アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです 作:ドレッジキング
パニッシャーって特異点を修正したり、異聞帯の空想樹を切除すればゴールする藤丸君と違って終わりが見えない戦いを続けてるんですよね。
パニッシャーとコヤンスカヤのやり取りを絵師様に依頼して漫画にして
もらいました!
パニッシャーはコヤンスカヤと共に新都にあるデパートの服売り場コーナーへと来ていた。ホテルの一室で留守番している立香の着る服をコヤンスカヤと一緒に選ぼうとしたのだが、肝心のコヤンスカヤはというと、パニッシャーの腕に抱き着き、自分の胸と密着させながら歩いている。傍から見れば変わったカップルか夫婦に見えるだろうが、実際は違う。
「……おい、離れたらどうだ?俺はお前と恋人同士じゃないんだ」
パニッシャーは馴れ馴れしくしてくるコヤンスカヤに対して辟易する。しかし当のコヤンスカヤは全く気にしていないのか、「うふっ♡いいじゃありませんのぉ~♡私達これから一緒に買い物する仲ではありませんの~♪」と言って離れようとしない。
パニッシャーだとてコヤンスカヤがまともな女ではない事は知ってはいるが、サーヴァントと戦う為、そして立香を守る為には彼女の助力が不可欠なのだ。
「そういえばホテルの一室に残してきた立香は大丈夫なのか?魔術協会の連中がやって来たりはしないだろうな?」
パニッシャーはホテルに置いてきた立香を気にしていたが、コヤンスカヤは心配ないと言わんばかりに笑顔で答える。
「心配要りません。あのホテルの一室には我がNFFサービスが誇る特別性の防護結界が施されてますので、たとえ魔術協会の執行者が100人来ようと侵入できませんわ。もっと言えば低級サーヴァント程度の攻撃であればビクともしません。だから安心なさってください」
コヤンスカヤは自信満々に答え、それを聞いたパニッシャーは納得した。そうしてパニッシャーとコヤンスカヤはデパートで立香に買う為の服を買ってデパートを出ると、冬木中央公園のベンチに腰をかけた。立香を守るのも重要ではあるが、それと同時に聖杯戦争に参加しているマスターやサーヴァントを止めなければいけないという任務もある。早くホテルにいる立香の元に帰りたかったが、現状冬木市に来ているアベンジャーズのメンバーだけでは心もとないのも事実だ。広々とした公園の風景をパニッシャーは眺める。
こうした公園を見ているとあの日……セントラルパークで家族とピクニックに来ていた日の事を思い出す。最愛の妻、娘、息子の3人と一緒だったあの時、幸せの絶頂にいたはずだった。しかし、ギャングの抗争に巻き込まれた結果、家族全員が殺された。その時の光景を今でも忘れる事はできない。家族の死の原因となったギャング組織が警察でさえ手出しできない存在である事を知り、司法など当てにならないと知った。フランク・キャッスルという男はあの日に死んだ。そして今はパニッシャーという自分がいる。家族が死んで以降の自分の送って来た日々は血塗られていた。ギャング、マフィア、チンピラ、強盗、異常者、サイコパス、シリアルキラー、強姦魔……。ありとあらゆる犯罪者を手段を問わずに殺し続けた。殺した所で家族は帰らない、殺した所で犯罪は尽きない。だが、パニッシャーはそれでも歩みを止めるつもりはなかった。そんな事を考えていたパニッシャーにコヤンスカヤは声を掛ける。
「どうなさいましたぁ?想い出に耽っていらっしゃいますの?」
パニッシャーはコヤンスカヤの言葉に反応して振り向く。が、コヤンスカヤの表情はまるでパニッシャーがどんな事を考えていたのかを見透かしているようだった。
「最愛の家族との幸せな日々を思い出していらしたのですか? それはご愁傷様です。」
その言葉を聞いて、パニッシャーはコヤンスカヤを睨みつける。そんなパニッシャーの反応をコヤンスカヤは鼻で笑う。
「あら、図星ですか? でも、貴方はご家族を失った。もう二度と戻らない。失ったものは取り戻せない。それが現実というものですよ?」
コヤンスカヤの挑発するような物言いにパニッシャーは苛立ちを覚える。コヤンスカヤの言う通り、家族はもう帰ってこない。家族は殺された。だがそれ以前にコヤンスカヤに対して自分の家族の事など話していない筈だ。それなのに何故コヤンスカヤはパニッシャーに家族がいた事を知っているのだろうか?
「お前には俺の家族の事など話していない筈だ……」
「あら?私には分かるんですよ?こう見えても人間の感情の機微には敏感なもので。こうしてアナタの顔を見ているとよく分かります。アナタはもう人間ではなく、人間の皮を被った怪物。アナタは人間らしい感情を捨ててしまった。だから、アナタの考えている事が手に取る様に解るの」
コヤンスカヤはそう言ってパニッシャーに微笑む。
「人間のココロというのは一度壊れればそれっきり。アナタのように人間らしさを失ってしまえば、後は獣と同じです♡」
コヤンスカヤはニヤついた顔でパニッシャーを見てくる。
「アナタの戦いには明確なゴールや終着点なんて存在しない。そんなものは森の中を堂々巡りする迷子のようなもの。けどアナタは自分の意思で破滅的な人生を歩み続けている」
コヤンスカヤは更に言葉を紡ぐ。
「それに……アナタが犯罪者ないし悪人を殺し続けているのって家族の死だけが理由かしら?もっと他にもあるんじゃなくて?」
コヤンスカヤはベンチに座っているパニッシャーの膝の上に跨ると、自分の顔をパニッシャーに近付ける。その距離はお互いの吐息が掛かるほどに近かった。
「例えば……家族の死よりも以前にアナタは壊れていた、とか?いえね、別に深い意味はないのだけれど」
コヤンスカヤはパニッシャーの顔を覗き込むようにして見つめてくる。そんなコヤンスカヤの行動を見てパニッシャーは彼女の事を睨みつけた。しかしそんな彼の反応をコヤンスカヤは鼻で笑い飛ばす。そして彼女はパニッシャーの顎を指先でなぞりながら彼に話しかける。コヤンスカヤの姿はまるで、世の中の男を色香で惑わす毒婦を思わせた。
「アナタのような人間はね、何か大きな喪失を経験した時にその悲しみや怒りを誰かにぶつけずにはいられないものなのよ。だからね、そんな時こそ優しく受け止めてくれる人が欲しいものねぇ?破滅的な生き方をしている人間ほど、そういう相手を求めるものだわ」
コヤンスカヤはパニッシャーの唇に人差し指を当てて言う。
「だ・か・ら、私がアナタの心の隙間を埋めてあげる♪」
だがパニッシャーは本質が"悪"であるコヤンスカヤに心を許す気は毛頭無かった。
「断る、俺はお前みたいな毒婦に心を開く気は無い」
パニッシャーはコヤンスカヤの誘惑を断ち斬るように言った。
「あら、つれないわね」
コヤンスカヤは残念そうな表情を浮かべると、パニッシャーの上から退いた。
「なら仕方ないわね。無理強いはしないわ。けど……私は諦めないわよ?」
コヤンスカヤは舌なめずりしつつ、パニッシャーを品定めするように見ていた。
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デパートでの買い物を終えて、ようやく立香が留守番しているホテルの一室へと戻って来たパニッシャーとコヤンスカヤだが、部屋に入ったと同時に立香が部屋のテーブルの上に置いたパニッシャーの銃をいじっている光景が目に飛び込んできた。
「立香、その銃をテーブルに置くんだ。それは玩具じゃない」
パニッシャーが忠告するが、立香は聞く耳を持たない。
「僕のパパと……ママと……お姉ちゃんを殺したヤツに復讐するんだ……!」
立香は震える手でパニッシャーの愛銃であるグロック17を握りしめている。
「駄目だ。お前にはまだ早い」
「うるさい!僕はアイツを殺すんだ!」
パニッシャーは冷静に言い聞かせるが、それでも立香はパニッシャーの警告を無視してグロックを手に取り、銃口を天井に向け引き金を引いた。
しかし、弾は発射されなかった。
「あれ?おかしいな……」
何度も試すが、やはり弾は出ない。
「当たり前だ。弾は全部抜いてある。」
パニッシャーはそう言うと、立香が持っているグロック17を取り上げた。
「……復讐なんてやるもんじゃない。そんな生き方をすれば、いつか心が壊れる」
パニッシャーは立香を諭すように言った。
「でも、アイツは僕の家族を……殺したんだ。許せない。普通に暮らしていただけなのに……!何も悪い事してないのに……!」
パニッシャーの言葉に、立香は涙声で反論した。
「……お前の力ではランサーには勝てない。あの銃を使った所で返り討ちになるだけだ。それに……復讐の道を歩めばもう二度と"後戻り"なんてできないぞ?」
家族の死に涙し、憤怒したパニッシャーは復讐への道を歩み続けてきた。だがそれによって世の犯罪者や悪党を殺し、連中の屍の山を築き上げる事しかできなくなっていたのだ。
「お前の家族は……お前に復讐の道を歩ませたいなんて思わない」
「けど……けどあの男が……!」
涙を流す立香の頭をパニッシャーは優しく撫でた。これまで多くの悪党を殺してきた事で血塗られた自分の手で立香の頭を撫でたのだ。思えばセントラルパークで死亡した時の息子、デビッドと今の立香は同じ年齢だ。立香の家族構成も父、母、姉の4人であり、奇しくもパニッシャーと同じである。
「俺にはお前の家族の仇を取ってやる事しかできない……。お前がこれからも生きていけるように……。だから……復讐に生きるなんて真似だけはするな」
パニッシャーは立香の体を抱きしめると、立香はパニッシャーの胸に顔を埋めて大声を上げて泣き出した。パニッシャーは他のヒーロー……アベンジャーズなどからはヒーローとしてではなく"人殺し"として見られている。不殺を推奨されるヒーロー達の中で、法律を無視し、モラルを破り、犯罪者に死の制裁を下し続けるパニッシャーはヒーローとして見られなくて当然なのかもしれない。
「おじさん……、おじさんは何で僕を助けてくれたの……?」
そんな立香の問いかけに対して、パニッシャーは答える。
「勿論、お前を放っておけなかったからだ」
だがパニッシャーは、家族を殺された立香自身にとっての"ヒーロー"となっている事には気付いていない。多くの犯罪者を殺し続けても、どれだけの血を浴びても、かつて二児の父親であったパニッシャーは立香のような子供に対しての情までは失っていないのだから……。
邦訳されている「パニッシャーMAX ビギニング」で、パニッシャーは自分の相棒であったマイクロから「君は家族の死よりも以前から殺人に魅入られている」と言われてるんですが、今回のコヤンもその事を見抜いてるんだと思います(MAX ビギニング自体が正史とは異なる並行世界の話ですけど)。
しかしオリュンポスで殺人鬼であるベリルを「信用できない」と言っていたのに、パニッシャーは気に入るっていうのも変な話ですけどね(;^_^A
しかしマーベルといいDCといいアメコミっていうのは本当に「父性」をテーマにするのが多いですな。