アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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ストレンジ先生による魔術の授業回


第42話 魔術の講義

朝日が差し込む衛宮邸の一室。凛のベッドには、まだ眠りの世界に浸る少女の姿があった。そこへ、しなやかな足取りで忍び寄る影。キジトラの姿をしたドクター・ストレンジである。

 

「ニャー」

 

ストレンジは凛の耳元で静かに鳴いた。しかし、凛はピクリとも動かない。

 

「おや、これは難儀だ」

 

ストレンジは猫らしからぬ呟きを漏らす。しかし、すぐに作戦を練り直した。

まず、凛の顔にモフモフの尻尾をふわりと触れさせる。くすぐったさで目を覚ますかと思いきや、凛は無意識に手で払いのけただけだった。

 

「むにゃ...五分だけ...」

 

凛の寝言に、ストレンジは猫らしくため息をついた。

次は、凛の腹の上に乗っかる作戦。ぷにぷにとした肉球で、凛のお腹を踏み踏みし始めた。

 

「むぅ...重い...」

 

凛は眉をひそめたが、まだ目を覚まさない。ストレンジは諦めずに、今度は凛の髪の毛に顔をすりすりと擦り付けた。

 

「くすぐったいニャ」

 

思わず猫語が出てしまう。しかし、凛はまだ起きない。ストレンジは猫の姿でありながら、頭を抱えたくなる思いだった。そこで、最終手段に出る。

 

「ニャーーーー!!」

 

凛の耳元で、できる限り大きな声で鳴いた。

 

「きゃっ!」

 

凛は驚いて飛び起きた。そして、目の前にいるキジトラを見て、状況を把握する。

 

 

「もう、ストレンジったら! 起こすならもっと普通にやりなさいよ!」

凛は怒ったように言ったが、その目には笑みが浮かんでいた。

 

ストレンジは、満足げに尻尾を立てて鳴いた。

 

「ニャー」

 

凛はため息をつきながらも、ストレンジの頭を撫でた。

 

「まったく、こんな猫みたいな姿で調子に乗らないの。さ、朝ごはんの準備しましょ」

 

凛がベッドから出ようとすると、ストレンジは彼女の肩に飛び乗った。

 

「ちょっと! 重いわよ!」

 

「ニャー」

二人の姿は、まるで仲の良い飼い主と猫のようだった。しかし、その猫が実は強大な魔術師であることを知る者は、この光景に思わず笑みを浮かべずにはいられないだろう。そうして、衛宮邸の朝は、いつもとは少し違う形で始まっていった。キジトラの姿をした魔術師と、彼に振り回される少女の姿が、この家に新たな活気をもたらしていた。

 

 

**********************************************************

 

 

 

朝食後、士郎と凛は静かに凛の部屋へと足を運んだ。二人の後ろを、キジトラの姿をしたストレンジがついてくる。その姿は一見すると普通の猫のようだが、その目には人間離れした知性が宿っていた。部屋に入ると、ストレンジは机の上に軽々と飛び乗り、二人を見つめた。その仕草は、まるで教壇に立つ教師のようだった。士郎と凛は、おもむろに椅子に腰掛ける。

ストレンジは、尻尾を優雅に揺らしながら講義を始めた。彼の声は、猫の姿とは不釣り合いな低く落ち着いたものだった。まず、彼は自分の世界の魔術と、この世界の魔術の根本的な違いについて説明し始めた。

 

ストレンジの世界では、魔術は宇宙の根源的な力との繋がりを通じて行使される。それは、現実を歪め、物理法則を超越する力を持つ。一方、この世界の魔術は、世界に既に存在する神秘を利用し、再現する技術だという。

 

二つの世界の魔術の違いは、その源泉にあった。ストレンジの世界では、魔術師は宇宙の根源的なエネルギーを直接操る。それは、時として危険を伴う行為だが、その分だけ強大な力を引き出すことができる。対して、この世界の魔術は、世界に刻まれた神秘の痕跡を辿り、それを再現することで成立する。

 

ストレンジは、自身の世界の魔術について詳しく説明を続けた。彼の世界では、様々な次元や現実が存在し、それらを自在に行き来することができる。そして、それぞれの次元には固有の法則や力が存在する。魔術師は、これらの次元の力を借りることで、より強大な魔術を行使できるのだという。

 

特に興味深かったのは、ヴィシャンティの存在についての説明だった。ヴィシャンティは、ストレンジの世界における強大な魔術の源泉の一つだ。それは、純粋なエネルギーの集合体であり、適切に扱えば現実そのものを書き換える力を持つという。士郎と凛は、息を呑んでストレンジの話に聞き入った。彼らの世界の魔術とは、あまりにも異なる概念だった。特に士郎にとっては、全く新しい世界が開かれたかのような衝撃だった。ストレンジは、さらに両世界の魔術の実践面での違いについても言及した。彼の世界では、魔術の習得には膨大な知識と訓練が必要だが、その代わりに使える魔術の幅は非常に広い。一方、この世界の魔術は、個人や家系に特化した魔術回路を通じて行使されるため、習得は比較的容易だが、使える魔術の種類は限られる。しかし、ストレンジは両者の長所を組み合わせることで、より強力な魔術を生み出せる可能性を示唆した。特に士郎に対しては、彼の固有魔術である「投影」の能力と、ストレンジの世界の次元操作の技術を組み合わせることで、想像を超える力を引き出せるかもしれないと語った。凛は、時折鋭い質問を投げかけた。彼女の頭脳は、新しい概念を素早く吸収し、既存の知識と照らし合わせていく。一方、士部は黙々とメモを取りながら、時折困惑した表情を浮かべていた。

 

講義が進むにつれ、部屋の空気が徐々に変化していった。それは、新たな可能性への期待と、未知の力への畏怖が混ざり合ったような雰囲気だった。ストレンジの言葉一つ一つが、二人の若き魔術師の世界観を大きく揺さぶっていく。

やがて、ストレンジは講義を締めくくった。彼は、この新たな知識が聖杯戦争にどのような影響を与えるかについては言及しなかったが、その可能性は誰の目にも明らかだった。講義が終わり、士郎と凛が部屋を後にする頃には、既に昼過ぎとなっていた。二人の頭の中は、新たな知識と可能性で一杯だった。彼らは、これからの修練に向けて、静かな決意を胸に秘めていた。

 

キジトラの姿をしたストレンジは、優雅な動きで士郎の足元に近づいた。その仕草は、普通の猫そのものだったが、その目には人智を超えた知性が宿っていた。突然、ストレンジは軽々と士郎の膝の上に飛び乗った。

 

「さて、実践的なデモンストレーションをしよう」

 

ストレンジの声が、部屋に響く。それは猫の姿とは不釣り合いな、低く落ち着いた声だった。士郎が困惑した表情を浮かべる間もなく、ストレンジは前足を士郎の胸に当てた。その瞬間、士郎の体が急に軽くなったような感覚に襲われた。

 

「な...何が...」

 

士郎の言葉が途切れる。彼は自分の体が、まるで霧のように透明になっていくのを目の当たりにしていた。そして次の瞬間、彼は自分の体を外から見ている自分に気がついた。

 

「これは...幽体離脱?」

 

凛の驚きの声が聞こえる。士郎は自分の体が椅子に座ったまま、目を閉じている様子を見ていた。一方で、意識のある"自分"は部屋の中を自由に浮遊していた。

「正解だ」ストレンジが言った。「これは精神と肉体を分離させる基本的な魔術の一つだ。今の私の状態では使える魔術は限られているが、この程度なら可能だ」

士郧は自分の手を見つめた。それは半透明で、壁をすり抜けることができた。この不思議な感覚に、彼は言葉を失っていた。

 

「衛宮くん、大丈夫?」

 

凛の声には心配が滲んでいた。士郧は頷こうとしたが、首を動かしても何も起こらないことに気づいた。代わりに、意識を集中させると、自然と返事の言葉が形成された。

 

「ああ、大丈夫だ。ただ...これは凄いな」

 

ストレンジは満足げに尻尾を揺らした。「この状態では、物理的な制約から解放される。壁を通り抜けたり、遠くを一瞬で移動したりできる。ただし、現実世界に干渉する力は極めて限られているがな」

 

士郧は部屋の中を自由に動き回った。天井に浮かぶことも、床をすり抜けることも自在だった。この新しい感覚に、彼は子供のように興奮していた。

 

「これは...魔術の可能性を大きく広げるな」

 

凛が呟いた。彼女の目には、新たな知識への渇望が宿っていた。

 

ストレンジは静かに頷いた。

 

「そうだ。しかし、常に危険が伴うことを忘れるな。体から離れすぎると、戻れなくなる可能性もある」

 

その言葉に、士郧は慌てて自分の体の近くに戻った。ストレンジは再び前足を士郧の胸に当て、呪文を唱えた。瞬間、士郧の意識は元の体に戻された。

 

「ふう...凄い体験だった」

 

士郧は深く息を吐いた。この体験は、彼に魔術の新たな可能性を示すと同時に、その危険性も実感させた。聖杯戦争に向けて、まだまだ学ぶべきことが山積みであることを、彼は痛感していた。

 

ストレンジは、尻尾をゆったりと揺らしながら、机の上で姿勢を正した。その瞳には、深遠な知識の光が宿っていた。

 

「さて、この世界の魔術師が持つ魔術回路について説明しよう」

 

その声は、猫の姿とは不釣り合いな重みを持っていた。士郎と凛は、息を呑んで耳を傾けた。ストレンジは、魔術回路が魔術師の体内に存在する疑似神経であり、魔力を生成・制御するための重要な器官であることを説明した。それは生まれつき持っているものだが、初めは断片的で機能していない。そのため、魔術師は自身の魔術回路を「繋げる」作業が必要になる。

 

「シロウ、君はどのように魔術の鍛錬をしているんだ?」

 

ストレンジの問いかけに、士郎は少し躊躇いながら答えた。

「毎晩、蔵の中で魔術回路を作る練習をしています」

その言葉を聞いた瞬間、凛の表情が急変した。彼女の目に、激しい怒りと深い懸念が浮かんだ。

 

「衛宮くん!それは誤っているだけでなく、危険すぎる行為よ!」

 

凛の声には、普段の冷静さが消え失せていた。それは、純粋な心配からくる叱責だった。士郎は困惑した表情を浮かべた。彼にとって、それは当たり前の鍛錬方法だったからだ。しかし、凛の反応を見て、何か重大な誤りを犯していることを悟った。ストレンジは、凛の言葉を受けて説明を続けた。魔術回路は生まれつき持っているものであり、一度繋げてしまえば後はスイッチのオンオフのような形で使用時だけ起動させることが可能だという。つまり、士郎のように毎回一から作り直す必要はないのだ。

 

「君の行為は、極めて危険だ」

 

ストレンジは厳しい口調で言った。

 

「魔術回路を作る作業は、体に大きな負荷をかける。しかも、作業中に少しでも集中を切らせば、魔力が暴発して最悪の場合、体の内側から弾け飛んでしまう可能性がある」

 

その言葉に、士郎の顔から血の気が引いた。彼は今まで、自分がどれほど危険な綱渡りをしていたのか、初めて理解した。

 

凛は、さらに詳しく説明を加えた。魔術回路を繋げる作業は、通常は一度だけ行うものだ。それは、魔術師としての基礎を築く重要な過程ではあるが、同時に非常に危険な作業でもある。そのため、多くの場合、経験豊富な魔術師の監督下で行われる。

 

「衛宮くん、あなたは毎晩、死の淵を歩いていたのよ」

 

凛の声には、怒りの下に隠された深い心配が滲んでいた。士郎は、自分の無知と無謀さに愕然とした。彼は、魔術の修行だと信じて疑わなかった行為が、実は自殺行為に等しいものだったことを知り、冷や汗が背中を伝うのを感じた。

ストレンジは、さらに説明を続けた。魔術回路は、一度繋げてしまえば後は必要な時だけ起動させればよい。それは、ちょうど筋肉のように、使えば使うほど強くなっていく。しかし、士郎のように毎回新しく作ろうとすることは、単に危険なだけでなく、魔術の修行としても全く意味がない。

 

「君の行為は、毎日新しい筋肉を作ろうとするようなものだ」

 

ストレンジは比喩を用いて説明した。

 

「それは不可能であり、仮に可能だとしても、筋力増強にはつながらない」

 

凛は、士郎の行為がいかに危険で無意味なものであったかを、さらに詳しく解説した。魔術回路を作る作業は、体内に存在する潜在的な回路を顕在化させる過程だ。それは、神経系統に似た繊細な器官を操作する、極めて繊細な作業である。

 

「毎回新しく作ろうとすることは、体に大きな負担をかけるだけでなく、既存の回路を破壊してしまう危険性もあるのよ」

 

凛の声には、深い懸念が滲んでいた。

士郎は、自分がどれほど危険な綱渡りを続けていたのか、改めて理解した。彼の顔には、後悔と恐怖の色が浮かんでいた。

 

「じゃあ、俺は今まで...」

 

「そう、何の成果もない自殺行為を繰り返していたのよ」

 

凛は厳しく言った。しかし、その目には深い安堵の色も浮かんでいた。今ここで、この誤りに気づけたことへの安堵だった。

 

ストレンジは、尻尾を軽く揺らしながら続けた。

 

「しかし、君がそれでも生き延びてきたことは、君の潜在能力の高さを示しているともいえるだろう」

 

その言葉に、僅かな希望の光が士郎の目に宿った。

 

「では、これからどうすれば...」

 

「まず、今までの危険な練習は即刻やめること」

 

凛が即座に言った。

 

「そして、正しい方法で魔術回路を扱う基礎から学び直すの」

ストレンジも同意を示した。

 

「そうだ。君の潜在能力は高い。正しい方法で鍛錬すれば、大きな飛躍が期待できるだろう」

 

 

士郎は、深く頷いた。彼の目に、新たな決意の色が宿っていた。これまでの危険で無意味な鍛錬から、真の魔術の道へと踏み出す。その覚悟が、彼の表情に現れていた。部屋の中に、重い空気が漂っていた。しかし同時に、新たな希望の光も感じられた。士郎の誤った鍛錬方法が明らかになったことで、彼の魔術の道に新たな扉が開かれたのだ。凛とストレンジは、これからの士郎の指導について話し合い始めた。その様子を見ながら、士郎は自分の無知と無謀さを反省すると同時に、これからの成長への期待に胸を膨らませていた。

 

 

 




士郎や凛ってマーベル世界の魔術を学べばパワーアップできるような気がするんですよねぇ
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