アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです 作:ドレッジキング
考察すればする程、キャップ達みたいなヒーローと、アルトリアを始めとするサーヴァント達って互いに相容れない存在に思えてきた…(´・ω・`)
「アーチャー、さっきの外国人教師の事なんだけど…」
「君も気になるのか凛。彼は魔術師でもサーヴァントでもない普通の人間だ。そんな男がどうやって聖杯戦争の事を知ったのか疑問に思っているのだろう?」
学校が終わり、家路を歩いている凛の傍に付いている霊体化したアーチャーが語り掛ける。
「私も魔術師の端くれよ。神秘の秘匿が何よりも重要だって事位分かるわ。あの外国人教師がどうやって嗅ぎ付けたのかは興味があるけど、それより彼が聖杯戦争に介入してきそうな事が問題よ。普通の人間が手に負えるようなモノじゃないってのに…」
凛は不機嫌そうに吐き捨てる。
「凛、やはりあの外国人教師には注意すべきだ」
「分かってるわよアーチャー。彼ってどうにも得体が知れない感じがするわ」
「うむ、だがあの男が我々の敵である可能性は低いと思うのだがね」
「どうして? 貴方だって薄々勘付いているんじゃない? あの先生からは魔力を感じなかったって」
「確かにそうだな。あの男は魔術師でもサーヴァントでもない。サーヴァントである私と、魔術師である君が目を凝らしてもあの男からは何の魔力も感じなかった」
一般の人間は聖杯戦争どころか魔術師の存在すらも認知していない筈だ。ただの人間であるあのスティーブという男はどこで自分や聖杯戦争の事を嗅ぎつけたのだろうか?凛の頭の中はその疑問で埋め尽くされていた。
魔術師にとって神秘の秘匿は義務と言っても良い。魔術師の端くれである凛でさえ父である時臣から厳しく言いつけられてきたのだ。魔術協会による監視もあるので、魔術の存在を一般人に知らせるという事がどんな事態を招くのか凛はよく知っているのだ。
魔術や聖杯戦争の存在をスティーブという外国人教師に漏らした者が魔術師だとするなら、その者は魔術師としての価値観からすれば完全に頭のおかしい奴でしかない。
「あの男…聖杯戦争に関わるつもりかしら?」
「分からん。しかし用心しておいて損はあるまい」
「どうするアーチャー?あの男…スティーブ・ロジャースとかいう教師が聖杯戦争に関わってきたら…」
「その時はその時だ。君も覚悟をしておきたまえ」
アーチャーの言葉を聞き、もしもの事態を想定する凛。最悪スティーブを口封じで消すという事態になるかもしれない。魔術師の存在を一般の人間に知られてはいけないというルールの下、心を鬼にしなければならない。
そんな凛は自分の屋敷の入り口の傍に立ち、遠坂邸を眺めている男を見て足を止める。男は欧米人で、身長は190cmはある大男だ。鍛えられた肉体が服の上からでも分かる程に屈強で厳つい男である。
全身を黒づくめにしており、黒いロングコートを着ていたが、男の胸に白い髑髏のマークが描かれていた。
そして男は凛の方に目を向ける。男の発するオーラは張り詰めており、凛も思わず額から汗が流れる。男の視線は凛の眼を射抜いており、これから凛を殺そうとする流れになっても不思議ではない程、殺気立ってる様子だった。
「ちょっと貴方、人の家の様子を伺って何をしてるのよ?」
凛は思わず声を上げた。
「遠坂凛だな?」
「…そうだけど、何か私に用?」
黒いコートの男の鋭い眼光に睨まれている凛は、自分の身体に鳥肌が立つのを感じる。黒いコートの男は普通の一般人であれば決して出せないであろう威圧感と重苦しさを纏っており、凛は目の前の黒いコートの男を危険な存在だという事を本能で理解した。
「お前の事は調べが付いてる。単刀直入に言おう、聖杯戦争とかいう魔術師共のくだらないゲームを即刻中止しろ」
(…冗談でしょ!?さっきの外国人教師といい、聖杯戦争や魔術の事が洩れすぎじゃない!)
凛は心の中で絶叫するが、何とか冷静さを取り繕う。
「…貴方は協会か教会の人間?」
「違う。俺はただの人間だ。魔術師でもないしサーヴァントでもない」
「只の人間が魔術師達が行う聖杯戦争に関わって何かできるつもりなの?言っておくけど手を引くのなら今の内よ?私は見た目通り優しいから、今なら記憶を消すだけで勘弁してあげるわ?」
凛は黒いコートの男に舐められないように、腕を組みながら、「フフン♪」という小馬鹿にしたような笑みまで浮かべ、余裕を持った態度で牽制してみせる。
魔術師である自分が普通の人間である目の前の男に遅れを取るわけにはいかない。魔術師としてのプライドや見栄もあるが、それ以上に凛本人の性格もあるので黒コートの男を恐れるという態度を表に出す事をしなかった。凛とてこれから冬木で行われる第五次聖杯戦争で魔術師とサーヴァントを相手取った命がけの戦いをしなければいけないのだ。魔術師でもサーヴァントでもない、自分の目の前にいる厳つい黒コートの男相手に遅れを取るわけにはいかないのであろう。
「…魔術師が怖くてわざわざこの戦いに介入しに来る思うか?」
「あら?随分な自信じゃない?」
黒コートの男を馬鹿にしたような態度を崩さない凛。
「俺を排除したいのなら今すぐ殺しに来ればいい。最も、お前の脳天を即座に吹き飛ばす程度は簡単だがな」
ハッタリではない。凛は直感でそう分かった。今ここでアーチャーをけしかけても、それ以上に目の前の男が銃を抜くスピードの方が恐らく速いだろう。それにこの男は間違いなく自分達の世界でいう"プロの兵士"なのだ。それも相当な修羅場をくぐってきた本物の兵士だ。素人とは醸しだす雰囲気がまるで違う。下手に挑発に乗ってしまうと取り返しのつかない事態になる可能性がある。ここは穏便に対応しなければならないと判断する凛。そして黒コートの男がニヤリと笑う。
凛の顔が一気に強張る。この黒コートの男は本気だ。本当に冬木市で開催される第五次聖杯戦争を妨害するのだとすれば、正気の沙汰ではない。
「今お前をここで殺すのは簡単だが、それは勘弁しといてやる。だがお前が聖杯戦争で一般市民を故意に傷付けたりしようものなら…その時は覚悟するんだな」
「……!」
凛は自分の背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
「お前の傍にはお前が召喚したサーヴァントがいるんだろう?いるのなら出て来い、そのツラを拝んでやる」
「やれやれ…、普通の人間に姿を見せるのは聖杯戦争のルール的にどうなのだ凛?」
そう言うとアーチャーは霊体化を解除して姿を見せる。
「お前達サーヴァントはマスターである魔術師に従う存在だったな?」
「そうだが、それがどうかしたのかね?」
「サーヴァントというのはマスターの命令であればホロコーストの真似事もするのか?普通に生きる一般人を良心の呵責も無しに大勢殺せるんだろう?」
黒いコートの男がアーチャーを睨みながら言った。確かにサーヴァントは魔術師に召喚された以上は、自分を召喚した魔術師であるマスターに従う。サーヴァ
ントは基本的に、マスターの令呪という絶対命令権で自由を奪われているが故に、主に逆らう事はしない。
アーチャーは暫く沈黙した後、静かに口を開いた。
「ああ。マスターの指示があれば、私は何の罪も無い人間を殺す事もある。それがマスターの命令であれば、躊躇わずに大勢の人々を巻き添えにして大爆発を起こす爆弾を造りあげる事も厭わない」
「……!」
淡々と話すアーチャーに、黒いコートの男は目を見開いた。
「そうか…貴様等サーヴァントというのはそういう存在なのか。という事は普通に生きる人間にとっての脅威であるわけだな?人々から尊敬された英雄といえども
、サーヴァントになればそんなクズに成り下がるわけか」
「…確かにマスターによってはそういう命令を下す奴もいるかもしれないけど、アンタだってそういう経験あるんじゃないの?貴方の目つきや雰囲気を見る限り人を何人も殺してそうなんだけど」
凛は黒いコートの男を見据えながら言う。魔術師である凛から見ても目の前の黒いコートの大男は常人ではまず出せない威圧感や殺気を放っている。
「確かに俺もこれまで大勢殺してきた。だが俺が殺すのは「悪」だけだ。断じて普通に生きている一般市民を標的にはしない。だが貴様のような魔術師やサーヴァントは民間人を平然と手に掛けるんだろう?なら俺がこれまで相手にしてきた犯罪者共と何ら変わらない」
黒コートの男の発言に何も言い返せないアーチャー。確かにコートの男の言う事は正しい。英霊といえども令呪によって魔術師に従う存在なのだ。そしてその魔術師は倫理観や道徳に欠けている存在が多いときている。そんな魔術師がサーヴァントに命じて一般人の一人や二人を消す事位は普通に行うだろう。
アーチャーは黒コートの男を見つめる。この黒コートの男はただの民間人ではない。今まで多くの死線を潜り抜けてき歴戦の勇士だ。
「アンタ、名前はなんて言うの?」
「パニッシャーだ。」
黒いコートの男は自分のコードネームを名乗る。本名はとうの昔に捨てたので、今はパニッシャーを名乗っているのだ。
「今日の所は退散してやる。もしお前が聖杯戦争で民間人を殺めようもんなら俺が貴様と貴様に従うサーヴァントを殺す。それを肝に銘じておくんだな」
パニッシャーは踵を返して立ち去っていく。
「凛、あの男を追わなくていいのか?」
「……今はいい。多分この先嫌でも会う事になると思うから。アイツに対処するのはその時でもいい」
「新都に行くわよ?夜までまだ少し時間がある。夜になれば学校に掛けられた結界を解除しに向かうわ」
「了解した」
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凛はアーチャーを連れて新都へと向かう。時刻は夕刻であり、新都は仕事帰りのサラリーマンが溢れていた。凛はアーチャーと歩きながら、先程のパニッシャーの事について考えていた。
「凜、あの男は相当の数の人間を殺している。佇まいや雰囲気が一般人のソレとは根本的に違う。それに恐ろしい程の数を潜り抜けている眼をしていた。なんにせよかなりの使い手だろうな」
「アーチャー、貴方に分かるの?」
「直感というやつさ。君はあのパニッシャーという男がその辺にいるような一般市民に見えたのか?」
「そんな事ないわよ!私だってさっきの男が普通じゃない事ぐらい分かったわよ!」
「けど…魔術師でもない普通の人間が聖杯戦争に介入して何が出来るっていうのかしら。さっきの男といい、ロジャース先生といい、サーヴァントや魔術師に勝てると本気で思ってるのなら只のバカよ」
魔術師なら作戦を練れば勝てる可能性は少なからずあるが、普通の人間では英霊たるサーヴァントに勝てる見込みは万に一つも無い。時計塔に君臨するロード達といえども例外はない。それはサーヴァントとの戦闘能力に圧倒的な差があり過ぎるからである。いくらサーヴァントを倒す事が出来るのがサーヴァントであるとしても、そもそもサーヴァントは並外れた身体能力を持っており、さらにマスターの膨大な魔力を供給してもらえば常人を凌駕するほどの能力を扱えるようになるのだ、つまりはマスターを先に潰せばサーヴァントは機能しないのだ。しかしマスターでも熟練の魔術師であればそうそう簡単にはやられない。
最も、それぞれの英霊の伝承や逸話に関連する遺物や、その英霊の死に直接関わった武器や道具を用意し、それを有効に活用できるなら話は別であるが…。
「リン・トオサカだね?ちょっとお尋ねしたいんだけどいいかな?」
「え…?誰…?」
「上だよ上!」
声がした方向に顔を向けてみると、そこには糸のようなものに掴まり、こちらを見下ろしている赤と青を基調とした全身タイツの怪しい男が逆さづりのような状態で下にいる凛を見下ろしているではないか。
「ちょ…!?変質者!?」
流石の凛も突然現れた赤いタイツの変質者に驚いてしまう。
「あ、僕はスパイダーマンっていうんだ」
スパイダーマンは5メートルもの高さから地面に着地する。スパイダーマンは凛とアーチャーの傍に近付いてくる。
「す、スパイダーマン?」
凛は地上に降りて来たスパイダーマンを見てキョトンとした顔をする。恰好といい、名前といい、何処かの特撮ヒーロー番組から出て来たヒーローのような恰好をしており、凛からは完全にコスプレか何かだと思われていた。凛もアーチャーも、スパイダーマンというヒーローの事など知らないのだから無理もないかもしれない。
「聖杯戦争の事でちょっと君に聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「あ、貴方も聖杯戦争の事を…!?」
「凛、先程の外国人教師といい、パニッシャーといい、聖杯戦争の情報が洩れすぎてないか?」
(し、神秘の秘匿はどうなってんのよ!?)
凛は心の中で悲鳴を上げた。
「は、ハァ?聖杯戦争?一体何の話?ていうか、アンタ誰?どこの学校の先生?もしかして不審者?なんなのこの変なコスプレは?ピチピチのタイツなんて着ちゃってるけど真性の変態なの?」
突然現れて妙な質問をして来る赤い男に戸惑い、とりあえず男を怪しんでののしり始める凛。
今日だけで3人の人間(一般人?)から聖杯戦争の事について尋ねられ、しかも魔術師やサーヴァントの事まで知られているのだ。流石の凛も冷静さをかなぐり捨ててヤケを起こしたくもなるだろう。
「落ち着きなよリン。僕は君に危害を加えたりなんてしないよ。僕はアメリカから来たんだ。」
「そんじゃ何しに私の所に来たのよ!?ていうかアメリカ人の割にはアンタ日本語ペラッペラじゃない!」
「い、いやぁ、そこは突っ込まないでくれると嬉しいんだけど…」
「リン、君は自分が参加する聖杯戦争がどんなものなのかは知っているんだよね?普通に生きている市民にとって凄く危険な行いだっていう事も」
「…聖杯戦争が普通に生きている一般人にとって危険な行為な事位は私も知ってるわよ。でも参加するかどうかを決めるのは当人達の自由でしょう。私は自分がマスターに選ばれた事に納得してこの戦争に参加している訳だし、貴方が介入する権利は無いのよ。分かったかしらMr.スパイダーセンス?」
凛はスパイダーマンに対して冷たい視線を飛ばす。
「それでも僕らは聖杯戦争に介入する。聖杯戦争が始まれば、一般人が巻き込まれる危険性があるからだ。新都で起きてるガス漏れなんかも聖杯戦争が関係しているんだろ?それを承知で君は聖杯戦争に参加しているのか?だとするなら君は一般人を平然と戦闘に巻き込むヴィランの仲間入りさ」
「アンタといい、パニッシャーとかいう男といい、どうしてそう聖杯戦争に介入しようとするのよ!聖杯戦争は魔術師達が行う聖杯を掛けた戦いなの。アンタみたいな素性の知れないヒーローのコスプレしてる奴が参加していい戦いじゃないのよ!」
苛立つ凛はスパイダーマンに詰め寄る。
「リン、君の言い分は分かる。けど僕達アベンジャーズは魔術師同士の戦いである聖杯戦争に巻き込まれる人々を救う為にこの冬木市に来たんだ。君だって聖杯戦争は危険な戦いだって事は知ってるだろ?新都で起きているガス漏れ事件を見る限り、もう十分に一般市民は聖杯戦争に巻き込まれているんだからさ」
スパイダーマンの言う事は最もであった。聖杯戦争どころか魔術師の存在は一般人には秘匿されているとはいえ、こうしてガス漏れ事故という形で表面化しているのだ。魔術協会と聖堂教会から派遣された聖杯戦争の監督官による働きにより、情報
は隠蔽されて単なるガス漏れ事故として処理されているわけだが…。
「バレなきゃ何しても良いっていう考えは犯罪者と同じだよリン?」
「誰が犯罪者よ!私は魔術師なのよ!」
凛はムキーとなって、両手をブン回して抗議の声を上げた。彼女の反応を見てスパイダーマンは溜息をつく。
「部外者のアンタは分かってないみたいだけど、聖杯戦争に介入するって事は魔術協会と聖堂教会の両方を敵に回す事になるのよ?」
凛の言葉を聞き、スパイダーマンは苦笑しながら凛を見つめる。
「聖杯戦争に介入したら最後、協会の執行者や教会の代行者がアンタを抹殺しにこの冬木までやって来る。命が惜しいならこれ以上私に関わるのは止めることね。今ならアンタの記憶を処理するだけで済ませてあげるから」
凛の警告に対し、スパイダーマンは首を振る。どうやら凛の話を聞く気はないようであった。それを見て、ますます怒りをあらわにする凛。
「リン、君の言いたい事はよく分かったよ。けど僕や他のメンバーは協会も教会も恐れちゃいない」
「ちょっと!アンタ私の話を聞いてたの!?魔術協会と聖堂教会がどんだけ恐ろしい組織なのか理解できてないでしょ!?」
スパイダーマンに突っかかりながら大声で問い質す凛。それに対してスパイダーマンは困った顔を浮かべるばかりだ。
「僕達にとっては敵の強さや規模なんて関係ないよ。僕やキャップは散々ヒドラやA.I.Mを相手にしてきたんだから」
「ヒドラ…? A.I.M…? 一体何の話をしてるのよ?」
「気にしないでくれ、こっちの話だ」
「とにかく…、私はアンタの言う事なんか聞くつもりはないから!どうしても私の邪魔をするって言うんならこの場でアンタの記憶を…むぐ!?」
スパイダーマンは腕に付けてあるウェブシューターからウェブを射出し、凛の口を塞ぐ。
「凛!」
アーチャーは霊体化を解除すると、二本一対の剣を瞬時に生成すると、スパイダーマンの喉元に剣の切っ先を突き付けた。
「ワオ、その剣どうやって出したの?大道芸で食べていけるよ君」
「私のマスターに何をする?」
おどけた様子のスパイダーマンに対し、アーチャーは殺気を孕んだ口調で凄む。
凛はウェブシューターから射出されたウェブを取り除くのに苦労していた。
「むぐぐぐ……」
「僕の言う事が信じられないのは仕方ないけど、今は君の言う事は聞けないんだ」
「ふぅーっ! はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ、アンタは人の話を聞いてるのかしら……?」
凛はウェブの塊をようやく取り外した。
「アーチャー、剣を収めなさい」
「…ふん」
凛に言われた通り、アーチャーは投影した剣を収めた。
「言っておくけど前回の第四次聖杯戦争で冬木市が大火に見舞われた原因も聖杯戦争である事は知っているんだ。今回の聖杯戦争でも大勢の市民を犠牲にするような戦いが行われるのなら僕達は容赦しない。」
「…!」
凛はスパイダーマンの口から出た「第四次聖杯戦争」というワードを聞いて、微かに動揺する。10年前の大火災で大勢の一般市民に犠牲が出たのは事実で、その原因が聖杯戦争である事も知っていた。凛の父である時臣もこの第四次聖杯戦争に参加し、命を落とした。それ故に凛にとって聖杯戦争は特別な意味を持っている。
「リン、君は自分の周りにいる人を聖杯戦争に巻き込んでも平気でいられるのかい?」
凛は自分と同じ高校に通う親しい友人である美綴綾子、担任の藤村大河、憎まれ口を叩き合う間柄の柳洞一成、後輩の間桐桜、そしてクラスメイトの衛宮士郎を思い浮かべる。
「それで、アンタは何が言いたいわけ?」
「……今はよしておこう。聖杯戦争が始まれば嫌でも会う事になるからね。」
そう言うとスパイダーマンは10メートル近くもジャンプして、ウェブシューターから射出した糸を
ビルに付着させてそのままターザンのように去っていった。
「…何なのよアイツ」
凛は納得できないといった様子でビルとビルの間を飛び回るスパイダーマンを見送るしかなかった。
「凛、あのスパイダーマンとかいうヒーローモドキといい、さっき家の前にいたパニッシャーといい、今回の聖杯戦争は色々とおかしい事になってないか?」
「言われなくても判ってるわよそんな事。とりあえず綺礼に連絡しておいた方がよさそうね。アイツは正直嫌いだけど、この状況ならそうも言ってられないし」
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スティーブは一人で教室に残っている衛宮士郎に話しかける事にした。保護対象である衛宮士郎に警戒されない為、教師として最低限関わっておくべきだろう。ストレンジからは「何が何でも衛宮士郎を死なせるな」とだけ言われている。ストレンジはスティーブやクリント、ナターシャに多くを語っておらず、衛宮士郎を死なせてはいけないという理由も明かされていない。正体を隠してこの穂群原学園に外国人教師として潜入したが、衛宮士郎がどういっ
た人間なのかはおおよそ理解はできたつもりだ。
「やぁ、シロウ。これから部活かい?」
「あ、ロジャース先生。いえ、俺は大分前に部活はやめました」
「どうしてだい?」
「肩の怪我が原因です…もう治ってますけどね」
そう言って士郎はスティーブに肩を見せる。確かに怪我の痕はあるものの、完治しているようだった。
「そうか、ところで今日の授業で分からない所があったら私に聞くといい」
「えっ、いいんですか!?」
「遠慮する必要はない。私は君のクラスの担当だからね」
「ありがとうございます! 助かります!」
スティーブから見た衛宮士郎はどこにでもいそうな少年だ。士郎は10年前の大火災で両親を亡くしたとストレンジから聞いていたが、暗い過去を感じさせない明るさを持っている。そして何事にも一生懸命に打ち込んでいるように思える。話によれば他の部活の助っ人に行ったり、バイトもしているようだ。
「シロウ、一つ聞いていいかな?この世界には"ヒーロー"がいると思うかい?」
「え?」
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"ヒーロー"という言葉に思わずドキリとする。士郎は10年前に冬木市で起きた大火災を生き延びた生存者の一人であり、それ以来、人を助けることを信条として生きてきた。今の士郎は"正義の味方"を目指している。正義の味方を志す切っ掛けとなったのは大火災で両親を失った士郎を引き取った衛宮切嗣という魔術師の男の影響だった。
「俺にとっての"ヒーロー"は大火災で一人になった俺を引き取ってくれた切嗣です。あれ以来俺は"正義の味方"になるのを夢に見ているんですよ」
「シロウ、"ヒーロー"と"正義の味方"の違いは何だと思う?一見似ているように見える両者だが、君には違いが分かるかな?」
「そうですね……もし本当に"ヒーロー"がいたとして、その存在に助けられたいと思っている人達がいるはずです。だからきっと、俺にとっての"ヒーロー"はやっぱり、俺を救ってくれた衛宮切嗣という男です」
「憧れている人の事を忘れない限り、自分の在り方に迷う事はない。理想の姿を目指す限り、人はずっと『自分の中の英雄』になれるんだ」
「じゃあ、ロジャース先生も?」
「あぁ、私もだ。私はこう見えても昔は貧弱でね。今の君と戦えばたちまち負けてしまう位の弱い体だったんだ。それでも困っている人を助ける事に戸惑った事は一度もない。自分の身体がどんなに弱かろうと、目の前に助けを求めている人がいる限り私は全霊で助ける。それが私の掲げる信条だよシロウ」
「へぇー……ロジャース先生もそうなんですか……」
士郎はスティーブの言葉が自分の中の何かを響かせるのを感じた……。
(ロジャース先生は俺と同じ……いや、俺なんかより遥かに多くの人を……)
「俺はこれから弓道部の部室の掃除があるんです。慎二の奴に部室の掃除を押し付けられちゃって」
「そうか、私も手伝おうか?」
「いえ、俺だけで十分ですよ」
そう言うと士郎はスティーブと別れ、弓道部の部室の清掃へと向かった。
凛&アーチャーのコンビがスパイディ&パニッシャーとやり取りしてるだけの回でした。そして次回、ついに戦闘開始!何か今回はスパイディとパニッシャーが凛を説教してるだけの回になっちゃった…(;^_^A
マスターが善良な場合(士郎とか立香)は良いけど、ガチ悪人のマスターとガチ悪人のサーヴァントの組み合わせだと悲惨な事になるわけだし(ジルと龍之介のコンビがまさにその例)。それに聖杯戦争でサーヴァント同士の戦いに巻き込まれたら一般人はどうしようもないし、大規模な戦闘が起きて大勢犠牲者が出ても協会と教会に揉み消されるし…。
後、個人的に士郎ってキャップやスパイディ、ウルヴィーとは相性抜群だと思うんだけど、皆はどう思う?