アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

14 / 90
今回は独自解釈だらけになっております…。まぁ、初代SNの年代を考えれば一応年齢での辻褄は合うと思うので…(^_^;)


第13話 居候

「シロウ、こんな所にいたのか。朝起きて姿が見えないからこの土蔵まで来たんだが…」

 

スティーブは土蔵の中で寝ていた士郎に声を掛けると、士郎は瞼を開け欠伸をしながら体を起こす。士郎の服装は普段着である私服姿であり、その姿を見たスティーブは苦笑する。

 

「シロウ、いくら何でもこの寒い時期にそんな格好で寝るのはどうかと思うぞ」

 

「んー、そうか?俺、これでも寒さには強い方だと思うんだけどなぁ。それにほら、よく言うだろ?筋肉は脂肪より暖かいってさ」

 

そう言いながら士郎は起き上がると、スティーブと共に土蔵を出た。スティーブは台所で料理をしているクリントとナターシャの様子を見に行き、士郎は衛宮邸に入ると洗面所に直行し、冷たい水で自分の顔を洗い流し、顔を拭く。

 

「ふぅ、サッパリしたぜ」

 

そして士郎は居間に向かうと、台所で料理をしているスティーブ、クリント、ナターシャの姿があった。3人とも居候している身分なので、料理位は自分達で作らなければと思っているのだろうか。

 

「おはよ、朝早いのねアンタ」

 

凛が機嫌が悪そうな顔で士郎に挨拶する。凛は既に学校の制服に着替えているのだが、どうも調子が悪そうだ。

 

「と、遠坂……? どうした、何かあったのか……!?」

 

「別に、朝はいつもこんなんだから気にしないで」

 

そう言うと凛はフラフラとした足取りで居間を横切る。要するに朝に弱いという事なのだろうか?その時、玄関のチャイムが鳴った。士郎はチャイムを鳴らす存在には心当たりがある。

 

「まったく、チャイムは鳴らさなくていいって何度言っても聞かないんだからな桜は…」

 

士郎は玄関にいる桜を迎えに行こうとするが、スティーブが声を掛ける。

 

「シロウ、私が行こう。応対なら任せて欲しい」

 

「え?いいんですかロジャース先生?」

 

士郎は玄関に来ている桜に話しかけているスティーブに尋ねる。

 

「ああ、構わない」

 

スティーブはそう言うと、玄関へと向かった。玄関には士郎の後輩である間桐桜が驚いた表情でスティーブを見ていた。桜の隣には凛もいる。スティーブ、クリント、ナターシャの3人が士郎の家に居候する事になった事を桜は知らない筈である。だがそれ以前にスティーブは桜と面識は無い。スティーブ達3人が受け持っているのは2年生のクラスで、1年生は受け持っていない。とはいえスティーブ達は全校集会時に壇上で生徒達に顔を見せている上、学校でも評判になっているので桜でも名前位は知っているとは思うが…。

 

「えっと…あの…ロジャース先生…?」

 

桜はスティーブの顔を見てそう言った。桜はスティーブの顔と名前は知っているようだ。

 

「やあ、君がシロウの後輩のサクラ・マトウだね?シロウから君の話は聞いているよ?」

 

スティーブは出来るだけ愛想よく桜に言う。

 

「えっと…はい…その……」

 

桜は戸惑いながらも返事をする。士郎が言っていた通り大人しく引っ込み思案な性格のようだ。そして桜の隣にいた凛はスティーブを一瞬ジロリと睨むが、すぐに普段の表情に戻る。

 

「おはよう間桐さん、こんな所で顔を合わせるのは意外だった?」

 

凛は玄関の廊下から見下ろすようにして桜に言う。

 

「遠坂、先輩」

 

桜は怯えた目で凛を見ている。スティーブは何となく声を掛けづらかったが、後ろから廊下を歩く足音が聞こえてきた。振り向くとそこには士郎がいた。

 

「先輩…その…これはどういう…?」

 

桜は士郎に対して戸惑いを隠せない表情で言う。確かにスティーブと凛が士郎の家にいればおかしいとは思うだろう。

 

「ああ、それは話すと長くなるんだけど…」

 

士郎が桜に説明しようとするが、凛が士郎の言葉を遮るようにして言う。

 

「長くならないわよ。私とロジャース先生がここに下宿する事になっただけだもの」

 

凛は桜に対して要点だけを告げた。

 

「……先輩、本当なんですか?」

 

「色々事情があってな…遠坂やロジャース先生、バートン先生、ロマノヴァ先生は暫く俺の家に居候する事になったんだ。ごめん、連絡を入れ忘れた。朝から驚かせてすまない」

 

「あ、謝らないでください先輩。…確かに驚きましたけど今の話は本当に―――」

 

「ええ、これは私と士郎で決めた事よ。家主である士郎が同意したんだからこれはもう決定事項なのよ。この意味、分かるでしょ間桐さん?」

 

凛は何となく意地の悪そうな顔でこう言った。

 

「……分かるってなにがですか?」

 

「今まで貴女は士郎の世話をしていたみたいだけど、しばらくは必要ないって事よ。来られても迷惑だし、来ない方が貴女の為だし」

 

「――――」

 

凛にそう言われると、桜は俯いて黙り込んでしまう。凛の言い方は傍から聞いていてあまり良いものではなかった。だが、聖杯戦争という事態が起きている今、桜をこの衛宮邸に近づけないという意味でなら合理的であろう。多少言い方はキツくても、魔術師でもない桜が関わっても良い事などないのだから。スティーブも今の状況を考えれば凛の言い方にも一理あると考える。しかし桜は納得できないという表情で凛に反論した。

 

「……わかりません」

 

「え…?」

 

「わたしは遠坂先輩のおっしゃる事が分からないと言いました」

 

「ちょ、ちょっと桜、アンタ…!」

 

「お邪魔します。先輩。お台所お借りしますね」

 

桜はお辞儀をしながら家に上がると、凛やスティーブを無視して居間に向かった。凛は呆然と立ち尽くしているが、そんな凛に対して士郎は声を掛ける。

 

「おい遠坂、おまえ、どうして桜が俺んちに来るって知ってたんだよ。今まで桜が俺の世話をしていたなんてお前に言った覚えはないぞ?」

 

「え―――?そりゃ昨日の晩、ロジャース先生達に話してたじゃないその時の会話を聞いちゃったってワケ」

 

「あ、お前盗み聞きしていたのか…!」

 

スティーブ、クリント、ナターシャは士郎に対して身内や親しい人間がいないかどうかを尋ねていたのだ。なぜ尋ねたのかというと聖杯戦争という冬木全体を巻き込んだ戦いが繰り広げられるのだから、士郎に近しい人間にも危険が及ぶ可能性を考慮してスティーブ達3人が士郎に聞き出したのである。もう既に士郎は聖杯戦争の参加者であり、この衛宮邸が他のマスターやサーヴァントに襲われる事態も起こり得る。現にランサーが昨晩学校からこの衛宮邸まで士郎を追跡してきた事からも分かるように、マスターとなった士郎の周囲は嫌が応でも戦いに巻き込まれてしまうだろう。

 

「リン、さっきの君の言い方はキツかったが、それもサクラを聖杯戦争に巻き込まない為の方便だろう?君なりにサクラの事を思いやってくれたんだな」

 

「え…えぇまぁそんな所よ…。自分の後輩が戦いに巻き込まれるのは私も望んでないわけだし」

 

凛はスティーブに言われ、少し顔を紅潮させる。

 

「けどそれより驚いたわ。あの子、この家じゃあんなに元気なの?学校とは大違いじゃない」

 

凛は普段の桜を知っているような口ぶりだ。それなりに付き合いは長いのであろうか?

 

「俺も驚いてる。あんなに刺々しい桜は初めて見た。それにうちに手伝いに来てくれる時と、学校とじゃ変わらないよ。今のは所謂『鬼の霍乱』ってやつだろう」

 

「……けどまずったわね。桜があんなに意固地だとは知らなかったわ。こうなるんなら士郎の口から説明しておけばよかった」

 

「確かに俺が言うべきだったかもしれないな…。昨夜ロジャース先生達から『聖杯戦争に参加する以上は近しい人や親しい人間を遠ざけないと、その人達に危険が及ぶ』って言われたからな」

 

スティーブから見ても桜が士郎の家に通うのは危険が大きすぎた。

 

「桜の事はどうする?あの分じゃ帰ってくれそうにないぞ」

 

「それは何とかするしかないでしょ。それで桜が来るのは朝だけ?それとも夕食もこき使ってるの?」

 

「誤解を招くような言い方するなよ。確かに朝食は毎日だけど、夕食はそこまで多くないぞ」

 

「それじゃ毎日桜がここに来る事になりそうね…まぁいいわ」

 

桜の心配をする士郎と凛だが、スティーブは別の懸念もしていた。今この衛宮邸にはセイバーもいる。もし桜がふとした事で他のマスターやサーヴァントと戦うセイバーと士郎を目撃してしまった場合、口封じに消されてしまうのではないか――――、と。

 

学校での戦いを目撃した士郎でさえランサーが家にまで追ってきたのを考えると、セイバーでも桜を手にかけないとも限らない。それに凛にしても仮に自分と他のサーヴァントとの戦いを見られた以上は桜に対して何をするのか分からないのだ。スティーブ、クリント、ナターシャの3人は部外者とはいえまだ一応味方として見られているが、桜まで見逃してもらえる保障はない。

 

幸いセイバーのマスターである士郎はそのような事を考えるとは思えないが、いずれにしても桜が聖杯戦争に関われば不幸な結果になるのは火を見るより明らかである。スティーブは立ち尽くして話し合っている凛と士郎を玄関に置いて、ひとまずは桜の様子を見に行く事にした。スティーブが居間に入ると、台所で料理をしているクリントとナターシャの様子を立ち尽くしならが見ている桜がいた。士郎の話によれば桜は自分の朝食を作りに毎朝衛宮邸に来てくれると言っていたが、その朝食作りの役割さえもクリントとナターシャに奪われた形となっている。

 

「やぁサクラ。おはよう」

 

桜は突然現れたスティーブを見て驚いたが、すぐに平静を取り戻す。

 

「……ロジャース先生…何ですか?」

 

「いや、シロウから君が毎朝朝食を作りに来てくれると言っていたものでね。君の役目をクリントとナターシャが奪ってしまって済まない」

 

桜は苦笑いを浮かべて首を横に振る。

 

「いいんです、気にしていません。こんな私でも藤村先生みたいに先輩のお役に立てればいいなって思っているだけですから」

 

士郎の話によれば桜が笑うようになったのはここ最近の事らしい。士郎は桜の事をまるで自分の家族であるかのようにスティーブに話していたが、桜自身も士郎を家族だと思っているようだ。

 

「私とクリント、ナターシャがいるのは少しの間だけだ。だけどその間は朝食を作る君の役割を奪う事になるが、それでもいいかい?」

 

スティーブは桜に尋ねる。

 

「はい。私は大丈夫です」

 

桜はそう答えた。それから数分後、クリントとナターシャが運んできた朝食がテーブルの上に並べられ、士郎、凛、桜、スティーブ、クリント、ナターシャの6人はそれぞれの位置に座り、朝食を食べ始めた。6人の間には沈黙が流れていた。スティーブは桜に話しかけようと思ったが、凛と桜の間に流れる微妙な空気を感じ取ったため、黙って食事をする事にした。それから間もなく、「おはよー。いやー、寝坊しちゃった寝坊しちゃった」という声と共に居間に藤村大河がやってきた。

 

「おはよう藤ねえ」

 

士郎は今に入って来た大河に挨拶をする。

 

「「おはようございます藤村先生」」

 

凛と桜は同時にハモりながら大河に挨拶をする。

 

「おはようフジムラ。今日もいい朝だね」

 

スティーブも大河に対して挨拶をする。大河の方はいつもの朝とは余りにも異なる光景に目を丸くし、士郎に耳打ちしている。同じ学校の生徒である凛はいざしらず、新任の外国人教師であるスティーブ、クリント、ナターシャまで士郎の家の居間のテーブルを囲み、士郎や凛と食事をしているのだ。流石の大河でもこの居間の空間に違和感を覚えない筈がない。大河も士郎の説明に納得したようで、笑顔で答えている…

 

 

 

――――――――って、下宿ってなによ士郎ーーーーーーーーーー!!!!!!

 

 

 

トラの咆哮を思わせる程の大河の怒声が居間に響き渡ったのは数秒後の事だった。スティーブ、クリント、ナターシャの3人は危険を察知したのか咄嗟に士郎を避難させる。朝食が乗ったテーブルは吹き飛び、居間は大惨事となってしまったのだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***************************************************************

 

 

 

 

パニッシャーは再び夢の続きを見ていた。パニッシャーは懲罰房に入っていたが、亜麻色の髪の少女と芸術家の少女によって出され、廊下を歩いていた。両手に嵌められた手枷はまだ付けられたままだが、先程よりは拘束は緩くなっていた。そもそもパニッシャーは食堂にいたサーヴァントに対して発砲した事が原因で懲罰房に入れられていたのだ。それが一日程度で解放されるというのもおかしな話である。

 

「ちゃんと反省しているかい?ミスター・パニッシャー」

 

「俺が反省するようなタマに見えるのか?」

 

「キチンと反省しないとまた懲罰房送りになりますよ?」

 

亜麻色の髪の少女は反省する様子を見せないパニッシャーに言う。亜麻色の髪の少女から見てもパニッシャーは純粋に殺人を楽しむ快楽殺人者とは全く違う人間のように思えた。

 

「君は食堂で発砲し、サーヴァントである"彼女"を傷付けた。それに対する罰については一日懲罰房に入っていたんだから理解できているだろう。君は"彼女女"が"悪"だから発砲したと言っていたけど、君は悪であれば何であれ罰を与えようとするのかい?」

 

芸術家の少女はパニッシャーに対して質問する。

 

「俺にとって悪や犯罪者は根絶するべき存在だ。例えそれが子供であっても例外はない」

 

パニッシャーは即答する。

 

「それは君の個人的な意見だろ? それに君が撃った相手はサーヴァントだ。サーヴァントは人間のルールでは裁けない」

 

「知ったことか。悪なら平等に裁くのが俺のスタンスだ。サーヴァントだから特別扱いするとでもいうのか?」

 

「サーヴァントといえども、元は人間だよ。彼等は人理の危機を救う為に現世に召喚されている。地球が白紙化している今の状況で、君は自分の正義を優先するのかい?」

 

芸術家の少女はそう言ってパニッシャーの顔を見上げる。

 

「この施設に召喚されているサーヴァント共は多いんだろう?その中からクズを選別して間引いているだけだ。特に生前に悪行を重ねているような奴は率先して始末する。例え過去に功績を遺した英雄であろうとな」

 

「パニッシャーさん……」

 

「ミスター・パニッシャー。君の考えは確かに理解できる。私だって、もしも自分の作った作品が悪用されたら悲しいからね。だけど、君は本当にそれでいいのかい? 君が殺してきた悪人の中には、もしかしたら改心の余地があったかもしれない。君の行動はただの自己満足に過ぎないんじゃないのかい?」

 

確かにここカルデアには多くのサーヴァントが召喚されているが、その中には過去に非道な所業を重ねてきた者も数多い。だが人理の危機である今はこうして召喚され共に戦っているのだ。だがパニッシャーはヴィランのようなサーヴァント達の存在を許容していない。そんな連中に世界や人類を救う資格など無いと彼は考えている。不寛容と言えばそれまでだ、狭量と言えばその通りだ。

 

だがパニッシャーにとって、真に地球ないし人理を救う者はそれに相応しい存在でなければならないと考えている。少なくとも私利私欲で非道な虐殺を働いた外道は人理の為に戦う資格はないだろう。パニッシャーにとっても、自分の世界をヴィランに救われても嬉しいとは思わない。だがこのカルデアではヴィランのような存在までが英霊という歴史に名を遺した存在として召喚されている。分かり易く言えばグリーンゴブリンやカーネイジといったヴィラン連中が"ヒーロー"として扱われてるのと似ている。

 

「お前達が言う"人理"とやらを救うにはそれに相応しい奴がやるべきだ。俺はそういう奴しか認めん」

 

「…その考えは了見が狭いと思います」。

 

「まぁ、確かにそうだね。パニッシャー君にとってはそれが正義なのだろう。だけど私達はサーヴァント達を召喚する事で力を得ている。サーヴァントは私達にとっての武器であり、盾でもあるんだ。だから私達はサーヴァント達を無碍に扱う事は出来ない。例えサーヴァントが生前に罪を犯していたとしても、サーヴァントを使役する以上は彼等にも敬意を払うべきなんだ。君の考えは間違っているとは言えないけれど……もう少し広い視野を持つ事も大事だと思うんだよね」

 

亜麻色の髪の少女と芸術家の少女は手枷が嵌められたパニッシャーを連れて廊下を歩き、食堂へと差し掛かる。そこでパニッシャーはランサーのサーヴァントである影の国の女王と顔を合わせた。影の国の女王もパニッシャーが食堂でサーヴァントに対して発砲した事で懲罰房に入れられた事を知っており、普通の人間であるパニッシャーがサーヴァントに傷を負わせた事に興味を抱いて、こうしてパニッシャーの顔を拝みに来たようだ。

 

「ふむ、貴様が食堂で発砲事件を起こした人間だな。人間の身でサーヴァントを負傷させるとは大した腕前だ。だが相手を見極めず発砲するのは感心しないぞ?」

 

「…………」

 

「ほら、何か言ったらどうだ?」

 

「お前に説教される筋合いはない。精々新体操で記録を伸ばす事に専念しろ」

 

パニッシャーは影の国の女王が着ている全身タイツのような戦装束を見て、そう吐き捨てた。

 

「ほう、中々言うではないか。だがその程度の挑発に乗る程私は甘くないぞ?」。

 

「…手枷を嵌められた状態でも、お前のその首の骨を折るまでには数秒も掛からんぞ?」

 

影の国の女王とパニッシャーの殺気がぶつかり合い、緊迫した空気が流れる。だが芸術家の少女は一触即発の二人の間に割って入る。

 

「はいはーい、そこまで。ここで暴れたら私達が困っちゃうからやめようね~♪」

 

「……ふんっ」

 

パニッシャーは不機嫌そうな表情を浮かべて鼻を鳴らした

 

「パニッシャーさん、彼女に喧嘩を売っちゃ駄目ですよ!人間のパニッシャーさんではサーヴァントの■■■■さんの敵ではありません。それに、いくらパニッシャーさんでもサーヴァントの攻撃を受けたら死んじゃいます!」

 

亜麻色の髪の少女の言葉にパニッシャーも引き下がるしかなかった。そして再び廊下を歩き始める。

 

「それよりなんで俺を懲罰房から出したんだ?昨日の発砲事件を引き起こした犯人である俺に対する罰としちゃ随分軽いようだが?」

 

「うん、それなんだけどちゃんとした理由があるんだ」

 

「理由?」

 

「えぇ、そうです。実は昨日パニッシャーさんに会った後、先輩の様子が急に変わったんです。その…酷く取り乱している様子で…」

 

亜麻色の髪の少女と芸術家の少女に連れられ、パニッシャーは立香のいる部屋へと入る。そこにはベッドの毛布にくるまりながら、涙を流してる少年の姿があった。

 

少年は身体を震わせながら嗚咽を漏らす。

 

「うぅ…オレは…オレは……今まで……沢山の人を…殺した…殺し……たん……だ……」

 

「……」

 

「先輩!しっかりしてください!せ、先輩!」

 

亜麻色の髪の少女の呼びかけにも少年は答えない。

 

「パツシィ…ゲルダ…アーシャ……オレを……オレを許して……!オレにはもう…耐えられないんだ……オレはもう誰も殺したく……ない……」

 

少年の目からは涙が零れ落ちていた。

 

「■■■■■■ちゃん、これは…オリュンポスでの美の女神からの精神攻撃の後遺症でしょうか…?それとも妖精國での…」

 

「いや…これは恐らく違う。私も■■君にあらゆる検査をしたつもりだけど、その結果分かった事がある。これは魔力による精神干渉では無いんだ」

 

「え…?」

 

「これは魔力や魔術とは異なる未知の原理で作用するものだ。残念ながら私達の力では解析できなかったけどね」

 

「それでこの坊やが精神的にやられている事と、俺を懲罰房から出した事に何の関係があるんだ?」

 

「それが…■■君は君の事を呼んでたんだ」

 

「…何だと?」

 

「先輩はパニッシャーさんの事を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――おじさん!助けて!!!

 

 

 

 

 

 

少年の叫びによってパニッシャーは夢の世界から引き戻された。瞼を開けると、少年のベッドの前に、スーツ姿の欧米人の男が立っており、手を伸ばして少年に何かをしようとしていた。

 

 

「立香!!」

 

 

パニッシャーは気が付けば身体が動いていた。欧米人の男が振り向くと同時に懐から軍用ナイフを取り出して男の喉に深々と突き刺す。

 

「ガハ…!?」

 

恐らくこの男は魔術協会が派遣した"執行者"だろう。ランサーによる一家惨殺から生き残った立香の口封じに来たのか。パニッシャーは男の喉から軍用ナイフを抜くと、男の腹や心臓をナイフでメッタ刺しにする。

 

「お前……こんな事をして…タダで済むと……」

 

「それ以上喋るな。死ね」

 

パニッシャーは男の頭を掴んで壁に叩きつける。そしてそのまま壁に押し潰し、顔面を何度も殴りつけた。既に男は事切れているにも関わらず、パニッシャーは執行者の男に対する攻撃を止めなかった。

 

「口封じか…下らん」

 

パニッシャーは男の胸倉を掴むと、そのまま男の身体を持ち上げ、開いている病室の窓から外に向かって勢いよく投げ捨てた。この病室は七階の高さにあり、男の身体はコンクリートの地面に頭から激突し、脳味噌が道路に飛び散ってグロテスクなアートを作り上げた。そんな光景を見た道路を歩いている通行人達から悲鳴が上がる。

 

「貴様らの様な虫けらに好き勝手はさせん。魔術協会だと?そんなのは俺には関係ねぇ」

 

少年の…いや、"立香"の居所が知られたという事はこの病院にはもういられない。

 

「立香、行くぞ」

 

パニッシャーはそう言って立香を抱きかかえ、病室を飛び出した。




パニッシャーが助けた少年はSN時空の立香という設定になっています。しかしマシュもロリンチちゃんもフランクさんに優しいね。問題のある鯖達と付き合い慣れているから、フランクさんみたいな人にも物腰が柔らかいんだろうか?

アンケートでフランクさんと仲良くできそうなサーヴァントを皆さんで選んでくださいませ。一番投票が多かったサーヴァントを絡ませてみます。

パニッシャーさんと仲良くやれそうなカルデアのサーヴァントは?

  • ガレスちゃん
  • 鬼一師匠
  • スカサハ師匠
  • ベディヴィエール
  • ダ・ヴィンチちゃん
  • サンソン
  • ロビンフッド
  • モルガン
  • ミス・クレーン
  • エルキドゥ
  • アストルフォ
  • 坂田金時
  • アーラシュ
  • マーリン
  • カルナ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。