アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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今回はキャップとセイバーの回です。


第41話 青きヒーローと青き騎士

衛宮邸の庭に、夕暮れの柔らかな光が差し込んでいた。木々の葉が風に揺れ、心地よい空気が流れる中、スティーブ・ロジャースは黙々とトレーニングを続けていた。彼の動きには無駄がなく、長年の経験から培われた精確さが感じられた。

その時、庭の入り口に一人の少女が姿を現した。金髪に碧眼、凛とした佇まいのセイバーだ。彼女は静かにスティーブに近づき、彼のトレーニングを見守っていた。

スティーブは、セイバーの気配を感じ取ると動きを止め、彼女の方を向いた。

 

「セイバー、どうかしたのか?」

 

セイバーは、一瞬躊躇したように見えたが、すぐに決意を固めたように口を開いた。

 

「スティーブ、貴方たちに聖杯戦争について、もう一度説明させていただきたいのです」

 

スティーブは眉をひそめた。セイバーの口調には、これまでにない真剣さが感じられた。

 

「私たちサーヴァントが、なぜこの戦いに召喚されるのか。その理由をお話しします」

 

セイバーの言葉に、スティーブは静かに頷いた。彼は庭の縁側に腰を下ろし、セイバーの話に耳を傾ける姿勢を示した。

 

「私たちサーヴァントは、皆、生前に何らかの後悔や未練を残しています。その想いが、私たちを聖杯戦争へと駆り立てるのです」

 

セイバーの声には、どこか切ない響きが含まれていた。スティーブは黙って聞き入った。

 

「ある者は自らの願いを叶えるため、ある者は単に戦いを求めて、また別の者は生前に果たせなかった忠義を全うするために。そして、中には現代に生きることを望む者もいます」

 

セイバーの言葉に、スティーブの表情が複雑に変化した。彼の心の中で、正義のヒーローとしての信念と、目の前で語られる現実が衝突していた。

 

「私たちは決して、ただ今を生きる無辜の民に迷惑をかけるために召喚に応じているわけではありません」

 

セイバーは強い口調で言った。その言葉には、自らの存在意義を主張する強さが感じられた。スティーブは深く息を吸い、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。

 

「分かった。君たちにも、それぞれの理由があるんだな」

 

彼の声には、理解しようとする意志が感じられた。しかし、同時に葛藤も滲んでいた。

 

「でも、それでも市民を巻き込むことには変わりがない。僕たちアベンジャーズは、常に一般市民の安全を最優先に考えてきた」

 

スティーブの言葉には、揺るぎない信念が込められていた。セイバーは、その言葉に一瞬たじろいだように見えた。

 

「確かに、戦いによって冬木の住民に迷惑がかかるのは避けられません。しかし、それは私たちも望んでいることではないのです」

 

セイバーの声には、わずかな苦痛が混じっていた。彼女もまた、この状況に葛藤を感じているようだった。

 

「私にも...聖杯に掛ける願いがあります」

 

セイバーの言葉に、スティーブは驚いた表情を浮かべた。彼は、セイバーの目をじっと見つめた。

 

「君の願い...か」

 

スティーブの声は、静かだったが、深い思考を感じさせるものだった。彼は立ち上がり、庭を歩き始めた。その背中には、重い決断を下そうとする者の緊張感が漂っていた。

 

「僕たちアベンジャーズも、時には難しい選択を迫られることがある。しかし、それでも常に正しいと信じる道を選んできた」

 

スティーブは振り返り、セイバーを見つめた。その目には、ヒーローとしての強い意志が宿っていた。

 

「君たちの事情は理解した。でも、それでも僕たちには、この街の人々を守る責任がある」

 

セイバーは、スティーブの言葉に静かに頷いた。しかし、彼女の目には、なお譲れない何かが宿っていた。

 

「私も、自分の願いを諦めるつもりはありません」

 

セイバーの声は、静かながらも強い決意に満ちていた。スティーブは、その言葉に深く考え込んだ。夕暮れの空が、徐々に夜の闇に染まっていく。衛宮邸の庭に立つ二人の姿は、まるで異なる世界の象徴のようだった。ヒーローとサーヴァント、その間に横たわる溝は、簡単には埋まりそうにない。しかし、互いを理解しようとする意志だけは、確かに存在していた。スティーブは深く息を吐き、夕焼けに染まる空を見上げた。その目には、重い決意が宿っていた。彼はゆっくりとセイバーの方を向き、静かに、しかし力強く語り始めた。

 

「セイバー、君の言うことはよく分かった。だが、僕たちにも言い分がある」

 

その声には、キャプテン・アメリカとしての威厳が滲んでいた。セイバーは黙って耳を傾けた。

 

「僕たちアベンジャーズがこの世界の人間ではないこと、聖杯戦争という戦いに介入していることは重々承知している。しかし、この街に暮らす人々は何も知らないんだ」

 

スティーブの言葉に、セイバーの表情が僅かに曇った。彼は続けた。

 

「神秘の秘匿という不文律があるせいで、一般の人々は魔術のことも、サーヴァントのことも知らない。彼らは日々の生活を何も知らずに送っているんだ」

 

夕暮れの庭に、重苦しい空気が漂い始めた。木々の葉が風に揺れる音だけが、その静寂を破っている。

 

「昨日、学校でライダーが結界を張って生徒たちを魔力の糧にしようとした時、彼らを助ける存在は誰もいなかった。もし士郎が正義感に溢れた少年でなければ、誰が彼らを救えただろうか」

 

セイバーは言葉を失ったように、ただスティーブを見つめていた。彼女の目に、複雑な感情が浮かんでいるのが見て取れた。

 

「自分たちに迫る危険も察知できず、魔術師の存在も聖杯戦争のことも知らない冬木の人々が、あっさりと命を奪われる。そして、なぜ命を落としたのかという真実さえも、協会によって隠蔽されてしまう」

 

スティーブの声には、怒りと悲しみが混ざっていた。彼は拳を握りしめ、続けた。

 

「セイバー、君に聞きたい。もしマスターが士郎ではなく、悪人のマスターだったとしたら、君は迷うことなく冬木の人々を見捨てたりするのか?

その問いかけに、セイバーは一瞬たじろいだ。彼女の瞳に、戸惑いの色が浮かんだ。

 

「私は...」

 

セイバーは言葉を詰まらせた。彼女も、この状況の難しさを理解していることが伝わってきた。

 

「スティーブ、私は決して人々を見捨てたいわけではありません。しかし、サーヴァントとして召喚された以上、マスターの命令に従わざるを得ない部分もあるのです」

 

セイバーの言葉には、苦悩が滲んでいた。スティーブは彼女の葛藤を理解しつつも、なお厳しい表情を崩さなかった。

 

「分かっている。君がそんな冷酷な性格でないことは、僕も理解している。だが、自分の願いのために召喚に応じている以上、君の願いと市井に生きる人々の命を天秤にかけたとき、どちらに傾くか...それは分かり切っているんだ」

 

スティーブの言葉に、セイバーは深く目を閉じた。彼女の中で、騎士としての誇りと、現実の残酷さが衝突しているようだった。

 

「私にも、守るべきものがあります。それは決して軽んじられるべきものではありません」

 

セイバーの声は静かだったが、その中に秘められた決意は揺るぎないものだった。スティーブは彼女の言葉を受け止め、しばし沈黙した。夜の帳が徐々に降りてくる中、二人の姿は庭の中で際立っていた。ヒーローと騎士、異なる世界から来た二人の戦士が、この瞬間、深い溝を感じていた。

 

「セイバー、僕は君を責めているわけじゃない。ただ、この状況が、多くの無辜の人々を危険に晒しているという事実を、君にも理解してほしいんだ」

 

スティーブの声は、優しさを取り戻していた。彼は一歩、セイバーに近づいた。

 

「僕たちアベンジャーズは、常に弱者を守ることを使命としてきた。それは、この世界に来ても変わらない。だからこそ、この戦いに介入せざるを得なかったんだ」

セイバーは、スティーブの言葉に静かに頷いた。彼女の目に、理解の色が浮かんでいた。

 

「貴方の言うことは、よく分かります。私も、無辜の人々を守ることの重要性は理解しています。しかし...」

 

セイバーは言葉を途切れさせた。彼女の中で、何かが激しく葛藤しているようだった。

 

「僕たちは、お互いの立場を理解し合えたと思う。だが、それでもなお、解決すべき問題は残っている」

 

スティーブは、夜空を見上げながら言った。星々が、静かに瞬き始めていた。

 

「これからどうするべきか、共に考えていこう。君の願いも、この街の人々の安全も、両立できる方法があるはずだ」

 

夜の帳が完全に降りた衛宮邸の庭。星々が静かに瞬く中、セイバーとスティーブの間に、新たな緊張が走った。セイバーは、深い青の瞳でスティーブをじっと見つめ、静かに口を開いた。

 

「スティーブ、貴方には叶えたい願いや、やり直したい過去の過ちはありますか?」

 

その問いかけに、スティーブは一瞬たじろいだ。彼の目に、過去の記憶が走馬灯のように駆け巡る。

 

「もちろん、後悔や未練がないわけじゃない」スティーブは静かに答えた。

 

「だが、それらは僕を前に進ませる原動力になっている。過去を変えることはできないが、未来を作ることはできる。それが僕の信念だ」

 

スティーブの言葉には、長年の経験から来る確固たる意志が込められていた。しかし、セイバーの表情は曇ったままだった。

 

「貴方のような考え方ができる人ばかりではないのです」

 

セイバーは静かに、しかし力強く言った。

 

「過去に囚われ、それを変えることでしか前に進めない者もいる。それが、私たちサーヴァントの多くなのです」

 

その言葉に、スティーブは眉をひそめた。二人の間に、再び深い溝が広がっていくのを感じた。

 

「君の言うことは分かる。だが、過去を変えることで本当に幸せになれるのか?それは逃避ではないのか?」

 

スティーブの言葉は、鋭い刃のようにセイバーの心に突き刺さった。セイバーは一瞬目を伏せたが、すぐに強い意志の色を瞳に宿して顔を上げた。

 

「それは貴方の価値観です。私たちには、それぞれの信念があり、それぞれの戦い方がある。貴方の正義が、全ての人にとっての正義とは限らないのです」

 

セイバーの言葉には、揺るぎない決意が込められていた。スティーブは、その言葉に返す言葉を失った。

 

 

───────「余の決断。世に付き従った臣下達の生き様の果てに辿り着いた結末であるならば、その滅びは必定。痛みもしよう、涙も流そう。だが決して悔やみはしない。ましてそれを覆すなど、そんな愚行は、余とともに時代を築いた全ての人間に対する侮辱である」

 

 

セイバーの瞳に、遠い記憶の光が宿った。スティーブの言葉が、彼女の心の奥底に眠る過去を呼び覚ましたのだ。第四次聖杯戦争、そこで出会った巨躯のサーヴァント、ライダーの言葉が鮮明に蘇る。その言葉が、セイバーの心を刺す。彼女の表情が、一瞬にして硬くなった。

 

「スティーブ、貴方は未来を見据えることの大切さを説かれます。しかし、それが全てではありません」

 

セイバーの声には、これまでにない激しさが込められていた。彼女の中で、何かが壊れそうになっているのを感じた。

 

「過去を変えることが逃避だと仰いましたが、それは違います。私には、正さなければならない過ちがあるのです」

 

スティーブは、セイバーの言葉に驚いた表情を浮かべた。彼女の態度の急変に、戸惑いを隠せない。

 

「セイバー、君が何を背負っているのか、僕には分からない。だが、過去に囚われすぎるのは―」

 

「貴方に私の気持ちが分かるはずがありません」

 

セイバーの言葉は、まるで氷の刃のように鋭かった。彼女の目には、激しい感情の炎が燃えていた。

 

「私には、守るべき人々がいました。その人々のために、私は剣を執り、王として立ち続けました。しかし、その結果が...」

 

セイバーは言葉を途切れさせた。その瞳に、言い知れぬ悲しみの色が浮かんでいる。スティーブは、セイバーの言葉の奥に隠された深い痛みを感じ取った。彼女が背負う重荷の大きさを、初めて理解したような気がした。

 

「セイバー、君の過去について、僕は詳しくは知らない。だが、君が何かを強く後悔しているのは分かる」

 

スティーブの声は優しかったが、それがかえってセイバーの心を掻き乱した。

 

「後悔?そうです、私は後悔しています。だからこそ、それを正さなければならないのです」

 

セイバーの言葉には、強い決意が込められていた。その決意の裏に、自分自身への不信と自責の念が隠されていることに、スティーブは気づいていなかった。

 

「私には、叶えなければならない願いがあります。それは決して、自分のためだけのものではありません」

 

セイバーの言葉に、スティーブは深く考え込んだ。二人の間に、再び沈黙が訪れる。

夜空の星々が、静かに二人を見下ろしていた。その光は、セイバーとスティーブの間に広がる深い溝を、より鮮明に照らし出しているようだった。

 

「セイバー、君の決意は理解した。だが、それでも僕は―」

 

「もう十分です」

 

セイバーは、スティーブの言葉を遮った。彼女の声には、もはや感情が感じられなかった。

 

「貴方と私では、立場が違いすぎます。これ以上の議論は無意味でしょう」

 

そう言い残し、セイバーは背を向けた。彼女の姿が、夜の闇に溶けていく。スティーブは、その後ろ姿を見送りながら、深いため息をついた。二人の間に生まれた溝は、もはや簡単には埋まりそうにない。それは、単なる意見の相違を超えた、根本的な価値観の違いだった。

 

 

 

 

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夜の帳が降りた衛宮邸。玄関の灯りが、静かな夜闇を柔らかく照らしていた。その光の中に、遅くなって帰ってきた遠坂凛の姿が浮かび上がる。彼女を出迎えた士郎は、凛の頬に貼られた大きな絆創膏を見て、思わず目を見開いた。

 

「遠坂!? その怪我、どうしたんだ?」

 

士郎の声には、明らかな動揺が混じっていた。凛は、そんな士郎の心配そうな表情を見て、軽く肩をすくめた。

 

「ああ、これ? 気にしないで。ちょっと転んだだけよ」

 

凛の返事は、あまりにも軽すぎた。その態度に、士郎は眉をひそめる。

 

「転んだだけで、そんな大きな絆創膏を? 遠坂、何かあったんじゃ...」

 

「衛宮くん」凛は士郎の言葉を遮った。

 

「本当に大したことじゃないの。それより、晩ご飯の準備をしましょ」

 

凛は話題を変えようと、手に持っていた買い物袋を軽く揺らした。その中には、夕食の材料が詰まっている。士郎は、まだ納得していない様子だったが、それ以上追及するのを諦めたようだった。

 

二人が台所に向かうと、そこにはすでにクリントとナターシャの姿があった。二人は、凛の頬の絆創膏に気づいたようだが、特に何も言わなかった。

 

「リン、買い物お疲れさん」

 

クリントが声をかけた。

 

「何を作るんだ?」

 

「簡単なパスタを考えていたんだけど」

 

凛は買い物袋から食材を取り出しながら答えた。

 

「バートン先生、手伝ってもらえるかしら?」

 

クリントは軽く頷いた。

 

「任せろ。俺のパスタソースは絶品だぞ」

 

ナターシャは、黙って野菜を洗い始めた。彼女の動作には無駄がなく、まるでナイフを扱うかのような正確さで野菜を切り始める。士郎は、みんなの様子を見ながら、どこか落ち着かない様子だった。彼は、凛の怪我の真相が気になって仕方がなかった。しかし、凛は巧みに話題をそらし続ける。

 

「衛宮くん、そこに立ってないで、お皿を用意してくれる?」

 

凛の声に、士郎は我に返った。

 

「あ、ああ...分かった」

 

台所に立つ四人の姿は、一見すると平和な日常の一コマのようだった。しかし、その裏には、誰もが口にしない緊張が流れていた。凛の怪我、セイバーとスティーブの対立、そして迫り来る聖杯戦争の影。それらが、この静かな夜の空気を密かに揺るがしていた。

 

パスタの湯が沸き、ソースの香りが立ち込める。その香りに誘われるように、セイバーとスティーブも台所に姿を現した。二人の間には、まだ先ほどの対立の余韻が残っているようだった。

 

「いい匂いですね」

 

セイバーが静かに言った。

スティーブは黙って頷いた。その沈黙に、誰もが気づいていたが、誰も触れようとはしなかった。そうして、衛宮邸の台所では、様々な思惑と秘密を抱えた者たちが、ひとつのテーブルを囲もうとしていた。パスタの湯気が立ち昇る中、彼らの運命は、静かに、しかし確実に動き始めていたのだった。




アルトリアとスティーブは決して相性自体は悪くないはずなんだけど、SNのアルトリアは叶えたい願いがあるわけだし、その考えを変えさせたのは士郎だからスティーブじゃ厳しいかな……
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