アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです 作:ドレッジキング
今回、バーヴァン・シーが盛大に藤丸君を煽ってきます
「ふあぁ~、よく寝た」
翌朝、立香はマイルームのベッドで起きると、ベッドから降りて日課である朝のストレッチを始める。するとマイル―ムの扉が開くとマシュが入ってきて、ストレッチ中の立香にハグしながら挨拶してくる。
「おはようございます先輩。良く眠れましたか?」
「うん。ぐっすりとね。マシュは朝から元気だな~。何かいい夢でも見たのかい?マシュがこんなにテンションが高いなんて珍しいけど」
先日の立香の両親が魔術協会に消されたという事実を知り、それに対して立香は死んだ両親の死に涙し、一人でシミュレータールーム内にこもり、そこで虚像の両親と生活をしていたが、アナスタシアが立香の悲しみを受け止めた事によって立香は再び戦う決意をした。マシュは両親の死を知り、慟哭する立香を目の当たりにして以降、こうして積極的にスキンシップをしてくるようになった。
マシュは両親を失った悲しみに暮れる立香に寄り添い、彼の心のケアに努めようとする。後輩として先輩である立香の痛みや苦しみ、悲しみを全て受け止める覚悟を決めている。憧れるばかりが後輩ではない、手本とするばかりが後輩ではない、本当の意味で立香が苦しんでいる時、それを支える事が真の意味での"可愛い後輩"である。
マシュは立香の体を抱きしめながら彼に語り掛ける。
「先輩のご両親の死は私にとってもショックです……。それに先輩の涙を見ても先輩がご両親から愛されていた事が分かります……」
「マシュ……あの時はカッコ悪い所を見せちゃったね。ムニエルを殴ったり皆の前で泣いたりして……」
マシュは首を横に振る。
「いえ、私はそんな事はありません。寧ろ嬉しかったんです。先輩が感情を抑えずにぶつけてくれた事が。先輩はいつも我慢していたから、ずっと心の中で溜め込んでいたんだと思います。だから今の先輩は本来の自分に戻れたんじゃないかって思います。辛い時、悲しい時は我慢せずに誰かに気持ちをぶつける事だって大切ですよ」
「マシュ……ありがとう」
マシュの言葉に立香は涙を流す。マシュは自分の胸で泣く立香を抱き寄せ、優しく頭を撫でた。そしてマシュは立香の頬にキスをする。立香はマシュのキスに思わず顔を赤らめてしまう。マシュは立香の涙に濡れる顔を見つめると、立香の唇に自分の人差し指を当て優しい笑みを浮かべた。
「さぁ、今日一日も頑張りましょう、先輩。まずは何をしましょうか?」
マシュはそう言うと今度は立香を押し倒す形でベッドに寝る。マシュの胸の感触が伝わり、立香は自分の心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。そしてマシュは立香の顔と自分の顔を徐々に近づけていく。立香自身も"これはもしや…?"と思った。マシュと立香の唇が触れ合う数センチ手前の位置でマイルームの扉が開き、アナスタシアが入って来た。
「マスター、おはよ……」
が、アナスタシアはマシュが立香をベッドの上で押し倒し、今にもキスしようとしている光景をバッチリ見てしまった。立香とマシュは入ってきたアナスタシアを見て気まずそうな表情を浮かべている。マシュはアナスタシアの方を振り向くと笑顔で挨拶する。しかしその表情はどこかぎこちない。
「お、おはようございます、アナスタシアさん。ど、どうかしましたか……?」
マシュはアナスタシアに朝のあいさつを交わすが、マシュは立香に覆いかぶさる体勢のままだ。アナスタシアはそんな二人を見てため息をつく。
「……別にどうという事はないけど、あなた達はもう少し節度を持った方が良いと思うのだけど」
マシュは立香に抱き着いたまま答える。
「"こういう事"をしている訳ではありません。ただ先輩と仲良くしているだけです。何か問題でもありますでしょうか?」
アナスタシアはその言葉を聞いて呆れ果ててしまった。
「いや、それはそれで問題があるでしょうに。そもそも、どうしてそんなに仲が良いのかしら。私としてはそこが一番気になるのだけれど」
マシュはアナスタシアに質問され、少し考える。
「……強いて言えば、お互いがお互いに安心できるからではないでしょうか?」
「私はシミュレータールームからマスターを連れ戻した日から、マスターの母であり、姉であり、妹としての役割を担うと決めたの。母親としての経験はないけど、生前の私は妹でもあり、姉でもあったから」
確かに立香をシミュレータールームから連れ戻したのはアナスタシアだが、立香の母、姉、妹の役割を担うとは聞いていない。アナスタシアは立香に抱き着いたままのマシュを見て少しばかり頬を膨らませている。
「あ、あの、マシュ。そろそろいいかなって。ほ、本当に苦しいから……!」
マシュの豊満なバストで顔を埋められている立香はマシュに離してほしいと頼む。マシュは立香を解放すると、アナスタシアは立香に話しかける。
「おはようマスター。朝からマシュと仲が良いのね」
そう言うアナスタシアの目はどことなくジト目になっている。マシュは立香から離れて姿勢を整えると、いつものように微笑みながら答えた。
「はい。わたしと先輩はとても親密なので」
(……えっ?)
マシュの言葉を聞いたアナスタシアは一瞬固まる。しかしすぐに気を取り直すと、マシュに尋ねた。
「まぁ、マスターとあなたがそこまで親密だったなんて。意外だわ」
アナスタシアは笑顔で言うが、どことなく身体から黒いオーラを放っているように見える。マシュはそんなアナスタシアの様子に気付く様子もなく、笑顔でアナスタシアに返事をした。
「はい。先輩と私はとても仲良しですよ」
マシュはアナスタシアに答えると、再び立香に抱き着く。立香はマシュに抱き着かれながらアナスタシアに尋ねる。
「あの……アナスタシア!?こ、これはマシュの後輩としてのスキンシップの一環なんだ!だから、別に他意はないんだって!」
立香は慌てて弁明するが、当のマシュはそんな立香を無視してアナスタシアに答える。
「私は先輩のマイルームを見て、毎日先輩の様子を見ていたんですよ?先輩が寝ている所や着替えている所、シャワーを浴びている所だって余す所なく…」
そんなマシュの言葉を聞いた立香は固まる。
「え……?マシュ……?俺のシャワーや着替えを見てたの……?」
マシュは自分の発言の重大さに気付かず、「はい」と答えた。が、慌てて弁明し始める。
「あ!いえ!その!あくまで観察というか……!そういうつもりではなくてですね……!」
マシュの顔色はみるみると赤くなっていく。そんなマシュを見て少しばかり落ち着いた立香だったが、今度は別の意味で心臓が激しく脈打っている。
(お、俺の裸がマシュに見られてたのか……。うぅ、なんか恥ずかしいな)
立香はマシュに自分の入浴中の様子を見られていたという事に少しばかり動揺していた。そんな立香の心情を知ってか否か、マシュは慌てる。
「そ、その、先輩がシャワーに入っている時の様子を見たかったわけではなく、その、ただ単に先輩の様子を見て……」
「へぇ、マシュ。あなたは自分のマスターの入浴姿を覗き見る趣味があったのね」
アナスタシアは笑顔でマシュに言い、そんなアナスタシアの言葉に対してマシュは慌てて反論する。
「ち、違いますよアナスタシアさん!!わ、私が言いたい事はそうじゃなくて……!!」
マシュは必死にアナスタシアに弁解しようとするが、アナスタシアはそれを遮るようにして言った。
「まぁ、マスターがマシュに自分のあられもない姿を見られていても気にはしないでしょうけど、最低限のプライバシーは守るべきじゃないかしら」
アナスタシアは笑顔で続ける。
マシュはアナスタシアの発言を聞いて固まってしまう。アナスタシアは続けてマシュに話す。
「マスターも年頃の男性なんですから、異性に自分のプライベートを見られていると知ったら嫌だと思うんじゃないかしら」
アナスタシアの言葉に、マシュもようやく自分がとんでもない事をしていたのだと気付いた。
「俺は……自分の一糸纏わぬ姿をマシュに覗かれていたんだ……」
立香は部屋の隅に座って何やらブツブツと呟いており、そんな立香の姿を見たマシュは動揺しつつも弁明する。
「だ、だから違うんですよ先輩……!私は決してそんなつもりでは……!」
マシュは何とか弁明しようと試みるが、そんなマシュの肩に手を置き、アナスタシアはマシュに言う。
「安心なさいマシュ。あなたの気持ちはきっと伝わるはずよ」
マシュは立香の落ち込む姿を見て、改めて自分がとんでもない事をしていたのだと自覚する。
立香はマシュに自分の裸体を見られた事にショックを受けていたが、マシュはマシュで自分の軽率さを恥じる。
(ど、どうしよう……。確かに私は先輩の裸体を見てみたいと思っていました……。でもそれは決してそういう意味ではなくて……)
マシュは心の中で自問する。
(それにしても先輩の裸体は綺麗で、まるで彫刻のように美しかった……。普段からトレーニングをしているので先輩の身体はとても引き締まっていて無駄がなく、筋肉もしっかりとついていましたね。先輩のお尻は小ぶりで可愛らしく、そして先輩の……先輩の"あの部分"は……)
マシュはモニタールームで見てたシャワーを浴びている立香を観察している時の事を思い出し、顔を真っ赤にして悶える。
マシュはモニタールームで見た立香の姿を思い浮かべる。シャワーで濡れた髪と肌が妙に艶めかしくて、その光景はマシュにとって刺激的過ぎた。
「マシュ、あなたは今何を考えているのかしら?私はとても気になるわ」
アナスタシアは笑顔だが、どことなく声に殺気が籠っており、マシュは慌てて弁解する。
「ち、違いますアナスタシアさん!!別に変な事は考えてませんから!!」
「あなたは自分のした事を反省するべきね。善意でやっていたとしても、相手を傷付ける結果になる事もあるのよ?」
そう言ってアナスタシアは部屋の隅で体育座りをしながら独り言を呟いている立香に近付き寄り添う。
「よしよし、マスターはいい子ですねー」
立香をあやすように頭を撫でる。
「ちょっ!?何してるんですかアナスタシアさぁんッ!!!」
マシュはアナスタシアの行動を止めようとするが、アナスタシアはマシュに言う。
「マシュ、これこそ本当に必要なスキンシップよ?今のマスターに必要なのは心のケア」
アナスタシアの言葉にマシュは反論できない。マシュはアナスタシアに諭され、仕方なくアナスタシアに抱き締められる立香を見守る事にした。
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マイルームを出ると、アナスタシアは立香と腕を組みながら廊下を歩いていた。そしてマシュも二人の後に続く。
「あら、どうかしたのマシュ?そんなに見つめてきて」
マシュは二人を凝視しながら無表情で見つめており、その様子に気づいたアナスタシアはマシュに尋ねる。
マシュは少しだけ頬を引きつらせながらもアナスタシアに答える。
「い、いえ……。その、アナスタシアさんの行動があまりにも自然だったので……」
マシュはアナスタシアと立香が腕を組んで歩く姿に違和感がない事に驚く。マシュが知っている限り、アナスタシアは人見知りであり他人と距離を置く性格であり、信頼関係を築かなければ誰かと馴れ合うような真似はしない。しかしマシュはアナスタシアと立香の関係を知っている。アナスタシアと立香は互いに信頼関係を築いており、二人はお互いを支え合っている。アナスタシアはシミュレータールームで虚像の両親と過ごす立香を連れ戻してきた。それはアナスタシアが立香と同じく自分の家族を理不尽に奪われた過去を持つからだろう。マシュはアナスタシアと立香の間に確かな絆を感じ取り、羨ましくも微笑ましく思った。
「さっきも言ったけど、私はマスターの母であり、姉であり、妹としての役割を担うの。だからマスターを甘やかす時は思いっきり甘やかさないとね」
そう言ってアナスタシアは立香の頭をナデナデする。が、その時廊下を誰かが駆け抜ける音がしたかと思うと、モリアーティがアナスタシア、立香、マシュの前に颯爽と現れた。
「グッドモーニーング!我がマスター!母、姉、妹の代わりがいるのであれば、父、兄、弟としての役割は私が担おうじゃないかネ!」
そう言ってモリアーティは立香を抱きしめる。
「私がマスター君のパパになっちゃうぞ~?」
と、まるで父親のような振る舞いをする。
「あら?あなたの場合は父親というよりもお爺ちゃんよ?」
そんなアナスタシアの言葉にモリアーティは流石にショックを受けたようだ。
「ガーン!?︎そ、それって年齢差別というやつじゃあないかネ…!?普通にアラフィフの父親も需要はあるはずでは……」
「いや、俺の父さんはまだ三十代だったし……」
「何という事だ!若さか…やはり若さが必要と言うのか……。私に足りないものは若さなのかァーッ!!!!」
「えぇー……(汗)」
そんなやりとりをしながら三人はノウム・カルデアの食堂へと向かう。そして立香達が食堂に着くなり、頼光が立香の元にまで駆け寄ってくる。
「マスター……、父を……そして母を理不尽に奪われた気持ち……この私には痛い程によく分かります…!今こそ私が母親として、マスターの支えになりましょう!!」
頼光はそう言って立香を抱き寄せる。頼光の目からは涙が流れており、立香はその温もりに安心感を覚えた。
「あぁ……可哀想に……。もう大丈夫ですよ。母が側にいますからね」
頼光がそう言うと、立香は無意識のうちに涙を流す。バーサーカーとして召喚された頼光は母性という一面が殊更に強調されており、その包容力は並大抵ではない。
「……あれ?なんか違う気がするんですが……」
そんな二人を見てマシュは困惑する。が、そんな立香の様子を面白そうに見ている存在がいた。つい昨日ノウム・カルデアに召喚されたバーヴァン・シーである。彼女は立香が両親の死にショックを受け、シミュレータールームで虚像の両親と暮らしてた事を知り、それをからかうべく立香の所までやって来る。
「おい、お前。死んだ親が恋しくてシミュレータールームで暮らそうとかマジでキモいな」
バーヴァン・シーはニヤけた笑顔を浮かべつつ容赦なく立香を挑発する。
「別に、そんなんじゃないよ」
立香はバーヴァン・シーに反論する。だが彼女の言う事は間違っていない。立香は両親の死に耐えきれずにシミュレータールームに篭もったのは言い逃れしようのない事実なのだから。
「はっ、強がるなって。どうせお前は死んだ両親に未練タラッタラなんだろ?そんな奴はここで大人しくしてればいいんだよ」
「……」
立香は黙ってしまう。そんな立香の様子を見たバーヴァン・シーはニヤリと笑みを浮かべる。
「図星かよ。ほんっと、情けねぇなお前。その年になってもママに甘えたいんだろ?このマ・ザ・コ・ン♡」
ケラケラと笑いながらバーヴァン・シーは立香を罵倒する。だが、そんなバーヴァン・シーにマシュとダ・ヴィンチから注意が入る。
「ちょっとバーヴァン・シーさん!いくらなんでも言い過ぎです!」
「私は本当の事を言ったまでだけどぉ?それにコイツだってこんな風に言われても仕方がないだろ」
バーヴァン・シーは悪びれる様子もなく、むしろ立香が悪いと言わんばかりな態度をとる。そんなバーヴァン・シーに対してマシュは抗議するがバーヴァン・シーは全く反省の色を見せない。
「私達サーヴァントをほったらかしにして偽物の親のいる空間で暮らすなんて親離れできてなくてちょーウケる!メソメソしてるよりはマシかもしれないけどさ、それって結局は現実逃避よね?何にも変わってないじゃない。親死んだ程度でビービー喚いてるガキンチョはママに慰めてもらえばいーじゃん?アハハ!」
バーヴァン・シーの言葉にマシュとダ・ヴィンチは顔をしかめる。
「バーヴァン・シーさん!いい加減にしてください!先輩はご両親の死にショックを……」
マシュは立香を心配し、バーヴァン・シーに詰め寄る。
「だからぁ、それがダメなんでしょ?アイツはいつまでも子供のまま。これからもずっとこのままなわけ?あーやだヤダー。これじゃいつまで経ってもマスターとして成長できねーじゃん。自分のサーヴァント達よりも死んだ親を優先してるとか、どんだけクソ野郎だよ」
立香はバーヴァン・シーの罵倒をじっと聞いていた。立香は唇を噛みしめ、拳を強く握り締める。
「何も言い返さないわけ?ほら見ろよ、やっぱりそうだろ?死んだ両親の方が大事なんでしょ?死んだ両親と暮らし続ける方が幸せなんだろ?そうやって自分を騙し続けてれば楽になれるもんな」
バーヴァン・シーはさらに言葉を続ける。
「お子様が母親に甘えるように、死んだ両親にべったり依存してるだけのただの子供。お前はもう、マスターとしてとっくに死んでるんだよ」
バーヴァン・シーは無言のままでいる立香を見て益々嘲笑する。だが、そんなバーヴァン・シーにマシュとダ・ヴィンチから注意が入った。
「ちょっとバーヴァン・シーさん!いくらなんでもそれは失礼すぎます!」
「私達は藤丸君の悲しみを受け止めてあげたいだけだ。彼は両親の死を受け入れられず、悲しみに暮れている。その気持ちは分かるだろう?」
マシュとダ・ヴィンチはバーヴァン・シーに立香への態度を改めるように言う。だが、バーヴァン・シーは二人の言葉を鼻で笑った。
「はっ、何それ?今まで戦いを潜りぬけてきた癖して、今更両親が死んだぐらいでメソメソウジウジ泣きついてる奴がマスターとかマジで終わってるんだけど。そもそも、そんなに両親が大事なら一生シミュレータールームに閉じ籠ってりゃいーじゃん。ソイツはもう、あの両親に依存して生きること以外出来ないガキなんだから」
バーヴァン・シーは立香に罵声を浴びせると、そのままその場から去っていった。
マシュとダ・ヴィンチはバーヴァン・シーを追いかけようとしたが、立香が引き留める。
「いいんだよ…、バーヴァン・シーが言っている事は本当なんだからさ…」
立香は力なく呟くと、自分の席に座って食事を取り始める。食事をしている立香の目は潤んでおり、涙がこぼれないように必死に堪えながら食べ続けていた。そんな立香の様子を見たマシュとダ・ヴィンチは心配そうな表情を浮かべる。
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立香がバーヴァン・シーに煽られているのと同じ頃、パニッシャーは離れた位置で食事を取っていた。漂白化された地球から物資を取れない為、微小特異点で狩ってきた動物を持ってきたり、農場で栽培した野菜を調理したものを食べたりしている。そんな彼の元にバーゲストがやって来る。パニッシャーは以前食堂でバーゲストに対して銃を発砲したせいで懲罰房へと入れられてしまった。発砲した際にバーゲストに対して少なくないダメージを与えたが、バーゲストは既に完治しているようだ。
「…お前か。随分と回復が早いな。流石は妖精といった所か?」
パニッシャーはバーゲストを見るなりそう言った。が、当のバーゲストはパニッシャーと争うつもりはないようだ。
「貴様には手酷い怪我を負わされたが、今はこうして元気にしている。ここで私に殺されないだけ感謝しておけ」
パニッシャーはバーゲストが持つ妖精としての性質とその危険性を聞かされていたので、立香にもしもの事があっては困るからとバーゲストに発砲したのだ。
「お前がノウム・カルデアに召喚されて立香のサーヴァントになったとしても、お前の性質を考えればいつ立香を喰い殺すか分からん。犬は犬らしくドッグフードでも食べていろ」
パニッシャーの言葉にバーゲストは少し不機嫌になる。バーゲストは妖精も人間も関係なく喰い殺し、その衝動から恋人となった相手を食らってきた過去を持つ。当然バーゲストはそんな自分に嫌気が差しているのだが、パニッシャーはそんなバーゲストの性質こそ立香を危険に晒していると指摘している。
「自分の食欲が抑えられないのならテメエ自身の肉体を食らって腹を満たしておけ。それが一番平和的解決法だ」
無論、バーゲストだとて自分の生まれ持った情動は嫌悪してはいるのだが、最早本能と言っても過言ではない程に制御できない感情なのだ。
「お前は自分の性質を知りながら多くの男と関係を持ち、相手を食らってきたんだろう?食欲の塊であるお前がいつ立香を喰い殺すか分からん」
「私とて自分の持つ性質を恥じている。だがそれでも抑えきれないこの渇望こそが私の罪であり、罰だ」
パニッシャーはため息をつくと、自分の皿にある肉料理を口に運んだ。
「だがそういうお前も、ウェールズの森を焼いた事でアイツの逆鱗に触れた末に魂を食われた。初めて自分が食われる立場になったのはどんな気分だった?」
「あの
魔力喰いのバーゲストでさえ、復讐の精霊の持つ規格外の腕力と魔力の前には成すすべが無かった。初めて自分が一方的に殺される感覚はバーゲストの身に焼き付いている。
「ともかく、お前が立香を喰い殺す可能性がある以上、俺はいつでもお前を殺せる準備をしている。それを肝に銘じておくんだな」
パニッシャーがそう言うとバーゲストはその場を去って行った。これでもパニッシャーなりに最大限抑えている方であり、バーゲストが下手な事を言えば再び彼女に発砲していた。そんな時、ダ・ヴィンチがパニッシャーの所に来る。
「おや?パニッシャー君は彼女と仲直りできたのかな?」
パニッシャーとバーゲストの会話を聞いていたのか、ダ・ヴィンチはニヤニヤしながらパニッシャーに話しかける。
「ふん、そもそも俺は誰と仲良くする気もないし、馴れ合うつもりもない」
「ははは、相変わらずパニッシャー君ってばクールなんだから~」
「それ以前になんであんな女をカルデアに召喚したんだ?妖精國の妖精共をストームボーダーに乗せて彷徨海に避難させようとした事といい、お前達は相手の持つ危険性を認識できないのか」
パニッシャーはバーゲストが持つ性質と、妖精國に暮らす妖精の異常性を知った上で彼等と仲良くしていたダ・ヴィンチに苦言を呈する。
「お人よしもいいが、限度ってもんがある。いつ暴発するかも分からない爆弾を抱えるような真似はしない方がいいだろうに……」
パニッシャーの言葉にダ・ヴィンチは思わず黙り込む。確かに彼の言葉は正論だった。だが、それでもパニッシャーは自分の考えを変える気はなかった。
とはいえパニッシャー自身、立香やマシュ、ダ・ヴィンチの持つ善性と優しさを認めているのも事実だ。パニッシャーは法律を無視し、多くの犯罪者や悪党に死の制裁を加え続ける事から、アベンジャーズやスパイダーマンといった他のヒーローから殺人者のレッテルを貼られ、鼻つまみ者として扱われているのは事実だ。しかし立香、マシュ、ダ・ヴィンチ達カルデアの面々は問題を起こすパニッシャーを決して追い出そうとはしなかった。高潔さと遵法精神、不殺主義が求められるヒーローの集まりであるアベンジャーズとは異なり、多種多様な英霊達の性格や側面を見続けてきたカルデアだからこそパニッシャーのような者に対しても寛容になれるのだろう。そしてパニッシャーはふと思う。もしも仮にキャプテン・アメリカが立香の代わりに人理修復の旅に出たとしたら、立香と同じくゲーティアの野望を打ち砕けるのだろうか?と…。
バーゲストを倒したのは皆大好きあのキャラです
カルデアがアベンジャーズといったヒーローよりもパニッシャーに対して寛容っていうのは割と合ってるんじゃないかと思う。ヒーローは色々面倒臭い制約に縛られる関係上、どうしてもパニッシャーみたいなのは白眼視されるわけだし。
キャップってカリスマ性も指導力も人間的魅力も高潔さも備えているから、藤丸君の代わりに人理修復はできるんじゃないかなー?と思ったり