頑張って続けようと思うので気楽に読んでくだされば嬉しいです。
「お前を取り巻く面倒が終わったんだ」
木原相似を
垣根帝督が一方通行の演算データを手に入れるために起きた『暗闇の五月計画』の生き残り杠林檎をめぐる戦いが終わった。
「終わったならさっさと撤収しない?」
後から駆けつけて二人の様子を見ていた
「まて、その前に木原相似が林檎に埋め込んだ
そう言いながら『スクール』のメンバーである誉望万化に木原相似のパソコンからデータを抜き出すよう指示を出す。
指示を受けた誉望も慣れた手つきでデータを探っていく。
しばらく無言でキーボードを操作した後「データ出ます」と短く告げられた言葉を聞き垣根がパソコンの画面を覗きこむ。
「ふん、やっぱ完璧には程遠いか……あん?」
画面上のデータに目を通していた垣根は一方通行の能力データに関係ないプログラムを見つけた。
「自壊プログラム?」
垣根が呟くと同時に後ろからドサッという音がした。
瞬間『スクール』の全員が音の発生源すなわち杠林檎に顔を向けた。
「林檎!?」
声を上げて真っ先に駆け寄ったのは垣根だった。
素早く、それでいて普段では考えられない程優しく杠を抱き起こした。
「どういう事?」
次に行動したのは心理定規。一瞬の驚愕の後冷静に誉望に状況を確認する。
誉望もすぐに我に帰りキーボードを操作することで杠に起こった異変の原因を突きとめた。
「これは……特定条件下における臓器への機能停止命令!? おかしい、このプログラムだけどう見ても合理性がない。記述式そのものが木原相似の基本プログラムからはずれてる」
「クソが! おい、機能停止命令の解除はできねぇのか!?」
「ここの設備じゃできるかどうか……」
そうしている間にも垣根の手の中で杠の体からはどんどん力が失われたていく。
「垣根、お願いがあるの……」
「なに死にそうなこと言ってんだ」
杠の弱気な発言を遮り手を握る。
「ふざけんじゃねえぞ! そうやっていつも何もかもを奪えると思ってんじゃねえ!」
自らの腕の中で力なく目を閉じ命を閉ざす寸前の杠をみて過去を思い出し垣根は叫ぶ。
「テメェも勝手に諦めて何満足そうな顔してんだ! 俺を誰だと思ってやがる!? 学園都市第2位の超能力者『未元物質』だぞ!」
垣根の頭の中で状況を打破するための全力の演算が開始された。同時に無意識に垣根の背中に六枚の白い翼が展開される。
学園都市第2位の頭脳が総動員され今までにない速度で『未元物質」を
理解し発展させていく。
(俺の未元物質に常識は通用しねえ!)
いつからか口癖になっている言葉を心の中で叫び、杠の体に未元物質で干渉していく。殺す為ではなく救うための人体への未元物質による干渉など初めての試みであり垣根の演算能力を持ってしても難易度の高い作業になり一歩間違えれば未元物質が杠を殺すことになる。
(止まった臓器の機能を未元物質で代替する。……杠林檎という人間の全てを掌握し、全臓器を把握……完了。未元物質により各臓器の半分を人体に無害な物質に分解、同時並行して未元物質で代替となる物質を生成し臓器を再構成して動きを再開させる…………)
そばにいる誉望、心理定規の二人はかつてない集中力で能力を使用している垣根をじっと見ている。いや、正確には今は動かずに見ていることが正解であると理解している。二人ともそれなりの能力者である。能力の使用において演算がどれだけ重要なものかをよく理解している。だからこそ今の垣根には声をかけることはおろか少しでも動いて集中を乱すことさえ許されないのだ。
そして、永遠とも思える緊迫した時間に終わりがくる。
(臓器の再構成……完了。臓器機能回復……成功)
ふぅ、と息を吐き垣根の背から白き翼が霧散する。
腕の中にいる杠に目をやり呼吸を確認すると弱っているが確かに息をしていた。
「か、垣根さん、どうスっか?」
「バァカ、俺を誰だと思ってやがる」
「成功したのね」
「あの状況から助けるとか普通は無理っスよ!」
「普通はだろ? 俺の未元物質にその常識は通用しねえ」
「かきね?」
垣根が能力の使用が終了したのをみて話しかけてきた二人と話をしていると抱き抱えていた杠が目を覚ました。
「よお、死に損なった気分はどうだ?」
「たすけてくれた?」
「ンなわけねえだろ。俺はこれを仕組んだクソ野朗の思い通りになるのが気にくわなかっただけだ」
「それでもありがとう」
「ハッ、おめでてえヤツだな」
「じゃあ、今度こそ帰らない?」
「そうっスね。手に入れた情報はまとめておきます」
「だな。まあ一応成果はあったし帰るか」
「わたしは、ッあああああァァッ──────! !」
それは突然だった。順調に回復したかに見えていた杠の言葉が最後まで発せられことはなく突如苦しみだし絶叫を上げ、意識を失った。
「なんなんスか!? 」
「プログラムが完全に停止してなかったの?」
「そんなヘマするかよ! 未元物質で置き換えた臓器にそんなもんが効くわけねえ!」
言葉を返しつつすぐに未元物質を使い杠の体をしらべていく。
(こいつは……未元物質の拒絶反応か? 未元物質そのものが意思を持っているかのように動き、林檎の体を侵食しようとしてやがるのか? ……どうする、未元物質を取り除くのが最適だが臓器の機能を代替させている現状では不可能だ。仕方ねえ……)
状況を把握した垣根は次の行動を決め未元物質の翼を出し飛翔する。
「どうする気?」
「第七学区の病院に向かう」
「
垣根を見上げながらどうするのか訪ねた心理定規は返ってきた言葉を聞くとすぐに目的にあたりを付けた。確かに『神の摂理さえ曲げる』とされれ医者ならばどうにかするかもしれない。しかし……。
「いいの? あそこには今、一方通行が入院してる。もし鉢合わせたら……」
「問題ねえよ。あの第一位サマはいちいち他のlevel5の顔なんて調べちゃいねえよ」
垣根帝督が現状越えるべき
確証があったわけではない。それでも垣根には確信していた。
「……わかった。 病院にはこちらからできる限り手を回しておくわ」
心理定規がそれをどう受け止ったかはわからないが彼女は納得し自分のできることをすることにした。
「まかせた」
一言短い言葉を残し垣根は杠の体に負担がかからないようにしながら全力で飛び去った。
楪林檎を救うため行動する垣根帝督。果たして楪林檎は救われるのか?次回
登場人物紹介
垣根帝督
本作の主人公。学園都市に七人いるLevel5第二位の超能力者。この世に存在しない物質『未元物質』生み出しを操り、その能力は物理法則ではあり得ない現象を引き起こす。本来であれば未元物質による人体細胞の構築は木原病理の研究によって行えるようになるが楪林檎を助けるための全力の演算により完璧ではないができるようになりつつある。
暗部組織スクールに所属しリーダーをしている。
一方通行にかわりアレイスターの進めているプランのメインプランとなりアレイスターとの直接交渉権を手に入れようとしていたが本作では……
杠林檎
とある科学の未元物質にて登場した少女。『暗闇の五月計画』の生き残りである。実験の中で他の被験者と同様に一方通行の思考と演算パターンを植え付けられているが能力値が安定せず普段はLevel1、2の念動力者でしかない。しかし、強い負荷がかかると能力の出力が上昇する。上昇した際の力はLevel4くらしとなり垣根をして、まるでベクトル操作だな、と言わせるほど。絹旗最愛や黒夜海鳥と同じく能力使用中は一方通行の思考や口調に引っ張られ普段のおとなしい性格とは別人のように凶暴になる。
過去に実験施設で見た垣根に憧れており。未元物質の翼を素直にキレイと言う。
本来は命を落とすはずだったが本作では……
心理定規
暗部組織スクールのメンバー。組織内では垣根に次ぐナンバー2のような立ち位置にいる。
能力は他人との心理的距離を操ることができる。
本名は判明しているが現段階では能力名での紹介とする。
誉望万化
暗部組織スクールのメンバー。かつて垣根に挑み返り討ちにされた過去がありその後スクールに所属することになった。垣根に対しては強いトラウマがある。
Level4の大能力者であり能力は
木原相似
とある科学の未元物質に登場した木原の一人。木原数多と共にいる場面を描かれていた。サイボーグ技術をメインに研究している。楪林檎を攫うさいにDAアラウズを利用していたため個人的な部隊を持たされてはいないと思われる。
垣根帝督の未元物質により人体を砂にされ死亡した。
研究していたサイボーグ技術は後に黒夜海鳥に利用されていた。
黒夜海鳥
楪林檎同様に『暗闇の五月計画』の被験者にして実験をしていた研究者を皆殺しにして計画を頓挫させた張本人。
Level4の大能力者であり窒素を利用した