【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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やってしまった感がありますが……

――『僕は悪くない』

いやぁ~球磨川君かっこいいですよね~♪

私好きなんですよ♪

それでは本編をどうぞ♪




~宣言とボーイズトークだそうですよ?~

本館である屋敷にはすぐに着くことが出来た。

【時を司りし者】による時間操作はこの屋敷も例外に漏れず新築当然までになっていた。

しかし……この屋敷は立派だな……。

以前の【ノーネーム】がどれ程だったのかがかなり気になるところだ……。

 

「遠目から見てもかなり大きかったのだけれど……

……近づくと一層大きいわね。

私たちは何処に泊まればいいの?」

 

「はい、コミュニティの伝統では、ギフトゲーム に参加できる者には序列を与え、上位から最上階に住むことになっておりますが今は好きなところを使っていただいて結構でございますよ」

 

ふむふむ……。

コミュニティには強さによる序列制度が導入されているのか……。

それにしてもこの屋敷は俺の趣味には合わないなぁ……。

俺は、実は和風な物が好きである。

だからこそ、私服も和服を好んで着ているのだ。

この【ノーネーム】の屋敷は洋館なので、確かに立派なのだが、おそらく和室は無いのだろう。

……しかたないな……

 

「ねぇ黒ウサギ」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「何処か使わない所って無いかな?」

 

黒ウサギは少し考えるようにすると、屋敷の横を指差した。

 

「あの場所であればお好きに使っても宜しいですよ?

……しかし何故ですか?夜鶴さん」

 

「あぁ……俺にはこの屋敷が合わなくってね……

ちょっと他の住居を創ろうかと思ったんだよ」

 

「そうでしたか……!

すみません気がつきませんでした……

どうぞ、あの場所に建てて下さいませ」

 

黒ウサギは申し訳無さそうな顔をすると、俺にどうぞ、どうぞと、先程の場所をすすめてくれる。

 

「ごめんね黒ウサギ。

俺の我が儘で困らせちゃって……」

 

「いえいえ!夜鶴さんはこのコミュニティ最強の実力者ですので、この程度のことは我が儘の内に入らないのですよ!」

 

むしろ自分で住居を造ると言って下さるのでただのお願いごとよりも楽なのですよ、と黒ウサギは微笑んだ。

 

「じゃあ、お言葉に甘えさせて貰うよ黒ウサギ」

 

「Yes♪」

 

俺は屋敷の隣にゆっくりと移動して場所を確かめる。

そしてなるべく日当たりの良さそうな所を予想して住居を創り出す。

 

「【創造者の娯楽】発動。

作成能力(スキル)内容指定……

 

創造(クリエイト)】……

拘りの家造り(ホーム・メイカー)】」

 

今回創った能力は、ただ家を造る能力だ。

家の外装、内装、大きさ、強度と言ったモノを設定して造れる。

 

俺が設定したのは、【和風の家】【防音の部屋】【和の雰囲気】【壊れない】というものだ。

 

「【建造(コンストラクト)】」

 

そして、発動させる。

俺の目の前では使う土地の部分が光を放ち始める。

その時間は十秒程度であったが、光が止むと俺の設定した通りであろう家が建っていた。

江戸時代を連想させるような古風な家、どことなく漂う古き良き日本の雰囲気が俺を包む。

 

「ヤハハ!なかなか良い家じゃねぇか夜鶴。

お前ってやっぱり『和』が好きなんだな」

 

十六夜が笑いながらそういった。

その他に黒ウサギや飛鳥、耀も俺の家について驚いていたが、ジンは俺の【ギフト】の方に驚いていた。

 

「ジン君。夜鶴君の【ギフト】にいちいち驚いていたらこの先もたないわよ?」

 

飛鳥が何かを悟ったかのようにジンに告げた。

なかなか酷いなぁ飛鳥は……

 

「で、ですが……」

 

「ヤハハ。御チビ、夜鶴は『規格外』だと思っておけ」

 

「むしろ白夜叉を倒してる時点で夜鶴は『規格外』だよ」

 

飛鳥に続き、十六夜と耀もそういった。

なんでこの三人は俺に地味なダメージを与えて来るのだろうか……。

 

「し、白夜叉様を?!!

……夜鶴さんには悪いですが『規格外』だからということで自己完結させてもらいます……」

 

ジンまでもが俺を規格外だと言い始めた……

もう良いよ……これからは自重しないからさ……

俺が地味に落ち込んでいると、黒ウサギが場の空気を変える為なのか、【ノーネーム】の屋敷を指差しながら話し始めた。

 

「と、とりあえず!!

夜鶴さんの住む場所は決まりましたので、残りの御三方の部屋を決めてしまいましょう!!」

 

「それもそうだな……。

確か、どの部屋でも良いんだよな?黒ウサギ」

 

「Yes!どうぞ、お好きな部屋をお選び下さい」

 

「なら、私たちは少し中を探険してくるわ」

 

「私も飛鳥に賛成」

 

そういいながら、十六夜たち三人はジンを連れながら屋敷の中に入って行った。

 

「あれ?黒ウサギは行かないの?」

 

「は、はい。黒ウサギは湯殿の用意をしなければなりませんので……」

 

「手伝おうか?」

 

俺が手伝いを申し出ると、黒ウサギは手を振りながら首まで振った。

 

「い、いえ!!夜鶴さんに手伝わせる訳には参りません!!

今日は夜鶴さんのおかげでコミュニティに自然が戻って来たのですから!!

後は、黒ウサギたちにお任せ下さい!!」

 

別に俺は大したことはしていないんだけどなぁ……

でもまぁ……黒ウサギがそういうなら任せようかなぁ……

 

「……じゃあ、頼んだよ?黒ウサギ」

 

「!!……Yes♪お任せ下さいっ!!

……ところで夜鶴さんは食事などはどうなさるのですか……?」

 

黒ウサギが寂しそうに俺を見ながら聞いてくる。

 

「そうだなぁ……ご飯とお風呂は黒ウサギたちの屋敷で貰おうかな?」

 

俺がそういうと黒ウサギはパァッと明るい笑顔になった。

 

「そ、そうで御座いますか!!

分かりました♪湯殿の方を用意して参りますので、少々お待ち下さいね!」

 

黒ウサギは駆け足で屋敷の中に入って行った。

 

「……しばらく俺も屋敷の中を探険しようかな……」

 

これからの暇潰しを考えながら屋敷の中に入って行った。

ちなみに俺の家――そうだな【月光庵(げっこうあん)】と名付けよう――【月光庵】は少しの間放置することにした。

 

 

――――――――――

 

 

「御待たせいたしました!!

湯殿のご用意が整いました!!

女性様方からどうぞ!!」

 

いつの間にか四人全員がひとつの部屋に集まっていたのだが、そこに黒ウサギが走ってやって来た。

どうやらお風呂の用意が終わったそうだ。

 

「それじゃあ先に入らせてもらうわよ、十六夜君」

 

「俺は二番風呂好きだから大丈夫だぜ?」

 

「俺も後からで良いよ?

ゆっくり入って来なよ三人とも」

 

俺と十六夜がそういうと、黒ウサギ、飛鳥、耀は、嬉しそうにお風呂に向かって行った。

やはり三人とも女の子だ。

無意識でお風呂を楽しみにしているのだろう。

 

三人が部屋を出て行くと、十六夜が真剣な目で俺を見てきた。

 

「……なぁ夜鶴」

 

「……何かな?十六夜」

 

おそらく外にいる招かれざる客に対しての対応を――

 

「……覗くかっ!!!」

 

「自重しなよ十六夜っ!!」

 

俺は黒ウサギばりの勢いで十六夜の頭を叩いた。――机で。

 

「うぉい?!それは洒落になんねぇぞ夜鶴!?」

 

当たる寸前に十六夜はバックステップでかわした。

 

「十六夜がふざけるからでしょ?

……で、本当は何?」

 

「全く……冗談くらい言わせろよ……」

 

十六夜はヤレヤレと首を振ると今度は真剣な目をした。

 

「外の奴等どうするよ?夜鶴」

 

「……そのことなら十六夜に任せて良いかな?

――俺はちょっとやることがあるから」

 

俺がそういうと、十六夜はヤハハと笑い何処からともなく連れてきたジンとともに外へと向かって行った。

 

 

 

「さてと……オーミ来てるんでしょ?」

 

「……良く分かりましたね……」

 

俺の隣の空間が歪みそこからオーミが現れた。

 

「当たり前でしょ?

……君のおみやげ(・・・・)のせいで感覚から能力まであり得ない位まで強くなってるんだから……」

 

俺は【ギフトカード】を取り出しながらオーミに言った。

 

「まさかそこまで強くなるとは思いませんでしたよ……

――私ではもう勝てそうにありませんね……」

 

「とりあえず……きちんと説明してくれるんだよね?」

 

オーミに笑いながら話し掛けた。

すると、オーミは指をパチンと鳴らし辺りの時を停めた。

 

「勿論です。

隠しごとなく全て話しますよ」

 

オーミは真剣な顔でしかし何処か嬉しそうに口を開き始めた。

 

 

――――――――――

 

 

Side 十六夜

 

ヤハハ!初めての俺視点か!

作者もいきなり粋な真似をするな!

 

「十六夜さん?どうかしましたか?」

 

おおっと御チビ様が呼んでるな。

メタ発言もここまでにしておくかな。

 

「別に何とも無いぜ?」

 

御チビ様にそういうと、俺は小石をひとつ拾い上げた。

全く……こんなに綺麗な月の出る夜に仕掛けてくるなんざぁ……ふざけてやがるな……

俺は屋敷をバックに仁王立ちすると、茂みを睨んだ。

 

「おーい、そろそろ決めてくれねぇと俺が風呂に入れねえだろうが……」

 

……茂みからの反応なし。

……あぁ、面倒くさいな……。

どうせやるなら派手にやれよな、おい。

 

「……ここを襲うのか?それとも襲わねえのか?

やるならいい加減出てきてかかってこいよ……

いい加減飽きたぞ、おい」

 

……やはり反応は無い。

俺はイライラが溜まり、つい手に持っていた小石を投石してしまった。

茂みに着石するとスガァンという音と共に爆発した。

……やり過ぎたか?

 

「い、十六夜さん?!いきなり喋り始めたかと思えば石を投げつけるなんて、一体何事ですか?!」

 

 

「【フォレス・ガロ】から物騒なお使いみたいだぜ?ほら」

 

御チビ様は俺の言葉を聞くと、茂みに目を移した。

爆発により打ち上げられ、落ちた人影は、何かを言っているようだ。……がそれより気になったのがその姿だ。

犬の耳だったり猫の耳だったりと、一部が獣である者ばかりだ。

おそらく【獣のギフト】を持ってはいるが格が低いため中途半端な獣化になっているんだろう。

しばらくすると、その内の一人が口を開いた。

 

「恥を忍んで頼む!ガルドのコミュニティ【フォレス・ガロ】を完膚なきまでに叩きのめして欲しい!!」

 

「嫌だね」

 

俺が即答すると、御チビ様と侵入者は絶句した。

御チビ様にいたっては信じられないモノを見る目で俺を見詰めている。

 

「どうせお前らもガルドから人質を取られてる連中だろ?

予想するに命令されて俺たちのコミュニティのガキを拉致しに来たってところか?」

 

「は、はい。……まさかそこまでお見通しだとは露知らず失礼な真似を……。

……我々も人質を取られている身分、ガルドに逆らうこともできず……」

 

何か喋り始めた侵入者に俺は被せながら言った。

 

「……ああ、その人質たちのならもう全員死んでっから。

はい、この話題終了~」

 

「……なっ??!!!!」

 

「い、十六夜さんっ!!!」

 

御チビが慌てながら割り入ってくる。

その目には相手をいたわるようなモノが見えるが……コイツは分かってんのかね……

 

「隠す必要なんかあるのかよ?

お前らが明日のギフトゲームに勝ったら全部知れ渡るだろ?」

 

「そ、それにしたって言い方というものがあるでしょう!」

 

「ハッ、コイツらに気を使えってことか?

……冗談きついぞ御チビ様。

よく考えてもみろよ。殺された人質を攫ってきたのは誰だ?

……他でもないコイツらだろうが……」

 

その言葉に今気がついたのか御チビの表情が変わった。

気づくのがあまりにも遅すぎる……。

 

「悪党狩りってのはカッコいいけどな……。

同じ穴のムジナに頼まれてまでやろうとは思わねえよ、 俺は」

 

「……そ、それでは人質はっ……!!」

 

「……はい。

残念ですが、皆死んでいます。

ガルドは人質を攫ったその日の内に全員殺していたそうです……」

 

「……そんなっ……!!!」

 

悲しむ侵入者たち。

全く……魔王傘下のコミュニティだからといってそいつの言うことを聞いたら駄目だろうに……。

自業自得……ん?

ちょっと待てよ……魔王傘下のコミュニティ……?

……これは使えるかもしれねぇ……

 

「お前達、【フォレス・ガロ】そしてガルドが憎いか?叩き潰して欲しいか?」

 

「あ、当たり前だ!!

俺達がアイツのせいでどんな目にあってきたかっ……!!!!」

 

「そうかそうか。

……でもお前達にはそれをするだけの力が、勇気はないと?」

 

「ア、アイツはあれでも魔王の配下、所持している【ギフト】の格も遥かに上だ……。

俺達がゲームを挑んでも勝てるはずがない!

もし万が一にでも勝てたとしても【魔王】にでも目を付けられたら……」

 

【魔王】。

何処にでも付きまとうその名前に、再度【魔王】が強大な力を持っていることを認知した。

……だからこそ、だからこそいけるかもしれない。

いや、もし駄目ならこれからの俺たちに待っているのはかなり辛い展開だ。

だが、今のコイツらの反応から確信した。

あとは御チビ様を説得すれば良いのだからなんとでもなる。

 

「……その【魔王】を倒すためのコミュニティがあるとしたら……?」

 

間の抜けたような声をあげる侵入者たち。

俺はスッと御チビの肩を抱き寄せて声高らかに宣言する。

 

「このジン坊っちゃんが、【魔王】を倒すためのコミュニティを作ると言ってるんだよ」

 

俺のその言葉に再び絶句する侵入者たち。

困惑したような様子で聞き直して来るので、俺は再び口を開いた。

むしろこれで宣伝が出来るのなら安いモノだ。

 

 

「言葉通りの意味さ。

俺たちは【魔王】の脅威にさらされたコミュニティを守る。

守られたコミュニティは口を揃えてこう言ってくれ。

『押し売り・勧誘・魔王関係お断り。まずは【ジン=ラッセル】に問い合わせください』ってな」

 

「じょ、……」

 

余計なことを言おうとした御チビの口を塞ぐ。

そもそもこの御チビは何も分かっていない。

俺は御チビの口を塞いだまま腕を広げてもう一度言う。

ここまでくればもう異論もないだろうし勢い任せでも承諾してくれるはずだ。

 

「人質のことは残念だったな……

だけど安心して良いぞ。

明日【ジン=ラッセル】率いる俺たち【ノーネーム】メンバーが仇を取ってくれる!

倒した後の心配もしなくていいぞ!なぜなら、俺たちの【ジン =ラッセル】が【魔王】を倒すために立ち上がったのだからな!!!」

 

「おお……!!!!!」

 

俺たちを希望の光を見たかのように見詰めてくる侵入者たち。

その表情に俺の選択は間違っていなかったと確信した。

これならもう大丈夫だ。明日のゲームの勝敗次第で現状は大きく変わる筈だ。

 

「さあ、コミュニティに帰って仲間に言いふらせ!そして歓喜しろ!

俺たちの【ジン=ラッセル】が【ノーネーム】が【魔王】を倒してくれると!」

 

「わ、わかった!明日は頑張ってくれよなジン坊ちゃん!

俺たちは応援してるぜ!」

 

「ちょ、まっ!……待っ……!」

 

侵入者たちが全員帰ったのを確認して俺は御チビの口を塞ぎながら抱えて夜鶴のいる部屋に駆けていく。

 

屋敷の最上階にある大広間に着くとそこには真面目な顔の夜鶴がいた。

 

「あぁ、お帰り十六夜。お疲れ様

ジン君も大変だったね」

 

「ヤハハ!なんだよ夜鶴。

お前俺の考え知ってて送り出したんだろ?

なに他人事みたいにしてんだよ」

 

俺と夜鶴が会話していると、御チビが大声をあげた。

 

「さっきのは一体どういうことですか!? あれじゃあまるで……」

 

「『打倒全ての魔王とその関係者。お困りの方は【ジン=ラッセル】まで』……キャッチフレーズはこんなところか?」

 

「ふざけないでください十六夜さん!

そんな宣告が流布されたら僕たちの倒すべき【魔王】以外の他の魔王にも目をつけられるかもしれないのにっ!」

 

「おお、そいつは大歓迎だ。あんな面白そうな奴らとゲームで戦えるなんて最高じゃねえか!」

 

俺が楽しむように笑ってやれば御チビの表情が変わった。

……へえ……ちょっとはリーダーしてんだな……。

 

「お、面白そう……?

……では十六夜さんは、自分の趣味のためにコミュニティを滅亡に追いやるおつもりなんですか!?」

 

俺がそれについて語ってやろうかと思っていたのだが、そこに夜鶴が入って来た。

 

「いや、ジン君それは誤解だよ。

十六夜には考えがあってやったんだよ」

 

「か、考えですか……?」

 

御チビは俺の方を興味深げに見詰めて来た。

全く……折角驚かしてやろうと思ったのによ……

 

「あぁそうだよ。俺にはある考えがあった。

まず最初に聞いておくが……お前はどうやって【魔王】に……あの【白夜叉】みたいな強力な【ギフト】を持つ奴に勝とうと思って俺達を呼んだんだ?」

 

「その考えは俺も気になるよ」

 

夜鶴と俺の言葉に御チビは少し黙り込むと、しばらくしてゆっくりと口を開いた。

その表情には思い悩んでいるという色がみえた。

 

「まず……水源を確保するつもりでした。

新しい人材と作戦を的確に組みさえすれば【神格クラス】は無理でも水を確保する方法は十分ありましたが……そこは十六夜さんと夜鶴さんが想像以上の成果を上げてくださったので感謝していま す」

 

「おう、存分に感謝しやがれ」

 

「俺は出来ることをしただけだよ」

 

「ギフトゲームを堅実にクリアし、コミュニティを大きくしていけば……ましてや、これほど才の有る方々が揃えばどんなギフトゲームにも対抗できたはずです」

 

「なるほどねぇ……期待一杯、胸一杯だったわけだ……」

 

「でもジン君。それには大きな見落としがあるよ」

 

俺の言葉を代弁してくれたかのような夜鶴の言葉。

しかし、それに対して御チビは大声をあげた。

 

「何故ですか!!十六夜さんは自分の考えの為だけにコミュニティを危険に陥れるような真似をした!

もしあの宣誓が流布されれば最後、魔王とのゲームは不可避になる!!

まだ成長も何もしていないのにです!!

そのことを貴方方は分かっているのですか!?」

 

壁を強く叩いた御チビ。

しかし、夜鶴の言葉と意味が分からないとは……あまりにも残念だ……。

 

 

「呆れた奴だな、そんな机上の空論で再建がどうの誇りがどうの言ってたとは……

やっぱりこのコミュニティに入ったのは失敗だったかもな……」

 

「十六夜違うよ。このコミュニティはリーダーが悪い(・・・・・・・)

 

俺と夜鶴の容赦無い言葉に顔を歪める御チビ。

 

「ギフトゲームに参加して力をつける、なんてのは大前提だろうが。

俺が聞いてるのは魔王にどうやって勝つか(・・・・・・・・)だ」

 

「だ、だからそれはギフトゲームに参加して……」

 

「それは大前提だと散々言ってるだろうが。

じゃあ何か?前のコミュニティはゲーム参加して力をつける事をしていなかったのか?」

 

俺の言葉に黙り込む御チビに畳み掛けるように口を開いた。

 

「今俺達には【名】も【旗印】も組織を主張する旗頭はなに1つとして存在していない状況だ。

それはとんでもないハンデだ、これじゃぁ口コミで広がりすらしない」

 

「そして、俺たち【ノーネーム】が何をしようとも覚えてすら貰えないんだよ」

 

夜鶴が俺を援護するように言葉を繋いだ。

 

 

「【ノーネーム】ってのは所詮その他大勢という認知でしかない。

そんな奴らを信用すると危険と判断されるのが普通だ。

……だがな、お前はそのハンデを背負ったままで【先代】を超えなきゃならないんだよ」

 

「先代を……超える……っ!!?」

 

理解はしていたはずだ。

しかし、それを無意識に避けていたのだろう。

まだ11歳の子供だというのは重々承知している。だが、コミュニティのリーダーとして判断する立場なのだからそんなことはして欲しくない。

 

「でだ……【名】も【旗印】も無い。

となると後はもうリーダーの名前(・・・・・・・)を売り込むしか無いだろう?」

 

その言葉にハッとした表情になる。

やっと俺の意図に気づいたようだ。

全く……もっと早く気づいてくれても良いのにな……

コイツはリーダーなんだからちった勉強させねぇといけねぇな。

 

「僕を担ぎ上げて、コミュニティの存在をアピールするおつもりですか?」

 

「あぁそうだ。

それもただのリーダーじゃねえぞ。

【打倒魔王】を掲げたコミュニティのリーダーだ。

そいつが明日のゲームに勝てば言い宣伝になる」

 

「少なくともこの辺りの人達には必ず伝わるよ?

そして、その波はいずれ箱庭全土に広がっていく……」

 

流石は夜鶴だ……俺の考えを先読みしてきやがる。

『規格外』なのをもう覆すのは無理だろコイツ……

 

「……ま、御チビが懸念するように他の魔王を引き寄せる可能性は大きいだろうが……

……魔王を倒した前例がないわけじゃないだろ?

しかも、夜鶴にいたっては既に【元・魔王】だが、白夜叉を軽く捻ったことがあると来た」

『魔王を倒せばその魔王を隷属させられる』

 

コイツは黒ウサギに聞いた話の内のひとつだ。

……つまり、【魔王】を倒した者は過去にもいてその魔王を倒せば強力な駒としてコミュニティに引き入れられる。

【魔王】の襲来は【最悪のピンチ】と【最高のチャンス】が同時に巡ってくるようなものだ。

 

「今のコミュニティに足りないのは人材だ。

夜鶴並み(・・・・)とは言わねぇ……。

俺並み(・・・)少なくとも俺の足元並み(・・・・)の奴が欲しい」

 

「確かに十六夜並み(・・・・・)の奴はほしいな」

 

俺がニヤリと笑いながら言った言葉に夜鶴も笑いながらそういった。

そして、俺は夜鶴をチラリと見ると、再び御チビに話し始める。

 

「乗るか反るかは御チビ次第!

他にカッコイイ作戦があるってんなら協力は惜しまないぜ?」

 

「俺も協力するよ?」

 

他に作戦が有るのならそれに乗ってもいい。

何せ俺は箱庭に来たばかりだ。

もしかしたら俺の知らない方法があるかもしれない。

だが1番手っ取り早くて1番即戦力を手に入れられる方法は俺にはコレぐらいしか思い浮かばなかった。

 

御チビを見てみるとグッと手を握り締め此方を真っ直ぐと見据えてくる。

……なんだ、少しは良い顔になったじゃないか。 それでこそ……リーダー(・・・・)だ。

 

「1つ条件があります、今度行われる【サウザントアイズ】傘下のコミュニティが開催するギフトゲームに参加してください」

 

「……なんだ?俺の実力でも見せろってか?」

 

「それもありますが……このゲームには僕らが取り戻さなければならない大事なものが出品されるのです……」

 

「……昔の仲間、か?」

 

「はい。……それもただの仲間ではなく――

――元・魔王だった仲間です」

 

俺の笑みは無意識に深くなった。

夜鶴ですら目を細めて興味深そうにしている。

 

「御二人のお察しの通り、先代コミュニティは【魔王】と戦って勝利した経験があります」

 

「……そして魔王を隷属させたコミュニティすらも滅ぼせる【仮称・超魔王】とも呼べる奴らもいる……か……」

 

俺が楽しさで震えていると――

 

 

 

――ゾクゥッ

 

 

 

背後……夜鶴から殺気が滲み出してくる。

な、なんだこの濃密な殺気はっ?!!!

 

「ジン君……ここに再度聞くよ?

君は【打倒魔王】を掲げるんだね……?」

 

「は…………ぃ……」

 

御チビはその殺気に圧されながらも掠れる声で答えた。

や、ヤバい俺もこの殺気に飲まれそうだ……

 

「……そうかい……。

じゃあ選んで?【君が死ぬ】か【十六夜が死ぬ】かを……」

 

「なっ……?!!!!」

 

ここで俺は気がついた。

夜鶴は御チビを試しているのだと。

 

「【いけにえ】と言えば良いのかな?

君たち二人の内どちらかが俺に殺されてくれれば俺は全力でコミュニティを助けてあげるよ」

 

もし御チビが下手な選択をすれば……消される。

それくらいの迫力がある。

しかし、この問いは何が正解なんだっ!!

簡単に予想すればジンが犠牲になるだが……それじゃない気がする……

夜鶴は御チビをリーダーとして試しているんだから……。

 

「さぁ……早く選びなよ……ジン君?」

 

「……ぼ…くは……ぼく……は……」

 

御チビの体はガクガクと震えている。

しかし、目には強い意思があった。

御チビはキュッと口を結び目を開くと……

 

「僕は……僕たちは死ぬわけにはいきません!!

どうしても選べというのなら……

――第三の選択【戦う】を選ぶっ!!!」

 

御チビはそう叫んだ。

 

「……良いぜ御チビ……いやリーダー(・・・・)その案に乗ってやる!」

 

「すみません十六夜さん……本当は僕が貴方を護らなければならないのに……」

 

ジンの表情は申し訳なさそうだったがキリッとしており、これぞリーダーの顔である。

 

「負けるわけには……死ぬわけにはいきません!!

勝ちましょう!十六夜さん!!」

 

「おうよ!!」

 

これが正解かは分からないむしろ本当はこれはジンを試すものじゃ無いかもしれない。

しかし、このリーダーにならついていってやってもいい。

 

「行くぜ夜鶴っ!!!」

 

「行きます夜鶴さんっ!!!」

 

俺とジンは夜鶴に向かって走りだした。

いつの間にか殺気が止んでいるのにも気がつかないままに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「合格だよジン君?」

 

俺たちは夜鶴に抱き止められていた。

 

「……えっ???」

 

何がなんだが分かっていないふうのジン。

……まだ呼び名は御チビでいいな……。

 

「だから、合格だよジン君」

 

俺は夜鶴の真意を御チビに告げる。

 

「……夜鶴はお前を試したんだよ御チビ」

 

「そ、それってどういう……?」

 

「俺はね?君がリーダーに相応しいか試したんだよ。

あの二択を提示され、自分が犠牲になる。

それは【仲間】としては合格でも【リーダー】としては失格だよ」

 

夜鶴は俺と御チビを話してまた口を開く。

 

「リーダーというのは時に【優しく】時に【厳しく】そして時に【傲慢】でなければならない。

目的を達成させるのに必要なのは【傲慢さ】と【打ち勝つ勇気】だ。

二つの【死】を提示されてどちらも選ばぬ【打ち勝つ勇気】。そして、仲間を連れ自分の考えに従わせる【傲慢さ】。

君は今俺の前でどちらも示してくれた。」

 

夜鶴はにっこりと笑って御チビを見詰める。

 

「故に君は合格だよジン君。

これからは全力で君の力になろう!!」

 

高らかとそう宣言した。

 

 

Side Out

 

――――――――――

 

 

「それにしても夜鶴は不器用だな……」

 

俺がジン君を試したあと、十六夜がそういった。

 

「なんでだい?」

 

「あんなことするか?普通。

俺は分かってたのに死ぬかと思ったぞ?」

 

「人間、死を間近に感じたら本心がでるんだよ。

だから俺はいつもこうするんだ」

 

確かに十六夜は途中で気がついたようだったけど何であんなに必死だったのかと不思議だったね……。

 

「御チビも怖かっただろ?」

 

「は、はい……三年前の魔王襲来の比ではないくらい怖かったです」

 

「む……それは心外だなぁ……。

俺は【魔王】なんかじゃないぞ?」

 

ジン君の言葉に十六夜が笑い始めた。

それを見ていると、俺も頬が緩み終いには俺、十六夜、ジン君で笑っていたのだった。

 

「あら、何か楽しそうね三人とも」

 

パチッと音がすると、部屋に明かりが灯った。

そこにいたのは先程までお風呂に入っていた黒ウサギたちだった。

 

「まぁな。

なぁにちょっとばかり御チビと夜鶴と俺で語りあってたんだよ」

 

十六夜はそういうと、俺とジン君の肩を引っ張った。

 

「明日のギフトゲーム、勝てよ。

そしたら俺が、昔の仲間を取り戻してやる」

 

「え」

 

「だから、明日は絶対に勝て」

 

「十六夜さん……」

 

俺とジン君にしか聞こえない位の声で十六夜は言った。

 

「さて……俺もいい加減風呂にでも行くかな」

 

「あ、俺も行くよ」

 

そういいながら俺と十六夜はお風呂に向かっていく。

十六夜は部屋を出る寸前に

 

「あ、明日負けたら俺コミュニティ抜けるから宜しく。

んで、ついでに夜鶴も連れていく」

 

なんてことを言ってくれたのだが……

まぁ、気にしても仕方がない……

それよりもお風呂だお風呂♪

 

俺はスキップ気味にお風呂場に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――「夜鶴やっぱりお前産まれた性別間違えてるだろ」――

 

――「十六夜煩いよ……」――

 

――「何か女と風呂入ってるみてぇだわ」――

 

――「キャー!!!十六夜君の変態っ!!!」――

 

――「ちょ!!おい夜鶴?!それは洒落に……」――

 

――「十六夜君に襲われる~っ!!!!」――

 

――「夜鶴止めろぉぉぉぉお!!!!」――

 

~『お風呂場での出来事』から抜粋~

 

 

 




まさかの1万字を越えてしまいました……

それにしてもお風呂編って書くべきでしょうか……
女性陣と男性陣
書こうと思えば書けるのですが……

皆様どうしたら良いでしょうか?
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