アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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ついに学校でのライダー戦であります。


第30話 学校での戦い①

午後。スティーブは一人でこっそりと衛宮邸から出ていく士郎を見た。恐らくは今日の晩飯の買い出しなのだろうが、それにしても断りもなく出ていくとは彼らしくない。何やら急いでいる様子だったので、スティーブは士郎の後を付ける事にした。念の為にスティーブは自分の得物であるヴィブラニウムのシールドを袋に入れて背中に背負い、クリントとナターシャも自分の武器をそれぞれ装備した。そして家を出る際、居間の食卓の上にに凛とセイバー宛てに書き置きを残しておいた。今は聖杯戦争、いつ他のマスターやサーヴァントに襲われるか分かったものではない。今はまだ昼間だが他のマスターがそんなルールを守るという保証もない。スティーブは胸騒ぎを感じ、クリント、ナターシャに声をかけて士郎を尾行する事にした。士郎の100メートル後方から付いて行く三人はバレないように慎重に後をつけていく。士郎は自分を尾けてくるスティーブ達に気付く様子はない。

 

「そういえばさっき電話があって、士郎はそれに対応していた。その関係で外出しているのだろうか?」

 

「学校を休んでいるから、呼び出し食らったんじゃねぇか?」

 

「病欠中の生徒をわざわざ学校に呼び出したりする?普通」

 

確かに士郎は表向きは病欠という事で学校を休んでいるものの、そんな士郎を学校まで呼び出したりするだろうか?そんな疑問を抱くスティーブ達であるが、予想通り士郎は自分の通う穂群原学園への道を進んでいた。やはり誰かから呼び出しを受けて学園へと向かったのだろうか?今はまだ学校は授業中なので校門には人影はいない。士郎はそのまま校門を通って校舎へと入って行く。士郎に遅れてスティーブ達三人も校舎へと入った。授業中だからか、校舎は静まり返っている。士郎に気付かれないように後を付けていくスティーブ達。

 

「……そういや学校にはまだ結界が敷かれているんだろ?もし発動しちまったら危ないんじゃないか?」

 

クリントの言葉にスティーブとナターシャの顔が強張る。そう、凛がこの穂群原学園に敷かれた結界を発動させないように細工を施したとはいえ、結界そのものが完全に無くなったわけではない。

 

「嫌な予感がする……」

 

士郎が向かった先は三階にある彼のクラスであるC組だ。足音を立てずに慎重に士郎を尾行していく三人だが、突如として周囲の景色が赤色に染まったのだ。

 

「……!?」

 

それと同時に三人の身体に倦怠感が襲い掛かる。猛烈に具合が悪くなるとまではいかないものの、軽い眩暈と頭痛を感じた。スティーブ達はこの状況を理解するのにそう時間は掛からなかった。

 

「キャップ……こりゃまさか……」

 

「あぁ……これは"魔術"だ……!」

 

三人はコヤンスカヤが送り届けてくれたDr.ストレンジ特製の魔力除けのアミュレットを身に付けていた。これのお陰でこの程度で済んでいるのだと感心したものの、このアミュレットが無ければ魔術師でもない三人は短時間の内に行動不能に陥っていただろう。そして尾行している対象の士郎を見ると、彼の足取りがおぼつかないのが分かった。士郎もこの校舎に展開されている魔術の影響を受けているのだろう。そして士郎は壁にもたれかかり、窓を開ける。すると何か恐ろしい物を見てしまったかのような表情を浮かべた。スティーブ達も窓の外を見てみると、ソラに浮かんだ巨大な赤色の天蓋が学校全体を覆っていた。

 

「何だよありゃ……!」

 

クリントは校舎の頭上に展開された赤色の天蓋を見て驚きの声を上げる。これこそが学校に敷かれた結界だというのだろうか……?スティーブ、クリント、ナターシャの3人はこの状況をどうにかするべく、廊下の先でふらついている士郎に駆け寄る。もう尾行している場合ではない。

 

「シロウ!大丈夫か!?」

 

「ロジャース先生にバートン先生、ロマノヴァ先生……?三人ともどうして学校に……?」

 

士郎もこの結界の影響で体調こそ芳しくない様子だが、それでもしっかりとスティーブ達の事を理解できているようだ。

 

「お前さんが一人で家を出ていくのを見てな。そんでキャップとナターシャと俺が尾行したってわけさ」

 

「それよりも今の君の状況は分かっているのか?その……あまり良くないという事を」

 

士郎は少し不安げな表情を浮かべながら答える。恐らく、今の状況を十分に把握できていないのだろう。

 

「あ……はい。体の方は正直キツイですが、どうにか動けます」

 

魔力除けのアミュレットも無い士郎ではこの結界の中で行動するだけで凄まじい負担になっているだろう。スティーブは士郎に自分の肩を貸す事にした。

 

「とにかく急ごう。今のままでは危険だ」

 

すみません……。この結界を張っている奴を止めないと皆が……」

 

そう、この結界が張られている校舎の中には大勢の生徒達がいる。しかも今は授業中。スティーブは近くの教室の扉を開けて中の様子を伺う。机に座っている生徒は一人もおらず、全員が床に倒れていた。教師も床に倒れ伏している。幸いまだ死んではいないようで、微かに痙攣している。だがこのままでは死んでしまうのは時間の問題。一刻も早くこの結界を展開させた張本人を見つけなくては。

 

「酷い……」

 

ナターシャは思わず呟く。学校全体を覆っている魔術の結界の中にいる人間は皆こうなってしまうのだろうか。魔術回路を持つ士郎と、魔術除けのアミュレットを装備しているスティーブ達三人はこの空間でも行動できる。最も、吐き気や倦怠感といった体調不良に襲われているので万全とは言い難いが。魔術回路を持たないスティーブ達でもこのアミュレットのお陰で戦える。この付近にこの結界を張った張本人がいる筈だ。そう思い、教室から廊下に出る。すると向こう側に人影が見えた。

 

「いよう衛宮。思ったより元気そうで何よりだ。……僕はお前に一人で来いと電話で伝えたのに、その教師達まで連れて来たのか」

 

廊下の先に現れたのは間桐慎二。この結界の中にいるにも関わらず平然とした様子で士郎に声を掛けてきた。先程衛宮邸に掛かってきた電話は慎二からだったようだ。

 

「――これはお前の仕業か、慎二」

 

士郎は廊下の先に立つ慎二を真っ直ぐ見据えながら言う。苦しそうな状態の士郎であるが、目の前に元凶と予想される慎二を前にして気力を奮い立たせているようだ。そんな士郎の様子が面白かったのか、慎二は両手を広げながら笑い声をあげた。

 

「そうとも。お前が学校に来るのと同時にこの結界を発動させたんだ。タイミングには苦労したんだぜ?早すぎれば逃げられるし、遅すぎれば顔を合わせる事になるからさ。まさかその外国人教師達まで連れて来るとは思わなかったけどな」

 

慎二は士郎と一緒にいるスティーブ、クリント、ナターシャに視線を移す。

 

「この聖杯戦争に魔術師でもない人間を関わらせるなんて、お前も物好きだよ。まったく、馬鹿には付き合ってられないな」

 

慎二は露骨に馬鹿にしたような表情で士郎を見る。そんな態度を取る慎二を士郎は黙って睨み返した。

 

「話があるっていうのは嘘か」

 

「話?話はこれからさ。僕とオマエ、どちらが優れているか遠坂に思い知らせないといけないし、衛宮には嘘の謝罪をしなきゃいけないからね。ほら、衛宮には黙っていたけど、学校に結界を敷いたのは僕なんだ」

 

慎二は笑い声をあげながら言う。予想通りというべきか、慎二が犯人であろうという事はスティーブ達は想定済みであった。別に驚く事のことでもないが、無関係ない生徒達を結界の中に閉じ込め、命の危険に晒している慎二の行為に怒りを抱くスティーブ達。

 

「あれ?思ったより驚かないな。なんだ、この結界は僕じゃないって言ったのに、衛宮は信じれくれなかったんだ。あは、いいねいいね、お前でも人を信じないなんてコトがあったワケだ!」

 

慎二はヘラヘラと馬鹿にするような笑みを浮かべる。士郎の顔を見れば悔しそうな表情をしていた。

 

「……慎二、何でこんな事をするんだ?戦う気がないってあの時俺に言ったのは嘘だったのか?」

 

「いいやあ、それは本当なんじゃない?僕だってこんなモノを発動させる気はなかったんだ。コレはあくまで交渉材料だったんだよ。爆弾をしかけておけば遠坂だっておいそれと僕を襲わなくなるし、万が一の切り札にもなるからね」

 

要は自分が襲われない為に、学校の生徒達を人質に取ったのだ。している事はスティーブ達がアベンジャーズとして活動している時に戦う犯罪者やヴィランのそれと大差ない。

 

「慎二、止めろ。今すぐに」

 

士郎は真っ直ぐに慎二を睨みながら言う。しかし慎二は睨んでくる士郎を嘲るように鼻で笑う。

 

「はっ、馬鹿を言うなよ。一度発動させた結界を止めるなんてそんな勿体ないコトできる筈がないだろう?」

 

「止めろ。お前、自分が何をしているのか分かっているのか?」

 

が、嘲笑う慎二に臆する事なく士郎は静かに言い放つ。士郎の言葉を聞いて慎二は不機嫌そうな表情になる。

 

「何?衛宮は僕に命令するわけ?止めるかどうか決められるのは僕だけだし、止めて欲しかったら土下座でもするのが筋ってもんじゃないの?まったく、藤村といい、お前といい自分の立場が判ってないな」

 

慎二の口から大河の名前が出た瞬間、士郎の表情が強張る。スティーブも彼女の名前を慎二が口にした時、嫌な予感が脳裏を過った。まさかとは思うが……。

 

「おい、藤ねえがどうしたって」

 

「え?ああ、藤村ね。この結界が出来てからさ、あいつ結構動けたんだよ。他の連中がどんどん倒れているのに、一人おぼつかない脚でふらふら歩いてたんだぜ?でさ、倒れずにいた僕のところまでやってきて、救急車を呼んでとか言ってきたんだ。すごいよね、教育者の鏡ってヤツ?けど僕がどんな物を呼ぶはずないだろ。藤村のヤツ、それでもしがみついてくるもんだから、鬱陶しくなって蹴り飛ばしてやったらピクリとも動かねえでやんの!あの様子じゃ僕の蹴りで死んだんじゃないかアイツ?ははは!」

 

慎二は倒れた生徒を助ける為に救急車を呼ぶ事を懇願してきた大河を蹴り飛ばした時の状況を嬉々として語る。だが、その内容はスティーブやクリントの逆鱗に触れるには十分過ぎる程のものだった。しかしスティーブとクリントは拳を握り締め、怒りの感情を抑える。冷静さを欠いては勝てる戦いも勝てなくなるからだ。ふとスティーブは士郎に視線を移す。

 

「――――――」

 

「シロウ……?」

 

スティーブが見た士郎の眼は普段の彼とはまるで別人だった。憤怒と激情が入り混じったような眼は真っ直ぐに慎二を捉えており、その瞳には微塵の戸惑いもない。士郎は慎二に対して告げる。まるでこれが最後通告だと言わんばかりに

 

「――――――最後だ。結界を止めろ、慎二」

 

「分からないヤツだね。お前に頼まれれば頼まれるほど止めたくなんてなくなる。そんなに気にくわないなら力づくでやってみろよ、衛宮」

 

慎二の言葉に肩を貸していたスティーブから離れ、彼の元に向かおうとする士郎。しかしスティーブはそんな士郎を止める。

 

「待てシロウ。一人で向かっていくのは危険だ。恐らく近くにはシンジのサーヴァントがいる。迂闊に動けば命取りになるぞ」

 

スティーブの警告により、士郎は慎二に向かって行きたい感情をぐっと堪えたようだ。そしてスティーブは士郎を庇うようにして立ち、廊下の先にいる慎二に告げる。

 

「馬鹿な事はやめるんだシンジ。こんな事をして何になる?この学校の生徒達は聖杯戦争とは何の関係もない筈だ。関係ない人々を巻き込む事が君の願いなのか?君はそんな事はしないと思っていた。それが間違いだと分かったらこれ以上誰も傷つけるな!」

 

すると慎二は下衆な笑みを浮かべて返す。それは完全に相手を挑発するような口調であった。

 

「……ふん、正義の味方気取りかよ。なぁ衛宮、お前は自分と似た考えの取り巻きを集めて仲良しごっこでもしてるのかい?ロジャース先生だっけ?先生こそ魔術師同士の戦いである聖杯戦争に首を突っ込んでくるんじゃないよ!ああまったく、お前らみたいな偽善者が一番嫌いなんだよ!」

 

慎二は士郎を守るようにして立ち塞がるスティーブ、クリント、ナターシャの3人に対して叫ぶ。これ以上長引かせても埒が明かないので、やむを得ず強硬手段に出る事にした。

 

「……いいか坊主。世の中ってのはお前みたいな魔術師中心に回ってるんじゃないんだよ」

 

クリントは持ってきた弓と矢を素早く構えると、捕縛用のネットを取り付けた矢を慎二に向けて放つ。慎二との距離はおよそ20メートル。この間合いならクリントは万が一にも外す事はない。が、そんなクリントの矢は慎二の前に現れたライダーによって弾かれた。何もない空間から現れたライダーはスティーブ達をじっと見据える。自分のサーヴァントが現れた事により、慎二は益々スティーブ達を嘲笑し始めた。

 

「ほらね?やっぱりそうだ!あんた達がいくら頑張ったって僕を助ける事もできやしないんだ!僕のライダーにはどんな攻撃も通用しないんだからさ!!」

 

ライダーが現れた事で自分が優位に立ったと思い込んでるのか、すっかり上機嫌になった慎二。一方のライダーは無言でスティーブ達の方を見ている。床まで届くほどの長いピンク色の髪の毛をしたライダーはゾっとする程の美女であった。美しい肢体を持っているが放たれる圧力は捕食者のソレである。スティーブはヴィブラニウムの盾を取り出すと、それを構えた。クリント、ナターシャもそれぞれの得物を装備し、ライダーの攻撃に備える。

 

ビリビリとした緊張感が走る中、遂にライダーの方から仕掛けてきた。20メートルもある距離を一瞬で詰めてきたライダーだったが、彼女の攻撃にスティーブは反応できた。ライダーの蹴りをヴィブラニウムの盾で防ぐと同時にシールドバッシュで吹き飛ばす。しかしすぐに体勢を立て直したライダーは再度突進してきたので、今度は拳で反撃する。だがそれもまた軽々と避けられてしまい、逆に裏拳を食らってしまった。吹き飛ばされたスティーブは廊下の扉を突き破り、多くの生徒達が倒れている教室まで吹き飛ばされてしまう。クリントはライダーに狙いを定め、複数の矢を射出するがその全てを躱されてしまう。ならばと懐に忍ばせていたナイフを投げつけるもののこれも簡単にかわされてしまった。ナターシャは距離を詰めてライダーに飛び掛かるが、彼女の回し蹴りを受けてしまい、廊下の天井に叩きつけられてしまう。床に落下したナターシャはライダーの蹴りによるダメージでまともに動けない様子だ。そして矢を射出しようとするクリントとの距離を詰めると、彼の胸倉を掴んで勢いよく廊下の窓から放り投げる。窓を突き破って外へ放り出されたクリントはそのまま校庭の方へ落下していく。

 

「バートン先生!」

 

士郎は校庭へと落下するバートンに対して叫ぶ。そしてライダーは教室の中にいるスティーブを始末するべく、そのまま距離を詰めてきた。スティーブは盾を用いて応戦するも、サーヴァントと人間の身体能力差は歴然だ。あっという間に壁際に追いつめられる。それでもナターシャやクリントよりも長く戦えているのは超人血清を打ち、人間の最高レベルの身体能力を得ているからであろう。しかしサーヴァントであるライダーはフィジカルの面でもスティーブを圧倒していた。それに教室には床に倒れている生徒が大勢いる。この中で戦いを続ければ彼等を傷付けてしまうかもしれない。どうにかライダーを教室の外に出したいスティーブであるが、ライダーがそうはさせないとばかりに攻撃を仕掛けてくる。が、その時慎二がライダーに声を掛ける。

 

「ライダー!教室の中にいる生徒の誰かを適当に殺してやれ!」

 

その言葉に反応したライダーは床の上に倒れる生徒の一人に目を付けると武器である鎖付きのナイフのようなものを取り出し、それを投げつける。が、スティーブは生徒を庇うようにしてライダーの投げたナイフを右腕で受ける。

 

「く……!」

 

スティーブの右腕から鮮血が噴き出す。腕を押さえながら苦悶の声を漏らすスティーブを見てほくそ笑む慎二。

 

「どうでもいい奴等なんか庇うからそんな目に遭うのさ。倒れてる連中なんてほっとけばいいのに」

 

「シンジ! 君は一体何を考えてるんだ!? こんな酷い事をして何になる!?こんな事をしても君の妹のサクラは喜ばないぞ!」

 

慎二に向かって叫ぶスティーブだが、それに対して慎二はせせら笑うだけだ。

 

「今は桜の事は関係ないだろう?聖杯戦争に参加する資格さえないアンタ達はここで死んでもらうんだからさぁ」

 

そう言うと慎二はライダーに対して倒れている生徒達を殺害するように命じた。それに従うライダーは床に倒れている生徒に狙いを定め、容赦の無い攻撃を仕掛けようとするが、スティーブが生徒達を庇うようにしてライダーの攻撃を防ぐ。生徒を守りながら戦い続けるスティーブだが、ライダーの攻撃によって体中が傷だらけになっていく。全身から血が滴り落ち、床を濡らしていく。ライダーが傍にいる生徒の頭を踏みつけて殺害しようとした瞬間、慎二の悲鳴が教室に木霊する。

 

ライダーとスティーブが慎二の方を向くと、士郎が慎二の右腕の骨をへし折る光景が目に飛び込んできた。




慎二、お前は自分がやっちゃいけない事してるって分かってる……?


こうして見ると前情報無しにメドゥーサと戦うのは他のアベンジャーズのメンバーでも危ない気がします。ストレンジとかソーみたいな神秘持ち以外のメンバーだとキュベレイに対処できなさそうですし。
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