社畜の俺がコナンの世界でも社畜になってしまった件について 作:願わくば神様転生でチートをかましたい
このタイトルこそがかなりネタバレなので。
あと感想を書いてくれた方々ありがとうございます!
かなり心の支えになりました。
訳あって返信はできませんが、きっと話が進めば返信できるはず...
評価と感想とお気に入り登録者数が増えてると見てくれている人がいるって思えて頑張れるんですよねぇ。
母さんの話を聞いてから一月が経ち、七月になった。
しとしとと降っていた雨もやみ、すっかり梅雨も明け、爽やかな青空が広がっている。
あんな話をした翌日、母さんは何事もなかったかのように笑っていて、俺もあの話をぶり返したくなかったから何も言わなかった。
...だけど、本当はちゃんと聞いた方がいいのだろう。
絶対に今後俺が通るべき道なのだろうし、母さんが言っていたことは避けられないのだろうから、今のうちに心の準備をしておくべきだとは思う。
...でも、俺は怖い。
中身が三十代のいいおっさんが怖気ずいてんなよっていう話なんだろうが、あの時の母さんの狼狽えっぷりは尋常じゃなかった。
メンタル豆腐の俺が今、何の耐性もないうちに聞いて今後に影響が出るくらいなら、少しでも精神面を鍛えてから聞いてからの方がいいと思った。
......簡単な話、逃げてるだけなんだけどな。
母さんもあまり触れて欲しくなさそうな雰囲気を醸し出してるから、それに便乗しておこうという魂胆さ。
...笑えるよな。
でもまぁ、ウジウジ考えてたってしょうがないさ。
俺は今できることを精一杯して、母さんが話してもいいと思えるような大人に早くなろう。
今できること?
んなもん決まってるだろ。
藤を愛でるんだよ。
あと強いて言うなら勉強と読書かな。
小学生とか中学生レベルの勉強じゃなくて、もっと専門的な勉強。
爆弾の解体方法とか、人間の急所とか、護身術とか。
...ほらコナンの世界って一年に一回か二回ぐらいの確率で連続爆発物関連が関わってる事件とか、超有名な建物とか公共の場にたくさん爆弾仕掛ける事件とかが起こるじゃん?
だから簡単な爆弾ぐらいは解体できるようになっておきたいなぁって思ってさ。
......普通のモブはきっと、爆発物の解体方法なんて知らないんだろうけどね。
俺、色んな意味で普通じゃないから。
前世の記憶持ってるし、社畜だったし、『百夜家』なんか闇深そうだし、母さんが原作キャラにむっちゃ関わってるし。
......巻き込まれそうだなぁって思ってね。
早死にはごめんだからな、もしそういう事件に巻き込まれたらちゃっちゃっと解体してとんずらしたら俺も助かるし、周りも助かるし、俺も見殺しにしなかってことで嫌な気持ちにならずに済むしWin-Winじゃん?
それに爆弾の解体の仕方を知っているなんてことを話さなかったらバレようがないし、持っててもいらないなんてことの無い技術だしな。
ここは死神が住まう世界で、なぜか犯人が銃刀法違反っていう法律を知らなくて、謎に爆弾をよく設置されるような『米花町』っていうとんでもない町に住んでるから。
自分が死なないように色々覚えておこうと思って。
それに、俺だけではなく藤や母さんにも事件に巻き込まれてほしくない。
一概に治安がいいなんて言えない米花町に住んでるんだから自分の身も家族の身も守れなくてどうすんだって思って護身術もじいやから習ってる。
じいやは俺の専属執事でもあるんだけど、実はボディーガードでもあるんだよね。
自分で言うのは何だけど、所謂金持ちのボンボンじゃん?
誘拐犯とかも結構いるんだよね。意外と。
誘拐犯が大体男だから男の急所蹴り上げてじいやにバトンタッチしたり、実際に誘拐されてじいやが助けに来たり......なんてことを繰り返していて、流石に身の危険を感じたから護身術を習ってるっていう訳。
あまりにも俺を狙う誘拐犯が多すぎて警察官と仲良くなっちゃった。
目立ちたくないのになぁ。
すっげぇ目立ってる。
警察の間ではよくさらわれる子なんて思われてるみたいだし。
いや実際そうなんだけどさ。
不名誉すぎるよ。
...最近さらわれた時なんか自力で犯人捕まえちゃったしさぁ。
...この前は全員制圧して交番まで引きずっていったしさぁ。
もう...なんか...ここが米花町なんだって再認識しちゃうよね...。
じいやに護身術もとい急所一突きの一撃必殺系の体術を習ってから確実に俺は強くなった。
自分の細くて小さい腕からは考えられないほど力がついたわ。
......もうどうにでもなれ。
なんて平和(?)な日常生活を送っていたわけなんだけど、ついに!ついにだ!
あんのクソ親父vs最強弁護士英理さんの裁判が行われるんだ!!
あぁ、長かったなぁ。
時々英理さんが家に来て話し合いという名のガールズトークをぶちかましたり、逆に英理さんの事務所に母さんが行って証拠の確認を行ったり。
いつでも裁判はできる状態で英理さんに待機してもらっていたのだが、やっと母さんの仕事が一段落つきそうだというので、母さんの誕生日から一日開けてその次の日に裁判を行うことに決定した。
つまり、今日から三日後っていう事ね。
明日は母さんの誕生日だから。
母さんは百夜家の当主でもあり、代表取締役でもあるため、明日は盛大なパーティーを行う予定だ。
俺はそういったパーティー系は嫌いだけど、母さんのためだからちゃんと出席する。
ちなみに今は明日着ていく衣装を決めているところだ。
主役の母さんがペアルックもどきをしたいと言ったので、母さんが着るドレスと同じような色の衣装を選んでいる最中なのだ。
ペアルックとか恥ずかしすぎる。
でも母さんがどうしてもしたいっていうし、今回に始まったことではないから了承する。
前回もペアルックもどきでパーティーに出席したのだ。
羞恥心に殺されるかと思ったけど、慣れって怖いね。慣れたら何も思わなくなったよ。はは。
裏返したら諦めたっていう事なんだけどな。
そして、なんと今回のパーティー。
工藤家、毛利家、鈴木家、そして黒羽家も参加するとのこと。
......泣いてもいいかな。
...いいよね。俺には泣く権利があると思う。
英理さんは分かるよ?
だって母さんの誕生日の次の次の日が裁判なんだし、なんだかんだ言ってもすっげぇ仲いいんだもん。
英理さんはしょうがないと割り切れるし、蘭ちゃんも...まぁ...まだ分かる。
鈴木家も分かる。
あそこはお互いに仲良くしてるみたいだし、鈴木のじいさんと母さんが一緒にご飯食べたり、鈴木夫妻、つまり園子ちゃんのお父さんとお母さんね、彼らとも仲が良かったと記憶している。
俺は一緒にご飯とかマジで無理だけどな。
同じ大手の経営者っていう事で分かるんだよ。
...問題は工藤家と黒羽家だ。
工藤夫妻や、あんたら外国にいるんじゃなかったか?
戻ってくるの早くない?
有希子さんが母さんと親友っていうのは最近知ったけど、前回来てなかったじゃん。
前来てなかったんなら今回も来んなよ。
しかも「新一君も来るんだって」ってどういうことなの母さん。
早くもこの世界の主人公とエンカウントなの?ねぇ。
相手が二歳児、今はもう三歳だっけ?年齢はどうでもいいけど、なんで会うんだよ。
「有希ちゃんね、紫陽に会うの楽しみにしてるんだって」だって?
やめてよ、怖いよ。俺はモブでいてはいけないのか?モブになるんじゃねぇってか?
有希子さん、頼むから俺に興味を持たないでくださいお願いします。
あなたが俺に興味を持ったらきっとあなたの旦那さんも俺に興味を持ってしまうんで。
......んで次の問題は黒羽家な。
黒羽家っていうか、黒羽盗一が余興でマジックを披露してくれるらしいんだけど。
そのついでに家族も連れてくるらしいんだよ。
俺というコナンのファンからしたら本物の黒羽盗一のマジックショーが見れるわけだし、いずれ死ぬ彼に会える最後の機会なんだろう。
...でもさ、別に明日じゃなくてもじゃなくてもいいじゃん。
なんでも彼とも個人的な知り合いなんだって。
母さんの交友関係どうなってんのさ。
こんなにも原作キャラに関わっているのにもかかわらず、原作に登場していないのはどうしてなんだ?
...きっと『俺』という存在がこの世界を捻じ曲げてるんだろうけど。
それにしてもおかしいと思う。
頭が痛い。ついでに胃も痛い。
今日は母さんが帰ってくるのが遅くなるらしいから、早めの夕食をとってさっさと寝よう。
そんで明日の朝いちばんに起きて母さんに「誕生日おめでとう」と言おう。
あぁ、母さんの驚いた顔が目の前に浮かぶなぁ。
明日が楽しみだ。
...いつもとは少し違う、ざわざわとした気配がして目が覚めた。
朝早くに起きる予定ではあったものの、まだ夜中の三時だ。
......二度寝...する...?
...いや、なんか嫌な予感がする。
起きて何が起きているのかじいやに聞いた方がいいだろう。
そう思った俺は寝間着のままで部屋の外に飛び出す。
二階には人はいないようで、バタバタと人が出入りしているのは一階だったため素早く一階を降りじいやを探す。
別にじいやじゃなくてもいいんだけど、なんとなくじいやから聞いた方がいい、そんな気がするから。
そして、俺のこういった勘は良く当たる。
......皮肉なことに今回も。
...いつも冷静で取り乱したことなんて見たことないじいやが、今までに見たことがないほど顔を真っ青にしていた。
......そして俺を見てもっと動揺した。
...まるで俺には言いたくないようなことを知っているかのように。
震える手を必死に押さえつけじいやに話を聞く。
最初は口をつぐんでいたじいやも俺が一言「命令だ」と言ったらゆっくりと掠れた声で話してくれた。
......その内容は、俺が予想していた中で最も聞きたくないものだった。
「......奥様が...亡くなったと、...警察から電話がありました......。来れるのなら今から来てほしいとも。」
俺は目の前が真っ暗になって、何も考えられなくなった。
「...目暮警部補、今回の件の遺族の方はもう来られるのですか」
「あぁ、そうみたいだ。多分自殺で処理されるだろうから、数日遺体を預かって変なところが無かったらすぐに返すことになるだろうな」
今回の件といったのは、ある女性が拳銃で自殺を図ったらしい遺体が見つかった事件のことだ。
いや、自殺ということでまとまっているから事件ではないのだろうが。
自殺と断定する証拠に拳銃に彼女自身の指紋が出ていて、遺書らしき手紙も見つかった。
おそらく彼女の家族に向けて書いたものだろう。
名前と思われる固有名詞が多く入っていた。
この遺書もいったん預かって返すことになるだろう。
「しかし...、なんでまた桔梗さんが自殺なんか......」
「毛利君、彼女と知り合いなのかね」
「はい。桔梗さんは妻の恵理と仲が良く、今日は彼女の誕生日でパーティーにも呼ばれていたんですよ。それに明後日には裁判も控えていたのに、なんで今自殺をするのかがどうにも腑に落ちないんです」
そういぶかしげな顔で考えながら隣を歩く毛利君の話を聞いて確かにおかしいと思うところはあるものの、凶器となった拳銃から出てきた指紋と遺書がある以上自殺ということで捜査は打ち切りになるなるだろうと目暮は考える。
とはいえ、毛利君の考えにも確かに思うところもあるため目暮も考える。
が、もう終わった話だ。
これ以上捜査は行われないことが分かっている以上考えたところで意味はないだろう。
百夜桔梗___彼女は名家である『百夜家』の現当主でもあり、百夜グループを束ねる取締役だということは目暮でも知っている。
きっと人の上に立つ仕事をしていて、尚且つその人生が生まれながらに確立されていたことを踏まえると、きっと殺害動機を持つ人間はたくさんいるだろう。
たとえ彼女がいい人だったとしても人の恨みという物はいつ生まれるかわからないものだ。
恨まれる覚えをしたことがなくても絶対に誰かひとりには恨まれているものだ。
その恨みが理不尽な理由や逆恨みだったとしても、それだけで殺人に走ってしまう者は確かにいる。
この仕事をしていると嫌でもその事実が突き付けられる。
...もしこれが殺人事件だと判断されて捜索に乗り出したところで徒労に終わる。
だからこそ捜査をしないのだ。
なんともまぁ汚い世界なんだろうと目暮は思うが、殺人なんてないと割り切りこの思考を頭の隅に追いやる。
「毛利君、これから来る遺族の方に心当たりは?」
「...一応ない事はないのですが、思いあたる人物がまだ小さい子供なのでその子を除外するとなると分かりませんな。それにその子にはまだ会った事がないのですよ。桔梗さんには旦那もいるのですが、その旦那と離婚するための裁判を明後日にするのですから、旦那の方には連絡は行ってないかと」
「......そうか...。分かった」
いったい誰が来るのだろうか。
少し彼女のことを捜査のために調べたところ、両親は本家のある京都に住んでいるみたいでそこからわざわざ東京まで来るわけではないだろう。
家には使用人がいると聞いたし、電話に出たのも使用人だと聞いたからその電話に出た使用人が来ると考えた方がいいか。
こんな夜中に子供が来るわけないだろうからな。
「目暮警部補、毛利さん。ご遺族の方がいらっしゃいましたので、空いている会議室の方にご案内しました」
「ありがとう、ご苦労だったな」
「いえ、失礼します」
そう伝えてくれた部下に感謝とねぎらいの言葉をかけ、待っているという会議室に毛利君と向かう。
...そういえばどういった人物が来ているのかを聞くのを忘れていたな。
まぁ、行って見たら分かるだろう。
あまり相手を待たせないように足早で会議室に向かい、着いたところでノックをし扉を開けて中に入る。
すると中で待っていたのは、自身の髪を後ろに流しオールバックにしている、身だしなみをしっかりしている初老の紳士と、無表情で虚ろな目をしている少し癖のある髪を持った小さな男の子だった。
まさか子供が来ているとは思わず、一瞬目を見張るものの、すぐにいつもの状態に戻り自己紹介を済ませる。
毛利君も驚いているようだったが、私が自己紹介をした後で我に返り、私の後に続くように自身の自己紹介を簡単に済ませる。
「早速ではあるんですが、遺体が発見された当時の話を少しします。今日の二時十分ごろ、銃の発砲音のような音が聞こえたのことで通報があり、私たち警察が捜索をしたところ百夜桔梗さんの遺体が見つかりました。身元の確認が取れたのと、今回の件は自殺だと処理されたので、調書と説明のために来ていただいたという次第です。何か質問はありますか?」
「......自殺と断定した理由は?」
驚くことに質問をしてきたのは虚ろな目をした少年の方だった。
「そう思った理由としては遺書と思われる手紙と凶器となった銃に彼女の指紋が検出されたからです」
「...その遺書らしきものを見せてもらうことはできますか?」
「今はまだできませんが、一通り調査が終わり次第お渡しします」
「......今遺体を引き取ることは難しいとは思いますが、せめて会うことはできますか?」
「...ご案内しましょう。」
見た目からきっと小学校低学年と見たが、もしかするともっと上の学年なのだろうか。
幼い子供にしてははきはきしているし、質問も的確。
だいたいこういった時に来る遺族の方は取り乱していて、最悪まともに話ができない時もある。
ただ、取り乱すのは普通のことだとは思う。
昨日まで生きていた親しかった者、家族が遺体になって見つかったのだ。
そう私たち警察から淡々と事実だけを簡単に告げられ、ろくに感情の整理もできていないままここにやってくるのだ。
...なのに、今後ろについてきている子供は取り乱すなんてことはせず、淡々と現実を、自分の母親が死んだという事実を見つめて納得している。
......それは、どれほど心に負担がかかっているのだろうか。
きっと彼の親しい人が、それも自分の母親ほどのかけがえのない存在が死んでしまったのは彼にとってこれが初めてだろう。
しかも、絶対に治らない病気にかかってとか事故で亡くなったというわけでもなく、彼女自身で自分の死を選択したのだ。
...そしてきっと彼はこの事も分かっているのだ。
だというのに泣いたような跡も残っていないところを見るにここに来る前も涙さえ流していない。
対面した時から一切表情が動いていない。
動いているところがあるとすれば、最低限の瞬きくらいだ。
彼は...、いったい何を考えているんだ...?
「......着きました。この扉の中にいらっしゃいます。遺体には触らないように注意してください」
そう忠告しながら扉を開き、中に入り扉付近についているスイッチを押し明かりをつける。
最初に私が、次に男の子___紫陽君、その後に続くように執事だと言っていた田中さん、一拍開けて毛利君が入る。
全員が入ったことを確認してから扉を閉め、自分の母親の遺体が横わたっているであろう台を見つめる紫陽君の後姿を見つめる。
「......この白い布はとってもいいですか?」
「あぁ、とってくれて結構です」
了承の言葉を聞いてから、顔を覆う小さい布と、体全体を覆う大きい布を取り、遺体と対面する。
白い布の指すものが顔にかかっているものだけだと思って了承したつもりだったんだが、全部取ってしまった。
...今更指摘しても遅いし、遺体自体がさほどグロテスクではないためほうっておくことにする。
そうして紫陽君は遺体と対面することになったのだ。
......母さんが目を閉じて横たわっていた。
きっと眠っているだけだと、揺さぶって名前を読んだら起きると、......そう思えたらどれほどよかっただろうか...?
まだ腐臭はしていない。
いや、きっとしていたのだろうけど、誰かが防腐処理をしてくれたのだろう。
死後あまり時間は経っていないとは言っても夏の夜、湿度も高く日中ほどではなくても気温も高い中放置されていたのだ。
腐りかけだったのは間違いない。
今まで俺が比較的冷静でいられたのは、心のどこかでは母さんはまだ生きていると思っていたからだ。
目の前に死体がある。
これの物体は生きてなんていない。死んでいるものだ。
そう思ってしまった。
母さんの死を、今、理解してしまった。
......でも、何も感じない。
いや、そう言うのは語弊がある。
何も感じないわけではない。
むしろ言い表せれないほどの感情が俺の中で渦を巻き、発狂でもしてしまいたい気分だ。
今までの自分では考えれないほど暴れまわって、叫びまくって、この気持ちに名前がつくまで、感情の整理がつくまで一人でいたい。安全なところで引きこもってしまいたい。
...なのにしないのはなんでだ?
決まってる。
俺が『百夜紫陽』だからだ。
俺が母さんの息子だから、しない。
母さんに「人に迷惑を掛けてはいけない」と教わってきた紫陽だからこそ自分勝手な行動はしないのだ。
今は死んで何処にもいない母さんが俺に教えてくれたことだから。
......俺は...、俺という名の『紫陽』は...、紫陽という名の『俺』は......母さんの教えを忠実に守る。
それに親しい人がいなくなる感覚は知ってる。
前の記憶があるから、
だってそれこそ『俺』は慣れてるじゃないか。
我慢するのは、限界まで耐えるのは俺の得意分野だろ?十八番じゃないか。
.........だから.........大丈夫...。
ゆっくりと深呼吸を行い、心をなだめる。
......俺の知る『百夜桔梗』という人物は決して自殺を図るような人物ではないのは確かだ。
しかも、明後日には裁判も控えているっていうのに、自殺なんてするか?
少なくとも俺なら絶対にしない。
自殺するとしても裁判が終わった後にするだろう。
そして、なんで銃で死んだんだ?
そもそもなぜ母さんが銃を所持していたのかが謎なんだが、其処はきっとおいおい分かる。
別に銃じゃなくてもいいだろうに。
わざわざサイレンサーもつけていない発砲音のする銃を自殺に使ったんだ?
...分からない。
情報が少なすぎる上に俺は推理力なんてものを持ち合わせていない。
この物語の主人公や、探偵と呼ばれる人たちならこの死について全てわかるのだろうか?
...いや、きっと分かるんだろうな。
少しだけ妬ましいや。
この妬みがお門違いなのは分かってる。
でも妬まずにいられるか?
俺は無理だ。
俺はそんな聖人なんかじゃない。
薄汚いどこにでもいる人間さ。
最後に母さんの顔を見つめて、取った布を被せる。
目暮警部補と毛利刑事にもう大丈夫だという趣旨を伝え、部屋に母さんを置いて外に出る。
調書を取るために呼んだのだろうが、お互いに疲れているからまた後日来るという約束を取り付け、警察署から出て家路につく。
......今日は帰ったら一度寝て、今後のことについては起きてから考えよう。
...もう...しんどいや......。
『悲劇』の始まり というのが今回のサブタイトルです。
感づかれた方もいるのでは?
この話からタイトルの回収を始めます。
正直桔梗さんには亡くなって欲しくはなかったのですが、この物語を考えた時から4んでもらう予定だったんですよね~。
この人も紫陽に大きな影響を与えているので回想回はあるかも。
個人的に目暮警部目線がやりずらかった。
自分のことを『私』と書いているのは、愛しのウィキちゃんにそう書いてあったから。
そして警部補なのは、コナンの映画の『14番目の標的』を見たら分かるんですが、十年前のとある事件当時はまだ警部補だったので、今作も今は警部補。
この話は原作開始から約14年前の計算なので。
この計算はめんどくさかった。
さて、軽く紹介タイム
百夜桔梗(ひゃくやききょう)、紫陽の母。
この人は美しい、可愛い、綺麗のフルコース。
物語に大きく影響を与えてくれました。
大好きだよ。ごめんな。
〘キキョウの花言葉〙
「永遠の愛」「誠実」「清楚」「従順」
「endless love(永遠の愛)」「honesty(正直、誠実)」「the return of a friend is desired(友の帰りを願う)」「obedience(従順)」
今回桔梗さんに該当させたのは「従順」「the return of a friend is desired(友の帰りを願う)」「obedience(従順)」以外の花言葉です。
別にこれらが該当しないわけではないのですが、まぁ取り敢えず作者が桔梗さんに当てはめたイメージとしては上記以外のなので。
ちゃんと考えてます。
この小説を書く前に考えていたこの小説のクッソ重い元ネタの小説読みたい?
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書くんだったら読んでやらぁ
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んなもん書く暇があるんだったら続き書け
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どうでもいい
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それよりも藤可愛すぎてツラい
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〇ね!クソ親父!!