【凍結】問題児たちにチートが紛れ混んだそうですよ?   作:夜叉猫

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さぁ、耀編のラストでございます!!
皆さんが楽しんで下されば私も嬉しいですっ!!

まだまだ至らぬ点が多数ありますが、どうぞ宜しくお願いいたします!


それでは、耀編のラスト、本編をお楽しみ下さいませ!


~春日部 耀 なんだそうですよ?Ⅴ~

「お疲れ様!夜鶴!」

 

「うん。ありがとう、耀」

 

舞台であった街から出ると嬉しそうに笑う耀に出迎えられた。

俺はそんな耀の頭を優しく撫でながら今更ながらに勝って良かったと思う。

と、俺と耀が勝利に喜んでいると、

 

『それでは、見事勝利されました不知火夜鶴様、春日部耀様のペアは前方にございますステージまでお越し下さいませ』

 

【オーネ=スロイ】による俺と耀を呼ぶ声が聞こえてくる。

 

「行こうか、耀」

 

「うん」

 

互いに顔を見合わせると短くそう言い、ステージの方へと足を運んでいった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「それでは改めまして……不知火夜鶴様、春日部耀様第二のゲーム勝利おめでとうございます。

お二人は最後のゲーム―――【想い】を示すゲームへの挑戦権を獲得されました」

 

【オーネ=スロイ】は静かな口調でそういった。

ステージ上には俺と耀、そして【オーネ=スロイ】のみが上がっている。

その周りを囲むように観客席が広がっている。

 

「早速最後のゲームを開始させて頂こうと思いますが……お二人様方、準備は宜しいでしょうか?」

 

「はい。大丈夫ですよ」

 

「私も大丈夫」

 

俺と耀は短く返事をして気を引き締めた。

最後のゲーム、一体どのようなモノなのだろうか……。

俺はちらりと隣にいる耀の顔を見た。

引き締まった表情にはこれでもかというほどにやる気を感じる。

 

「了解致しました。

それでは、最後のゲームを始めるにあたって勝利条件、つきましてはクリア条件の説明に移らせて頂きます」

 

【オーネ=スロイ】は後ろ手に手を組むとしばしの間を空けて口を開いた。

 

「………最後のゲームのクリア条件はとても簡単でありとても難しいモノです。

そのクリア条件とは―――」

 

そしてまた、しっかりと間を空けて、

 

 

 

「―――自分の持つ相手への【想い】の告白、で御座います」

 

 

 

【オーネ=スロイ】は淡々と、しっかりと、そういったのだった。

 

(……成程……確かに簡単だけど難しい……。

お互いの気持ちをこの群衆に囲まれながら伝えるなんて困難にも近しいね……)

 

俺は【オーネ=スロイ】の提示したクリア条件について軽く思考して、その結果を出す。

 

「それでは、不知火夜鶴様、春日部耀様、最後のゲーム開始と致します。

なお、制限時間は三十分となりますのでご了承下さいませ」

 

【オーネ=スロイ】はそう言うとステージ上から姿を消した。

辺りはしんと静まり返っている。

隣にいる耀は俯き、声も発さない。

 

(あぁ……このゲーム……クリア出来ないかもしれない……)

 

俺は箱庭に来て初めてマイナスな思考をしてしまった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

Side 耀

 

最後のゲームが開始されてどれほど経ってしまっただろうか……。

五分?十分?

もしかしたらそれ以上かもしれない。

 

(想いの……告白……)

 

私はその言葉を心の中でリピートする。

勿論、何をすればいいのかくらい分かる。

しかし……

 

(……怖い)

 

そう。ただただ怖いのだ。

十六夜にあそこまでしてもらったのに、それでも怖い。

拒否が、否定が、拒絶が。

体が、震える。

 

(……だけど……)

 

私は手を握り締めた。

 

(怖がってばかりじゃ何も始まらない……!)

 

自分を叱咤するかのようにその言葉を強く、強く心に刻む。

そして私は、夜鶴の隣から一歩足を進めた。

もう後戻りなんて出来ない。

ここから先は一方通行。

私の想いを最愛の人(夜鶴)に伝えよう。

 

 

Side Out

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

開始から十五分程が経った頃だろうか。

今まで俯いて動かなかった耀に変化があった。

自分の手を力強く握り締め、前に歩き始めたのだ。

そして、三メートル程の間を空けて俺の方を向いた。

耀の顔には迷いなどなく、何かを決意したような凛々しい表情を浮かべている。

耀は深呼吸をするとゆっくりと口を開いた。

 

「……待たせちゃってごめん夜鶴」

 

「いやいや、全然待っていないよ。

そもそも俺が待たせたようなものだしね……」

 

耀が口にした謝罪の言葉に俺は、そう返した。

 

「本当だよ夜鶴。

私、凄く待たされた」

 

耀は頬を膨らませてそういったかと思うとすぐに真面目な顔をして、

 

「―――だから、良いよね?」

 

何かを確認するようなそんな言葉。

俺は首を縦に振るという仕草で肯定する。

もしかしたら俺に言ったのでは無いかもしれないが、俺が返事をしなければいけないとそう思ったのだ。

 

「……こんな場所で言うなんて恥ずかしいけど……今言わないと永遠に言えない気がするから……言うね」

 

耀は目を閉じてひとつ息を吐く。

しばしの静寂の後に、耀は目を開いた。

 

 

 

 

「―――私は、夜鶴が、好き」

 

 

酷く静かなステージ上に耀の声が響いた。

聞き逃すことなどまずありえない、よく透き通った声で。

 

「私が一番じゃなくても、二番じゃなくても……最後でも良い」

 

「………うん」

 

「愛してるとも好きだとも言ってくれなくても構わない」

 

「……うん」

 

「だけど、ひとつ……私の我が儘を聞いてくれるのなら―――夜鶴の傍に居させて欲しい」

 

耀の手は胸の前で組まれ、何かに祈りを捧げるかのようだった。

 

 

「私は不知火夜鶴が大好きです……っ」

 

 

目尻にはうっすらと涙を浮かべながら、耀は笑った花のように。

 

(あぁ……俺はこんなにも愚かだったのか……)

 

こんなにも耀を待たせ、そして苦しめた……。

あの涙も無意識に流したモノなのだろう。

俺は自分の愚かさに怒りすら湧いてくる。

 

(……耀がここまでしてくれたんだ……誠心誠意しっかりと答えよう……!)

 

俺はそう心の中で叫ぶと、ふぅ、と息をひとつ吐いて、口を開いた。

 

「……ありがとう、耀。

こんな愚か者を好きだと言ってくれて」

 

「……私の本当の気持ち」

 

「……うん。伝わったよ。耀の気持ち。

だから、しっかりと答えようと思う」

 

耀は俺の言葉に体を強ばらせた。

緊張。耀の体を襲っているのはそんな生易しいモノでは無いだろう。

俺は一歩一歩耀の方へと近づいていく。

そして、俺が目の前まで来ると耀は何かを怖がるように目をきつく閉じた。

そんな耀の頬を優しく撫でながら俺は、

 

 

 

「―――俺も好きだよ、耀」

 

 

 

受け入れる(最低な)言葉を囁いた。

 

「こんな愚かで、小心者で、最低な俺でも良いって言ってくれるのなら、俺は君も愛そう」

 

耀は恐る恐るといった風に目を開けて俺を見詰める。

 

「……それでも、良いかい?」

 

我ながらこの言葉は意地が悪いと思う。

好きだと伝えてくれたのにそれをまた確認するようなモノなのだから。

 

「……うん。良いよ。

私は夜鶴が優しいって知ってるから」

 

耀は悩むこともなくそう答えた。

 

(耀は、俺には勿体無いくらいだ……)

 

だからこそ、俺は全身全霊で耀を、春日部耀という少女を幸せにしなければならないのだ。

 

(……いや、『しなければならない』じゃないね……『したい』だ……)

 

そして、俺と耀は自然と顔を近づけ口づけを―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不知火夜鶴様、春日部耀様。

最後のゲーム、クリアで御座います」

 

―――――することは出来なかった。

突然俺と耀の真横に出現した【オーネ=スロイ】は淡々とゲームクリアを告げてくる。

というより途中からゲームだということを忘れていた。

 

「はうぅ~……」

 

耀もどうやら忘れていたらしく顔を真っ赤にして頭を抱えている。

 

「あははは……」

 

俺も少々顔が熱いが、まぁ自業自得ということでひとつ。

 

 

閑話休題

 

 

少し経ち、落ち着いて来た俺と耀に【オーネ=スロイ】は少し微笑みながら、

 

「それでは最後のゲームをクリアされました不知火夜鶴様、春日部耀様に賞品の贈呈をさせて頂きましょう」

 

そう言うと二つの小さな箱を虚空から取り出した。

 

「こちらの賞品は【永遠の絆への祝福(エンゲージリング)】というギフトでございます」

 

俺と耀は箱をひとつずつ貰いその箱を開けてみる。

箱の中にはシンプルながらも美しい指輪が入っていた。

 

「不知火夜鶴様の方の指輪には必要無いかもしれませんが転移の効果が、春日部耀様の方の指輪には守護の効果がそれぞれ付随しております」

 

効果としてはあまり必要ないが、指輪としての価値なら相当な物だろう。

それに、耀が嬉しそうだ。

やはり指輪というのは女性にとって特別な物なのだろう。

俺は耀の姿を微笑みながら見詰める。

 

「お二人に永久の幸せがあらんことを」

 

【オーネ=スロイ】は俺と耀にそう告げると会場にいる全ての人々にゲームの終了を告げた。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

夕日に染まった街並み。

どこか素朴さを感じるのは下層だからだろうか。

そんな街並みを見下ろせるような高台に俺と耀はやってきていた。

しばらくお互いに無言でいると、耀が何かを決心したように口を開いた。

 

「……ねぇ、夜鶴」

 

「ん?なんだい?」

 

耀の顔には緊張したような、そして恥ずかしそうな表情が浮かぶ。

 

「さ、さっきの……続きがしたい……」

 

そういった耀の顔は真っ赤に染まっていた。それはまるで夕日のように赤く紅かった。

 

「駄目……かな……?」

 

上目遣いに俺を見詰める耀。

その姿が可愛らしくて可愛らしくて、とても愛おしい。

俺の体はそんな耀を見て自然と動き出していた。

 

「……目、閉じて?」

 

「ん……」

 

耀は俺の言葉に素直に応じてゆっくりと目を閉じた。そんな耀の顎を手で軽く持ち上げ、

 

 

 

―――――チュッ。

 

 

 

優しく口づけをした。

唇を触れ合わせるだけの浅い浅いキス。

耀は自分の唇を指でなぞりながら幸せそうに微笑んだ。

 

「ずっと一緒に居てね、夜鶴?」

 

「―――うん。耀が望むならいくらでも」

 

そう言って俺と耀はもう一度口づけを交わした。

今度は少しだけ長かったような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか?
もし、楽しんで下さったのなら嬉しいです!

さてさて、次回は誰のお話に致しましょう……
恋愛編はひとまず後3人で終わります!
そしてのちのちに他の人達も攻略されたりされなかったり……(笑)
皆さんが楽しんで読むことができるように頑張ります!

さぁ、皆さんは残りの3人を予想出来るでしょうか……?


それではまた次回お会いしましょう♪
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