ありふれた職業で最強の主人公、南雲ハジメ。ベヒモスを足止めし、裏切りによって奈落へと落とされ、そこで力をつけ世界最強になる彼の物語。
この物語は彼が奈落へ落ちる瞬間から分岐した一つの物語。
ハジメが錬成師としての力でベヒモスの足場を操る事で時間を稼ぎ、撤退を終えたクラスメイト達を追ってこちらに走ってきている。そのハジメを援護するための魔法の弾幕がベヒモスに向けて放たれるその時。
何となく香織はクラスメイトの方を見た。
必死な表情の彼らの中で一人だけ笑みを浮かべている者がいた。檜山が醜悪な笑みを浮かべてハジメを見ていた。とてつもなく嫌な予感を感じた香織は魔法が放たれる中ハジメの方に向かって走り出した。
それに真っ先に気づいたのは雫だった。ハジメに向かって行く香織を追ってクラス随一の速さを持つ雫が追いかける。香織と雫が同時にハジメの所にたどり着くその瞬間、軌道を変えた火球がハジメの足元に着弾する。
その衝撃で崩れかけていた足場が壊れ、ベヒモスと共にハジメが落ちようとしていく。
「南雲くん!」
そのハジメの手を香織が掴んだ。落ちるのを防いだ衝撃で香織のいる場所にも亀裂が広がり崩れていく。
「香織、手を!」
「雫ちゃん!」
二人に追いついた雫が崩れきらなかった場所から香織に手を伸ばす。香織も残った手を伸ばしそれを掴む。宙に投げだされかけた二人を雫が支える。自分のステータスならばこのまま二人を引き上げられる。それだけを意識していた雫は気づけなかった。
2発目の火球が雫の立っていた足場を砕く。ハジメばかりを見て香織に気づかなかった檜山が、ダメ押しのために放ってしまった物だ。香織に気づいた時にはもう軌道を変えることはできなかった。
足場が完全に砕かれ手を繋いだ三人は奈落の底へ落ちていく。
ハジメも香織も雫も、それを見ていたすべての者も全員が呆然としていた。
ハジメがベヒモスを足止めしていた所までは原典と同じ。違うのは些細なきっかけで奈落に落ちるのが三人になったという事。
その後奈落で心を折られた三人は歪みつつも強固な絆を紡ぎ生還する。
そして自分達の道を阻む者に彼らは容赦しない。
自分達を引き裂くものに慈悲はない。
愛し合う三人は世界を渡り、この世界の真実を知り、やがて世界最強になり神殺しとなる。
「俺から香織と雫を奪うなら殺す、たとえ神だろうと殺す!」
「ハジメくんと雫ちゃんの敵は私の敵、敵は殺す!」
「ハジメと香織は私の特別な人、仇なす者は斬る、斬り殺す!」
この物語は奈落に落ちた三人が世界最強になり、元凶たる神を殺す物語である。