【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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やっと書き上がりました!!

更新ペースはしばらく二日に一回にさせていただきますね♪

感想という名のエネルギーを~くださいませぇ~(涙)

では、本編をどうぞ♪


《あら、魔王襲来のお知らせ?》
~招待状だそうですよ?~


Side 十六夜

 

「ふぅ……今日はこの辺にしとくか……」

 

俺はグゥッと大きな背伸びをした。

最近はこの【書物庫】にある未読の本を読むのが日課になっている。

今日は朝早くから寝る間も惜しんで本を読んでいたのだが、流石に疲れた。

この箱庭には、俺の知らない事がまだたくさんあるだろう。

…………ワクワクが止まらねぇ。

 

「……御チビ起きてるか……?」

 

「……うぅん……く~……」

 

書庫の案内、そして知識を蓄えるために俺に付き合っているようだが、まだまだ子供の御チビにとっては辛いものもあるのだろう。

 

「……無理して俺のペースに合わせて本を読んでるから……ったく……」

 

御チビの頭をくしゃりと撫でる。

……しかしそれにしても眠いな……。

別段起きている理由もないのでその場で本棚に寄り掛かる。

……もうこのまま一日寝てるとするかな。

そう決めると俺は目を閉じる。

 

――しかし、それは騒がしい声と足音に邪魔された。

 

「十六夜君っ!何処にいるの!!?」

 

「……うん……?……あぁ、お嬢様か……」

 

何の一大事かと思ったが、お嬢様ならなんら問題も無いと、完全に目を閉じてうつらうつらと頭を揺らしつつ二度寝しようとする。

――しかし、そうはお嬢様がいかなかった。

此方に向かって来るお嬢様の足音がスピードを上げる。

 

「起きなさい!十六夜君!!!」

 

「させるかっ!」

 

「グボハァァァァッッ!!!?」

 

咄嗟に御チビを盾として使用したが、目を開けて見えた事実にゾッとした。

辺りに散乱している本を踏み台として利用した側頭部への飛び膝蹴り。所詮はシャイニングウィザードという危険極まりないプロレス技だ。

その威力は盾にした御チビが物語っていた。

 

「じ、ジンくぅ~ん?!!!!!

だ、大丈夫ですかぁぁぁぁっ!!??」

 

俺の背後に積まれた本の山に激突した御チビに狐耳娘が駆け寄って行った。

 

「……側頭部を蹴られて無事な訳が無い……」

 

春日部はボソッと呟いた。

確かにそれには同意だな。

 

「十六夜君!ジン君!

緊急事態よ!二度寝なんかしてる場合じゃないわっ!!!!」

 

「そうかい、そうかい。

それは嬉しい限りだが寝起きにシャイニングウィザードは命に関わるから止めとけ」

 

「本当ですよ……って、僕を盾に使った十六夜さんが言わないでくださいっ!!!」

 

「それなら大丈夫よ。

だってほら、ジン君生きてるじゃない」

 

「デッド・オア・アライブ!?!?

……というか生きていても致命ですよ!!飛鳥さん!!!!

それに、飛鳥さんはもう少しオブラートにと黒ウサギからも散々……」

 

「御チビも五月蝿いぞ」

 

やっとの思いで本の山から這い出して来た御チビが説教がましく喋り始めたので俺は手頃な本を手に取ると、御チビに向かって放り投げた。

ノールックで放り投げた本は御チビの頭にクリーンヒットし、打ち所が悪かったのかその場にパタリと倒れた。どうやら気絶したようだな。

 

「……それで?

人の安眠という名の至福の一時を妨害したんだからそれ相応のプレゼンがあるんだよな?

つか、なかったら張り倒す」

 

不機嫌さを全面に出しながらお嬢様を睨んだ。

 

「全く……女性を睨むのはいただけないわよ?

……何はともあれ、コレを読みなさい。

十六夜君なら絶対に喜ぶわ」

 

差し出されたのは一枚の手紙。

付けられた封蝋は見覚えのある【双女神】のモノだ。

 

「東と北の【階級支配者(フロアマスター)】の『共同祭典』……

――【火龍誕生祭(かりゅうたんじょうさい)】への招待状……?」

 

「よく分からないけど、きっと凄いお祭りなんだわ。

十六夜君もワクワクするでしょう?」

 

なんでだか自慢げに言うお嬢様は表情がウットリしている。

俺はそんな話に身体を震るわせた。

 

 

「オイ……ふざけんなよお嬢様……。

こんなクッソくだらねぇことで一日惰眠を貪り尽くそうと思っていた俺は、側頭部をシャイニングウィザードで襲われたのか!?

しかもなんだよこの祭典のラインナップはよっ!?

『北側の【鬼種】や【精霊】達が作り出した美術工芸品の展覧会及び批評会に加え、様々な【主催者】が【ギフトゲーム】を開催。

メインは【階層支配者(フロアマスター)】が主催する大祭を予定しております』だと……?クソッタレが……。

――――少しどころかめちゃくちゃ面白そうじゃねえかよ行ってみようかなオイ♪」

 

体を勢い良く起こすと、身支度をする。

脱いでおいた制服の上着を羽織り、頭にヘッドフォンがあるのを確認した。

しばしの間座りっぱなしだったので背伸びをし、体を解す。

 

「ま、ままま、待ってくださいっ!

北側に行くとしても黒ウサギのお姉ちゃんに相談してから……

……ほ、ほらっ!!ジン君も起きてよ!このままじゃ皆さんが北側に行っちゃうよっ!!?」

 

狐耳――確か、【リリ】という名だったはず――の少女が血相を変えて止めにかかってきた。

そして、その声に反応して今まで失神していた御チビが目を覚ました。

……なかなか丈夫な体してんだなリーダー……

 

「う、う~ん……北……?……って北側!?

ちょ、ちょっと待ってください!北側に行くって、本気ですか皆さん!?」

 

「ああ、そうだが?」

 

「当たり前でしょう?」

 

「揺るぎない事実」

 

「僕たちのコミュニティのどこにそんな蓄えがあるんですかっ!?

そもそも此処から【境界壁】までどれだけの距離があると思ってるのです!?

だから黒ウサギからも【火龍誕生祭】の事は秘密にと――――――」

 

「「「秘密?」」」

 

俺の他にもお嬢様と春日部も聞き捨てならないと反応した。

 

 

「……そっか。こんなにも面白そうなお祭りを秘密にされてたんだね私達。……ぐすん」

 

「コミュニティを盛り上げようと毎日毎日頑張っているのに……とても残念だわ……。ぐすん」

 

「ここらで一つ、黒ウサギ達に痛い目を見てもらうのも大事かもしれないなぁ……。ぐすん」

 

わざとらしい棒読みの泣き真似をする俺たちは三人そろって悪そうな笑みを浮かべながら御チビを見詰めた。

 

「……ねぇ、夜鶴は誘わないの?」

 

そんな中に春日部は口を開き始めた。

確かに夜鶴も誘わねぇとな。

 

「十六夜君を呼んでから行こうと思っていたのよ」

 

「うし、なら今から行くとするか」

 

俺は御チビを小脇に抱えると、夜鶴を誘いに夜鶴の家――【月光庵】だったか?――に向かって行った。

 

「ちょ、ちょっと待って下さいぃぃぃぃ!!!」

 

御チビの叫び声が尾を引いていた。

 

 

Side Out

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「……それで、北側まではどうやって行けばいいのかしら?」

 

「んー………でも北にあるっていうなら、とにかく北に走ればいいんじゃないのかな?」

 

「それはちょっと無謀じゃねぇか?

ともかく、我らがリーダーは何か素敵なプラン は無いのか?」

 

十六夜たちは俺を見ずにそんな話をしている。

俺がそんな三人をジト目になりながら見詰めていると、ジン君が苦笑しながら話を始めた。

 

「と、ともかく、夜鶴さんにも話をしたらどうですか?」

 

俺はジン君の言葉のおかげでやっと口を開くことが出来た。

 

「正直何事かわからないんだけど、とりあえず――――

――――俺はなんでドナドナ宜しく拐われているのかな?」

 

ロープでぐるぐる巻きになりながらそういった。

すると、十六夜たちは真顔になりながら口を揃えて開いた。

 

「「「仕方なく」」」

 

「なわけないでしょ!!」

 

俺は溜め息をひとつつくと、能力――【ギフト】でロープを切り刻んだ。

 

「……とりあえず、説明してくれるよね?」

 

「「「「……ハイ!」」」」

 

不機嫌オーラと、ともに微量の殺気を漏らすと、ジン君まで含めた四人が素直に首を縦に振った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「……と、言うわけです」

 

「ありがとうジン君。

そして、お疲れ様だね……」

 

ようするに……

・【火龍誕生祭】に行くぞ!↓

・夜鶴も誘わないと↓

・まだ寝てる……強制連行じゃ!!↓

・夜鶴がキレたから説明↓

・頭を抱える俺←今ここ!

 

ってわけなんだな……。

 

「……ハァ……別に拐わなくても着いて来たのに……」

 

なんというか……不器用だなぁ……。

俺がそんな事を考えていると、復活したのか十六夜が喋り始めた。

 

「ヤハハ。悪かったな夜鶴。

……にしても御チビ何か案は無いのか?」

 

いち早く復活した十六夜はジン君にそういった。

すると、ジン君はあちゃーという風に頭を抱えながら口を開いた。

 

「……やはり皆さんは北側の境界線までの距離を知らないのですね……」

 

「知らねえよんなもん。

なんだ、そんなに遠いのかよ?」

 

「説明する前に言いますが……箱庭の表面積が恒星級だという話を知ってますか?」

 

「……え?こ、恒星……?」

 

飛鳥は表情を驚愕に染めて素っ頓狂な声をあげる。

耀は声は上げなかったが表情を驚愕に染めて三回瞬きをした。

十六夜は驚かなかったのを見るとどうやら知っていたようだ。

勿論俺は白夜叉から話を聞いているから知っている。

 

「え、えっと……それで、ここから北側の境界線までどのぐらいある……の?」

 

飛鳥はジン君にそう聞いた。

すると、ジン君は考えるように顎に手をおき、しばらくするとこちらを向いて答えた。

 

「えぇっと……ここは少し北寄りなので大雑把でいいのなら……………980000kmぐらいかと……」

 

「「「……ウワァオ」」」

 

広さを知っている筈の十六夜ですら表情を驚愕に染めていた。

確かに桁外れな距離であるね……。

 

「……って、いくらなんでも遠すぎるでしょう!?」

 

飛鳥はその桁外れな距離にテーブルを叩きながら講義した。するとジン君がこれまた負けないくらいに叫び返す。

 

「遠いですよっ!

箱庭の都市は中心を見上げた時の遠近感を狂わせるようにできているため肉眼で見た距離と縮尺での距離との差異が非常に大きいんです!

だから、あの中心を貫く【世界軸】までの実質的な距離は眼に見えている距離よりもはるかに遠いんですよっ!!」

 

へぇ……それは知らなかったな……。

興味深そうに頷いていると、十六夜は面白そうに笑みを浮かべている。

 

「なら、【ペルセウス】のコミュニティに行った時みたいに外門と外門を繋げてもらいましょう」

 

「【境界門(アストラルゲート)】のことでしたら断固却下です!

外門同士を繋ぐにはお金がかかるんですよ!

【サウザンドアイズ】発行の金貨で一人一枚!

五人で五枚!

今のコミュニティの全財産とほぼ同等です!」

 

確かにそれは選べない。

コミュニティの土地を復活させたからと言ってもやはりお金は大切だからね……下手に使えない。

 

「今なら笑い話ですみますから……もう戻りませんか?」

 

ジン君は諭すような口調でそういったが、十六夜たちは手でバッテンを作って拒否をする。

 

「断固拒否する」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

ジン君が可哀想になって来たよ……。

今度からは黒ウサギだけじゃなくてジン君もフォローしてあげないと……。

 

「それにいざとなれば【規格外OF規格外】の夜鶴が居るしな」

 

「そうね。夜鶴君が居るものね」

 

「流石夜鶴だね。万能感が半端じゃないよ」

 

問題児たちの三者三様の答えにまた、溜め息をつく俺とジン君。

 

「頑張ろうね……ジン君……」

 

「……ありがとうございます夜鶴さん……」

 

優しく頭を慰めるように撫でた俺は間違ってはいないはずだ。

そんなことをしていると、十六夜が獰猛な笑みを浮かべながら左の掌に拳をぶつけた。

何かアイディアが浮かんだようだね。

 

「よし、こうなったら全ての元凶である手紙を送って来た【サウザンドアイズ】に殴りこみして責任取ってもらうぞコラ!」

 

「もらうぞコラっ」

 

良いアイディアとも言えないモノに耀は乗りながら続けた。

そして、十六夜はジン君を抱え【サウザンドアイズ】の支店に向かって走り出す。俺たちも十六夜の後に続いて行った。

 

 

 

【サウザンドアイズ】の支店まで走って来るといつもの女性店員が掃除をしている姿が見えた。

 

「お帰り下さいませ」

 

冷たく切るような声でいつも通り予想通りな言葉を発して来た。

 

「おいおい、俺たちはまだ何も言ってねぇぞ?」

 

「聞くまでもありませんのでどうぞ回れ右をして即刻お帰り下さいませ」

 

恭しくお辞儀をしているが、言葉が辛辣だ。

俺は最近買い物してるから仲良くなったと思ったんだけどなぁ……。

 

「私たちそこそこ常連客なんだし、もう少し愛想良くしてもいいと思うのだけれど?」

 

「そうですか、そうですか。

――今すぐ本当の常連客の皆さまに誠心誠意謝罪して下さい。

【常連客】というのは店にお金を落としていくお客様で、毎度、毎度、【換金】しかしない者は【取引相手】と言うのです」

 

「……確かにごもっともだね」

 

「しかし、夜鶴さんは【常連客】では無いにせよ【お客様】ではありますが……」

 

俺に向かって営業スマイルなのかはわからないが、笑顔を向けてくれる店員。

今度名前を聞いておかないとなぁ……。

 

「そうか。なら俺たちも大丈夫だな」

 

十六夜はそう言いながら無理矢理中に入ろうとしている。

そして、それを必死で止める女性店員の姿。

どう考えても店員を助けようとしか思えない絵だ。

 

「わ、私どもの店は【ノーネーム】お断りというルールですっ!!

オーナーが居るならともかく―――――」

 

「やっふぉぉぉいぃぃぃ!!!

ようやく来よったか小僧どもぉぉぉぉお」

 

頑張っている店員を他所に楽しそうな声を上げながら白夜叉……まぁ、店員が言うオーナーが現れた。

そして、そのまま俺の胸にダイブしてきた。

 

「……ぶっ飛んで現れなきゃ気がすまないのか、ここのオーナーは」

 

「……………」

 

哀しそうに疲れたように頭を抱える店員。

苦労しているなぁ……。

 

「むむむ……?なんじゃ今日は男か夜鶴よ」

 

「……当たり前でしょ?俺は男なんだから」

 

「ふむ……まぁ良い。このまま抱えておいてくれ」

 

白夜叉はそういうとすっぽりと俺の腕に収まった。

 

「とりあえず、店の中に入れ。

話はそれからだ」

 

キメ顔で白夜叉は言ったのだが、その場所が俺の腕の中だというのが残念だ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

通されたのは見慣れた白夜叉の私室。

勿論白夜叉はいつもの上座に座っているし、俺は十六夜たちと座っている。

 

「白夜叉、これ招待ありがとう。

けど、どうやって北側に行くのか分からなくて……」

 

「よいよい。その為に此処まで来たんだからの。

……して、本題の前に一ついいかの?」

 

その時の白夜叉の顔は今まで見た中で一番真剣で厳しいモノだった。

 

「なんだ?」

 

「簡単な事だ。

……おんしら【ノーネーム】は【フォレス・ガロ】との一件以来、【魔王】に関するトラブルを引き受けるという噂がまことしやかに囁かれているのだが………真か……?」

 

「ああ、その話ね?それなら本当よ」

 

「……ふむ……そうか……。

……ジンよ、それはおんしの【コミュニティのトップ】としての方針か?」

 

白夜叉の視線を受けながらも、ジン君は怯むことなく受け答えをする。

 

「はい。【名】と【旗印】を奪われた今、コミュニティの存続を手早く広める為には、これが一番の方法と思いましたから。

……無論、覚悟の上です」

 

「それは魔王を引き付けるリスクを分かっての上でか?」

 

「二言は無いです」

 

「無関係な魔王とも敵対するかも知れぬのだぞ?」

 

白夜叉の追求に十六夜はジン君の肩を抱きよせ代わりに答えた。

 

「くどいぜ白夜叉。

それこそ願ったり叶ったりだろ?

倒した魔王を隷属し、より強力な魔王に挑む【打倒魔王】を掲げるコミュニティ―――――【ネームバリュー】としてこれ以上のものはこの箱庭の何処を探しても無いと思うぜ?」

 

「それに、いざとなれば――――俺が出るから大丈夫だよ。

最強の神様舐めないで欲しいな」

 

俺と十六夜の言葉に笑みを浮かべながら頷いた。

 

「…………ふむ……そうか。そこまで言うのなら良い。

これ以上は要らぬお節介になるだろう」

 

「ま、その通りだぜ。

――さて、本題は何なんだ?」

 

白夜叉の言葉に満足そうに笑うと、十六夜は話を切り替えさせた。

 

「うむ、そうじゃなそろそろ本題に入るとしよう。

実はその【打倒魔王】を掲げたコミュニティに、東の【階層支配者(フロアマスター)】から正式に頼みたい事がある。

此度の共同祭典についてだ。

宜しいかな?ジン=ラッセル殿」

 

「……!!は、はい!謹んで承りますっ!」

 

ジン君の顔にはリーダーとしての表情が浮かんでいた。

だんだんとリーダーらしくなってるなぁ……。

 

「まず、北の【階層支配者(フロアマスター)】の一角が世代交代したのを知っているかの?

なんでも急病で引退とか……まぁ、【亜龍】にしては高齢だったからのう……寄る年波には勝てなかったということだ。

此度の大祭は新たな【階層支配者(フロアマスター)】である【火龍】の誕生祭での」

 

「「「龍?」」」

 

十六夜は興味津々に、飛鳥、耀は首をかしげた。

確か純血ならば、箱庭の【最強種】になるんだったよね……。

 

「五桁・五四五四五外門に本拠を構えるコミュニティ【サラマンドラ】、それが北の【 階層支配者】の一角だ。ところでおんしら、【階層支配者】についてどのぐらい知っておる?」

 

「私は全く知らないわ」

 

「私も」

 

「俺はそこそこ知ってる……というかアンタが教えただろうが」

 

「俺も白夜叉に教えて貰ったし、黒ウサギにも聞いたね」

 

「ん?そうだったかのぉ~」

 

白夜叉はとぼけたかのような態度をとっていたのだが……少しイラっとするね。

十六夜も口角をヒクヒクさせている。

 

「【階層支配者(フロアマスター)】は箱庭の秩序の守護者、下層コミュニティの成長を促すために設けられた制度だ。

主務は箱庭内の土地の【分割】・【譲渡】・【コミュニティが上位の階層に移転できるかどうかを試す試練の開催】などだな」

 

十六夜は俺を見ると説明を止めた。

おそらく俺が続けろという意味なのだろう。

……仕方ない……俺がしないとな。

溜め息を吐きながら口を開いた。

 

「……そして、魔王が現れた際には率先して戦う 義務がある。

その義務と引き換えに【階層支配者】には膨大な権力と最上級特権である【主催者権限】を与えられるだったよね?」

 

「はい。

しかし、北は複数のマスター達が存在しています。

【星霊】に【鬼種】、それに【悪魔】と呼ばれる力ある種が混在した土地であるが故に、治安もあまり良くないですから……」

 

ジン君はそう付け加えたが、その表情は悲しそうだった。

おそらく何かがあったのだろう……。

 

「【サラマンドラ】とはかつては親交は有りましたが……頭首が替わっていたとは知りませんでした……。

今は何方が頭首を?やっぱり長女の【サラ】様か次男の【マンドラ】様が」

 

「……いや、当主は末の娘の……【サンドラ】が【火龍】を襲名した」

 

ジン君は小首を傾げたのだが、刹那、驚愕の声をあげ白夜叉に向かって身を乗り出した。

び、びっくりしたぁ~……。

 

「さ、サンドラが!?

そんな、彼女はまだ十一歳ですよ!??」

 

「あら、ジン君だって十一歳で私たちのリーダーじゃない」

 

「い、いや……【ノーネーム】のリーダーと、【階層支配者】じゃ重みが違うよ飛鳥……」

 

真顔で言った飛鳥につい突っ込んでしまった。

白夜叉も確かにのと笑っている。

 

「それで?俺達に何をして欲しいんだ?」

 

十六夜は核心を突くような質問をした。

すると、白夜叉も笑うのを止めて口を開いた。

 

「あぁ、今回の誕生祭は次代マスターのサンドラのお披露目も兼ねている。

じゃがまだその幼さ故、東の【階層支配者】の私に共同の主催者を依頼してきた」

 

「北には他のマスターもいるのでしょう?

なら、そのコミュニティにお願いして共同主催すればいい話じゃない?」

 

「うむ……。まぁ、そうなのじゃが……」

 

隠す訳ではなくぼかすかのように語尾を濁す白夜叉。

まぁ、白夜叉は隠す気は無いようだから順を追って語られるだろう。

 

「実は、東のマスターである私に共同祭典の話を持ちかけてきたのも様々な事情がな……」

 

「ちょっと待って、その話長くなる?」

 

「……ん?そうだの……少なくともあと一時間ほど は掛かるかの」

 

慌て始める十六夜たち。

確かに一時間もあれば黒ウサギに見つかってしまうだろう。

すると、ジン君は必死で叫び声をあげる勢いのまま言葉を発した。

 

「し、白夜叉様っ!!!どうかこのまま――――」

 

「やらせないわよジン君、【黙りなさい】!」

 

飛鳥は【威光】によりジン君を黙らせた。

それを見た十六夜は雷光の如し反応で白夜叉に告げる。

まさにナイスコンビネーション。

 

「白夜叉!今すぐ北側へ向かってくれ!

依頼は必ず受けるし事情も追々話す!

その方が面白いからな!!!」

 

「む、むぅ……?本当に内容を聞かずに―~」

 

「いいから早く!なんなら――――――後で夜鶴になんでもさせるから!!」

 

「よしキタァァァァァ!!

その言葉忘れるなよ小僧!!」

 

「い、十六夜ぃぃぃ!!!!

俺を勝手に条件に組み込まないでくれないかなっ??!!」

 

十六夜は俺を見ると指を立ててグッジョブとしてきた。

白夜叉に至っては嬉々としながら両手を前に出しパンパンと柏手を打っている。

あぁ……確実に白夜叉からヤラれるな……。

俺は肩をガックリと落とした。

 

「……ふむ……北側に着いたぞ」

 

「「「―――……はっ?」」」

 

ポカンとした表情の十六夜たち。

白夜叉の移動方法に驚いたのだろう。

 

そして、しばらく放心していた十六夜たちだったが、未知なる場所への好奇心故か白夜叉に構わず外へと向かった。

 

「……ハァ……十六夜後でボコる……」

 

俺はそう呟きながら白夜叉と共に十六夜たちの後を追って行った。

 

「フフフ……楽しみじゃの……ジュル」

 

……白夜叉の呟きなど聞こえていない。

聞こえていないったら聞こえていない。

 

 

 

 

 




犠牲になった夜鶴なのでした(笑)

それにしても受験怖いよ~!!

そして毎度の夜叉猫の料理話!!
今日は久しぶりに簡単なクッキーを焼いてみました!!
コーヒーに合いますね~♪
私はコーヒーはブラック派ですが皆さんはどうですか?

感想などお待ちしていますね♪
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