アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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今回、パニッシャーの元に意外な助っ人が…!?


第16話 NFFサービス

魔術協会から派遣された執行者達は執拗だった。立香を連れて路地裏に逃げ込んだパニッシャーを執拗に追跡してくる。パニッシャーは追っ手を倒そうと試みるが、敵は複数人なので流石に厳しい。更に言えば執行者達は曲りなりにも魔術師だ。いくらパニッシャーのパワーとスピードがあっても、敵が複数人いれば逃げ切るのは難しい。狭い路地裏を立香を抱えて走るパニッシャーは、背後から迫る執行者目掛けて振り向くと同時にグロック17の銃弾を叩き込んだ。

 

「くそったれが……!」

 

悪態を吐きながらもパニッシャーは走り続ける。しかし、敵の数は減らない。どうやらこの場にいない仲間が増援を呼んできたらしい。このままではいずれ追い付かれる。

 

「おじさん……!後ろ……!!」

 

抱えられている立香も背後から迫ってくる複数の足音に気付いたらしく声を上げる。だが、振り返っている暇はない。前方からまた別の集団がこちらに向かってくるのが見えたからだ。

 

「ちぃ……!」

 

舌打ちしながらパニッシャーは立ち止まり、後方目掛けて手榴弾を投げつける。爆発に巻き込まれて何人かの執行者が吹き飛ばされるが、それでもまだ追っ手は残っている。パニッシャーは立香を抱えたまま再び逃走を開始した。百発百中とも呼べる射撃の技術を駆使して前方から迫る黒服の執行者の群れに向かって銃撃を浴びせる。放たれた全ての銃弾は執行者達の急所に命中。執行者達は地面に倒れ伏す。

 

「くそっ……キリがない……」

 

追っ手の数が多すぎる。このままだといずれ捕まるだろう。そう思った矢先、パニッシャーは路地裏の先に何かを見つけた。それはマンホールだった。下水道に繋がる穴だ。しかも蓋が取れて中に入れる状態である。パニッシャーは考える事はせずに即座にマンホールの中に飛び込むと同時に、置かれていた蓋を動かしてマンホールに続く穴を塞いだ。立香を抱えてパニッシャーは下水の中を進む。幸いにも下水道はそこまで深くはなく、地上まで辿り着くのに時間は掛からなかった。

 

「おじさん……ここどこ?何だか臭うよ…」

 

「下水道ってやつだ。ちょっとばかし臭うが我慢しろ」

 

「う、うん」

 

立香は不安そうな表情を浮かべているが、今はそれどころではない。下水道を進んでいると、立香がパニッシャーに質問してくる。

 

「おじさん…怖くないの?あんなに大勢の人達の追われて……」

 

「俺だって怖いさ。だが、お前をこんな所で死なす訳にはいかない。それに、あいつらは殺しても死にそうにないしな」

 

パニッシャーは苦笑しながら答える。

 

「どうしておじさんは僕の事を助けてくれるの?」

 

「さぁな。気まぐれだ」

 

パニッシャーはそう言うが、家族をランサーに殺された立香を放ってはおけなかった。暫く進むと一休みする為に壁に寄り掛かる。立香はパニッシャーの事を心配そうに見ている。まだ5歳の少年の記憶を消す為、或いは存在そのもを消す為にわざわざ日本まで集団で来るとは協会というのは案外暇な組織なのだとパニッシャーは内心毒づいた。

 

「僕の父さんと母さんは…お姉ちゃんは……もう……いないの……?」

 

立香は涙声でそう言った。両親と姉がランサーによって惨殺された光景をその目で見たのだろう。立香の言葉に対しtパニッシャーは黙ったままで何も言わない。だが、パニッシャーは立香の頭を優しく撫でる。まるで我が子の頭を撫でる父親のように。

 

「おじさん……?」

 

「安心しろ。お前の家族を殺した奴には絶対に落とし前を付けてやる。だから安心しろ……」

 

だが例えランサーを倒したとしても、肝心の魔術協会が立香を逃す筈がなかった。先程の執行者の群れをいくら片付けようが、次から次へと新手がやって来るだろう。そして立香自身の記憶……自分が家族と過ごした記憶を丸ごと消されて自分には家族がいないのだと思わせられるだけならまだいい。最悪殺される事さえあり得るのだ。この先魔術協会に追われ続ける日々が待っている立香をこのままにしておくわけにはいかない。

 

「…!?おじさん怪我してるの!?」

 

立香はパニッシャーの脇腹に刺さっているナイフを見て驚きの声を上げる。パニッシャーは苦笑しながら答える。

 

「大丈夫だ。大したことない」

 

「で、でも血が出てるよ……」

 

「心配するな。俺の体は特別製だ。ちょっとやそっとじゃ死にはしない」

 

ドクター・ストレンジから貰った魔術除けのアミュレットは役に立っているものの、こういった通常の物理攻撃までは防げない。パニッシャーは脇腹に刺さったナイフを抜くと、応急処置で止血を行う。だが、パニッシャーの体力も限界に近い。

 

(くっ……この先には……)

 

だがパニッシャーは足を止めた。その先にあるのは新都のビルとビルの隙間だった。その先は行き止まりになっている。パニッシャーは覚悟を決めると地上へと続く梯子を立香を抱えて登り、マンホールの蓋を開けて地上へと出た。下水道から出たパニッシャーは立香を抱き抱えたまま近くの公園まで移動する。

 

パニッシャーは立香をベンチの上に座らせると、自分の上着を脱いで立香に被せる。

 

「おじさん……ありがとう……」

 

立香の言葉にパニッシャーは何も答えなかった。今の所執行者達は追ってきていない。パニッシャーは懐から単眼式のスコープを取り出すと、それを使って周囲を見渡す。この単眼式スコープはストレンジから貰ったアイテムで、魔術師とそうでない人間とを識別する為の物だ。このスコープを用いて魔術師を見ると、魔術師の持つ『魔術回路』が浮かび上がり、回路そのものが緑色に光り輝いて見える。逆に魔術師ではない普通の人間を見ても何も見えない。最大で数百メートル先にいる魔術師を見つける事が可能なアイテムだが、それを用いて周囲を見ても魔術師達の姿はない。尻尾を巻いて逃げたのだろうか?

 

(おかしい…あんなにいた執行者が今は一人もいない……)

 

いくらなんでも不自然過ぎる。だが、今はそれどころではなかった。パニッシャーは立香を連れて公園を離れようとするが、どこからか甘い声がしてきた。

 

「貴方がミスターパニッシャーですね?」

 

パニッシャーは咄嵯に立香を抱き抱えるとその場から飛び退く。次の瞬間、パニッシャーがいた場所には桃色のふわふわとした長い髪の毛に、胸の開いたセクシーな白い制服を着た美女が立っていた。白いミニスカートに、黒いタイツを履いた蠱惑的な色香を持つ女である。黄金色に輝く瞳でパニッシャーと立香を見ながら愛想よく挨拶してくる。

 

「初めまして。NFFサービスの者です。どうぞよろしく♡」

 

パニッシャーは立香を下ろすと、銃を構える。

 

「貴様、何者だ……? なぜ俺の名前を知っている……」

 

「それでは自己紹介からいきましょうか。私はタマモヴィッチ・コヤンスカヤ。とある魔術師の方に依頼されて、貴方のサポートに参りました」

 

コヤンスカヤは愛想よく笑顔を振りまいてパニッシャーに握手を求めるが、パニッシャーはそれを振り払う。

 

「ふざけるな。お前のような胡散臭い奴に誰が協力するか」

 

「あら、つれない方ですね。まぁ、いいでしょう。貴方を助けて欲しいと言うドクター・ストレンジが私に依頼をしてきたのですよ」

 

「……お前はあの魔術師の知り合いか?」

 

「知り合いというよりはクライアントと言いましょうか。詳しい話は私が用意したホテルで行いましょう」

 

胡散臭いコヤンスカヤであるが、ドクター・ストレンジの名前を出されたのでとりあえずは信じるしかなかった。パニッシャーは立香を連れ、コヤンスカヤが用意したという新都にある高級ホテルの一室へと案内された。ホテルの部屋はかなり広く、スイートルームだった。

 

コヤンスカヤはパニッシャーを椅子に座らせると、自分はベッドの上に腰掛ける。

 

「さて…どこから話しましょうか?」

 

コヤンスカヤは薄ら笑いを浮かべつつ、パニッシャーに話しかけてくる。

 

「お前はドクター・ストレンジに依頼されたといったな?という事はお前は俺やキャップのいた世界の人間なのか?」

 

パニッシャーの質問に対してコヤンスカヤは大笑いしながら答える。

 

「うふっ、あははははははは! 面白い冗談ですね。えぇ、そうです。貴方達の世界からやってきたのは確かです。けど、私自身は元々別の世界の住民。貴方の世界には飛ばされてきただけ」

 

「どういう意味だ?」

 

「……あの魔術師…ストレンジから北欧に出現した謎の巨大な嵐の事については聞いてないかしら?私はあの巨大な嵐の中にいたのよ。それを貴方の知り合いの雷神によって叩き出され、貴方達の元々いた世界に来ちゃったってワケ」

 

コヤンスカヤが言うには、元々あの巨大な嵐はコヤンスカヤがいた世界で発生したものであり、その巨大な嵐がパニッシャーやキャップ達アベンジャーズのいる世界で発生した事で、二つの世界が一時的に繋がった状態になったという。北欧に出現した巨大な嵐こそが、コヤンスカヤがいた世界と、パニッシャーがいた世界を橋渡しする役目を果たしていたのだ。が、コヤンスカヤは自分がいた世界…北欧異聞帯に侵入してきたソーによって嵐の外に叩き出された。しかしコヤンスカヤがいたのは元々自分がいた世界ではなく、パニッシャーやアベンジャーズがいる世界だった。コヤンスカヤは嵐の中に戻ろうとするが、運悪く巨大な嵐はその直前に消失してしまい、コヤンスカヤは自分のいた世界に帰る事ができなくなってしまったという。

 

「私は自分の持つ『単独顕現』の力を以てしても貴方の世界と自分が元いた世界の壁を突破できなかった。そこでクライアントであるドクター・ストレンジが私にとある仕事を依頼をしてきたのです。私が元々いた世界に帰してくれる見返りとして、貴方をサポートして欲しいと。それにあの胡散臭い魔術師は私に『サベッジランド』なる優良物件を紹介してくれましたしね♡ 対価はキチンと受け取りましたから遠慮なく貴方のサポートをさせていただきますわ」

 

コヤンスカヤは話を終えると、今度はパニッシャーの方へ視線を向ける。

 

「それで 貴方はどうしますか? 私のサポートを受けなければどの道協会の執行者の連中にその子共々殺されるだけですよ? 」

 

コヤンスカヤはニヤついた顔でパニッシャーに問いかける。パニッシャーから見てもこのコヤンスカヤという女は信用できない。コヤンスカヤの持つ並外れた残忍性と狡猾さ、そして何よりコヤンスカヤ自身の正体もわからない。

 

「お前は本当に俺達を助けてくれるのか? 」

 

パニッシャーはコヤンスカヤを睨みつけながら質問する。

 

「もちろんですとも。このコヤンスカヤ、嘘偽りは申しません。まぁ、もっとも……貴方達が素直に言うことを聞いてくれればの話ですがねぇ?」

 

コヤンスカヤの言葉を聞いたパニッシャーは黙り込む。確かに彼女の言っている事は事実だ。コヤンスカヤは自分達に危害を加えるつもりはないかもしれない。だが彼女は到底善人とはいえない。コヤンスカヤはパニッシャーの後ろに隠れている立香の顔を見ると目を見開く。

 

「うん……そう……そういう事なのね……」

 

何やらブツブツと独り言を言うコヤンスカヤは、改めてパニッシャーに向き直る。

 

「それでどうかしら?私の助けは受けるの? 受けないの? 」

 

コヤンスカヤの問いに、パニッシャーはしばらく考え込んだ後、口を開く。

 

「いいだろう。だが少しでも妙な真似をすれば、その頭ン中にある腐った脳細胞がカーペットの上にぶち撒けられる事になるぞ?」

 

パニッシャーはコヤンスカヤを睨みながらそう告げた。

 

「まぁ怖い♡」

 

コヤンスカヤはわざとらしく怯えるような仕草をする。人を小馬鹿にしたような態度にパニッシャーは苛立ちを覚えた。

 

「じゃあ早速、契約成立ということでよろしいですね? 」

 

コヤンスカヤはパニッシャーと握手を交わす。

 

「ふん……」

 

パニッシャーはつまらなそうな表情で仕方なくコヤンスカヤと手を握る。コヤンスカヤは悪人ではあるが、ビジネスとしての契約はキチンと守るタイプらしい。

 

「それとこれはストレンジが貴方用に作らせた特別性の銃弾です」

 

そう言ってコヤンスカヤは持ってきたバッグの中から複数のマガジンを取り出した。

 

「この銃弾には魔術だけでなく"ヘックスパワー”なる確率操作の力も込められているとか…。まともに受ければ例え神秘の塊であるサーヴァントだとてダメージは免れない代物よ」

 

ストレンジが対サーヴァント用に開発した特殊な銃弾のようだ。

 

「貴方は普通の人間。たかだか普通の人間がサーヴァントに立ち向かおうだなんて、正気の沙汰じゃないわよ?」

 

コヤンスカヤは小馬鹿にしたように笑う。

 

「俺には力が必要だ。サーヴァントを倒す力がな……」

 

パニッシャーはコヤンスカヤの言葉に反応する。

 

「凄腕の魔術師だとて神秘の力という点ではサーヴァントには遠く及ばない…。歴史の中で多くの人間から信仰や畏敬を集め、数多くの逸話に彩られたスキルや宝具を持つ英霊は現代の魔術師では到底太刀打ち出来ない存在。ましてや貴方は魔術師でもい単なる人間。繰り返し言うけど単なる人間よ?重要な事なので二回いいました♡」

 

コヤンスカヤはパニッシャーを嘲笑う。

 

「確かに俺はサーヴァントを倒せる程の力は持っていない。だがサーヴァントはマスターの魔力によって現界している。つまりマスターさえ始末すれば、サーヴァントは消滅するんだろう?」

 

コヤンスカヤの嘲りを無視してパニッシャーは淡々と答える。

 

「予習はそれなりにしているってわけね。けどそれだけじゃ駄目駄目。サーヴァントの攻撃を乗り切れるだけの地力が無いと話にならないわ」

 

コヤンスカヤはパニッシャーの答えを聞いて満足げに微笑むと座っているベッドの上で横になる。

 

「お前とは部屋は別々じゃないのか?」

 

「まさか、ストレンジから貴方の世話を頼まれているんだから、私と一緒の部屋で寝泊まりするに決まっているでしょう?これも契約の内なの」

 

パニッシャーの質問にコヤンスカヤは呆れたような表情を浮かべる。

 

「そうか、なら勝手にしろ」

 

パニッシャーはコヤンスカヤの態度に苛立ちを覚えるも、すぐに冷静さを取り戻す。

 

「面白くないのは私も同じ。あのいけ好かない魔術師の力でないと自分が元いた世界に帰れないだなんて……。だからこうして貴方の世話をしなきゃいけないんだけど、それでも貴方は見所あるわよ?何なら剥製にしてもいい位に…」

 

コヤンスカヤは舌なめずりしながらパニッシャーを見ている。

 

「なんだってストレンジはお前みたいな得体の知れない女を寄越したんだか…。今度会ったらタダじゃおかねぇ」

 

「元々貴方の世界には危機がそこら中に転がっているんでしょう?単純に人手が足りていない。だからこそ私がこうして送られてきているのよ」

 

確かにサノス、アポカリプス、ウルトロン、ギャラクタスといった世界を破壊しうるだけの存在がひしめくパニッシャーの世界では文字通り『世界の危機』が日常茶飯事的に発生している。常に人手は足りておらず、それ故にコヤンスカヤのような女に頼らざるを得なかった。

 

 

 

 

 

****************************************************************

 

 

 

 

それから数時間後、立香はベッドでスヤスヤと眠っており、そんな立香を起こさないようにパニッシャーは自分の所持する銃の手入れを入念にしていた。常に銃は万全の状態を維持しておくべしと海兵隊時代に教わった。海兵隊に入り、あらゆる銃火器の扱いに精通するようになったパニッシャーにとって銃は自分の相棒である。そんな時、ホテルの部屋でシャワーを浴び終わったコヤンスカヤが、身体にバスタオルを巻いた状態でシャワー室から出てくる。コヤンスカヤのセクシーかつグラマラスな肢体は男であれば誰しもが欲情するであろう魅力を兼ね備えていた。そんなコヤンスカヤの姿を見たパニッシャーは不機嫌そうな表情を見せる。コヤンスカヤは艶っぽい笑みを浮かべながら、ゆっくりとパニッシャーの元に近寄る。

 

「そんなに気を張り詰めてちゃ身体が持たないわよ?けど社畜としてなら合格♡」

 

コヤンスカヤはそう言ってわざとらしく身体に巻いたバスタオルを脱ぎ捨てた。コヤンスカヤは堂々と自分の裸体をパニッシャーに見せつける。

 

「男なら目の前にこんな美女がいれば興奮するのが普通なのに、貴方ったらちっとも反応しないのね」

 

コヤンスカヤの裸体は芸術的とも言える程に美しく、見る者全てを魅了するような妖しい色気を放っていた。男の性欲を掻き立てる為に設計されたと言っても過言ではない程の肉体美であるにも関わらず、パニッシャーはコヤンスカヤの誘いを冷たくあしらう。

 

「NFFサービスっていうのは売春婦のビジネスでもしているのか?くだらん」

 

パニッシャーの言葉を聞いたコヤンスカヤは笑顔で眉間に怒筋を浮かばせる。

 

「私の裸体を目の前にしてそんな反応なんてホモかイ〇ポ野郎くらいよ。貴方、マジもんのゲイじゃないの?」

 

コヤンスカヤの挑発的な言葉にパニッシャーは苛立ちを覚える。

 

「お前を抱くなんざ1億ドル積まれてもお断りだ」

 

コヤンスカヤはため息をつく。

 

「妻と死に別れて寂しい気持ちでいると思ったんだけど、身持ちが固いのも考えものねえ?」

 

「……!」

 

唐突にコヤンスカヤはパニッシャーの妻の話題を振ってくる。パニッシャーの妻…マリア・キャッスルはニューヨークのセントラルパークでピクニックをしている際、ギャング同士の抗争に巻き込まれて死亡している。だがパニッシャーはコヤンスカヤに対して妻の話などしてはいない。何故コヤンスカヤに知られたのだろうか?

 

「私、人間の心なら大抵読めるのよ?こうして美女を目の前にして少しも興奮しないなんて、よっぽど奥さんの事が好きだった?案外一途なのね」

 

コヤンスカヤはそう言いながらパニッシャーの頬に手を当てる。コヤンスカヤの手の感触を感じたパニッシャーは嫌悪感を覚え、コヤンスカヤの手を払い除けた。

 

「ふふっ、貴方は自分から先の見えない、終わりの無い戦いに身を投じている。もう言い訳できないレベルの破滅願望の持ち主よ。自分の家族の死の原因となった相手はとっくに墓の下。だけどそいつ等と同類の連中が許せないから自分が裁きを下していく……。これって盛大な"八つ当たり"じゃなーい!☆うぷぷ!あー面白い! いいわぁ、そういうの大好き! だって、そっちの方が断然面白そうだもの! 」

 

コヤンスカヤはしゃがんでパニッシャーと視線を合わせる。コヤンスカヤの金色に輝く瞳はしっかりとパニッシャーの眼を捉えていた。

 

「周囲のヒーローは遵法主義と不殺精神に凝り固まったオママゴトの集団。それでそんなお上品なヒーロー達からは理解されず殺人鬼呼ばわり」

 

コヤンスカヤはニヤニヤと笑顔を浮かべてパニッシャーに話しかける。

 

「正義の為、人々の為じゃなくて自分の怒りと復讐の為に戦うなんて、最高にイカしてると思わない?えぇ?どうせ死ぬんだったら、その方がよっぽど潔いってもんじゃなくって?愛だの平和だのを念仏のように唱えているだけの偽善者よりずっとマシよ」

 

コヤンスカヤの言葉を聞いたパニッシャーは不愉快そうな顔を浮かべる。

 

「俺は悪は殺す、それ以上でも以下でもない。この世に巣食う害虫を駆除するだけだ」

 

「大切な物や自分の拠り所を全て失った人間の心ってビックリする程壊れやすいのよ?そして貴方も例外じゃないわ。貴方は既に"壊れている"。もう手遅れってレベルでね。だからそんな破滅的な生き様しかできない貴方にもオアシスっていうのが必要でしょう?あのカルデアのマスターでさえ仲間に囲まれているんだもの。だけど貴方は正真正銘一人ぼっち」

 

そう言うとコヤンスカヤはパニッシャーをベッドの上に押し倒す。

 

「何の真似だ…?」

 

が、パニッシャーはさして動揺する事もなく、自分を押し倒したコヤンスカヤを睨み返す。

 

「あら? そんなに警戒しないで。別に取って喰おうなんて思ってないわ。ただちょっと、私の暇潰しに付き合って欲しいだけよ。貴方がどんな風に狂っていくのか、すご~く興味があるの。」

 

そう言ってコヤンスカヤは自分の唇を指差す。

 

「キスしてもいいかしら?☆」

 

コヤンスカヤの問い掛けに対し、パニッシャーは無言のままコヤンスカヤを睨むだけだった。

 

「うーん……やっぱりダメ?」

 

コヤンスカヤは残念そうに言いつつ、パニッシャーの手を掴むと、自分の胸に当てる。

 

「自分の気持ちには正直になりなさいよ。ここで私が吐き出させてあげるから♡」

 

コヤンスカヤは口元を歪めつつ、パニッシャーの手を掴んで自分の胸に押し付ける。しかし、それでもパニッシャーは何も言わずにコヤンスカヤを睨んでいた。

 

「うーん、これは重症ねぇ。ここまで頑固だと私も流石にお手上げだわ」

 

そう言うと、コヤンスカヤはパニッシャーから離れる。

 

「ここまで私に迫られて欲望に負けないって並みの精神力じゃない。ま、"壊れてる"ヤツじゃなきゃ私の色香には耐えられないでしょうから」

 

コヤンスカヤはそう言って椅子に座ると、足を組みながらベッドに座るパニッシャーを見つめる。パニッシャーは自分を見てくるコヤンスカヤを無視して、銃の手入れを再開した。




パニッシャーさんにとっての地雷を悉く踏んでいくタユンスカポン。
コヤン的にパニッシャーさんは気に入るような要素があるかどうか分からんけど、一応「気に入った対象」という事にしておいた。

コヤンって残酷ではあるけど、仕事の上での契約はちゃんと守るんですよ~
しかしコヤンのマッパ見ても全然動じないパニッシャーさん…(;^_^A
コヤンの言う通りパニッシャーさんって人間的な意味でも壊れてますからねぇ
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