

 さらに破壊神はグウェンで地面を高速ホバー移動しアイリス姫に肉薄。切り替えられなかった彼女に回し蹴りを叩き込み転がした後。

 

「さて、ボディと我の魂が馴染んできた。爆裂魔法を使う!! 」

 

 破壊神は空高くグウェンの力で飛び上がる。

 

「かつて我がお前に破壊されたときに言っただろ神殺し!! お前のすべてを破壊してやると!! その結果がこれだ!!!! さぁ愛する者を奪われ、その姿をした我に破壊されて終われ!! 」

 

 破壊神は極大の爆裂魔法の陣を5つ生成した。それから、一瞬のうちに魔力切れとダメージで抵抗できない俺たちに向けて、いや正確には俺が爆心地の中心になるように爆裂魔法を放った。

 

 エネルギー塊が轟音を立てて俺へと迫ってくる。

 

 もうどうしようもない。策が無い。ゆんゆんを救う手立てもなければこの爆裂魔法を防ぐすべもない。本当にどうにもならない。

 

 あきらめて死のう。でも死んだ先で、天国に行けるとしてもゆんゆんはいないのか。辛いな。

 

「何をやっているのだ神殺しの青年!! まだ貴様の愛する紅魔の娘はあきらめていないぞ!! 」

 

 俺が絶望とともにあきらめている中で。バニルが俺の眼前に躍り出て……5つの爆裂魔法のエネルギー塊が合体したものをガーターのような魔法で受け止めた。相反する二つの魔力がぶつかり合い周囲をまぶしく照らす。

 

 なにを言っているんだ?

 

「ゆんゆんの魂は……もう――――」

 

「あの紅魔の娘はどうやら本当に芯が強いらしい、まだ破壊神に体の制御権は乗っ取られていても魂を破壊されてはいない!! まだあらがっているのだ、もがいているのである!! 」

 

「ゆんゆんが!? 」

 

 まだ生きてる? まだ生きてる!!

 

「だけどどうすればいい、どうやって破壊神を倒せばいいんだ!? 神殺しの剣はもう折れた。再生だってできな――――」

 

「できる!! 汝の錬金術ならば可能だ!! 」

 

「できないんだよ!! 呪いの集合体だから!! 呪いは錬金術じゃ掴めなかった!! それに直せたところで神殺しの剣ではゆんゆんごと殺してしまう!! 」

 

「救って見せろ!! 汝の想いは、紅魔の娘への愛情という想いは!! たかだか数千年の呪いという名の想いに劣るのか? 」

 

「数千年の呪い? 想いだと? 」

 

 どういう意味だ?

 

「神殺しの剣はこの世界の人間たちの天災やどうにもならない理不尽、自然の摂理、すなわち自分たちの手の届かないところにある神への怒りや憎しみの想いが形となったものだ!! 呪いではなく想いと捉えよ!! 神殺しの剣の呪いを想いと捉えることができればあとは簡単なはずだ!! 貴様には常に抱いている紅魔の娘への愛情があるだろう? それは汝にも確実に捉えられるはずである!! 塗りつぶすのだ!! 錬金術を使って!! 愛を以ってして!! 神を殺したいという想いから、紅魔の娘を救いたいという想いへと!!!! 」

 

 …………。

 

「俺は、俺は!!!!!!!! 」

 

 希望はある。まだあった!! なら頑張れる。戦える!! 

 

 ゆんゆんはいつも笑ってくれていた

 

 ゆんゆんはどんな時も優しかった

 

 ゆんゆんはこんな俺を受け入れ愛してくれた。

 

 そんな彼女を愛している。

 

 だからこそ。だからこそ!! 

 

「俺の想いが、ゆんゆんへの愛が!! 呪い如きよりちっぽけなものかぁぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

 俺は神殺しの剣と、ソードメイスを拾い上げ立ち上がる。

 

「覚悟は決まったようだな、カガミリョウタ」

 

「ああ、できたよバニル」

 

 にやりと俺の方を見て笑うバニルに俺は決意の顔で答えた。

 

「フハハハハ!!!!!!!!! では我輩は地獄に1度戻るとしよう、汝の勝利を期待しながらな!! 」

 

 そう言ってバニルは爆裂魔法のエネルギー塊をガーターのようなものを解除してその身に受けると、爆裂させることなく吸収して消え去った。

 

「ありがとうバニル」

 

 俺はただ一言、虚空にそう告げた。

 

「見通す悪魔め、残機を1つ犠牲にして爆裂魔法を相殺したか、だが!! 」

 

 破壊神が爆裂魔法の陣を再度空に描く。しかしその陣は突如としてブレて消えた。

 

「なに!? まさか、我の中の魂があらがっているのか!? この紅魔の娘が!? 」

 

 その通りだ……。

 

「その通りだぁぁぁぁ!!!! ゆんゆんはまだ戦ってる。だから戦うんだ!! 」

 

「まさかこの依り代もろとも我を殺すとでもいうのか!? できるはずがないだろう神殺しよ、貴様にできるものか!! それに神殺しの剣はもう折れている。そんないびつに破壊された神殺しの剣で我を切り裂けるとでも? 」

 

「やって見せるさ、お前だけを殺してゆんゆんを助け出す!! 」

 

「何を世迷言を!! その呪いは我の魂もろとも紅魔の娘の魂を殺して殺す!! できるはずがない!! 」

 

「うるさい黙れ!! それ以上しゃべるな!! 」

 

 俺は神殺しの剣に錬金術を伝播させていく。俺の中に神への……自分たちではどうにもできない理不尽への怒りと憎しみの想いが響き渡る。

 

 その状態で俺はウイングを展開!! 飛び立つ!! 背筋を凍らせる不快感などもはや気になりはしない、ただゆんゆんを救いたいという想いで俺の体は突き動かされているからだ。

 

「来るか神殺し!! 」

 

「ゆんゆんを救うためになぁぁぁぁ!!!! 」

 

 俺はライトオブセイバーをコーティングしたソードメイスを左腕で破壊神へと振り下ろす。破壊神はそれをハルバードにまとわせたライトオブセイバーで受け止めた。

 

 どうしたって神殺しの剣に込められた想いをつかむまでは俺が戦い続けないと誰かがやられる。だから戦う。ゆんゆんの姿をしたこの忌々しい存在と。

 

 何度もライトオブセイバー同士がぶつかり合う、そのたびに強烈な閃光が暗い夜空を照らす。

 

 その間にも俺は想いをつかみ取ろうとする。その中でどんどんと、逆に俺の方を神殺しの剣が侵食して来ようとしているのがわかる。

 

「ぐぁぁぁぁ!!!! 」

 

 俺は体を駆け巡る痛みと化して襲ってくる侵食に叫び声を上げながら、何度も何度も破壊神と切り結ぶ。

 

「何をしているのだ神殺し!? 何だこの周囲に漂ってくる不快感は!! 」

 

 破壊神が心底いやそうな顔をしてインフェルノを放ってくる。俺も体の前面に魔方陣を展開しインフェルノを発射。相殺する。

 

 痛みと化して襲い掛かってくる想い、だが、だからこそ俺はそれの実態をどんどん深く理解していく。そして、もっと深いところに想いの根源があることを感覚的につかむ。

 

 もっと深くもっと深くもっと深く、この呪いと化した想いを知るんだ。そして、そして!!

 

「何をしているのか知らんが、破壊してくれる!! 」

 

 破壊神がライトオブセイバーを構えて突撃してきた。俺もライトオブセイバーで受け止めるが、今度はマジックワンドからもライトオブセイバーを発動して二刀流で破壊神は襲い掛かってくる。

 

 俺は瞬時にバリアを展開してもう片方のライトオブセイバーを受け止めた。

 

「そんなもの!! 」

 

 しかし、バリアはライトオブセイバーに切り裂かれる。だが時間稼ぎはできたため俺は後方に下がって距離をとるともう一度ソードメイスにまとわせたライトオブセイバーで切りかかる。

 

 何度も何度も俺と破壊神はぶつかり合う。そのたびに互いの得物に亀裂が走る。

 

 その間にも、もっと深く俺は想いを知る。それはベクトルこそ違えど愛と本当に何ら変わらない誰かたちの強い想いだった。だから俺はそれをつかみ取るための感覚が確かにわかった。理屈ではなく本能で。

 

 そしてついに錬金術で呪いと化してしまっている想いをつかんだ!!

 

 その瞬間!!

 

「なんだこれはぁぁぁぁ!? 」

 

 破壊神が俺から全速力で後退した。神殺しの剣が爆ぜて形を失い、黒い、ただ黒くどす黒い粒子と化して俺にまとわりつき球体を形作ったからだ。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!! 」

 

 全身に怨嗟の声が痛みとなってまとわりついてくる。

 

「なんだか知らんが危険なのは分かった、破壊されろ神殺し!!!! 」

 

 破壊神がライトオブセイバー2本で交差斬りを放つしかしそれは球体に当たると霧散した。

 

「っ!! お前を取り巻いているそれはやはり神を殺す呪いか!! 」

 

「違う、想いだ!! お前のような理不尽に対する怒りと憎しみだ!! 」

 

「なんだと!? 」

 

「俺は錬成する!! これを、錬成して、塗り、つぶす!!!! 俺は!!!! 」

 

 ソードメイスを投げ捨てて両手を大きく開き錬金術を左手でも使用する。ゆんゆんへの全身全霊の愛を以ってしてこの怒りと憎しみを一気に書き換える、その効果を神を殺すものからゆんゆんを救うものへと。そして!!

 

「神を断つ剣だぁぁぁぁ!!!! 」

 

 黒い粒子がすべて金色の粒子に変わった。俺は右手を天にかざしてそれらを収束させて金色の粒子が圧縮されてできたライトオブセイバーよりも黄金の光の剣へと錬成する。

 

「なんだそれは!? 神を殺す呪いではなくなったとでもいうのか!? 」

 

「その通りだ!! 神のみを否定しろ、神殺しの剣!! ゆんゆんを救う力をぉぉぉぉ!!!! 」

 

 俺はソードメイスを投げ捨て、両手で光の剣を握りこみ、ウイングを最大出力にして一気に破壊神に迫った。破壊神は顔を引きつらせると同時に俺から距離をとる。俺はウイングの最大出力でなんとしても破壊神に追いつき、まずは一閃した。

 

「何だこの感覚は!? 我の魂が削られた!? だと……? 」

 

「その通りだ!! 」

 

 俺は何度も何度も破壊神を斬り裂いていく。しかしゆんゆんの身は決して傷つかない、斬っているのはすべて破壊神の魂そのものだ。

 

「一方的にやられてなるものか!! 」

 

 破壊神がインフェルノを至近距離で発射してくるがそれを俺は一閃して斬り裂く。インフェルノが割れて破壊神の姿を目視できるようになる。

 

 そして、その瞬間に、迷わずに俺は。

 

「これが最後のディナイアルブラスターだぁぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

 俺は光の剣からまっすぐ破壊神に向けて金色の粒子の奔流を浴びせた。

 

 これは呪いのビームではない。ゆんゆんを救いたいという俺の想いそのものだ。愛そのものだ。

 

 奔流の直撃を受けた破壊神はそこから離脱することもできずに苦しんでいる。

 

「ぐわぁぁぁぁ!!!! ……消えていく? 滅んでいく!? 破壊されるだと!? 完全な破壊だと、この我が!? 」

 

「二度も言わせるな、言い残すことが長いんだよ破壊神!! さっさと消えてゆんゆんを返せぇぇぇぇ!!!! 」

 

 金色の粒子の奔流がさらに勢いを増す。

 

「神、殺、しぃぃぃぃ!!!!!!!! 」

 

「ゆんゆん!!!!!!!! 」

 

 俺は愛する人の名を叫ぶ。

 

 破壊神は体を奔流の中でのけぞらせながらもがく。そのうちに、その魂を完全に崩壊させた。

 

「ぬわぁぁぁぁ!!!!!!!! 」

 

 断末魔が響き渡った。

 

 そして破壊神の、いや、ゆんゆんの瞳から金の輪が消える。同時に俺の手のひらから金色の剣が完全に消滅して、光の粒子の奔流の照射が止む。

 

「これで、ゆんゆんは!! 」

 

 俺はウイングが消滅したのを感じながら空高くから地面へと落下を始める。神殺しの剣がこの世から失われたからだろう。

 

 そんな俺に。

 

「リョウタさん!! 」

 

 愛する人が涙を流しながら、地面へと落ちていく俺に追いつき、手を差し出した。

 

 それを俺は拒むことなく確かにつかみ取ると、そのまま空中で抱きしめられた。

 

「リョウタさん、リョウタさん、リョウタさん、リョウタさん、リョウタさん!!!! 」

 

 ゆんゆんが俺を抱きしめた状態で涙を流す。

 

「おかえり。愛してるよゆんゆん」

 

 俺が笑いかけると。

 

「ただいま。愛してます、リョウタさん」

 

 ゆんゆんが涙にぬれた綺麗な顔で微笑んだ。

 

 すると。

 

「なんだこの光は? 」

 

「な、なんでしょう? 」

 

 俺たちを白い光が包み込んでいく。決して不快なものではないその光にどんどん包まれていくと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付くと、背景が黒いのになぜか明るく感じられる空間にいた。

 

 あの部屋だ。エリス様たち神々のいる部屋だ。

 

 俺とゆんゆんはいつの間にかその部屋の中心に立っていた。そして目の前にはエリス様がいた。

 

「リョウタさん、ゆんゆんさん。破壊神の討伐。お疲れさまでした」

 

 エリス様が微笑む。

 

「どうして俺たちをこの部屋に? 」

 

「ここってどこなんですかリョウタさん」

 

 ゆんゆんが頭に疑問符を浮かべている。

 

 そう言えばゆんゆんは初めてだったな。

 

「ここは簡単に言うと死者の魂が神とこれからの行く末を決める部屋かな」

 

「ええ!? 私たち死んだんですか!? 」

 

「いや、違うと思う」

 

「はい、違いますよ。この部屋に呼んだのは別の理由です」

 

 エリス様がくすくす笑う。それで赤面するゆんゆん。

 

「カガミリョウタさん。あなたは見事破壊神討伐を成し遂げました。神々を代表してお礼を言わせてください。ありがとうございます」

 

 エリス様が深々と頭を下げる。その後。

 

「あなたにはなんでも願いを1つ叶えられる権利が与えられました。……願いを言ってください。そのためにこの部屋に魂を呼び寄せました」

 

「なんでも願いを1つ……」

 

 ゆんゆんがおもむろにつぶやいた。そして俺の方を見る。

 

 わかってるよゆんゆん。俺の願いは、君が俺に叶えて欲しい願いと一緒だ。

 

「エリス様、今回の王都での襲撃からさっきまでの戦いで亡くなった全ての人々と壊れた全ての物を元通りにしてください」

 

 俺はすぐに願いを吐露した。

 

 それを聞いたゆんゆんは満面の笑顔になる。そしてエリス様も優しく微笑んだ後。

 

「そう言ってもらえると思ってました……!! 」

 

 涙を流した。

 

「実は私が戦いに参加しなかった1番の理由は天界規定を破らないためではなく、死んでしまった多くの人の魂を天国に行かないようにつなぎ留めておくことだったんです」

 

「優しいあなたのことです。なすべきことがあると言っていたのを聞いた時からそう思ってましたよエリス様」

 

「ありがとうございます、優しい願いを抱いてくれて。……あなたの願いは叶えられました」

 

「お父さんも、お母さんもみんな戻ってくる……!! 」

 

「そうですよゆんゆんさん」

 

「そうだね、みんな帰ってくる……!! 」

 

「ではお2人をそろそろ地上に戻します。皆さんが目覚めないお2人を心配していますから」

 

 エリス様が笑うと、フィンガースナップをして俺たちの足元に魔方陣を展開する。

 

「「ありがとうございましたエリス様」」

 

 俺たちは同じ言葉をエリス様に投げかける。

 

 エリス様はそれを聞いて微笑み。

 

「それではお2人とも、お疲れさまでした、あの素晴らしい世界でお幸せに!! セイクリッドハイネスブレッシング!! 」

 

 俺たちは祝福の魔法をかけてもらうと、引き寄せられる感覚と共にこの部屋から地上へと戻った。

 

 

 

 

「起きろよリョウタ、起きろってば!! 」

 

「起きなさいな神殺し!! 」

 

「ゆんゆん、早く目を開けてください、お願いしますよ……」

 

「ゆんゆん……戻ってこい」

 

 4人の俺たちを呼ぶ声がする俺はゆっくり目を開ける。

 

「ただいま、4人とも」

 

「戻ってきました」

 

 俺とゆんゆんは体を起こす。どうやら王城の近くの広場に緊急で備え付けられた巨大なテントの中の仮設ベッドの上で2人仲良く寝転がっていたようだ。

 

 それを把握するとほぼ同時に俺たちは思いっきり4人に抱きしめられた。

 

「お帰り2人とも、目覚めないのかと思って心配したぞ!! このー」

 

「安心したわ!! カズマの言う通りよ全く!! 」

 

「おかえりなさい、おかえりなさい、ゆんゆん、リョウタぁ」

 

「良かったぞ、本当に。おかえり2人とも」

 

「「ただいま」」

 

 カズマが笑い、アクアが少し怒り、めぐみんが泣き、ダクネスが微笑む。

 

 俺とゆんゆんはそれを見た後、顔を見合わせて笑った。

 

「目覚めたんですね、リョウタさん、ゆんゆんさん!! 」

 

「よかったです!! 」

 

「なんともないかい? 」

 

 続いてウィズさんとアイリス姫、そしてミツルギが近寄ってきた。

 

「大丈夫だよミツルギ」

 

「私も体を破壊神に乗っ取られてたのに何ともありません。あ!!!! 」

 

 突然ゆんゆんが大きな声を出した

 

「どうしたんだいゆんゆん? 」

 

「私皆さんに酷いことを……。本当にごめんなさい」

 

 ゆんゆんが謝罪すると、みんなは口々に気にしてないという言葉をゆんゆんに伝えた。だが涙目になるゆんゆん。それは許してもらえた嬉しさからではなく、完全に悲しさからくるものだった。

 

「でも私バニルさんを……」

 

「我輩は生きておるぞ。心配せずとも残機があるのだ紅魔の娘よ」

 

 バニルがテントの中に入ってきた。仮面にはⅢの文字が刻まれている。

 

「ば、バニルさん? そっか、残機があるから大丈夫なんだ……よかったぁ」

 

「三代目バニルである。さて、汝ら、今なら外で素晴らしい光景が見れるぞ」

 

「どういうことよへんてこ悪魔? 」

 

「なぁに見ればわかるぞ、忌々しき水の女神よ」

 

 バニルがにやりと笑った。なので俺たちは外に出てみると。

 

「星が降ってる……!! 」

 

 俺は外の景色を見て驚嘆した。

 

 暁の空にいくつもの星が降っていた。それだけではない。王城が、王都がどんどん時間を巻き戻すかのように元の姿へと戻っていく。

 

 そして流れ星は俺たちの近くにも落ちて、なんと人の姿になった。

 

「これってリョウタさんの願いが叶えられたから? 」

 

 ゆんゆんが息をのむ。

 

「リョウタ何願ったんだよ? まぁなんとなくわかるけど」

 

 カズマが笑いながらそう言う。

 

「今回の王都での襲撃からさっきまでの戦いで亡くなった全ての人々と壊れたすべての物を元通りにしてくださいって願った」

 

「ありがとうございますリョウタさん。ベルゼルグ王国の王女としてお礼を言わせてください」

 

 アイリス姫が俺に涙を流しながら笑う。

 

「本当に美しかったわね。悪魔に騙されたかと思ったのに」

 

「つまりお父さんもお母さんもこめっこも生き返るんですね!! 」

 

「そうよめぐみん!! リョウタさんがそう願ってくれたんだから」

 

「それにしても暁の空に流れ星か、綺麗だな……」

 

「ほんとうにな」

 

 めぐみん、ゆんゆん、ダクネス、カズマが各々景色を見てそう言った。

 

 そんな5人を見ていて思った。そう言えばまだみんなに言ってないことがある。

 

「みんな。言わなきゃいけないことがあった」

 

 パーティーメンバーだけでなく、アイリス姫やミツルギ、ウィズさん、バニルにも向けて言葉を紡ぐ。

 

「俺の宿命に付き合ってくれてありがとう!! 」

 

 俺は満面の笑みで全員に感謝の言葉を伝えた。

 

 こうして破壊神との戦いは幕を閉じた。




 ラストバトルはある作品のオマージュでしたが、私の全身全霊とゆんゆんへの愛を込めた戦闘シーンでした。いかがでしたか? ちなみに錬金術をリョウタに持たせたのはこのラストバトルのためです。

 では、同時投稿したエピローグをどうぞ。
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